5-3 審理の原則 審理手続の進行


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1.手続の進行に関する諸制度
(1)職権進行主義と訴訟指揮権
・訴訟手続の進行については、裁判所が権限と責任を持つ職権進行主義がとられている。

・訴訟指揮に関する裁判はいつでも取り消すことができる
+(訴訟指揮に関する裁判の取消し)
第百二十条  訴訟の指揮に関する決定及び命令は、いつでも取り消すことができる。

←絶対的に拘束されるとすると、かえって手続の適正または円滑を阻害するから。

(2)期日
裁判所、当事者等の訴訟関係人が会合して、訴訟に関する行為をするために定められる時間のことをいう。

+(期日の指定及び変更)
第九十三条  期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。
2  期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
3  口頭弁論及び弁論準備手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す。ただし、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許す。
4  前項の規定にかかわらず、弁論準備手続を経た口頭弁論の期日の変更は、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。

+(期日の呼出し)
第九十四条  期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。
2  呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない当事者、証人又は鑑定人に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、これらの者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。

・期日の変更
=期日が開始する前に、その指定を取消し、新たな期日を指定すること

・期日の延期
=期日を開始したうえで、予定の訴訟行為を全くしないで、次回以降の期日を指定すること

・期日の続行
=期日を実施し、訴訟行為をしたうえで、これを継続して行うために、次回以降の期日を指定すること。

(3)期間
・裁定期間と法定期間のうちの通常期間は裁判所が伸縮することができるが、不変期間は伸縮できない。
+(期間の伸縮及び付加期間)
第九十六条  裁判所は、法定の期間又はその定めた期間を伸長し、又は短縮することができる。ただし、不変期間については、この限りでない。
2  不変期間については、裁判所は、遠隔の地に住所又は居所を有する者のために付加期間を定めることができる。

(4)訴訟行為の追完

+(訴訟行為の追完)
第九十七条  当事者がその責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる。ただし、外国に在る当事者については、この期間は、二月とする。
2  前項の期間については、前条第一項本文の規定は、適用しない。

訴訟代理人に過失があったことは、当事者の責めに帰することができない事由があるとはいえない。

(5)口頭弁論における訴訟指揮
・口頭弁論の制限
+(口頭弁論の併合等)
第百五十二条  裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる
2  裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

口頭弁論の制限
=弁論や証拠調べの対象となる事項が複数ある場合に、そのうちの一部についてのみ弁論を集中して行うよう当事者に命じ、その部分についてのみ審理をするという裁判所の決定。

・口頭弁論の終結
裁判所がその審級での審理を終えること

・口頭弁論の再開
+(口頭弁論の再開)
第百五十三条  裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる。

口頭弁論の終結後、判決の言渡しまでの間に、裁判所が、さらに審理が必要であると考えることにより口頭弁論の再開
事情によっては義務となる。

(6)訴訟記録
各訴訟事件について、裁判所、当事者その他の関係人が作成または提出した書類の総体

・訴訟記録の閲覧は誰でも請求することができる
+(訴訟記録の閲覧等)
第九十一条  何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる
2  公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者に限り、前項の規定による請求をすることができる。
3  当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる
4  前項の規定は、訴訟記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について当事者又は利害関係を疎明した第三者の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
5  訴訟記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。

訴訟記録の一般公開(91条1項)は、憲法82条1項の定める一般公開主義から当然に導かれるものではないが、その趣旨をより実質化するもの。

2.送達
(1)送達の意義
送達とは、
当事者その他の訴訟関係人に対して、訴訟上の書類の内容を知らせるために、法定の方式に従って書類を交付する、または、交付を受ける機会を与える裁判所の訴訟行為

(2)送達しなければならない書類
訴状
期日の呼出状
反訴状
など

(3)送達に関する機関
職権送達の原則
+(職権送達の原則等)
第九十八条  送達は、特別の定めがある場合を除き、職権でする。
2  送達に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。

(4)受送達者
当事者に訴訟代理人がいる場合は、訴訟代理人が受送達者となるのが通常であるが、本人に対する送達も適法である。

数人が共同して代理権を行うべき場合には、送達はその1人に対してすればよい。
+(訴訟無能力者等に対する送達)
第百二条  訴訟無能力者に対する送達は、その法定代理人にする。
2  数人が共同して代理権を行うべき場合には、送達は、その一人にすれば足りる。
3  刑事施設に収容されている者に対する送達は、刑事施設の長にする。

