債権総論 5-1 債権の消滅 序説


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債権の消滅 序説

1.債権消滅の意義
債権
=債権者が債務者に対して一定の行為(給付)を請求できる権利

給付の内容の実現
実現不能等
により消滅する

2.債権の消滅原因
(1)消滅原因の種類
①法律行為
契約:代物弁済・弁済供託・更改
単独行為:相殺・免除

②準法律行為
弁済

③事件
混同

他に、契約の場合は、取消し・解除・解除条件の成就・終期の到来

(2)消滅原因の分類
・内容の実現による消滅

・内容の実現不能による消滅

・内容の実現不必要による消滅


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債権総論 4-2 責任財産の保全 詐害行為取消権

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詐害行為取消権

1.詐害行為取消権の意義と性質
(1)意義
債権者が、債務者の責任財産を保全するために、債権者を害することを知りながら行った債務者の法律行為の取消しを裁判所に請求できる権利

+(詐害行為取消権)
第四百二十四条  債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

(2)法的性質
ⅰ)形成権説
意思表示の瑕疵に基づく取消しと同様に、詐害行為を債権者の一方的意思表示により取消し、その効力を遡及的に無効にする形成権であるとする。

ⅱ)請求権説
詐害行為によって責任財産から逸出した財産の返還を請求する債権的権利である。
→給付訴訟である

ⅲ)折衷説(通説)

・内容
詐害行為取消権は詐害行為を取消し、かつ、これを根拠として逸出した財産の取戻しを請求する権利

被告は受益者または転得者(×債務者)

取消しの総体的無効=債権者と受益者間でのみ無効となる
=債務者・受益者間では依然として有効

請求の内容として
債権者は、詐害行為の取消しと財産の返還または金銭賠償を請求してもよいし
詐害行為の取消しだけを請求してもよい

返還された財産については、
債務者に対する債務名義に基づいて強制執行をかけることになる

ⅳ)責任説
債務者の責任財産から逸出した財産に対する強制執行を可能にする準備段階であり、「責任無効」(逸出による責任財産でなくなったという効果のみを無効にする=当該財産は受益者に帰属したままで債務者の責任財産を構成)という効果を生じる形成権である

責任無効という効果を発生させる形成訴訟+責任訴訟(強制執行忍容訴訟)

2.詐害行為取消権の要件
①詐害行為前に被保全債権が発生していること
②債務者が債権者を害することを知って法律行為をしたこと
③受益者または転得者の悪意が存在すること

(1)詐害行為前の被保全債権の発生
ⅰ)被保全債権の種類
・金銭債権

・金銭債権以外
金銭債権以外の債権も究極には金銭債権に変わり、債務者の責任財産により担保されなければならないから、債務者が目的物を処分することによって無資力となった場合には、債権者は債務者の処分行為を詐害行為として取り消すことができる

+判例(S36.7.19)
理由
 上告代理人今野佐内の上告理由第一点(一)について。
 民法四二四条の債権者取消権は、総債権者の共同担保の保全を目的とする制度であるが、特定物引渡請求権(以下特定物債権と略称する)といえどもその目的物を債務者が処分することにより無資力となつた場合には、該特定物債権者は右処分行為を詐害行為として取り消すことができるものと解するを相当とする。けだし、かかる債権も、窮極において損害賠償債権に変じうるのであるから、債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様だからである。大審院大正七年一〇月二六日民事連合部判決(民録二四輯二〇三六頁)が、詐害行為の取消権を有する債権者は、金銭の給付を目的とする債権を有するものでなければならないとした見解は、当裁判所の採用しないところである。本件において、原判決の確定したところによれば、被上告人は昭和二五年九月三〇日訴外Aとの間に本件家屋を目的とする売買契約を締結し、同人に対しその引渡請求権を有していたところ、Aは、他に見るべき資産もないのに、同二七年六月頃右家屋に債権額八万円の抵当権を有する訴外Bに対し、その債権に対する代物弁済として、一〇万円以上の価格を有する右家屋を提供し、無資力となつたというのである。右事実に徴すれば、本件家屋の引渡請求権を有する被上告人は、右代物弁済契約を詐害行為として取り消しうるものというべく、したがつて、原判決が「債務者がその特定物をおいて他に資産を有しないにかかわらず、これを処分したような場合には、この引渡請求権者において同条の取消権を有するものと解すべきである」とした部分は結局正当に帰する
 なお、論旨は、原判決のような判断が許されるときは、被上告人は登記を了しないのに、既に登記した上告人に対し所有権の移転を対抗し得ると同一の結果となり、民法一七七条の法意に反すると主張するが、債権者取消権は、総債権者の利益のため債務者の一般財産の保全を目的とするものであつて、しかも債務者の無資力という法律事実を要件とするものであるから、所論一七七条の場合と法律効果を異にすることは当然である。所論は採用できない。
 同第一点(二)、(三)について。
 債務者が目的物をその価格以下の債務の代物弁済として提供し、その結果債権者の共同担保に不足を生ぜしめた場合は、もとより詐害行為を構成するものというべきであるが、債権者取消権は債権者の共同担保を保全するため、債務者の一般財産減少行為を取り消し、これを返還させることを目的とするものであるから、右の取消は債務者の詐害行為により減少された財産の範囲にとどまるべきものと解すべきである。したがつて、前記事実関係によれば本件においてもその取消は、前記家屋の価格から前記抵当債権額を控除した残額の部分に限つて許されるものと解するを相当とする。そして、詐害行為の一部取消の場合において、その目的物が本件の如く一棟の家屋の代物弁済であつて不可分のものと認められる場合にあつては、債権者は一部取消の限度において、その価格の賠償を請求するの外はないものといわなければならない。然るに、原審は本件家屋の価格および取消の範囲等につき十分な審理を遂げることなく、たやすく本件代物弁済契約の全部の取消を認め、上告人に対し右家屋の所有権移転登記手続を命じたのは、民法四二四条の解釈を誤つた結果として審理不尽、理由不備の違法をあえてしたものであつて、所論は結局理由あるに帰し、原判決はこの点において破棄を免れない。よつて、本件を原審に差し戻すべく、民訴四〇七条に従い、裁判官下飯坂潤夫、同奥野健一、同山田作之助の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

