民法択一 時効 総論

・不法行為時から20年を経過する前6か月以内に被害者が心神喪失の状況にあるのに法定代理人を有しない場合、その後後見開始の審判を受け、成年後見人に就職した者が、就職から6か月以内に権利を行使した場合は、158条の法意により、724条後段の効果は生じない。
(なお724条後段は除斥期間)


民法択一 契約の効力発生時期


・停止条件付売買契約において、条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は、期待権を侵害された買主に対して、損害賠償責任を負う。

・条件が成就することによって不利益を受ける者が故意に条件の成就を妨げた場合には、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる(130条)。(当然にみなされるわけではない。みなすことができる。)
・条件の成就によって利益を受ける者が故意に条件を成就した場合、130条の類推適用により条件が成就していないものとみなすことができる。

・婚姻、縁組、認知及び相続の承認・放棄には条件を付けることはできない。!!

・条件が法律行為時に成就していた場合には、その条件が停止条件であれば無条件のものとなる(131条1項)。

・条件が法律行為時に成就しないことが確定していた場合は、その条件が停止条件であればその法律行為は無効となる(131条2項)。

・条件が成就しないことが法律行為時に確定していた場合、解除条件であれば、無条件のものとなる。

・停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみにかかるときは無効とする(134条)。!!!

・不法な条件を付した法律行為は、条件のみが無効となるのではなく、その法律行為全体が無効となる(132条前段)。

・期限の利益の放棄の効力は将来に向かって発生する。(遡及しない) 


民法択一 代理 表見代理


・委任状の任者名義が白地である白紙委任状が、直接交付を受けた者から更に交付を受けた第三者により濫用された場合には、原則として代理権授与表示による表見代理(109条)は成立しない。
 しかし、白紙委任状を何人において行使しても差支えない趣旨で交付した場合には、本人は、契約上の責任を負うことがある。

第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その他人が無権代理人であることについて第三者が知っていることまたは知りえたことを立証しなければ 、その表示した代理権の範囲内で、その他人が第三者との間でした代理行為の責任を負う。 

・単なる事実行為をなす権限は基本代理権足りえない。預金の外交員が単に勧誘行為を委託したのみでは110条の基本代理権とはならない。!!

・約束手形が代理人によりその権限をゆ越して振り出された場合、110条によりこれを有効とするには、受取人が代理人に振り出し権限のあるものと信ずべき正当な理由がある場合に限る。その後の手形所持人が、代理人にこのような権限があるものと信ずべき正当な理由を有していたとしても、110条を類推適用して、所持人に対し振出人をして手形上の責任を負担させることはできない。!

・契約の相手方が110条により有効に権利を取得した後に、転得者がその権利を承継取得した場合、取引の安定のため、転得者は悪意であっても当該権利を取得する。

・代理人が代理権限を逸脱する行為を本人名義で行った場合は110条は適用されない。相手方がこの者を本人であると信じたことに正当な理由があった場合は110条が類推適用される。

・代理権を有する者が行った権限外の行為が、その代理権と何らの関係のない場合であっても、110条の適用がある。


民法択一 代理 無権代理


・本人は相続により無権代理人の債務を承継する(117条1項)。

・無権代理の相手方は本人の追認以前に限り、無権代理行為を取り消すことができる(115条本文)。

・上記取消しは本人・無権代理人のいずれに対してなされてもよい。 !

・ 無権代理行為の相手方は、本人が追認しない間でも、無権代理人に代理権がないことについて悪意の場合は契約を取り消すことはできない(115条但し書き)。

・他人の物を自己のものとして処分した場合、真実の権利者が追認した時は、116条の類推適用により、処分の時に遡って効果を生じる。!!

・上記の場合、 追認後も他人物売主と買主が契約の当事者であるため、真の権利者は、相手方(買主)に対して売買契約に基づく債務の履行を求めることはできない。

・116条但し書きは無権代理行為の相手方の取得した権利と第三者の取得した権利とが、ともに特段の対抗要件を要しないで排他的な主張ができる場合にのみ適用される。!!!