(5)送達の方法
ⅰ)交付送達
交付送達の原則
+(交付送達の原則)
第百一条  送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。

+(送達場所)
第百三条  送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
2  前項に定める場所が知れないとき、又はその場所において送達をするのに支障があるときは、送達は、送達を受けるべき者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。送達を受けるべき者(次条第一項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも、同様とする。

・就業場所送達(103条2項)

・出会送達
+(出会送達)
第百五条  前二条の規定にかかわらず、送達を受けるべき者で日本国内に住所等を有することが明らかでないもの(前条第一項前段の規定による届出をした者を除く。)に対する送達は、その者に出会った場所においてすることができる。日本国内に住所等を有することが明らかな者又は同項前段の規定による届出をした者が送達を受けることを拒まないときも、同様とする。

・補充送達
+(補充送達及び差置送達)
第百六条  就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することができる。郵便の業務に従事する者が日本郵便株式会社の営業所において書類を交付すべきときも、同様とする。
2  就業場所(第百四条第一項前段の規定による届出に係る場所が就業場所である場合を含む。)において送達を受けるべき者に出会わない場合において、第百三条第二項の他人又はその法定代理人若しくは使用人その他の従業者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるものが書類の交付を受けることを拒まないときは、これらの者に書類を交付することができる。
3  送達を受けるべき者又は第一項前段の規定により書類の交付を受けるべき者が正当な理由なくこれを受けることを拒んだときは、送達をすべき場所に書類を差し置くことができる。