・詐害行為がなされた時点では被保全債権は金銭債権である必要はない。
・直接自己に移転登記するように求めることはできない

ⅱ)被保全債権の発生時期
・詐害行為より先に発生していなければならない
←債権者は、債権取得時の債務者の責任財産を引き当てにしているから。

・被保全債権は詐害行為前に発生した債権であればよく、詐害行為時に履行期にある必要はない。

・詐害行為後に被保全債権が譲渡された場合は、譲受人が取消権を行使できる。

(2)債務者の詐害行為の存在
ⅰ)序説
債務者が債権者を害することを知って法律行為をしたこと

法律行為の詐害性×債務者の詐害意思=詐害行為

ⅱ)法律行為の詐害性

+(詐害行為取消権)
第四百二十四条  債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

・債権者を害するとは債務者が無資力となること

・債務者の無資力は、詐害行為時に存在するだけでなく、債権者が取消権を行使する時にも存在していることが必要

ⅲ)詐害行為取消権の対象となる法律行為
財産権を目的とする法律行為でなければならない

+(詐害行為取消権)
第四百二十四条  債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない

①離婚に伴う財産分与
②離婚に伴う慰謝料支払いの合意

+判例(H12.3.9)
理由
 第一 上告代理人柴田龍彦の上告理由第一の四について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 第二 同第一の一ないし三について
 一 原審の確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
 1 被上告人は、Bに対し、平成三年五月一五日に貸し付けた貸金債権を有し、これにつき、Bから被上告人に六〇〇五万九七一四円及び内金五九二八万一三九六円に対する平成四年二月一四日から支払済みまで年一四パーセントの割合による金員を支払うべき旨の確定判決を得ている。
 2 Bは、C工業株式会社(以下「訴外会社」という。)の取締役であったところ、多額の負債を抱えて借入金の利息の支払にも窮し、平成四年一月、訴外会社の取締役を退任し、収入が途絶え、無資力となった。
 3 上告人とBは、平成二年一〇月ころから同居し、平成三年一〇月五日、婚姻の届出をしたが、Bは、働かずに飲酒しては上告人に暴力を振るうようになり、平成六年六月一日、上告人と協議離婚した。
 4 上告人とBは、他の債権者を害することを知りながら、平成六年六月二〇日、Bが上告人に対し、生活費補助として同月以降上告人が再婚するまで毎月一〇万円を支払うこと及び離婚に伴う慰謝料として二〇〇〇万円を支払うことを約し(以下「本件合意」という。)、これに基づき、執行認諾文言付きの慰謝料支払等公正証書が作成された。
 5 被上告人は、Bに対する前記確定判決に基づき、大阪地方裁判所に対し、前記貸金債権の内金五〇〇万円を請求債権として、Bの訴外会社にする給料及び役員報酬債権につき差押命令を申し立て、同裁判所は、平成七年八月二三日、差押命令を発した。
 上告人は、Bに対する前記公正証書に基づき、大阪地方裁判所に対し、生活費補助二二〇万円及び慰謝料二〇〇〇万円の合計二二二〇万円を請求債権として、Bの訴外会社に対する給料及び役員報酬債権につき差押命令を申し立て、同裁判所は、平成八年四月一八日、差押命令を発した。
 6 訴外会社は、平成八年六月二四日、大阪法務局に二六一万〇四三三円を供託した。
 7 大阪地方裁判所は、上告人と被上告人の各配当額を各請求債権額に応じて案分して定めた配当表(以下「本件配当表」という。)を作成したところ、被上告人は、配当期日において、異議の申出をした。
 二 本訴において、被上告人は、主位的請求として、本件合意が通謀虚偽表示により無効であるとして、本件配当表につき、全額を被上告人に配当するよう変更することを求め、予備的請求として、詐害行為取消権に基づき、上告人とBとの間の本件合意を取り消し、本件配当表を同様に変更することを求めた。
 三 第一審は、本件合意は通謀虚偽表示により無効であるとして、主位的請求を認容した。これに対して、原審は、本件合意が通謀虚偽表示であるとはいえないが、本件合意における生活費補助及び慰謝料の額は、その中に財産分与的要素が含まれているとみても不相当に過大であって、財産分与に仮託してされたものであり、詐害行為に該当するとして、予備的請求を認容した(原判決主文は、単に控訴を棄却するというものであるが、これは、主位的請求につき第一審判決を取り消して請求を棄却し、予備的請求につきこれを認容して第一審判決と同じ主文を言い渡す趣旨のものと解される。)。
 四 しかしながら、原審の右判断のうち予備的請求に関する部分は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 1 本件合意は、Bが上告人に対し、扶養的財産分与の額を毎月一〇万円と定めてこれを支払うこと及び離婚に伴う慰謝料二〇〇〇万円の支払義務があることを認めてこれを支払うことを内容とするものである。
 2 離婚に伴う財産分与は、民法七六八条三項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない(最高裁昭和五七年(オ)第七九八号同五八年一二月一九日第二小法廷判決・民集三七巻一〇号一五三二頁)。このことは、財産分与として金銭の定期給付をする旨の合意をする場合であっても、同様と解される。
 そして、【要旨一】離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意がされた場合において、右特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消されるべきものと解するのが相当である。
 3 離婚に伴う慰謝料を支払う旨の合意は、配偶者の一方が、その有責行為及びこれによって離婚のやむなきに至ったことを理由として発生した損害賠償債務の存在を確認し、賠償額を確定してその支払を約する行為であって、新たに創設的に債務を負担するものとはいえないから、詐害行為とはならないしかしながら、【要旨二】当該配偶者が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額の慰謝料を支払う旨の合意がされたときは、その合意のうち右損害賠償債務の額を超えた部分については、慰謝料支払の名を借りた金銭の贈与契約ないし対価を欠いた新たな債務負担行為というべきであるから、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。
 4 これを本件について見ると、上告人とBとの婚姻の期間、離婚に至る事情、Bの資力等から見て、本件合意はその額が不相当に過大であるとした原審の判断は正当であるが、この場合においては、その扶養的財産分与のうち不相当に過大な額及び慰謝料として負担すべき額を超える額を算出した上、その限度で本件合意を取り消し、上告人の請求債権から取り消された額を控除した残額と、被上告人の請求債権の額に応じて本件配当表の変更を命じるべきである。これと異なる見解に立って、本件合意の全部を取り消し得ることを前提として本件配当表の変更を命じた原判決には、法令の解釈適用を誤った違法があるというべきであり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は右の趣旨をいうものとして理由があり、原判決中被上告人の予備的請求に関する部分は破棄を免れない。
 第三 さらに、職権をもって判断するに、被上告人の予備的請求につき、主文において本件合意を取り消すことなく詐害行為取消しの効果の発生を認め、本件配当表の変更の請求を認容すべきものとした原判決には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決中被上告人の予備的請求に関する部分は、この点においても破棄を免れない。
 第四 結論
 以上のとおりであるから、原判決中被上告人の予備的請求に関する部分を破棄し、右部分については、本件合意のうち取り消すべき範囲及びこれに基づく配当表の変更につき、更に審理を尽くさせる必要があるから、本件を原審に差し戻すこととする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 藤井正雄 裁判官 小野幹雄 裁判官 遠藤光男 裁判官 井嶋一友 裁判官 大出峻郎)

③相続放棄
相続放棄は財産を積極的に減少させる行為というよりは消極的に増加を妨げる行為に過ぎない
身分行為である
→取消権の対象にならない

④遺産分割協議
+(遺産の分割の協議又は審判等)
第九百七条  共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2  遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3  前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

・遺産分割協議は、その性質上財産権を目的とする法律行為であるから、相続人の債権者は取消権を行使できる。

+判例(H11.6.11)

ⅳ)債務者の詐害意思
・法律行為によって無資力になることについての認識が債務者にあれば足り、特定の債権者を害する意図までは必要としない
・債務者の詐害意思は、法律行為時に存在することが必要
知らない限り債務者の過失があっても取消権は認められない

・詐害意思の存在は債権者が主張立証。

(3)詐害行為の具体例
ⅰ)不動産の売却
不動産を相当な価格で売却した場合にも詐害行為になる。
←消費や隠匿のしやすい金銭に代えることは債務者の資力を削減することになる

しかし、有用の資金(家族の生活費等)に充てる目的での売却は例外的に詐害行為にならない。

ⅱ)弁済
債権者の平等を破るような一部の債権者に対する弁済
原則として詐害行為とならない
←債権者には弁済を求める当然の権利があり、債務者も弁済をすべき当然の義務がある。
そして、どの債権者に弁済するかは債務者の自由であり、債権者が平等の弁済を受けるのは、破産手続きによってなされるべきである!!

例外的に、債務者が一部の債権者と通謀し、他の債権者を害する意思をもって弁済した場合は詐害行為となる。

ⅲ)代物弁済
債権額に相当する価格の物による代物弁済
債務者に詐害意思があれば詐害行為となる。
←弁済の場合と異なり、債務者が代物弁済をするかは自由である

これに対し、一部の債権者が執拗に代物弁済を要求し、債務者が他の債権者を害する積極的な意思を持たずに代物弁済をした場合は詐害行為とならない。

ⅳ)物的担保の設定
①既存債務のための物的担保の設定の場合
一部の既存債権者のための物的担保の設定は、その債権者に優先弁済権を与える反面、総債権者の共同担保である債務者の責任財産を減少させることになるので、詐害行為となる

しかし、目的によっては、詐害行為とならない場合も

②新たな借り入れのための物的担保の設定
共同担保である責任財産を減少させることになるので詐害行為になる。
例外的に、借り入れの目的が是認されるものであればならない。

(4)受益者または転得者の悪意
ⅰ)悪意の意義
受益者または転得者が、行為時、債務者の法律行為が債権者を害すべき事実を知っていたこと
債権者を害する意図は必要ではなく、債権者を害することを認識しておけばよい。

・受益者転得者が自己の善意を主張立証

ⅱ)善意悪意の関係
①受益者転得者ともに悪意の場合
債権者は受益者に価格賠償を請求してもよいし、転得者に目的物の返還請求をしてもよい

②受益者悪意・転得者善意
債権者は転得者に目的物の返還を請求できず、受益者に価格賠償を請求するしかない

③受益者善意・転得者悪意
転得者を相手に取消権を行使できる
←取消しの相対的無効を前提とする限り、受益者と転得者間では当該法律行為は有効のままであるから、受益者が転得者から追奪担保責任を追及されることはなく、受益者は影響を受けないから。

3.詐害行為取消権の行使
(1)行使の方法
債権者が自己の名において(債権者の資格で)訴えの方法で行使=×抗弁、○反訴
←要件充足の有無を裁判所に判断させるため

詐害行為を取り消して逸出した財産を取り戻す

(2)行使の相手方と請求の内容
受益者または転得者を被告とし、債務者を被告とすることはできない。

①債務者が悪意の受益者に売却。転得者に転売はされていない場合。
受益者を被告として売買の取消しと、債務者名義の登記の回復を請求
受益者債務者間の不当利得返還

②土地が受益者から転得者に転売された場合
受益者転得者のいずれかを被告とする

(3)取消しの範囲
ⅰ)詐害行為の目的物が可分の場合
詐害行為当時の取消し債権者の債権額が限度

ⅱ)詐害行為の目的物が不可分の場合
行為全体を取消すことができる

例外
抵当権が付着している場合、代物弁済全体の取消しを認めると、代物弁済によって抵当権がしょうめつしているため、債権者は抵当権の付着していない財産を取り戻すこととなり不当に優遇されてしまう。
→取消しは詐害行為により減少した財産の範囲にとどめられるべき
一部取り消しの限度で価格賠償の請求をする。

(4)行使期間の制限
+(詐害行為取消権の期間の制限)
第四百二十六条  第四百二十四条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

取消しの原因を知った時
=債務者が債権者を害することを知って法律行為をした事実を債権者が知ったこと
詐害の客観的事実を知っただけでは足りず、債務者の詐害意思をも知ったことが必要!!!
もっとも、詐害の客観的事実を知った場合には、詐害意思も知ったものと推定される。

4.詐害行為取消権の効果
(1)425条の意味
+(詐害行為の取消しの効果)
第四百二十五条  前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。

債務者の責任財産として回復され、総債権者の共同担保になる。

(2)個々の財産
ⅰ)不動産
登記の抹消または債務者への移転登記を請求
直接自己への移転登記は請求できない

ⅱ)動産と金銭
自己に引き渡すよう請求できる

・債権者が金銭の引渡しを受けた場合、他の債権者は自己への分配を請求できるか
請求できない(債権者は分配を成すべき義務を負わない)
←分配の時期、手続上の法定手続が存在しないから

・受益者も債権者の1人である場合、取消債権者からの引渡し請求に対し、自己に分配されるべき金額の支払を拒めるか
拒めない
←総債権者の利益を無視することになるから


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債権総論 4ー1 責任財産の保全 債権者代位権

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債権者代位権

1.債権者代位権の意義
(1)意義
債権者が債務者に代わって第三債務者に対する財産権を行使して、債務者の責任財産の保全を図る
+(債権者代位権)
第四百二十三条  債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
被保全債権
=保全される債権者の債権
被代位権利
=代位行使される債務者の権利
(2)債権者代位権と強制執行制度

強制執行と比べて債権者代位権は
①債務名義が要らない
②代位行使できる権利が債務者の債権に限られない。
形成権(取消権解除権)や保存行為等
③非金銭債権を保全するために行使できる

2.債権者代位権の要件
要件
①保全の必要性
②債務者が自己の権利を行使していないこと
③被代位権利が債務者の一身専属権ではない
④被保全債権が履行期にある

(1)債権保全の必要性
債権者代位権は強制執行準備のために債務者の責任財産を維持することを目的としていた
→債務者の無資力を意味する

転用事例の時は無資力は要求されない

(2)債務者の権利不行使
・債務者に対する不当な干渉にならないように
・債務者による行使の方法結果にかかわらず行使できなくなる

++判例(S28.12.14)