・114条の催告の期間内に本人の確答がない場合は、追認拒絶が擬制され、契約は無効なものとして確定する。 

・無権代理における本人の追認(113条1項、116条本文)は、代理権の欠缺を補充するにすぎないから、無権代理人の法律行為に錯誤や虚偽表示などの無効原因がある場合、本人は、無効を主張できる。ヘー

取消しうべき行為についての法定追認(125条)は、無権代理行為の追認には類推適用されない。→代金受領したことのみをもって、契約成立の効果を主張することはできない。

・成年後見人がその就職前に成年被後見人の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することは、当該契約の内容・性質、双方の経済的利害損失、交渉の経緯、自己の関与した行為の程度など諸般の事情に照らし、正義の観念に反するような例外的な場合でない限り、信義則に反するとは言えない。!

・表見代理は相手方保護の制度であるから、無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反する。フム

・無権代理人が自己に代理権が存するとして土地を売却し、その後、無権代理人が真実の権利者から当該土地を買い受けた場合において、無権代理人の相手方が履行を請求した時は、無権代理人と第三者との間に当該土地の売買契約が成立したのと同様の効果が生じる。!

・無権代理人の117条1項による損害賠償責任は、信頼利益損害の賠償にとどまるものではない。なぜなら、履行に代わるべき損害の賠償責任だから。


民法択一 代理 代理権


・代理権授与行為と代理行為とは一体の法律行為ではなく、独立の法律行為であるから、代理権授与行為が取り消されても、すでになされた代理行為は影響を受けない。!

・権限の定めのない代理人は、保存行為と、権利の性質の変更をともなわない利用または改良行為のみをなしうる。(無利息の金銭貸付行為は権利の性質の変更をともなう利用行為であるから、権限外の行為として無権代理行為となる)

・法定代理人は、やむを得ない事由がないとき(通常)は、復代理人に過失あれば法定代理人に過失なくとも責任を負う

・法定代理人はやむを得ない事由があって復代理人を選任した時には、選任監督上の過失について責任を負う(106条後段、105条1項)。

・任意代理人は、通常は復代理人の選任監督懈怠責任を負う。

・任意代理人は、本人の指名があるときは、不適任・不誠実を知って、本人に通知せず、解任しなかった場合に責任を負う。

・復代理人の代理権は原代理人の代理権の範囲を超えることができず、それを超えた代理行為は無権代理行為となる。

・委任による代理人は本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときに、復代理人を選任できる(104条)。

法定代理人は自己の責任で復代理人を選任することができる(106条前段)

・自己契約、双方代理は禁止されている。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為はこの限りではない。

・自己契約、双方代理⇒無権代理行為となる。⇒本人が追認すれば有効(113条1項)

・代理権は代理人の死亡により消滅する(111条2号)。

・代理権は 本人の死亡により消滅する(111条1項1号)。なお、これと異なる合意も有効

・代理権は代理人が後見開始の審判を受けたことにより消滅する(111条1項2号)。

・後見開始の審判の時期が代理権を与えられた後であり、かつ、代理行為がなされる前であれば、代理権の消滅を主張するものがその事実を主張立証すれば、代理権消滅の抗弁となる。

・委任による代理権は、本人が破産開始の決定を受けると消滅する。なぜなら、本人の破産手続き開始決定は委任の終了自由だから(653条2号)。

・代理人は虚偽表示をする権限はないのであるから、この場合の代理人は代理人とはいえず単に相手方の意思表示を本人に伝達する者となり、そうすると当該意思表示は、本人に対し自己の真意と異なることを知りながらしたものとして心裡留保に当たるとして、93条但し書きにより本人が相手方の真意を知り、又は知りえた場合でない限り有効となる。!!


