民法択一 物権 抵当権 抵当権とは


・抵当権の付従性から、抵当権の成立には被担保債権の存在が必要であるところ、元本が交付されず被担保債権が発生していないから、抵当権は不成立。=被担保債権の不存在を理由として、抵当権者に対して、抵当権設定登記の抹消を求めることができる!

・消費貸借契約に基づく抵当権設定登記の翌日に金銭が交付された事案において、抵当権設定手続は被担保債権の発生と同時であることを要せず、抵当権はのちに発生した債務を有効に担保する!!!ヘー

・当事者間の合意によって、特定の数個の債権を一定金額の限度で担保する1個の抵当権を設定することも有効である!
+判例
当事者間の合意によつて、特定の数個の債権を一定金額の限度で担保する一個の抵当権を設定することも、また将来発生の可能性のある条件付債権を担保するため抵当権を設定することも、有効と解すべきであつて、所論は独自の見解に過ぎないものであつて採るを得ない。
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本件被担保債権の大部分は将来成立すべき条件付債権であるのに、恰も上告人が被上告人より金一〇〇万円を借り受けた如きものとして抵当権設定登記手続をなしたことは、この点について事実と登記の間に不一致が存するわけであるが、かゝる場合でも当事者が真実その設定した抵当権を登記する意思で登記手続を終えた以上、この登記を以て当然に無効のものと解すべきものではなく、抵当権設定者は抵当権者に対し該登記が事実に吻合しないことを理由として、その抹消を請求することはできないものと云わねばならない。

・AのXに対する員外貸付けが無効であっても、Xは貸し付けられた金員を不当利得として返還する義務を負い、Xが設定した抵当権はこの不当利得返還債務を担保する意義を有するので、Xが当該不動産を抵当権の実行により買い受けたYに対して、員外貸付けは無効であるから抵当権も無効であると主張することは信義則上許されない!!
+判例
上告人は自ら虚無の従業員組合の結成手続をなし、その組合名義をもつて訴外労働金庫から本件貸付を受け、この金員を自己の事業の資金として利用していたというのであるから、仮りに右貸付行為が無効であつたとしても、同人は右相当の金員を不当利得として訴外労働金庫に返済すべき義務を負つているものというべく、結局債務のあることにおいては変りはないのである。そして、本件抵当権も、その設定の趣旨からして、経済的には、債権者たる労働金庫の有する右債権の担保たる意義を有するものとみられるから、上告人としては、右債務を弁済せずして、右貸付の無効を理由に、本件抵当権ないしその実行手続の無効を主張することは、信義則上許されないものというべきである。ことに、本件のように、右抵当権の実行手続が終了し、右担保物件が競落人の所有に帰した場合において、右競落人またはこれから右物件に関して権利を取得した者に対して、競落による所有権またはこれを基礎とした権原の取得を否定しうるとすることは、善意の第三者の権利を自己の非を理由に否定する結果を容認するに等しく、信義則に反するものといわなければならない。

・抵当権設定契約は、抵当権者と抵当目的物の所有権を有する抵当権設定者の合意があれば、書面によらず、かつ、設定登記がされなくても成立する!←意思主義(176条)通りに当事者の合意のみによって成立(諾成契約)。また、設定登記は対抗要件に過ぎない。

・後順位抵当権者が流用前から存在する場合の抵当権設定登記の流用について!
消滅した抵当権の登記を他の抵当権の登記として利用する契約は無効である!←後順位抵当権者の順位上昇の原則による期待を保護すべき要請!
→抵当権設定登記の抹消を求めることができる!
なお、流用後の第三者との関係では当該流用登記も有効!!!ヘー

・Xが所有する不動産について、Yに対して抵当権を設定して金銭を借り入れるとともに、Aが、XのYに対する当該借入金債務を担保するため、Yとの間で連帯保証契約を結んだ場合、Aが当該借入金債務を全額弁済したとしても、XはYに対して、抵当権設定登記の抹消登記手続を求めることはできない!!!←弁済による代位制度は、代位弁済者の債務者に対する求償権を確保することを目的として、原債権が担保と共に弁済者に移転するものと考えている!!!=Aが弁済により抵当権及び原債権を取得する