・債権者はその訴訟に補助参加や独立当事者参加をする

・この要件の主張立証責任について
代位債権者が債務者の権利不行使を主張(請求原因説)
第三者が、債務者が権利を行使したことを主張(抗弁説)

(3)被代位債権の要件
ⅰ)代位行使できる権利
請求権
形成権
消滅時効の援用権
債権者代位権
登記所への登記申請行為

ⅱ)代位行使できない権利
~債務者の一身専属権~
行使上の一身専属権=権利を行使するかどうかが権利者の自由な意思にゆだねられていて、他人が行使できない=債務者の意思決定に対する干渉となる
(⇔帰属上の一身専属権=権利者のみに帰属し、譲渡や相続できない)

①一定の親族法条の身分と結びついた純粋の身分権
=婚姻・養子縁組の取消権
嫡出否認権
認知請求権
親権

②身分上の権利であるが、財産的内容を有する身分財産権
夫婦間の契約の取消権
親族間の扶養請求権
遺留分減殺請求権については
遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合にのみ代位行使できる

+判例(H13.11.22.)
理由
 上告代理人冨永長建の上告理由について
 1 本件は、遺言によって被上告人が相続すべきものとされた不動産につき、当該遺言で相続分のないものとされた相続人に対して貸金債権を有する上告人が、当該相続人に代位して法定相続分に従った共同相続登記を経由した上、当該相続人の持分に対する強制競売を申し立て、これに対する差押えがされたところ、被上告人がこの強制執行の排除を求めて提起した第三者異議訴訟である。上告人は、上記債権を保全するため、当該相続人に代位して遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をし、その遺留分割合に相当する持分に対する限度で上記強制執行はなお効力を有すると主張した。
 2 【要旨】遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないと解するのが相当である。その理由は次のとおりである。
 遺留分制度は、被相続人の財産処分の自由と身分関係を背景とした相続人の諸利益との調整を図るものである。民法は、被相続人の財産処分の自由を尊重して、遺留分を侵害する遺言について、いったんその意思どおりの効果を生じさせるものとした上、これを覆して侵害された遺留分を回復するかどうかを、専ら遺留分権利者の自律的決定にゆだねたものということができる(1031条、1043条参照)。そうすると、遺留分減殺請求権は、前記特段の事情がある場合を除き、行使上の一身専属性を有すると解するのが相当であり、民法423条1項ただし書にいう「債務者ノ一身ニ専属スル権利」に当たるというべきであって、遺留分権利者以外の者が、遺留分権利者の減殺請求権行使の意思決定に介入することは許されないと解するのが相当である。民法1031条が、遺留分権利者の承継人にも遺留分減殺請求権を認めていることは、この権利がいわゆる帰属上の一身専属性を有しないことを示すものにすぎず、上記のように解する妨げとはならない。なお、債務者たる相続人が将来遺産を相続するか否かは、相続開始時の遺産の有無や相続の放棄によって左右される極めて不確実な事柄であり、相続人の債権者は、これを共同担保として期待すべきではないから、このように解しても債権者を不当に害するものとはいえない
 3 以上と同旨の見解に基づき、本件において遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることはできないとして、被上告人の第三者異議を全部認容すべきとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論引用の判例は、所論の趣旨を判示したものではなく、上記判断はこれと抵触するものではない。論旨は採用することができない。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 深澤武久 裁判官 井嶋一友 裁判官 藤井正雄 裁判官 町田顯)

③人格権侵害による慰謝料請求権
精神的苦痛を賠償させるかは被害者自身の自由な意思により決定されるべきものである
ただし、合意や判決で具体的な慰謝料額が決定した場合や、それ以前の段階で被害者が死亡した場合は、代位行使の対象となる

~差押禁止の債権~
差押禁止の部分において責任財産を構成しないので、代位行使の対象とならない

(4)被保全債権の履行期の到来
被保全債権が履行期にあること

・例外的に
①裁判上の代位(423条2項本文)
履行期前に代位権を行使しないと債権者の債権の保全が不可能または困難になる場合は、債権者は、裁判所の許可を得て代位権を行使できる

+(債権者代位権)
第四百二十三条  債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない

②保存行為の代位(同条同項ただし書き)
保存行為
債務者の財産の減少を防ぐ行為(消滅時効中断行為等)
←債務者の不利益にならないし、急を要するから
裁判所の許可は必要ない

3.債権者代位権の行使
(1)行使の方法
債権者は自己の名において債務者の債権を行使
裁判上でも裁判外でも行使可能
(詐害行為取消権は裁判上の行使しかできない)

(2)代位行使の範囲
債権保全に必要な範囲に限られる

(3)代位権行使の相手方の抗弁
代位権行使の相手方は、債務者に対して持っているすべての抗弁を代位債権者に対して主張できる。

(4)請求の内容
直接代位債権者自身への支払や引渡しを請求できる
←債務者が第三者から給付目的物を自発的に受け取らないときは、代位権行使の目的が達成されないことになるから。

4.債権者代位権の効果
(1)債務者の処分権の制限
・履行期前の債権に基づく裁判上の代位の場合
裁判上の代位の申請が許可されると、許可の裁判は職権で債務者に告知され、子の告知を受けた債務者はこの権利を行使できなくなる

+非訟事件手続法
(代位の許可等)
第八十八条  裁判所は、第八十五条の規定による申立てを理由があると認めるときは、担保を立てさせて、又は立てさせないで、裁判上の代位を許可することができる。
2  前項の規定による許可の裁判は、債務者に告知しなければならない
3  前項の規定による告知を受けた債務者は、その代位に係る権利の処分をすることができない
4  第七十二条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。

・履行期後の債権に基づく代位権行使の場合
債権者が債務者にこれを通知するか、または債務者がこれを知った後は債務者は権利を処分できない。

+判例(S48.4.24)※
理由
 上告代理人今野佐内の上告理由(一)について。
 所論は、参加人(被上告人)の被告(上告人)に対する訴の訴訟物は、原告(被上告人)の被告に対する訴の訴訟物と同一であつて重複起訴になり不適法である、というのである。
 所論に関する本件の訴訟関係は、つぎのとおりである。すなわち、原告は参加人からその所有の第一審判決添付別紙目録(一)の土地(以下「本件土地」という。)を含む土地を賃借しているとして、その一部である本件土地につき賃貸人たる参加人に代位しその所有権にもとづき本件土地上に同目録(二)の建物部分(以下「本件建物」という。)を所有して本件土地を占有している被告に対し、本件建物収去本件土地明渡を求めたのが本訴であるところ、参加人は、原告が本件土地を被告に無断転貸したから本件土地についての賃貸借契約を解除したとして、原告に対し原告が本件土地について賃借権を有しないことの確認を求めるとともに、被告に対し所有権にもとづき本件建物収去本件土地明渡を求めて民訴法七一条により本訴に参加したものである。

 思うに、債権者が民法四二三条一項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であつても、債務者が民訴法七一条により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法二三一条の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。けだし、この場合は、同一訴訟物を目的とする訴訟の係属にかかわらず債務者の利益擁護のため訴を提起する特別の必要を認めることができるのであり、また、債務者の提起した訴と右代位訴訟とは併合審理が強制され、訴訟の目的は合一に確定されるのであるから、重複起訴禁止の理由である審判の重複による不経済、既判力抵触の可能性および被告の応訴の煩という弊害がないからである。したがつて、債務者の右訴は、債権者の代位訴訟が係属しているというだけでただちに不適法として排斥されるべきものと解すべきではない。もつとも、債権者が適法に代位権行使に着手した場合において、債務者に対しその事実を通知するかまたは債務者がこれを了知したときは、債務者は代位の目的となつた権利につき債権者の代位権行使を妨げるような処分をする権能を失い、したがつて、右処分行為と目される訴を提起することができなくなる(大審院昭和一三年(オ)第一九〇一号同一四年五月一六日判決・民集一八巻九号五五七頁参照)のであつて、この理は、債務者の訴提起が前記参加による場合であつても異なるものではない。したがつて、審理の結果債権者の代位権行使が適法であること、すなわち、債権者が代位の目的となつた権利につき訴訟追行権を有していることが判明したときは、債務者は右権利につき訴訟追行権を有せず、当事者適格を欠くものとして、その訴は不適法といわざるをえない反面、債権者が右訴訟追行権を有しないことが判明したときは、債務者はその訴訟追行権を失つていないものとして、その訴は適法ということができる

 本件についてみるに、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)が適法に確定した事実関係によれば、原告の代位原因たる本件土地の賃借権は、その発生原因である賃貸借契約が原告において被告に対してした無断転貸を理由として参加人により解除されたため消滅したものということができるから、原告の代位訴訟はその代位原因を欠くものとして却下を免れず、したがつて、参加人が本訴に参加し被告に対して所有権にもとづいて本件建物収去本件土地明渡を求めた訴は適法というべきである。
 右と結論を同じくする原判決は相当であつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 同(二)について。
 所論は、参加人の被告に対する請求は権利の濫用である、というのである。
 しかし、原判決が適法に確定した事実関係によれば、参加人の右請求が権利の濫用に当らないとした原判決の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。引用の判例は本件に適切でなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 坂本吉勝 裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 江里口清雄)

(2)効果の帰属
代位行使の効果はすべて債務者に帰属する

Q。直接目的物の引渡しを受けた代位債権者は弁済としてそれを取得できるか
・目的物が動産の場合
自己の債権の弁済に充てることはできず、債務者に返却しなければならない
←債権者代位権は債務者の責任財産を保全する制度だから
→強制執行の手続きを取る必要がある
ただ、代位権行使のために費やした費用について共益費用の一般先取特権を有する

+(一般の先取特権)
第三百六条  次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一  共益の費用
二  雇用関係
三  葬式の費用
四  日用品の供給

(共益費用の先取特権)
第三百七条  共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
2  前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。

