債権総論 3-4 債権の効力 損害賠償

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});

一.はじめに
損害とは何か
損害発生と債務不履行との間の因果関係

二.損害賠償の方法と損害の概念・種類
1.損害賠償の方法
金銭賠償
=債務不履行による損害を金銭に見積りその金額を支払う方法

原状回復
=債務不履行による損害がなかったのと同じような状態を現実に再現する方法

日本の民法では金銭賠償が原則
+(損害賠償の方法)
第四百十七条  損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

2.損害賠償の概念・種類
(1)損害の概念
損害概念の捉え方
(ア)差額説
債務不履行がなければ債権者が有したであろう財産状態と債務不履行の結果債権者が現に有する財産状態の差を損害として捉える
差額説によれば、債務不履行後に債権の目的物の価格が変動した場合には、損害自体が変動することになる。
→損害算定の基準時が問題となる

(イ)損害=事実説
損害の事実とその金銭評価を区別して、損害とは損害の事実をいうと考える説
事実である損害を金銭に換算
債務不履行後の目的物価格の変動は、損害ン金銭評価のために資料が変化したに過ぎない

(2)損害の種類
(ア)財産的損害・精神的損害
財産的損害
=債務不履行によって債権者に生じた財産上の不利益

精神的損害
=債務不履行によって債権者に生じた精神的な苦痛または不利益

精神的損害の賠償を慰謝料という。
債務不履行についても慰謝料請求を認めている

(イ)積極的損害・消極的損害
積極的損害とは
債権者の既存の財産の減少

消極的損害とは
債権者が将来取得すると考えられる利益を取得できなくなること
すなわち債権者の逸出利益または得べかりし利益の喪失をいう

+α履行利益・信頼利益
・履行利益とは、
契約が完全に履行されたならば債権者が得たであろう利益

・信頼利益
契約が無効または不成立であるのに、それが有効に成立すると信じたことによって債権者が被った損害
ex契約締結の費用や代金支払いのための費用

三.債務不履行の類型と損害賠償
1.履行遅滞と損害賠償
(1)遅延賠償
債務の履行が遅れたことによる損害

(2)金銭債務と履行遅滞
金銭債務の不履行は常に履行遅滞である。

+(金銭債務の特則)
第四百十九条  金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2  前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3  第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

(3)履行遅滞と填補賠償
・填補賠償とは、
履行に代わる損害の賠償

・履行遅滞の場合は、履行が可能であるので本来の契約関係は維持されている。
→債権者は、契約を解除しない限り、填補賠償を請求することはできない!!!
しかし、
履行遅滞の後、債権者が相当の期間を定めて催告している場合には(541条)、期間経過後は契約を解除しなくても填補賠償を請求できる

・債権者が本来の給付を請求すると同時に、その強制執行が不能な場合に備えてあらかじめ填補賠償を請求する訴え(代償請求)を提起することも認められる。
+判例(S30.1.21)

2.履行不能と賠償請求
履行不能によって生じる損害の賠償は填補賠償

3.不完全履行と損害賠償
(1)追完が可能な場合
代物請求や修補請求ができる
履行が遅れたことを理由として遅延賠償

(2)追完が不能な場合
填補賠償
拡大損害の賠償

四.損害賠償の範囲
1.因果関係
債務不履行と損害との間の因果関係
ここでいう因果関係とは、債務不履行がなければ損害が発生しなかったであろうという条件関係であり、事実的因果関係。
相当因果関係とは区別しておく。

2.損害賠償の範囲
(1)制限賠償主義
損害賠償の範囲を制限
+(損害賠償の範囲)
第四百十六条  債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2  特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

(2)民法416条
(ア)416条の趣旨
・416条1項は通常損害
その種の債務不履行があれば、社会一般の観念に従って通常発生すると考えられる範囲の損害。
通常損害については予見可能性の有無は問われない。

・2項は特別損害
特別事情から通常生じる損害が賠償されることを規定
予見可能性の有無によって損害賠償の範囲に含まれるかどうかを決めていく。

・契約類型・当事者の種類・目的物の性質・契約内容など種々の要素を総合的に考慮して、通常損害か特別損害か判断される

(イ)予見可能性
条文では当事者(債権者債務者)となっているが、
債務者が予見可能でなければならず!!、
履行期までに予見可能でなければならない!!

・債権者は、債務者に予見可能性があったことを立証しなければならない!!!!
予見可能性の対象は特別事情!!!