+判例
まず、保証人である被上告人は、債務者である訴外会社との間で代位弁済による求償権の内容につき民法四五九条二項によつて準用される同法四四二条二項の定める法定利息と異なる特約をしても、第三者である上告人に対しては右特約の効力をもつて対抗することができないと主張する部分について。
弁済による代位の制度は、代位弁済者が債務者に対して取得する求償権を確保するために、法の規定により弁済によつて消滅すべきはずの債権者の債務者に対する債権(以下「原債権」という。)及びその担保権を代位弁済者に移転させ、代位弁済者がその求償権の範囲内で原債権及びその担保権を行使することを認める制度であり、したがつて、代位弁済者が弁済による代位によつて取得した担保権を実行する場合において、その被担保債権として扱うべきものは、原債権であつて、保証人の債務者に対する求償権でないことはいうまでもない
債務者から委託を受けた保証人が債務者に対して取得する求償権の内容については、民法四五九条二項によつて準用される同法四四二条二項は、これを代位弁済額のほかこれに対する弁済の日以後の法定利息等とする旨を定めているが、右の規定は、任意規定であつて、保証人と債務者との間で右の法定利息に代えて法定利率と異なる約定利率による代位弁済の日の翌日以後の遅延損害金を支払う旨の特約をすることを禁ずるものではない。また、弁済による代位の制度は保証人と債務者との右のような特約の効力を制限する性質を当然に有すると解する根拠もない
けだし、単に右のような特約の効力を制限する明文がないというのみならず、当該担保権が根抵当権の場合においては、根抵当権はその極度額の範囲内で原債権を担保することに変わりはなく、保証人と債務者が約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約によつて求償権の総額を増大させても、保証人が代位によつて行使できる根抵当権の範囲は右の極度額及び原債権の残存額によつて限定されるのであり、また、原債権の遅延損害金の利率が変更されるわけでもなく、いずれにしても、右の特約は、担保不動産の物的負担を増大させることにはならず、物上保証人に対しても、後順位の抵当権者その他の利害関係人に対しても、なんら不当な影響を及ぼすものではないからである。そして、保証人と右の利害関係人とが保証人と債務者との間で求償権の内容についてされた特約の効力に関して物権変動の対抗問題を生ずるような関係に立つものでないことは、右に説示したところから明らかであり、保証人は右の特約を登記しなければこれをもつて右の利害関係人に対抗することができない関係にあるわけでもない(法がそのような特約を登記する方法を現に講じていないのも、そのゆえであると解される。)。
以上のとおりであるから、保証人が代位によつて行使できる原債権の額の上限は、これらの利害関係人に対する関係において、約定利率による遅延損害金を含んだ求償権の総額によつて画されるものというべきである。

第459条
1項 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
2項 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。

第442条
1項 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
2項 前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

+判例
つぎに、保証人である被上告人と物上保証人であるAとの間でされた民法五〇一条但書五号の定める代位の割合を変更する特約の第三者に対する効力の存否に関する違法をいう部分について。
民法五〇一条は、その本文において弁済による代位の効果を定め、その但書各号において代位者相互間の優劣ないし代位の割合などを定めている。弁済による代位の制度は、すでに説示したとおり、その効果として、債権者の有していた原債権及びその担保権をそのまま代位弁済者に移転させるのであり、決してそれ以上の権利を移転させるなどして右の原債権及びその担保権の内容に変動をもたらすものではないのであつて、代位弁済者はその求償権の範囲内で右の移転を受けた原債権及びその担保権自体を行使するにすぎないのであるから、弁済による代位が生ずることによつて、物上保証人所有の担保不動産について右の原債権を担保する根抵当権等の担保権の存在を前提として抵当権等の担保権その他の権利関係を設定した利害関係人に対し、その権利を侵害するなどの不当な影響を及ぼすことはありえず、それゆえ、代位弁済者は、代位によつて原債権を担保する根抵当権等の担保権を取得することについて、右の利害関係人との間で物権的な対抗問題を生ずる関係に立つことはないというべきである。
そして、同条但書五号は、右のような代位の効果を前提として、物上保証人及び保証人相互間において、先に代位弁済した者が不当な利益を得たり、代位弁済が際限なく循環して行われたりする事態の生ずることを避けるため、右の代位者相互間における代位の割合を定めるなど一定の制限を設けているのであるが、その窮極の趣旨・目的とするところは代位者相互間の利害を公平かつ合理的に調節することにあるものというべきであるから、物上保証人及び保証人が代位の割合について同号の定める割合と異なる特約をし、これによつてみずからその間の利害を具体的に調節している場合にまで、同号の定める割合によらなければならないものと解すべき理由はなく!!、同号が保証人と物上保証人の代位についてその頭数ないし担保不動産の価格の割合によつて代位するものと規定しているのは、特約その他の特別な事情がない一般的な場合について規定しているにすぎず、同号はいわゆる補充規定であると解するのが相当である。
したがつて、物上保証人との間で同号の定める割合と異なる特約をした保証人は、後順位抵当権者等の利害関係人に対しても右特約の効力を主張することができ、その求償権の範囲内で右特約の割合に応じ抵当権等の担保権を行使することができるものというべきである。このように解すると、物上保証人(根抵当権設定者)及び保証人間に本件のように保証人が全部代位できる旨の特約がある場合には、保証人が代位弁済したときに、保証人が同号所定の割合と異なり債権者の有していた根抵当権の全部を行使することになり、後順位抵当権者その他の利害関係人は右のような特約がない場合に比較して不利益な立場におかれることになるが、同号は、共同抵当に関する同法三九二条のように、担保不動産についての後順位抵当権者その他の第三者のためにその権利を積極的に認めたうえで、代位の割合を規定していると解することはできず、また代位弁済をした保証人が行使する根抵当権は、その存在及び極度額が登記されているのであり、特約がある場合であつても、保証人が行使しうる根抵当権は右の極度額の範囲を超えることはありえないのであつて、もともと、後順位の抵当権者その他の利害関係人は、債権者が右の根抵当権の被担保債権の全部につき極度額の範囲内で優先弁済を主張した場合には、それを承認せざるをえない立場にあり、右の特約によつて受ける不利益はみずから処分権限を有しない他人間の法律関係によつて事実上反射的にもたらされるものにすぎず、右の特約そのものについて公示の方法がとられていなくても、その効果を甘受せざるをえない立場にあるものというべきである。