・目的物が金銭の場合
自己の被保全債権を自働債権として、返還債権(不当利得による返還債務)と相殺することができる
=事実上の優先弁済

・目的物が不動産の場合
代位債権者への明渡請求を認める必要はない
←債務者への明渡し請求と移転登記請求ができれば十分だから

ただし、不動産賃借人による妨害排除請求権の代位行使の場合には、代位債権者(賃借人)への明渡し請求が認められる

(4)代位訴訟の判決の効力
Q.既判力は債務者にも及ぶか

・債務者が代位訴訟に独立当事者参加をした場合、債務者に対して訴訟告知がされた場合には、既判力が債務者に及ぶ。

・訴訟参加や訴訟告知がない場合は
債権者は法定訴訟担当当事者に当たるとして、代位訴訟の既判力は債務者にも及ぶとする

5.債権者代位権の転用
(1)債権者代位権制度の二分的構成
・本来型
責任財産の保全のために行使
債務者の無資力が要件

・転用型
特定債権の実現を図る目的
債務者の無資力は要件とされない

(2)債権者代位権の転用例
ⅰ)登記請求権の代位行使
登記は共同申請が原則

中間者の同意がなければ、中間省略登記請求権は認められない
→移転登記請求権を代位行使

ⅱ)不動産賃借人による賃貸人の妨害排除請求権の代位行使
賃借人が第三者の妨害排除をするための方法

①占有の訴え(占有訴権)の行使
引渡しを受けて占有している場合
+(占有保持の訴え)
第百九十八条  占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

②賃借権に基づく妨害排除請求権
不動産賃借権が対抗力を備えている場合、賃借権に基づく妨害排除請求権

③賃貸人の妨害排除請求権の代位行使
賃貸人の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使
直接賃借人に明け渡すよう請求できる

ⅲ)金銭債権保全のための登記請求権の代位行使
・債務者の有する同時履行の抗弁権を消滅させるために、債務者の無資力を問題とせずに金銭債権者による債権者代位権の行使が認められたケース

+判例(S50.3.6)
理由
 上告人の上告理由第一点及び第二点について。
 被相続人が生前に土地を売却し、買主に対する所有権移転登記義務を負担していた場合に、数人の共同相続人がその義務を相続したときは、買主は、共同相続人の全員が登記義務の履行を提供しないかぎり、代金全額の支払を拒絶することができるものと解すべく、したがつて、共同相続人の一人が右登記義務の履行を拒絶しているときは、買主は、登記義務の履行を提供して自己の相続した代金債権の弁済を求める他の相続人に対しても代金支払を拒絶することができるものと解すべきである。そして、この場合、相続人は、右同時履行の抗弁権を失わせて買主に対する自己の代金債権を保全するため、債務者たる買主の資力の有無を問わず、民法四二三条一項本文により、買主に代位して、登記に応じない相続人に対する買主の所有権移転登記手続請求権を行使することができるものと解するのが相当である。原審の判断はこれと同旨であつて、正当として是認することができる。所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切ではなく、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

 同第三点について。
 金銭債権の相続については、各共同相続人はその相続分に応じて法律上当然に分割された権利を承継するというのが、当裁判所の判例とするところであつて(最高裁昭和二七年(オ)第一一一九号同二九年四月八日第一小法廷判決・民集八巻四号八一九頁参照)、いまこれを変更する要をみない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、その前提を欠くことになり、採用することができない。

 同第四点について。
 本件記録によれば、原審において、上告人は、本件売買契約が買主の債務不履行を理由とする上告人の解除の意思表示により消滅したと主張するにあたり、その前提として、買主がその残代金の一部につき先履行義務を負担する旨所論の主張をしているものであるところ、原審は、多数当事者の契約関係にあつては当事者一人による解除は許されないとして、上告人の右解除の主張を排斥していることが、原判決に照らして明らかである。右原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、判決の結論に影響を及ぼさない部分を非難するものであつて、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 団藤重光 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸盛一 裁判官 岸上康夫)

+α 抵当権者が抵当不動産の不法占拠者を排除するために、債権者代位権を使用
判例(H11.11.24)
理由
 上告代理人佐久間信司の上告理由について
 一 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
 1 被上告人は、平成元年一一月一〇日、Bとの間で、同人所有の第一審判決別紙物件目録記載の土地及び建物(以下、「本件不動産」といい、このうち建物を「本件建物」という。)について、債務者をB、極度額を三五〇〇万円、被担保債権の範囲を金銭消費貸借取引等とする根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)の設定契約を締結した。
 2 被上告人は、平成元年一一月一七日、Bに対し、二八〇〇万円を、平成二年二月以降毎月一五日に元金一一万七〇〇〇円を当月分の利息と共に支払うなどの約定により貸し付けた(以下、これによる債権を「本件貸金債権」という。)。
 3 上告人らは、平成五年五月ころから、本件建物を権原なく占有している。
 4 被上告人は、本件貸金債権の残額につき期限の利益が失われた後である平成五年九月八日、名古屋地方裁判所に対し、本件不動産につき本件根抵当権の実行としての競売を申し立て、同裁判所は、同日、不動産競売の開始決定をした。右事件の開札期日は平成七年五月一七日と指定されたが、上告人らが本件建物を占有していることにより買受けを希望する者が買受け申出をちゅうちょしたため、入札がなく、その後競売手続は進行していない。

 二 本件は、被上告人が、上告人らが本件建物を権原なく占有していることが不動産競売手続の進行を阻害し、そのために本件貸金債権の満足を受けることができないとして、上告人らに対し、本件根抵当権の被担保債権である本件貸金債権を保全するため、Bの本件建物の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使して、本件建物の明渡しを求めるものである。
 原審は、次のように判示し、被上告人の請求を認容すべきものとした。
 1 本件不動産についての不動産競売手続が進行しないのは、上告人らが本件建物を占有していることにより買受けを希望する者が買受け申出をちゅうちょしたためであり、この結果、被上告人は、本件貸金債権の満足を受けることができなくなっている。したがって、被上告人には、本件貸金債権を保全するため、Bの本件建物の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使する必要があると認められる。
 2 被上告人が請求することができるのは、本件建物の所有者であるBへの明渡しに限定されるものではなく、被上告人は、保全のために必要な行為として、上告人らに対し、本件建物を被上告人に明け渡すことを求めることができる。

 三 抵当権は、競売手続において実現される抵当不動産の交換価値から他の債権者に優先して被担保債権の弁済を受けることを内容とする物権であり、不動産の占有を抵当権者に移すことなく設定され、抵当権者は、原則として、抵当不動産の所有者が行う抵当不動産の使用又は収益について干渉することはできない
 しかしながら、第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、これを抵当権に対する侵害と評価することを妨げるものではない。そして、抵当不動産の所有者は、抵当権に対する侵害が生じないよう抵当不動産を適切に維持管理することが予定されているものということができる。したがって、右状態があるときは、抵当権の効力として、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対し、その有する権利を適切に行使するなどして右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を有するというべきである。そうすると、【要旨第一】当権者は、右請求権を保全する必要があるときは、民法四二三条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができると解するのが相当である。
 なお、第三者が抵当不動産を不法占有することにより抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権に基づく妨害排除請求として、抵当権者が右状態の排除を求めることも許されるものというべきである。
 最高裁平成元年(オ)第一二〇九号同三年三月二二日第二小法廷判決・民集四五巻三号二六八頁は、以上と抵触する限度において、これを変更すべきである。
 四 本件においては、本件根抵当権の被担保債権である本件貸金債権の弁済期が到来し、被上告人が本件不動産につき抵当権の実行を申し立てているところ、上告人らが占有すべき権原を有することなく本件建物を占有していることにより、本件不動産の競売手続の進行が害され、その交換価値の実現が妨げられているというのであるから、被上告人の優先弁済請求権の行使が困難となっていることも容易に推認することができる
 【要旨第二】右事実関係の下においては、被上告人は、所有者であるBに対して本件不動産の交換価値の実現を妨げ被上告人の優先弁済請求権の行使を困難とさせている状態を是正するよう求める請求権を有するから、右請求権を保全するため、Bの上告人らに対する妨害排除請求権を代位行使し、Bのために本件建物を管理することを目的として、上告人らに対し、直接被上告人に本件建物を明け渡すよう求めることができるものというべきである。
 五 本件請求は、本件根抵当権の被担保債権をもって代位の原因とするが、本件根抵当権に基づいて、その交換価値の実現を阻害する上告人らの占有の排除を求めるため、所有者に代位して、上告人らに対して本件建物の明渡しを請求する趣旨を含むものと解することができるから、被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
 よって、裁判官奥田昌道の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。


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債権総論 3-6 債権の効力 第三者による権利侵害

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第6節 第三者による権利侵害

一.債権の性質と第三者による権利侵害

・債権は債務者に対してのみ主張できる相対的な権利であり、第三者には効力が及ばない。また、排他性もない。

・債権が相対的なものであるとしても、債権者を保護する必要はある

→債権の対外的効力
債権侵害の場合に債権者の保護のために第三者に対して認められる債権の効力。

二.債権侵害による不法行為

1.債権侵害による不法行為

2.権利侵害の態様
(1)債権の帰属自体を侵害した場合
・無権限の者が有効な弁済を受けた場合
不法行為の成立要件として過失があれば足りる

(受取証書の持参人に対する弁済)
第四百八十条  受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

(債権の準占有者に対する弁済)
第四百七十八条  債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

(2)債権の目的である給付を侵害して債権を消滅させた場合
債務者の責めに帰すべき事由によらない履行不能として債権が消滅
→不法行為

(3)給付を侵害したが、債権は消滅しない場合
債権は消滅しないで損害賠償債権として残るが、債権本来の内容が実現できないので、不法行為が成立。
不法行為責任を追及するには、第三者に故意があり、かつ、第三者の行為の違法性が強いことが必要。

三.債権侵害に対する妨害排除請求

・賃借権に基づく妨害排除請求権

・二重賃借の場合
先に対抗力を備えた賃借人は、妨害排除請求権を行使できる。

+(不動産賃貸借の対抗力)
第六百五条  不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。

借地借家法
+(借地権の対抗力等)
第十条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。
3  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前二項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。
4  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。