7歳9か月の女子は相当のわきまえのある者ではない。

同居人であっても受送達者の訴訟の相手方である場合には代人となりえない。

他方、受送達者と同居人が対立当事者ではなく、実質的に利害関係が対立するにとどまる場合、判例は、同居人に対する訴状や期日呼び出し状の補充送達を適法とする!!!
+判例(H19.3.20)
理由
 抗告代理人伊藤諭、同田中栄樹の抗告理由について
 1 本件は、抗告人が、相手方の抗告人に対する請求を認容した確定判決につき、民訴法338条1項3号の再審事由があるとして申し立てた再審事件である。
 2 記録によれば、本件の経過は次のとおりである。
 (1) 相手方は、平成15年12月5日、横浜地方裁判所川崎支部に、抗告人及びAを被告とする貸金請求訴訟(以下「前訴」という。)を提起した。
 相手方は、前訴において、〈1〉B1及びB2は、平成9年10月31日及び同年11月7日、Aに対し、いずれも抗告人を連帯保証人として、各500万円を貸し付けた、〈2〉相手方は、Bらから、BらがAに対して有する上記貸金債権の譲渡を受けたなどと主張して、抗告人及びAに対し、上記貸金合計1000万円及びこれに対する約定遅延損害金の連帯支払を求めた。
 (2) Aは、抗告人の義父であり、抗告人と同居していたところ、平成15年12月26日、自らを受送達者とする前訴の訴状及び第1回口頭弁論期日(平成16年1月28日午後1時10分)の呼出状等の交付を受けるとともに、抗告人を受送達者とする前訴の訴状及び第1回口頭弁論期日の呼出状等(以下「本件訴状等」という。)についても、抗告人の同居者として、その交付を受けた。
 (3) 抗告人及びAは、前訴の第1回口頭弁論期日に欠席し、答弁書その他の準備書面も提出しなかったため、口頭弁論は終結され、第2回口頭弁論期日(平成16年2月4日午後1時10分)において、抗告人及びAが相手方の主張する請求原因事実を自白したものとみなして相手方の請求を認容する旨の判決(以下「前訴判決」という。)が言い渡された。
 (4) 抗告人及びAに対する前訴判決の判決書に代わる調書の送達事務を担当した横浜地方裁判所川崎支部の裁判所書記官は、抗告人及びAの住所における送達が受送達者不在によりできなかったため、平成16年2月26日、抗告人及びAの住所あてに書留郵便に付する送達を実施した。上記送達書類は、いずれも、受送達者不在のため配達できず、郵便局に保管され、留置期間の経過により同支部に返還された。
 (5) 抗告人及びAのいずれも前訴判決に対して控訴をせず、前訴判決は平成16年3月12日に確定した。
 (6) 抗告人は、平成18年3月10日、本件再審の訴えを提起した。
 3 抗告人は、前訴判決の再審事由について、次のとおり主張している。
 前訴の請求原因は、抗告人がAの債務を連帯保証したというものであるが、抗告人は、自らの意思で連帯保証人になったことはなく、Aが抗告人に無断で抗告人の印章を持ち出して金銭消費貸借契約書の連帯保証人欄に抗告人の印章を押印したものである。Aは、平成18年2月28日に至るまで、かかる事情を抗告人に一切話していなかったのであって、前訴に関し、抗告人とAは利害が対立していたというべきである。したがって、Aが抗告人あての本件訴状等の交付を受けたとしても、これが遅滞なく抗告人に交付されることを期待できる状況にはなく、現に、Aは交付を受けた本件訴状等を抗告人に交付しなかった。以上によれば、前訴において、抗告人に対する本件訴状等の送達は補充送達(民訴法106条1項)としての効力を生じていないというべきであり、本件訴状等の有効な送達がないため、抗告人に訴訟に関与する機会が与えられないまま前訴判決がされたのであるから、前訴判決には民訴法338条1項3号の再審事由がある(最高裁平成3年(オ)第589号同4年9月10日第一小法廷判決・民集46巻6号553頁参照)。
 4 原審は、前訴において、抗告人の同居者であるAが抗告人あての本件訴状等の交付を受けたのであるから、抗告人に対する本件訴状等の送達は補充送達として有効であり、前訴判決に民訴法338条1項3号の再審事由がある旨の抗告人の主張は理由がないとして、抗告人の再審請求を棄却すべきものとした。
 5 原審の判断のうち、抗告人に対する本件訴状等の送達は補充送達として有効であるとした点は是認することができるが、前訴判決に民訴法338条1項3号の再審事由がある旨の抗告人の主張は理由がないとした点は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 (1) 民訴法106条1項は、就業場所以外の送達をすべき場所において受送達者に出会わないときは、「使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのあるもの」(以下「同居者等」という。)に書類を交付すれば、受送達者に対する送達の効力が生ずるものとしており、その後、書類が同居者等から受送達者に交付されたか否か、同居者等が上記交付の事実を受送達者に告知したか否かは、送達の効力に影響を及ぼすものではない(最高裁昭和42年(オ)第1017号同45年5月22日第二小法廷判決・裁判集民事99号201頁参照)。
 したがって、受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等が、その訴訟において受送達者の相手方当事者又はこれと同視し得る者に当たる場合は別として(民法108条参照)、その訴訟に関して受送達者との間に事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には、当該同居者等に対して上記書類を交付することによって、受送達者に対する送達の効力が生ずるというべきである。
 そうすると、仮に、抗告人の主張するような事実関係があったとしても、本件訴状等は抗告人に対して有効に送達されたものということができる
 以上と同旨の原審の判断は是認することができる。
 (2) しかし、本件訴状等の送達が補充送達として有効であるからといって、直ちに民訴法338条1項3号の再審事由の存在が否定されることにはならない同事由の存否は、当事者に保障されるべき手続関与の機会が与えられていたか否かの観点から改めて判断されなければならない
 すなわち、受送達者あての訴訟関係書類の交付を受けた同居者等と受送達者との間に、その訴訟に関して事実上の利害関係の対立があるため、同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が速やかに交付されることを期待することができない場合において、実際にもその交付がされなかったときは、受送達者は、その訴訟手続に関与する機会を与えられたことにならないというべきである。そうすると、上記の場合において、当該同居者等から受送達者に対して訴訟関係書類が実際に交付されず、そのため、受送達者が訴訟が提起されていることを知らないまま判決がされたときには、当事者の代理人として訴訟行為をした者が代理権を欠いた場合と別異に扱う理由はないから、民訴法338条1項3号の再審事由があると解するのが相当である。
 抗告人の主張によれば、前訴において抗告人に対して連帯保証債務の履行が請求されることになったのは、抗告人の同居者として抗告人あての本件訴状等の交付を受けたAが、Aを主債務者とする債務について、抗告人の氏名及び印章を冒用してBらとの間で連帯保証契約を締結したためであったというのであるから、抗告人の主張するとおりの事実関係が認められるのであれば、前訴に関し、抗告人とその同居者であるAとの間には事実上の利害関係の対立があり、Aが抗告人あての訴訟関係書類を抗告人に交付することを期待することができない場合であったというべきである。したがって、実際に本件訴状等がAから抗告人に交付されず、そのために抗告人が前訴が提起されていることを知らないまま前訴判決がされたのであれば、前訴判決には民訴法338条1項3号の再審事由が認められるというべきである。
 抗告人の前記3の主張は、抗告人に前訴の手続に関与する機会が与えられないまま前訴判決がされたことに民訴法338条1項3号の再審事由があるというものであるから、抗告人に対する本件訴状等の補充送達が有効であることのみを理由に、抗告人の主張するその余の事実関係について審理することなく、抗告人の主張には理由がないとして本件再審請求を排斥した原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は、以上の趣旨をいうものとして理由があり、原決定は破棄を免れない。そして、上記事由の有無等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 堀籠幸男 裁判官 上田豊三 裁判官 藤田宙靖 裁判官 那須弘平 裁判官 田原睦夫)