民法択一 総則 契約の有効性 当事者の一般的有効要件


・心裡留保の場合、相手方に軽過失があれば無効である。

・虚偽表示は、通謀を要件とすることから、相手方のある行為に限られる。もっとも、単独行為であっても、相手方のある行為は存在するのであるから、そのような行為には虚偽表示が成立する。

・不動産の仮装譲受人の単なる債権者は、「第三者」(94条2項)に当たらない。 

・通謀のない場合であっても、虚偽の登記などの外形があり、これを権利者が明示・黙示に承認した場合は、94条2項の類推適用により 善意の第三者は保護される。

・土地の仮装譲受人が土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するとはいえないから、「第三者」(94条2項)にはあたらない。!

・意思外形非対応型においては、94条2項、110条の法意にてらして、第三者は善意無過失であることが必要である。 

・他の共有者に対してなされた共有持分放棄の意思表示が、その共有者との通謀による虚偽のものであるときは、当該意思表示については、通謀虚偽表示の規定が類推適用される。(共有持分権の放棄は、本来、相手方を必要としない意思表示からなる単独行為だから)・・・ナルホド・・・

・建物について抵当権を設定した者がその敷地の賃借権を有しない場合には、抵当権の効力が敷地の賃借権に及ぶと解する理由はなく、建物の買受人は、94条2項、110条の法意により建物の所有権を取得することとなるときでも、敷地の賃借権自体についてもその法意により保護されるなどの事情がない限り、建物の所有権とともに敷地の賃借権を取得するものではない。 


・借地上の建物を目的物として仮装の売買契約が締結された場合、特別の事情がない限り、建物の所有権の譲渡とともに土地賃借権の譲渡も仮装したものといえる。

・所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、被告は、原告の所有権取得行為が原告の錯誤によって無効であるとの主張はできない。なぜなら、表意者が無効を主張しない場合には、相手方が無効を主張することはできない。

・第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合に、表意者がその意思表示に関し錯誤のあることを認めているときには、表意者に主張の意思がなくても、第三者は錯誤無効の主張ができ、その結果生ずる表意者の債権を代位行使(423)できる。

・重過失のある表意者が自ら錯誤を理由とする無効を主張しえない以上、相手方又は第三者は、その無効を主張することはできない。

相手方が悪意の場合は、表意者に重過失があっても、95条但し書きの適用はない

・保証契約において、主債務者が誰であるかは要素の錯誤になる。 

・表示上の錯誤とは、意思表示と表示行為の間の錯誤がある場合をいう。(言い間違い、書き間違い)

・重大な過失の有無は、普通の知慮を有する者の注意を標準として抽象的に定めるべき。

・他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容になるものではない。(当然には要素の錯誤とならない)!

・相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。(BがCに対して貸金債権を有する場合。AがBの詐欺によりCと保証契約を締結。CがBの詐欺を知らない場合は、AはCとの保証契約を取り消すことはできない。)

・連帯債務者の1人のした代物弁済が詐欺による意思表示として取り消された場合に、他の連帯債務者は詐欺による取り消しを対抗されない第三者には当たらない。・・・ヘー。

・取消し前の事例。第三者に停止条件付所有権移転の仮登記の付記登記があったにすぎず、対抗要件を具えていない場合であっても、96条3項の第三者に当たる。(登記は不要)

・強迫の結果完全に意思の自由を失った場合はむしろ、その意思表示は当然無効であり、96条適用の余地はない。


民法択一 総則 私権の主体 法人


・一般社団法人・一般財団法人を設立するに当たっては、主務官庁の許可を得ることは必要ない(準則主義がとられている)。

・ 一般社団法人の設立行為は、一人でなすことはできない(二人以上共同して定款作成)。

・権利能力なき社団の権利は構成員に総有的に帰属するので、構成員に持分はない。

・代表者の定めのある権利能力なき社団はその名において訴えまたは訴えられることができる。

・業務執行者について、組合では、組合員全員が業務執行者となるか、または組合員全員の合意によって、選任された者が担当者となる。

・一般社団法人の社員は、出資に応じた剰余金配当請求権を有しない。

・一判社団法人においては、社員の除名は、除名した社員にその旨を通知しなければ、これをもって当該社員に対抗することができない。