+(建物賃貸借の対抗力等)
第三十一条  建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
2  民法第五百六十六条第一項 及び第三項 の規定は、前項の規定により効力を有する賃貸借の目的である建物が売買の目的物である場合に準用する。
3  民法第五百三十三条 の規定は、前項の場合に準用する。

・不法占有者に対しては
賃借権が対抗力を有するときは妨害排除請求権を認める。

・賃借権が対抗力を備えていない場合は
占有を開始していた時は
+(占有保持の訴え)
第百九十八条  占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

不動産賃借権保全のために、債権者代位権を用いて、賃貸人の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使することができる。

+(債権者代位権)
第四百二十三条  債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。


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債権総論 3-5 債権の効力 受領遅滞

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第5節 受領遅滞

一.受領遅滞の意義と性質

1.意義

・受領遅滞とは、
債務者が履行の提供をしたにもかかわらず、債権者が履行を受けることを拒み(受領拒絶)または履行を受けることができない(受領不能)場合をいう(413条)
+(受領遅滞)
第四百十三条  債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないときは、その債権者は、履行の提供があった時から遅滞の責任を負う。

2.法的性質

受領遅滞を債権者の債務不履行とみるかどうか。

(1)法定責任説

債権者には弁済を受領する権利があるだけで、受領すべき義務はない。
受領遅滞は、債権者の債務不履行ではなく、債権者が受領しないことによって債務者が不利益を受けないように、法律が特別に債権者に一定の責任を認めたものと解する説。
受領遅滞の効果を履行提供の効果と同じものとみる。
債権者の帰責事由は不要であるので、受領遅滞を理由とする債務者による契約の解除や損害賠償場問題にならない。

(2)債務不履行説

債権者には一般的に債務者の弁済を受領する義務があり、受領遅滞は、子の債権者の受領義務の不履行であると解する説。

(3)折衷説

一般に債権者には受領義務はないが、売買請負寄託などの場合には、債権者に信義則に基づく付随義務としての目的物の引き取り義務が認められることを理由に、
受領遅滞はこの引き取り義務の違反であり、債権者の債務不履行になる。

二.受領遅滞の要件

1.債務の本旨に従った履行の提供

債務の本旨に従った履行の提供であるかは、
取引観念・信義則・契約内容・法律の規定などを基準として判断される。

2.債権者の受領拒絶または受領不能

(1)受領拒絶と受領不能

(2)受領不能と履行不能

不能の原因が債権者と債務者のどちらの支配する領域の事由に基づいているかによって履行不能か受領不能かを判断する。

三.受領遅滞の効果

1.債務不履行責任を負わないこと

法定責任説は、受領遅滞が履行の提供を要件とすることから、受領遅滞の効果と履行の提供の効果を同一視する。
+(弁済の提供の効果)
第四百九十二条  債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。
具体的には
①債権者から損害の賠償を受けない
②契約を解除されない
③担保責任を実行されない
④約定利息が発生しない
⑤違約金を支払う必要がない
⑥双務契約の場合には債権者の同時履行の抗弁権がなくなる

2.供託

+(供託)
第四百九十四条  債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。
法定責任説と折衷説は、供託を受領遅滞の効果と解する
債務不履行説は、供託は履行の提供を要件としないので受領遅滞の効果でも履行提供の効果でもないとする。

3.注意義務の軽減

善管注意義務の軽減
どの程度まで軽減するかには争いあり
①善管注意義務を著しく怠った重過失があるときに債務者は責任を負うとする説
②自己の財産に対すると同一の注意義務を怠ったとき(具体的軽過失があるとき)に債務者は責任を負うとする説

4.増加費用の性質

債権者は受領遅滞のために増加した目的物の保管費用や弁済費用を債権者に請求できる

5.危険負担の移転

債務者が負担していた危険は受領遅滞によって債権者に移転する
=この効果は、危険負担において債務者主義が働く場合に意味がある。

6.損害賠償の請求と契約の解除

(1)学説

(ア)法定責任説
債権者には弁済を受領する義務がないから、受領遅滞は債権者の債務不履行ではない
→債務者は、受領遅滞を理由に損害賠償の請求や契約の解除をすることができない。
双務契約から生じた債務であれば、受領遅滞に陥っている債権者は通常自己の債務についても不履行の場合が多いので、債務者は債権者の不履行を理由に損害賠償の請求や契約の解除ができる。
(イ)債務不履行責任説
受領遅滞を理由に損害賠償請求や契約の解除ができる
(ウ)折衷説