・差置送達(106条3項)

・裁判所書記官送達
+(裁判所書記官による送達)
第百条  裁判所書記官は、その所属する裁判所の事件について出頭した者に対しては、自ら送達をすることができる。

ⅱ)書留郵便等に付する送達(付郵便送達)
+(書留郵便等に付する送達)
第百七条  前条の規定により送達をすることができない場合には、裁判所書記官は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項 に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるもの(次項及び第三項において「書留郵便等」という。)に付して発送することができる。
一  第百三条の規定による送達をすべき場合
     同条第一項に定める場所
二  第百四条第二項の規定による送達をすべき場合
     同項の場所
三  第百四条第三項の規定による送達をすべき場合
     同項の場所(その場所が就業場所である場合にあっては、訴訟記録に表れたその者の住所等)
2  前項第二号又は第三号の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その後に送達すべき書類は、同項第二号又は第三号に定める場所にあてて、書留郵便等に付して発送することができる。
3  前二項の規定により書類を書留郵便等に付して発送した場合には、その発送の時に、送達があったものとみなす。

ⅲ)公示送達
+(公示送達の方法)
第百十一条  公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。

+(公示送達の要件)
第百十条  次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
一  当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二  第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
三  外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
四  第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
2  前項の場合において、裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがないときであっても、裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。
3  同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。ただし、第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない。

+(公示送達の効力発生の時期)
第百十二条  公示送達は、前条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによって、その効力を生ずる。ただし、第百十条第三項の公示送達は、掲示を始めた日の翌日にその効力を生ずる。
2  外国においてすべき送達についてした公示送達にあっては、前項の期間は、六週間とする。
3  前二項の期間は、短縮することができない。

(6)送達場所等の届出
+(送達場所等の届出)
第百四条  当事者、法定代理人又は訴訟代理人は、送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を受訴裁判所に届け出なければならない。この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。
2  前項前段の規定による届出があった場合には、送達は、前条の規定にかかわらず、その届出に係る場所においてする。
3  第一項前段の規定による届出をしない者で次の各号に掲げる送達を受けたものに対するその後の送達は、前条の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める場所においてする。
一  前条の規定による送達
     その送達をした場所
二  次条後段の規定による送達のうち郵便の業務に従事する者が日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。第百六条第一項後段において同じ。)においてするもの及び同項後段の規定による送達
     その送達において送達をすべき場所とされていた場所
三  第百七条第一項第一号の規定による送達
     その送達においてあて先とした場所

3.当事者欠席の場合の取扱い
(1)当事者の一方の欠席
・陳述擬制
+(訴状等の陳述の擬制)
第百五十八条  原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる

+(準備書面)
第百六十一条  口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
2  準備書面には、次に掲げる事項を記載する。
一  攻撃又は防御の方法
二  相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述
3  相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載した事実でなければ、主張することができない

・擬制自白
+(自白の擬制)
第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2  相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3  第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない

・続行期日には擬制陳述はできない。

・審理の現状に基づく判決
+第二百四十四条  裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。

・訴え取り下げの擬制
+(訴えの取下げの擬制)
第二百六十三条  当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。

(2)当事者双方の欠席
・当事者双方が欠席した場合、証拠調べ(183条)および判決の言渡し(251条2項)はできるが、それ以外の行為はすることができない。

・訴え取り下げの擬制(263条)

4.申立権と責問権
(1)申立権
当事者がその申立てについて裁判所に判断を求めることができる権利

+(抗告をすることができる裁判)
第三百二十八条  口頭弁論を経ないで訴訟手続に関する申立てを却下した決定又は命令に対しては、抗告をすることができる。
2  決定又は命令により裁判をすることができない事項について決定又は命令がされたときは、これに対して抗告をすることができる。