(3)相当因果関係説
(ア)意義
当該債務不履行によって現実に生じた損害の中で、そのような債務不履行があれば一般に生じるであろうと考えられる損害だけが賠償されるという考え方
事実的因果関係にある損害に相当因果関係という一定の絞りをかける

(イ)相当因果関係説による416条の解釈
①416条1項は相当因果関係の原則を定めたもの
②416条2項は、相当因果関係の基礎とすべき特別事情の範囲を示すもの
=特別事情について債務者の予見可能性があれば、特別損害も相当因果関係にある損害に含まれる

(ウ)相当因果関係説の批判

3.賠償額算定の基準時(中間最高価格の問題)
相当因果関係説は、どの時点の価格を基準として損害額を算定するかという問題を損害賠償の犯意の問題ととらえている。

①物の減失による損害賠償額は、債務不履行時の物の価格が通常損害となる
②中間最高価格による損害賠償額の請求について
中間最高価格による損害は特別損害であり、債権者が中間最高価格による利益を確実に取得したはずであるという特別事情について、債務不履行時に債務者に予見可能性があった場合にのみ賠償請求が認められる!

しかし、最高裁は
目的物の価格が履行不能後も上昇し続けた事案について
履行不能時に価格上昇という特別事情について債務者に予見可能性があれば、転売などによって債権者が上昇価格による利益を確実に取得したであろうことを要求せずに、上昇した現在価格による損害賠償を認めている

五.損害賠償額の調整
1.過失相殺
債務の不履行に関して債権者にも過失があったときは、これを考慮して損害賠償責任および賠償額を軽減すること(418条)
+(過失相殺)
第四百十八条  債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

・要件
債務の不履行に関して債権者に過失があること

債務の不履行に関してには、
債務の不履行自体に債権者の過失が加わった場合と、
損害の発生拡大に債権者の過失が加わった場合が含まれる。

・過失の意義
帰責事由としての通常の過失と同じであるとする見解
広く債務者の賠償責任や賠償額の軽減を適当とする債権者側の事情を医務するという見解

・債権者の過失となるべき事実については、債務者が立証責任を負う!

・裁判所は債権者の過失を認定したときには、常にそれを考慮して賠償額を軽減し、場合によっては債務者の賠償責任を否定しなければならない。
債務不履行の場合には賠償額の減額は必要的であり、場合によっては全面的。
⇔不法行為の場合は、減額は任意的で、全額の免責はない。

2.損益相殺
債務不履行によって、債権者が損害を受けただけでなく、同時に利益を受けた場合に、損害賠償額からその利益を控除すること

六.損害賠償の特則
1.賠償額の予定
(1)賠償額の予定
当事者が債務不履行の場合に賠償すべき損害額をあらかじめ定めておくこと(420条1項前段)
+(賠償額の予定)
第四百二十条  当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2  賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3  違約金は、賠償額の予定と推定する。

←契約自由の原則により有効

・賠償額の予定がなされると債権者は、債務不履行の事実を立証するだけで予定された賠償額を請求できる

・裁判所は、当事者の合意に拘束され予定賠償額を増減することはできない(420条1項後段)
=債権者は、実際の損害額が予定賠償額よりも大きいことを立証して、予定賠償額の増額を主張することができない。
債務者も、実損害額が予定賠償額よりも少ないことを立証して、予定賠償額の減額を求めることができない。
あまりにも額に差がある場合は、公序良俗に反して無効。

+第四百二十一条  前条の規定は、当事者が金銭でないものを損害の賠償に充てるべき旨を予定した場合について準用する。

(2)違約金
債務者が債務不履行の場合に支払うことを約束した金銭。
違約罰
賠償額の予定

・違約罰は債務不履行に対する私的な制裁。
違約金の性質が違約罰であれば、債権者はそれとは別に実際の損害額を証明して、その支払いを請求することができる。
しかし、民法は違約罰を賠償額の予定と推定(420条3項)!!
→当事者の約束した違約金が違約罰の意味であれば、債権者はそのことを証明して、子の民法の推定を覆すことができる。

2.損害賠償による代位
債権者が、損害賠償として、債権の目的である物または権利の価格の全部の支払を受けたときに、債務者が、その物または権利について当然に債権者に代位する(422条)

+(損害賠償による代位)
第四百二十二条  債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。

・ここでいう代位とは
物または権利が法律上当然に債務者に移転することをいう。
当然に移転するので、何らの譲渡行為も対抗要件も必要としない。

3.代償請求権
履行不能が生じたのと同じ原因によって債務者が目的物の代償と考えられる利益を得た場合に、債権者が被った損害の限度でその利益の償還を債務者に請求できる権利

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です