(2)判例

・請負契約で注文者の受領遅滞を理由とする請負人の契約解除を否定
+判例(S40.12.3)
理由 
 上告代理人伊藤仁の上告理由第一点について。 
 論旨は、債権者にも信義則の要求する程度において給付の実現に協力すべき法律上の義務があり、給付の不受領はあたかも債務者が履行しない場合と同じく債務不履行となるものと解すべきである、と主張し、債権者は債権の目的物を受領する義務なく債権者の受領遅滞を理由として債務者は契約解除をなしえない旨の原判決の判断は、民法の基本原則である信義則に違反する、という。 
 しかし、債務者の債務不履行と債権者の受領遅滞とは、その性質が異なるのであるから、一般に後者に前者と全く同一の効果を認めることは民法はの予想していないところというべきである。民法四一四条・四一五条・五四一条等は、いずれも債務者の債務不履行のみを想定した規定であること明文上明らかであり、受領遅滞に対し債務者のとりうる措置としては、供託・自動売却等の規定を設けているのである。されば、特段の事由の認められない本件において被上告人の受領遅滞を理由として上告人は契約を解除することができない旨の原判決は正当であつて、論旨は採用することができない。 
 同第二点について。 
 上告人の本訴は損害賠償の請求であつて、請負代金の支払を求めるものでないこと明らかであるから、論旨は無用の論議に帰し、排斥を免れない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 
 (裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外) 
・硫黄鉱石の継続的な売買契約において買主に引き取り義務を認め、この義務違反を理由に売主の損害賠償請求を認めた
+判例(S46.12.16)
理由 
 上告代理人浅沼澄次、同神田洋司(以下、上告代理人浅沼澄次らという。)の上告理由第一点および第三点について。 
 本件記録によれば、原判決の理由第一の一の(四)の事実は当事者間に争いがないとの説示は、相当である。また、所論甲第二号証にいわゆる別紙買鉱契約の成立の有無および甲第二号証の契約と甲第三号証(鉱石売買契約書)との関係に関する原判決の認定判断は、その拳示する証拠に照らして、首肯するに足りる。論旨は、採用しがたい。 
 同第二点の一、二および上告代理人浜本一夫、同二宮節二郎(以下、上告代理人浜本一夫らという。)の上告理由第一点ないし第三点について。 
 本件硫黄鉱石売買契約においては、被上告人北海硫黄鉱業株式会社(以下、被上告会社という。)が本件鉱区から採掘する硫黄鉱石の全量が売買の対象となつていたものである旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠および原審が右証拠により適法に認定した諸事実によれば、首肯しえないものではない。そして、記録によれば、被上告人らは、第一審以来、右のとおり被上告会社の採掘する鉱石の全量が売買の対象となつていた旨主張していたものと認めるのが相当であつて、上告代理人浜本一夫らの上告理由が指摘する被上告人らの主張の趣旨は、売買の対象となつていたのは、前述のとおり、採掘鉱石の全量であるが、本件において、被上告人らが上告人にその引取義務があると主張している二四〇〇トン(湿鉱量)の鉱石は、実際に、品位七〇パーセント以上のものであつたというにあるものと解すべきである。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰するものであるか、または、被上告人らの主張を正解しないで、原判決に民訴法二五七条、一八六条の違反があると主張するものであつて、採用することができない。 
 上告代理人浅沼澄次らの上告理由第四点について。 
 原審が適法に確定した事実によれば、本件甲第二号証の契約においては、被上告会社が上告人に対し昭和三二年中に引き渡す硫黄鉱石の代金中、前渡金四〇〇万円への充当は、乾鉱量一トンにつき金一〇〇〇円の割合によるとの約旨であつたというのであるから、原審が、所論のいう同年一一月の四車分の鉱石についても、右の割合で計算を行ない、同年末における前渡金残額は金三八三万円となつた旨判示したのは相当であつて、何ら所論の違法はない。
 上告代理人浅沼澄次らの上告理由第五点、第六点および第八点ならびに同浜本一夫らの上告理由第四点について。 
 本件硫黄鉱石売買契約は、その期間が更新されて、昭和三三年一二月末日まで存続することとなつたものである等所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠に照らして、首肯しえないものではない(原判決一三枚目裏末行および一五枚目表三行目に、それぞれ、「昭和三二年」とあるのは「昭和三三年」の誤記と認める。)。所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用のかぎりでない。 
 上告代理人浅沼澄次らの上告理由第七点、第九点および第一一点ならびに同浜本一夫らの上告理由第六点の一および第七点について。 
 原判決は、つぎのとおり事実を確定している。すなわち、被上告会社は、昭和三二年四月一六日上告人との間に、期間を同年一二月末日とし、被上告会社が本件硫黄鉱区から採掘する硫黄鉱石の全量(所論は、全量ではなく、品位七〇パーセント以上のものにかぎると主張するが、その採用できないことは、すでに説示したとおりである。)を対象として、原判示硫黄鉱石売買契約(その内容は甲第三号証と同旨)を締結したが、その後、右契約期間は更新されて昭和三三年一二月末日までとなつた。ところで、被上告会社は、右契約に基づいて採掘をはじめ、まず昭和三二年中に鉱石約一七〇トン(乾鉱量)を上告人に引き渡した。ついで同三三年六月鉱石一一三・九一トン(乾鉱量)を出荷し、その旨を上告人に通知したが、上告人から市況の悪化を理由に出荷中止を要請され、ここにおいて被上告会社は、上告人を翻意させるべく折衝したが成功せず、同年九月一一日頃には採掘を中止するのやむなきに至り、採掘分(乾鉱量にして一六一二・六九トン)は集積して出荷を準備したにとどまつた。そして、右一一三・九一トンの鉱石は、ともかく上告人において引き取つたのであるが、その後は引取を拒絶したまま、同年一〇月二九日被上告会社に対し、前渡金の返還を要求する通知書(乙第五号証の一)を発するに至り、右鉱石売買契約の関係は、前記契約期間の満了日である昭和三三年一二月末日の経過をもつて終了するに至つた、というのである。 
 ところで、右事実関係によれば、前記鉱石売買契約においては、被上告会社が右契約期間を通じて採掘する鉱石の全量が売買されるべきものと定められており、被上告会社は上告人に対し右鉱石を継続的に供給すべきものなのであるから、信義則に照らして考察するときは、被上告会社は、右約旨に基づいて、その採掘した鉱石全部を順次上告人に出荷すべく、上告人はこれを引き取り、かつ、その代金を支払うべき法律関係が存在していたものと解するのが相当である。したがつて、上告人には、被上告会社が採掘し、提供した鉱石を引き取るべき義務があつたものというべきであり、上告人の前示引取の拒絶は、債務不履行の効果を生ずるものといわなければならない。 
 所論は、被上告会社には、信義にもとる不履行の責任があり、重大な過失があると非難し、その根拠として、被上告会社が昭和三二年の出鉱を遅延したこと、同会社が昭和三三年六月上告人に何の予告もなく鉱石を送つてきたこと、被上告会社は、鉱石価格の下降を辿る業界の実情をよそに、みずから危険を冒して採掘を続行したこと等を列挙し、これらが斟酌されるべきであると主張する。しかし、原判決は、その理由の六において、被上告会社が昭和三二年度中僅少の出鉱をなしたにとどまつた事情について詳細説示しており、また、上告人側が本件鉱石売買契約の存続について明確な認識をもたず、ひいて市況の変化に対処して適切な協議の方法をとらなかつた事実も、原審の認定判示するところであつて、こうした事実関係のもとにおいては、被上告会社において信義則に違反し、重大な過失があるとする所論は、採用のかぎりでない。 
 よつて、上告人に引取義務を認めた原審の判断は、正当として是認することができる。右のとおりであるから、所論中、売主側が、買主側の要求により、履行の準備に相当の努力を費した場合には信義則上も買主の引取義務を肯定すべきである旨の原判示を非難する部分は、その当否を論ずるまでもなく、原判決に影響を及ぼしえないものとして、排斥を免れない。 
 論旨は、いずれも採用することができない。 
 上告代理人浅沼澄次らの上告理由第一〇点および同浜本一夫らの上告理由第六点の二について。 
 所論は、原判決が、上告人に対し、引取義務の履行不能による損害賠償義務を認めたことを非難する。 
 しかし、原審の確定した前記事実関係によれば、本件のような継続的供給契約において、被上告会社がその採掘にかかる鉱石を上告人に送付し、上告人がこれを引き取るべき義務を負うのは、本件硫黄鉱石売買契約関係の存続を前提とするものと解されるところ、上告人が、その義務に違反し、前示鉱石一六一二・六九トンの引取を拒絶したまま、昭和三三年末をもつて右契約関係を終了するに至らしめたのである以上、右引取義務は、上告人の責に帰すべき事由により履行不能になつたものというべきであり、所論原判示は正当である。論旨は採用することができない。
 上告代理人浅沼澄次らの上告理由第一二点ないし第一五点ならびに同浜本一夫らの上告理由第五点および第八点について。 
 所論は、被上告会社が被つた損害の額に関する原判決の判断は違法である旨種々主張する。 
 しかし、被上告会社が引取を拒絶された原判示硫黄鉱石一九四三トン(湿鉱量)には、甲第三号証における純硫黄一〇キログラムにつき九〇円の約定が適用されるべきであるとした原判決の説示は、正当として是認することができる。所論は、昭和三二年七月以降の分については、当事者間の協議によつて価格が定められることを要するのであり、当事者間の協議により右価格が定められなかつた以上、価格のない状態にとどまると主張する。しかし、本件のような採掘される鉱石の全量が対象とされている売買契約において、かような結果を認めることは、却つて不条理である。のみならず、原判示によれば、昭和三二年秋以後、とくに昭和三三年になつてから硫黄の市況がとみに悪化したというのであるから、こうした場合には、むしろ買主の立場にある上告人の側から協議を求めることが期待されるべきである。しかるに、その協議が行なわれなかつた(この旨の原審の認定は是認できる。)というのであるから、右原判示は相当であるというべく、所論は、採ることができない。その他の所論の点に関する原審の認定判断は、原判決の拳示する証拠に照らして、首肯しえないものではなく、所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰する。原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない(原判決一七枚目裏一行目に「一四八一・四立方メートル」とあるのは「一四八五・四立方メートル」の、同五行目に「控訴会社」とあるのは「被控訴会社」の、一九枚目表末行に「金六六八万一八七六円」とあるのは「金六五八万一八七六円」の、同裏九行目に「六八・九一トン」とあるのは「六八・四九トン」の、二〇枚目表六行目および同裏九行目に、それぞれ、「三四六万八二八六円」とあるのは「三三六万八二八六円」の、各明白な誤りであると認める。)。 
 上告代理人浅沼澄次らの上告理由第一六点および同浜本一夫らの上告理由第九点について。 
 所論は、被上告会社の上告人に対する原判示損害賠償請求権は成立しないとするその前提において失当であるから、採用のかぎりでない。 
 なお、右に説示したところによれば、原判決主文第二項に「金三四六万八二八六円」とあるのは、「金三三六万八二八六円」の明白な誤りであるから、民訴法一九四条により、職権で右のとおり更正する。 
 よつて、民説法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 
 (裁判長裁判官 藤林益二 裁判官 岩田誠 裁判官 大隅健一郎 裁判官 下田武三 裁判官 岸盛一)


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債権総論 3-4 債権の効力 損害賠償

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一.はじめに
損害とは何か
損害発生と債務不履行との間の因果関係

二.損害賠償の方法と損害の概念・種類
1.損害賠償の方法
金銭賠償
=債務不履行による損害を金銭に見積りその金額を支払う方法

原状回復
=債務不履行による損害がなかったのと同じような状態を現実に再現する方法

日本の民法では金銭賠償が原則
+(損害賠償の方法)
第四百十七条  損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

2.損害賠償の概念・種類
(1)損害の概念
損害概念の捉え方
(ア)差額説
債務不履行がなければ債権者が有したであろう財産状態と債務不履行の結果債権者が現に有する財産状態の差を損害として捉える
差額説によれば、債務不履行後に債権の目的物の価格が変動した場合には、損害自体が変動することになる。
→損害算定の基準時が問題となる

(イ)損害=事実説
損害の事実とその金銭評価を区別して、損害とは損害の事実をいうと考える説
事実である損害を金銭に換算
債務不履行後の目的物価格の変動は、損害ン金銭評価のために資料が変化したに過ぎない

(2)損害の種類
(ア)財産的損害・精神的損害
財産的損害
=債務不履行によって債権者に生じた財産上の不利益

精神的損害
=債務不履行によって債権者に生じた精神的な苦痛または不利益

精神的損害の賠償を慰謝料という。
債務不履行についても慰謝料請求を認めている

(イ)積極的損害・消極的損害
積極的損害とは
債権者の既存の財産の減少

消極的損害とは
債権者が将来取得すると考えられる利益を取得できなくなること
すなわち債権者の逸出利益または得べかりし利益の喪失をいう

+α履行利益・信頼利益
・履行利益とは、
契約が完全に履行されたならば債権者が得たであろう利益

・信頼利益
契約が無効または不成立であるのに、それが有効に成立すると信じたことによって債権者が被った損害
ex契約締結の費用や代金支払いのための費用

三.債務不履行の類型と損害賠償
1.履行遅滞と損害賠償
(1)遅延賠償
債務の履行が遅れたことによる損害

(2)金銭債務と履行遅滞
金銭債務の不履行は常に履行遅滞である。

+(金銭債務の特則)
第四百十九条  金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

(3)履行遅滞と填補賠償
・填補賠償とは、
履行に代わる損害の賠償

・履行遅滞の場合は、履行が可能であるので本来の契約関係は維持されている。
→債権者は、契約を解除しない限り、填補賠償を請求することはできない!!!
しかし、
履行遅滞の後、債権者が相当の期間を定めて催告している場合には(541条)、期間経過後は契約を解除しなくても填補賠償を請求できる

・債権者が本来の給付を請求すると同時に、その強制執行が不能な場合に備えてあらかじめ填補賠償を請求する訴え(代償請求)を提起することも認められる。
+判例(S30.1.21)

2.履行不能と賠償請求
履行不能によって生じる損害の賠償は填補賠償

3.不完全履行と損害賠償
(1)追完が可能な場合
代物請求や修補請求ができる
履行が遅れたことを理由として遅延賠償

(2)追完が不能な場合
填補賠償
拡大損害の賠償

四.損害賠償の範囲
1.因果関係
債務不履行と損害との間の因果関係
ここでいう因果関係とは、債務不履行がなければ損害が発生しなかったであろうという条件関係であり、事実的因果関係。
相当因果関係とは区別しておく。

2.損害賠償の範囲
(1)制限賠償主義
損害賠償の範囲を制限
+(損害賠償の範囲)
第四百十六条  債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2  特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

(2)民法416条
(ア)416条の趣旨
・416条1項は通常損害
その種の債務不履行があれば、社会一般の観念に従って通常発生すると考えられる範囲の損害。
通常損害については予見可能性の有無は問われない。

・2項は特別損害
特別事情から通常生じる損害が賠償されることを規定
予見可能性の有無によって損害賠償の範囲に含まれるかどうかを決めていく。

・契約類型・当事者の種類・目的物の性質・契約内容など種々の要素を総合的に考慮して、通常損害か特別損害か判断される

(イ)予見可能性
条文では当事者(債権者債務者)となっているが、
債務者が予見可能でなければならず!!、
履行期までに予見可能でなければならない!!