(2)責問権(異議権)の意義
+(訴訟手続に関する異議権の喪失)
第九十条  当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。

(3)責問権の放棄・喪失
ⅰ)責問権の放棄・喪失の意義と趣旨
・責問権の喪失
私益保護の意味の強い訴訟手続規定違反の場合に、これによって利益を保護されている当事者が、その違反を知り、または知ることができたのに、遅滞なく異議を述べなかったときには、異議を述べる権利を失うとした
訴訟行為をできるだけ有効として手続きの安定化を図り、訴訟経済を害さないようにしている。

・責問権の放棄
当事者の裁判所に対する意思表示によって放棄することも可能
責問権の放棄は、違法となる訴訟行為が行われた後にすることを要し、あらかじめこれを放棄することはできない。
←任意訴訟禁止の原則に反するから。

ⅱ)責問権の放棄・喪失が認められない場合
公益を保護する趣旨の規定に違反する訴訟行為については、当事者の異議が遅れたことを理由として、有効と取り扱うことはできないし、責問権の放棄もできない。

6.訴訟手続の停止
(1)訴訟手続きの停止の意義と効果
全ての当事者が攻撃防御方法の提出を十分に尽くす機会を平等に与えられる必要があるという双方審尋主義の要請から。

停止期間中に裁判所や当事者がした行為は原則として無効(132条1項の反対解釈)

ただし、訴訟手続の停止はもっぱら当事者の利益保護のための制度であり、公益的理由に基づくものではないので、停止によって利益を保護されたはずの当事者が責問権を喪失・放棄したときは、無効の主張ができなくなり、その瑕疵は治癒される。

(2)訴訟手続きの中断の意義と要件
+(訴訟手続の中断及び受継)
第百二十四条  次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一  当事者の死亡
     相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
二  当事者である法人の合併による消滅
     合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
三  当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅
     法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
四  次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了 当該イからハまでに定める者
イ 当事者である受託者 新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人 新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
ハ 当事者である信託管理人 受益者又は新たな信託管理人
五  一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失
     同一の資格を有する者
六  選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失
     選定者の全員又は新たな選定当事者
2  前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない。
3  第一項第一号に掲げる事由がある場合においても、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない。
4  第一項第二号の規定は、合併をもって相手方に対抗することができない場合には、適用しない。
5  第一項第三号の法定代理人が保佐人又は補助人である場合にあっては、同号の規定は、次に掲げるときには、適用しない。
一  被保佐人又は被補助人が訴訟行為をすることについて保佐人又は補助人の同意を得ることを要しないとき。
二  被保佐人又は被補助人が前号に規定する同意を得ることを要する場合において、その同意を得ているとき。

当然承継
=当事者の死亡等の要件の発生によって法律上当然に効果が生じるもの

・訴訟手続の受継
中断していた訴訟手続きを進行させるためには、新追行者に訴訟を受け継がせるための一定の訴訟行為が必要。
受継の申立て(124条、126条)と裁判所による受継の裁判(128条)

+(相手方による受継の申立て)
第百二十六条  訴訟手続の受継の申立ては、相手方もすることができる。

+(受継についての裁判)
第百二十八条  訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、職権で調査し、理由がないと認めるときは、決定で、その申立てを却下しなければならない。
2  判決書又は第二百五十四条第二項(第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。)の調書の送達後に中断した訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、その判決をした裁判所は、その申立てについて裁判をしなければならない。

+(受継の通知)
第百二十七条  訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、相手方に通知しなければならない。

+(職権による続行命令)
第百二十九条  当事者が訴訟手続の受継の申立てをしない場合においても、裁判所は、職権で、訴訟手続の続行を命ずることができる。

(3)訴訟手続きの中止
+(裁判所の職務執行不能による中止)
第百三十条  天災その他の事由によって裁判所が職務を行うことができないときは、訴訟手続は、その事由が消滅するまで中止する。
(当事者の故障による中止)
第百三十一条  当事者が不定期間の故障により訴訟手続を続行することができないときは、裁判所は、決定で、その中止を命ずることができる。
2  裁判所は、前項の決定を取り消すことができる。


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5-2 審理の原則 訴訟行為

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1.意義と種類
(1)訴訟行為の意義
訴訟行為とは、
訴訟手続において訴訟の主体が行う行為であって、訴訟法上の効果を発生させるもの。

(2)当事者の訴訟行為
申立て
=裁判その他の裁判所の訴訟行為を求めることを目的とする当事者の訴訟行為

主張
=申立てを理由づけ、または、理由のないものとするために当事者が裁判所に提出する訴訟行為

2.訴訟行為と私法行為
(1)訴訟行為と私法行為の区別
訴訟行為か私法行為かの区別をする実益は、当事者の一定の行為について、私法行為を規律する実体法上の規定を適用すべきかどうかが問題になったときに、訴訟法的な特別の考慮をする必要があるかどうかを分けるところにある!

(2)訴訟に関する合意の効力
・訴訟に関する合意
=現在または将来の訴訟に関し、訴訟手続や訴訟追行の方法等に関して当事者がする合意をいう。

・任意訴訟の禁止の原則
=訴訟手続は、民訴法等の訴訟法規の定めに従って統一的な方式で進められる必要があり、個々の事件において裁判所や当事者が任意に手続を定めることは、原則として許されない。

・当事者の意思を尊重しても訴訟法規の趣旨や公益に反しない場合が考えられる。
→処分権主義や弁論主義の妥当する範囲内の事実については、その内容が合理的かつ明確なものであれば、ほかに無効事由がない限りは、当事者の合意が有効と認められることになる!!!!

(3)訴訟行為についての実体法規適用の有無
・行為能力に関する民法の規定の適用については
制限行為能力者にとって保護がより厚い訴訟能力制度によるべき

・意思の欠缺・瑕疵に関する規定については
①訴訟手続内で行われ、一連の手続の起点または通過点となる行為の場合には、手続の安定を考慮して適用が認められない!
②訴訟前または訴訟外でされる訴訟行為や訴訟を終了させる訴訟行為には、手続の安定等の要請が低いので、適用を認めやすい。

・公序良俗については
法秩序一般に準ずるものとして訴訟行為にも適用させるべき場合がある。

3.訴訟行為と信義則

4.訴訟行為の撤回
・訴訟を終了させる行為など、一定の効果が直ちに発生する場合には、その行為をした当事者が自由に撤回することはできない。

・申立てについては、裁判所が裁判や証拠調べによりこれに応答するまでは、その撤回が可能。

・事実や法的事項に関する当事者の主張は、原則として撤回が自由であると解されるが、主張の撤回も攻撃防御方法の提出の1つの形態であるから、適時にされなければ時機に後れたもの(157条1項)にあたることになる

5.訴訟行為と条件
訴訟行為に条件や期限を付することについては、訴訟手続の安定および明確性の要請や、裁判所の判断を無用に拘束しないようにする必要があるとの配慮から、原則として許されない。

ただし、相殺の抗弁については例外。

6.実体法上の形成権の行使に関する主張とその却下の効果
・形成権の行使が時機に後れたものであるとして裁判所に却下された場合(157条)、裁判所にその主張の内容について判断させるという訴訟法上の効果は発生しないことになるが、
このような場合に、形成権行使の実体法上の効果はどうなるのか???

行為の性質
実体法上の法律行為(意思表示)と、そのような法律行為がされたことを法律上主張する訴訟行為との2つの行為がされていると解するのが相当である。(併存説)
→訴訟法上は効果がなくとも実体法上は効果がのこる。

しかし、形成権を行使する当事者の合理的な効果意思がどのようなものかを考えて、当該訴訟において主張の内容に関する裁判所の判断を受けなかった場合には実体法上の効果を残さないという条件付きでされた形成権の行使であると考えるのが妥当。(新併存説)
→当該訴訟で判断の対象とならなかった場合には実体法上の効力も存在しないことになる。

・形成権の訴訟外行使
請求される可能性のある相手方の受働債権について訴訟外で総裁の意思表示をし、その事実を訴訟で主張したが却下された場合。
この場合は実体法上の効果が確定的に生じる(民法506条)!!
訴訟外の相殺の意思表示は、相殺の要件を満たしている限り、これにより確定的に相殺の効果が生じる。


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5-1 審理の原則 審理の方式

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1.民事訴訟における口頭弁論の意義
(1)口頭弁論の概念
・審理方式としての口頭弁論
+(口頭弁論の必要性)
第八十七条  当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。
2  前項ただし書の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる
3  前二項の規定は、特別の定めがある場合には、適用しない。