・債権者は、債務者に予見可能性があったことを立証しなければならない!!!!
予見可能性の対象は特別事情!!!

(3)相当因果関係説
(ア)意義
当該債務不履行によって現実に生じた損害の中で、そのような債務不履行があれば一般に生じるであろうと考えられる損害だけが賠償されるという考え方
事実的因果関係にある損害に相当因果関係という一定の絞りをかける

(イ)相当因果関係説による416条の解釈
①416条1項は相当因果関係の原則を定めたもの
②416条2項は、相当因果関係の基礎とすべき特別事情の範囲を示すもの
=特別事情について債務者の予見可能性があれば、特別損害も相当因果関係にある損害に含まれる

(ウ)相当因果関係説の批判

3.賠償額算定の基準時(中間最高価格の問題)
相当因果関係説は、どの時点の価格を基準として損害額を算定するかという問題を損害賠償の犯意の問題ととらえている。

①物の減失による損害賠償額は、債務不履行時の物の価格が通常損害となる
②中間最高価格による損害賠償額の請求について
中間最高価格による損害は特別損害であり、債権者が中間最高価格による利益を確実に取得したはずであるという特別事情について、債務不履行時に債務者に予見可能性があった場合にのみ賠償請求が認められる!

しかし、最高裁は
目的物の価格が履行不能後も上昇し続けた事案について
履行不能時に価格上昇という特別事情について債務者に予見可能性があれば、転売などによって債権者が上昇価格による利益を確実に取得したであろうことを要求せずに、上昇した現在価格による損害賠償を認めている

五.損害賠償額の調整
1.過失相殺
債務の不履行に関して債権者にも過失があったときは、これを考慮して損害賠償責任および賠償額を軽減すること(418条)
+(過失相殺)
第四百十八条  債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

・要件
債務の不履行に関して債権者に過失があること

債務の不履行に関してには、
債務の不履行自体に債権者の過失が加わった場合と、
損害の発生拡大に債権者の過失が加わった場合が含まれる。

・過失の意義
帰責事由としての通常の過失と同じであるとする見解
広く債務者の賠償責任や賠償額の軽減を適当とする債権者側の事情を医務するという見解

・債権者の過失となるべき事実については、債務者が立証責任を負う!

・裁判所は債権者の過失を認定したときには、常にそれを考慮して賠償額を軽減し、場合によっては債務者の賠償責任を否定しなければならない。
債務不履行の場合には賠償額の減額は必要的であり、場合によっては全面的。
⇔不法行為の場合は、減額は任意的で、全額の免責はない。

2.損益相殺
債務不履行によって、債権者が損害を受けただけでなく、同時に利益を受けた場合に、損害賠償額からその利益を控除すること

六.損害賠償の特則
1.賠償額の予定
(1)賠償額の予定
当事者が債務不履行の場合に賠償すべき損害額をあらかじめ定めておくこと(420条1項前段)
+(賠償額の予定)
第四百二十条  当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2  賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3  違約金は、賠償額の予定と推定する。

←契約自由の原則により有効

・賠償額の予定がなされると債権者は、債務不履行の事実を立証するだけで予定された賠償額を請求できる

・裁判所は、当事者の合意に拘束され予定賠償額を増減することはできない(420条1項後段)
=債権者は、実際の損害額が予定賠償額よりも大きいことを立証して、予定賠償額の増額を主張することができない。
債務者も、実損害額が予定賠償額よりも少ないことを立証して、予定賠償額の減額を求めることができない。
あまりにも額に差がある場合は、公序良俗に反して無効。

+第四百二十一条  前条の規定は、当事者が金銭でないものを損害の賠償に充てるべき旨を予定した場合について準用する。

(2)違約金
債務者が債務不履行の場合に支払うことを約束した金銭。
違約罰
賠償額の予定

・違約罰は債務不履行に対する私的な制裁。
違約金の性質が違約罰であれば、債権者はそれとは別に実際の損害額を証明して、その支払いを請求することができる。
しかし、民法は違約罰を賠償額の予定と推定(420条3項)!!
→当事者の約束した違約金が違約罰の意味であれば、債権者はそのことを証明して、子の民法の推定を覆すことができる。

2.損害賠償による代位
債権者が、損害賠償として、債権の目的である物または権利の価格の全部の支払を受けたときに、債務者が、その物または権利について当然に債権者に代位する(422条)

+(損害賠償による代位)
第四百二十二条  債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。

・ここでいう代位とは
物または権利が法律上当然に債務者に移転することをいう。
当然に移転するので、何らの譲渡行為も対抗要件も必要としない。

3.代償請求権
履行不能が生じたのと同じ原因によって債務者が目的物の代償と考えられる利益を得た場合に、債権者が被った損害の限度でその利益の償還を債務者に請求できる権利

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債権総論 3-3 債権の効力 債務不履行

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一.債務不履行の意義
債務不履行とは、
債務者が債務の本旨に従った履行をしないこと

履行の強制
損害賠償の請求
契約の解除
という手段がある

・損害賠償請求や、契約の解除をするためには、
単に債務の本旨に従った履行がされないというだけではなく、履行がなされないことについての「責めに帰すべき事由」(帰責事由)がなければならない
履行の強制については帰責事由は必要ない

二.債務不履行の態様
1.債務不履行の三つの態様
+(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

①履行遅滞
債務の履行が可能であるのに、履行期を過ぎても債務が履行されない場合をいう

②履行不能
債権の成立後に債務を履行することが不可能になった場合(後発的不能)

③不完全履行
履行期に債務の履行が一応なされたが、履行が不完全である場合をいう。

2.履行遅滞
(1)履行遅滞の意義・要件
①債務の履行が可能
②履行期を過ぎても履行しないこと
③履行しないことが違法である
④履行しないことが債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと

履行の強制を求めるためには①~③の要件で足りる。

(ア)履行が可能なこと

(イ)履行期を過ぎても履行しないこと
履行期とは、履行すべき時期のことであり、履行した時ではない。

+(履行期と履行遅滞)
第四百十二条  債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う
2  債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う。
3  債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

 a)確定期限(412条1項)
確定期限とは、いつ期限が到来するかが確定しているものをいい、確定期限については、その期限の到来したときが履行期となる。

 b)不確定期限(412条2項)
期限は将来必ず到来するが、それがいつ到来するか不確定なもの

 c)履行期の定めのない場合
・原則として履行の請求を受けたときから地帯となる(412条3項)
債権者の請求(催告)は、どの債務についての請求なのかわからなければならない。
債務の同一性が判断できればよい

・例外:返還時期を定めなかった消費貸借による返還債務
相当の期間を定めないで催告したときには、催告の時から相当の期間が経過した後に遅滞が生じる。
+(返還の時期)
第五百九十一条  当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
2  借主は、いつでも返還をすることができる。

・例外:不法行為による損害賠償債務
債権者(被害者側)の請求を待たずに不法行為と同時に履行期が到来する
不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用についても同様。

(ウ)履行しないことが違法であること
留置権
同時履行の抗弁権

(エ)債務者の帰責事由
 a)帰責事由の必要性
民法は一般に過失責任主義をとっていること、および、履行不能と履行遅滞・不完全履行を区別する理由がないことから、履行遅滞や不完全履行についても債務者の帰責事由が必要とされる

 b)帰責事由の意義
・帰責事由とは、
債務者の故意過失または信義則上これと同視すべき事由と解される。

・故意とは
債務不履行が生じることを知りながら、あえて何事かをすることまたは何もしないこと

・過失とは
債務者としての注意義務を怠ること
ここでの注意義務は、原則として400条の善管注意義務を指す。

c)履行補助者の故意過失
ⅰ)履行補助者の意義
履行補助者
債務者が債務の履行のために使用する者
自己責任の原則から言えば、人は自己の行為についてのみ責任を負う
しかし、
利用者は被用者を雇うことによって営業活動を活発に行い利益を得ているのであるから、被用者の過失についても利用者の債務不履行責任を認める必要がある。

履行補助者の分類
①債務者が自分の手足として使用する真の意味の履行補助者と、
②債務者に代わって履行の全部または一部を行う履行代行者・履行代用者

ⅱ)履行補助者の故意過失と債務者の責任
①真の意味での履行補助者
債務者は常に責任を負う
履行行為の範囲におては真の意味の履行補助者の行為は債務者本人の行為にほかならず、この履行補助者の故意過失は債務者自身の故意過失と同視されるから。

②履行代行者(履行代用者)
・規定上または契約上履行代行者の使用が許されない場合
債務者が履行代行者を使用すること自体が債務不履行となるので、債務が履行されなかったことについて履行代行者に故意ても過失がなくても債務者は責任を負う

・規定上または契約上履行代行者の使用が許される場合
債務者は、履行代行者の選任監督に過失があった時にのみ責任を負う

・履行代行者の使用が禁止もされず許可もされていない場合
給付の性質上使用が許されるかどうかで場合分け。

ⅲ)履行補助者理論と利用補助者
・履行補助者の理論を賃貸借契約における賃借人の家族・同居人や転借人についても用いる!