・手続の時間的・場所的空間としての口頭弁論
+(期日の指定及び変更)
第九十三条  期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。
2  期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
3  口頭弁論及び弁論準備手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す。ただし、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許す。
4  前項の規定にかかわらず、弁論準備手続を経た口頭弁論の期日の変更は、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。

・当事者等の訴訟行為としての口頭弁論

(2)口頭弁論の必要性
ⅰ)必要的口頭弁論
・当事者に口頭弁論をする義務があるわけではなく、裁判所が当事者に口頭弁論をする機会を与えなければならないということ。

・一定の基本原則に従った方式である口頭弁論を経ることが、審理の手続の公正さや正統性を基礎付ける。

・必要的口頭弁論
=判決手続きにおいて口頭弁論が必要とされること、または、そのことに基づいて実施される口頭弁論手続

ⅱ)任意的口頭弁論
決定で完結すべき事件は、迅速な処理を要し、当事者間の実体的な権利義務や法律関係の確定をもたらすものではないことから、簡易な手続でも足り、口頭弁論が任意的とされている。

審尋とは、
当事者や利害関係人に対し、書面または口頭で、陳述する機会を与えることをいう。

ⅲ)必要的口頭弁論の例外
法律で例外的規定
当事者に口頭弁論の機会を与える必要性が実質的に低いことから。

2.口頭弁論の諸原則
(1)双方審尋主義
当事者双方が、攻撃防御方法の提出(主張や立証)を十分に尽くす機会を平等に与えられること

趣旨
当事者に十分な手続上の権限を保障し(手続保障)、裁判の公正を実現し、訴訟の結果に対する当事者の満足・納得や、裁判制度に対する社会の信頼を確保

(2)公開主義
訴訟の審理および判決の言渡しを一般公衆に公開すること(一般公開主義)
公開主義違反は312条2項5号で絶対的上告理由となる。

・一般主義の例外が認められる場合でも当事者公開主義の制限はできない!

(3)口頭主義
判決の基礎となる申立て、主張、証拠申出、証拠調べの結果は裁判所に口頭で陳述ないし顕出されなければならないという原則
⇔書面主義

(4)直接主義
判決をする裁判官自身が直接、当事者の弁論を聴取し、証拠調べをするという原則

趣旨
裁判官自身の認識を判決に直接反映できるようにすることで、事案の適切な把握や真実発見という意味で内容的に適正な判決がされるようにすること。

直接主義に違反して判決したことは、判決の手続の違法事由(306条)や絶対的上告事由(312条2項1号)となる。

+(直接主義)
第二百四十九条  判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がする
2  裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
3  単独の裁判官が代わった場合又は合議体の裁判官の過半数が代わった場合において、その前に尋問をした証人について、当事者が更に尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない。

3.審理の効率化のための諸原則
(1)適時提出主義
攻撃防御方法は訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない。

+(攻撃防御方法の提出時期)
第百五十六条  攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない。

・156条にいう適時より後に提出された攻撃防御方法は、それが故意または重過失によるもので、訴訟の簡潔を遅延させるものであれば、157条1項によって却下されることになる。

+(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
第百五十七条  当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
2  攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。

(2)集中証拠調べの原則
証人及び当事者本人の尋問を、争点及び証拠の整理が終了した後に集中して行うこととする原則
+(集中証拠調べ)
第百八十二条  証人及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点及び証拠の整理が終了した後に集中して行わなければならない。

(3)計画的進行主義
+(訴訟手続の計画的進行)
第百四十七条の二  裁判所及び当事者は、適正かつ迅速な審理の実現のため、訴訟手続の計画的な進行を図らなければならない
(審理の計画)
第百四十七条の三  裁判所は、審理すべき事項が多数であり又は錯そうしているなど事件が複雑であることその他の事情によりその適正かつ迅速な審理を行うため必要があると認められるときは、当事者双方と協議をし、その結果を踏まえて審理の計画を定めなければならない
2  前項の審理の計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
一  争点及び証拠の整理を行う期間
二  証人及び当事者本人の尋問を行う期間
三  口頭弁論の終結及び判決の言渡しの予定時期
3  第一項の審理の計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間その他の訴訟手続の計画的な進行上必要な事項を定めることができる。
4  裁判所は、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、当事者双方と協議をし、その結果を踏まえて第一項の審理の計画を変更することができる。


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