・利用補助者
賃借人の家族・同居人や転借人

・賃借人の家族・同居人は、賃借人の目的物保管義務に協力すべき義務を負担しているので、その故意過失によって目的物の損傷・減失が生じたときには、債務者である賃借人は当然に債務不履行責任を負う

・承諾ある転貸借における転借人の故意過失について、判例は賃借人の責任を肯定する。
反対意見もあるが・・・

ⅳ)履行補助者の過失の程度
債務者が責任を負う履行補助者の過失の程度は、一般的には抽象的過失
例外的に債務者の注意義務が軽減されて具体的軽過失について責任を負うとされる場合には、履行補助者の過失もそこまで軽減される。

d)帰責事由の立証責任
ⅰ)帰責事由の立証責任
帰責事由の立証責任は債務者にある
債権者は履行遅滞の事実を立証すればよい

ⅱ)金銭債務の特則
+(金銭債務の特則)
第四百十九条  金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない

・帰責事由があるといえるためには債務者に責任能力があることも必要。

(2)履行遅滞の効果
(ア)履行の請求・契約の解除

(イ)損害賠償の請求
遅延賠償
契約を解除したときは填補賠償も。

3.履行不能
(1)履行不能の意義・要件
債権の成立後履行が不能になった場合をいう。

・履行不能に基づく損害賠償請求・契約の解除の要件
①履行が不能
②履行の不能が違法である
③履行の不能が債務者の責めに帰すべき事由に基づくこと

(ア)履行の不能
 a)不能の態様
①物理的不能
②取引通念上不能
③法律の規定による不能

 b)後発的不能
原始的不能の場合には債権がそもそも成立しない

 c)金銭債務と履行不能
金銭債務については履行不能は問題にならない。

(イ)履行の不能が違法なこと

(ウ)債務者の帰責事由

(2)履行不能の効果
債権者は本来の履行に代わる損害の賠償(填補賠償)を請求することができる。
履行不能となった債権は消滅せず、損害賠償請求権に転化する。

4.不完全履行
(1)不完全履行の意義と要件
債務者が債務の履行をしたが、それが不完全であったために債務の本旨に従った履行とならない場合をいう

要件
①不完全な履行
②不完全な履行が債務者の責めに帰すべき事由による
③不完全な履行がなされたことが違法

(ア)不完全な履行
 a)引渡債務
①給付の目的物に瑕疵がある場合
不完全履行とともに瑕疵担保責任も問題となる

②給付の目的物に瑕疵があったために債権者の生命・身体・財産的利益に損害(拡大損害)を与えた場合

③債務者が履行に際して必要な注意を怠った場合

 b)行為債務

(イ)債務者の帰責事由

(2)不完全履行の効果
(ア)追完が可能な場合
追完とは、
不完全な履行を完全なものにすること

追完請求権
債権者の完全な履行を請求できる権利

追完請求権の内容
瑕疵のない物の引渡請求(代物請求)または瑕疵の除去の請求(修補請求)
債権者の追完請求は、不完全な履行が債務者の帰責事由に基づくかどうかを問わず認められる。

(イ)追完が不能な場合
損害賠償請求

+α 安全配慮義務
本来の給付義務に付随した信義則上みと認められる義務

(1)意義
安全配慮義務とは、
使用者が被用者の生命・身体健康を危険から保護するよう配慮する義務
+判例(S50.2.25)

ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方または双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきもの

(2)適用範囲安全配慮義務は必ずしも契約の存在を前提とせず、「特別な社会的接触の関係」に基づいて発生すると解されることから、
下請業者の従業員に対する元請業者の安全配慮義務が肯定される
+判例(H3.4.11)

(3)安全配慮義務違反に関する判例理論
①安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効の機関は、167条1項による10年とされる
←契約上の債務不履行と同視
+判例(S50.2.25)

②安全配慮義務違反による損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、412条3項により債務者が債権者から債務の履行を受けたときから遅滞に陥る
+判例(S55.12.18)

③使用者の安全配慮義務違反によって死亡した被用者の両親は、使用者との間で雇用契約またはこれに準ずる法律関係が存在しないので、遺族固有の慰謝料請求権を取得しない
=両親が取得できるのは、死亡した被用者から相続した分だけ


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債権総論 3-2 債権の効力 履行の強制

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一.意義
1.履行の強制の意義
国家機関による債権内容の強制的実現

2.債務名義
債権の存在を確認した公的な文書であり、履行の強制の基礎となるもの

・債務名義の種類
確定判決
仮執行宣言付き判決
執行証書

二.履行の強制の方法
1.直接強制・代替執行・間接強制
(1)直接強制
債務者の意思にかかわらず、国家機関が債権の内容を直接的・強制的に実現する方法
与える債務に適した強制方法

(2)代替執行
債務者以外の者に債権の内容を実現させて、その費用を国家機関が債権者から取り立てる方法
+(履行の強制)
第四百十四条  債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2  債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。
3  不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。
4  前三項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。

為す債務のうち、代替的作為債務について許される。

・414条の解釈についてえきさ
1項の「強制履行」は直接強制と間接強制を意味
2項の「強制履行」は直接強制を意味

(3)間接強制
債務者が履行するまでの間裁判所が債務者に一定額の金銭の支払義務を課し、これにより債務者を心理的に圧迫して、間接的に債権の内容を実現させる方法(民事執行法172条)

(4)履行の強制の要件
要件
①債権が存在すること
②債権が履行期にあること
③履行が可能であること
④債務の性質が履行の強制に適さないものでないこと
※債務がりこうされないことについて債務者に帰責事由のあることは必要とされない!

(5)履行の強制と損害賠償の請求
・履行の強制は損害賠償の請求を妨げない(414条4項)

2.各種債務の履行の強制
(1)金銭債務
・金銭債務の履行の強制は、直接強制による。
扶養義務等にかかる金銭債権については間接強制も認められる

(2)不動産の引渡義務
債権者は直接強制または間接強制を選択できる(民事執行法173条1項)

(3)動産の引渡債務
債権者は、直接強制または間接強制を選択できる(民事執行法173条1項)

(4)意思表示をすべき債務
意思表示を命ずる判決その他の裁判があれば、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる(414条2項ただし書き。判決代用)。
判決の確定時に債務者が意思表示をしたものとされる(民事執行法174条)

(5)不作為債務
①不作為債務に違反する行為が行われる場合
債権者は間接強制によりこれをやめさせることができる(民事執行法172条)

②不作為債務の違反によって一定の結果が生じた場合
代替執行または間接強制によってこの結果を除去できる。

③不作為債務の違反行為を防止するため、「将来のため適当な処分をすること」を裁判所に求めること(414条3項)

(6)問題となるケース
(ア)幼児の引渡し
幼児は物ではないので、直接強制は許されず、間接強制によるべきだとする説

(イ)謝罪広告
+(名誉毀損における原状回復)
第七百二十三条  他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。

強制の方法として、代替執行が認められる

・代替執行を認めることと憲法19条の思想良心の自由との兼ね合い
単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば、代替執行が許される。
+判例(S31.7.4)


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債権総論 3-1 債権の効力 序説

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一.債権の効力概観
・債権の対内的効力
債権実現のために債務者に対して認められる債権の効力
①請求力と給付保持力
債務者に任意の履行を請求する場合にかかわる効力

②訴求力と執行力
債務者が任意に履行しない場合に履行の強制と損害賠償の請求

・債権の対外的効力
第三者との関係で、第三者による違法な債権実現の妨害から債権を保護するための効力

・債権の保全的効力
債務者の一般財産(責任財産)の異時・充実を図るための効力

二.債権の実現
1.債務者による任意の履行
・請求力
=債権者が債務者に対して給付を請求できる効力

・給付保持力
債権者が債務者のなした給付を受領して適法に保持できる効力

2.国家機関による債権の実現
実現のためには
①判決手続き
②強制執行手続
が必要。

・訴求力
債権者が裁判所に訴えて判決を得、それによって債務者に履行を請求できる効力

・執行力
債権者が強制執行の手続をとることによって債権の内容を実現することができる効力
①貫徹力
物の引渡しなど債権の内容をそのまま実現させる効力
②摑取力
金銭債権において、債権者が債務者の一般財産に対して強制執行をかけることができる効力

三.特殊な効力の債権
請求力・給付保持力・訴求力・執行力をすべて備えたものが完全な債権。
債権のなかには一部が欠けている自然債権と呼ばれるものがある。

1.自然債務
(1)意義
自然債務とは、
債務者が任意に履行するときは有効な弁済になるが、債務者が履行しないときには、債権者から裁判所に訴えて履行を請求することができない債務をいう。
請求力と給付保持力はあるが、訴求力・執行力を欠く。

(2)自然債務の例
(ア)合意による自然債務
+判例(S10.4.25)カフェー丸玉事件

(イ)不訴求特約のある債務

(ウ)法律上遡及できない債務
消滅時効が援用された債務
公序良俗に反する契約による債務

債権者は遡及できないが、債務者が任意に履行すればもはや返還は請求できない。
ex

2.責任なき債務
(1)債務と責任
・債務とは、
債権に基づいて債務者が行うべき給付義務

・責任とは、
債務者の一般財産が債権の引き当てになっていることをいう

(2)責任なき債務
債務不履行の場合に債務者の一般財産への強制執行ができない債務(摑取力を欠く)
ex強制執行をしない不執行特約
裁判所に訴えを提起して履行を命じる判決を得ることはできる。

・不執行特約に違反して強制執行がなされたときは、請求意義の訴えによってその排除が求められる。

(3)債務なき責任
責任を負う者が債務を負担しない場合
ex物上保証人や抵当不動産の第三取得者


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債権総論 2-4 債権の目的 選択債権

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一.意義
1.選択債権の意義
選択債権とは、
数個の給付の中から選択によって決まる1個の給付を目的とする債権

2.選択債権の発生
当事者の法律行為によって発生。

二.選択債権の特定
1.特定の必要性
(1)選択権
給付を選択によって特定することが必要
選択によって給付を特定する権限を選択権という

・誰が選択権を持つのかは、
当事者の合意によって決める
+(第三者の選択権)
第四百九条  第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。
2  前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する。

・誰が選択権を持つか明らかでない場合、
+(選択債権における選択権の帰属)
第四百六条  債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する

(2)選択権の移転
選択権者が選択権を行使しない場合には、選択権は移転する
+(選択権の移転)
第四百八条  債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する。

(第三者の選択権)
第四百九条  第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする。
2  前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する。

2.特定の方法
(1)選択による特定
・選択権は形成権であり、選択の意思表示が到達すると直ちに効力が生じる
=選択された給付が債権発生時にさかのぼってその債権の目的であったことになる。

・411条ただし書きは無用の規定。
+(選択の効力)
第四百十一条  選択は、債権の発生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

(2)給付不能による特定
+(不能による選択債権の特定)
第四百十条  債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する
2  選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、前項の規定は、適用しない

・任意債権とは、
特定の給付を目的とする債権であるが、債権者又は債務者がほかの給付に代えることのできる債権。
本来の給付が特定していて他の給付は補充的に過ぎない。


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