ナカナカムズイネ

第501条
前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。
五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。

弁済による代位の解説とか
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n64721

・抵当権の効力が及ぶ借地権につき、抵当権設定者と土地所有者との間で土地賃貸借契約が合意解除されたとしても、398条の背後にある原則を理由として抵当権者に当該解除を対抗できない!!!
+398条
地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。

・B所有の土地上に建物を有するAが長期にわたり賃料の支払いを怠っているような場合、建物の抵当権者Cは「第三者」(545条1項ただし書き)に当たらず、債務不履行解除を対抗することができる!!!!!

・抵当権が未登記である場合でもこれを実行することができる!


民法択一 物権 物的担保 物的担保概観


・民法に定める担保物件である典型担保物権は、約定担保物権と法定担保物権とに分類できる。
典型担保物権
約定(やくじょう)担保物権(=信用授受の媒介として目的物所有者と債権者との間の設定契約により成立)=質権・抵当権
法定担保物権(=一定の要件がそろえば法律上当然に成立する)=留置権・先取特権
譲渡担保権は約定担保物権であるが、民法に定める典型担保物権ではなく、慣習上の担保物権である非典型担保物権に含まれる。

・随伴性=被担保債権が譲渡されれば、担保物権も債権譲受人に移転すること

・随伴性は典型担保物件一般に認められる性質である。しかし、留置権は、占有の喪失により効力を失うため(302条本文)、被担保債権と共に目的物の占有も移転するのでなければ、留置権は消滅する!!→被担保債権が譲渡されても、留置権は当然には移転しない!

・留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる(296条)=留置権の不可分性

・296条は質権について準用されている(350条)!=質権の不可分性

・債務者は相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる(301条)!!!

・質権(350条・304条)及び抵当権(372条・304条)には物上代位性が認められている!!⇔留置権には物上代位性は認められていない!!

・優先的弁済的効力は、先取特権、質権、抵当権には認められているが、留置権については認められておらず、留置権者は事実上優先弁済を受けうるにとどまる!!

+留置権の事実上の優先弁済とは何か?
民297条1項、「留置権者は、その物を従前通り使用し、そこから得られた利益を被担保債権に充当することが出来る」とあります。(ただし、以前からの使用状態を継続できるだけであり、新たに勝手な利用を始めたり、他人に賃借したり出来ません。(民298条1項)。)この点で優先弁済権があるといえます。

目的物が動産であるときは、目的物所有者に対する他の債権者は、事実上、留置権の目的物を差し押さえることが出来ません。
民事執行法124条、他者が占有している動産については、占有者が目的物を執行官に提出することを拒む限り差し押さえすることが出来ないとされ、民事執行法190条で、結局、他の債権者は、被担保債権を弁済してからでないと、事実上、差し押さえが出来ないとされています。ヘー

目的物が不動産の場合には、留置権者が目的物を占有していても、他の債権者はそれを差し押さえ、競売手続きを進行させることが出来ますが、その手続きにおいてその目的不動産を買い受けたものは、留置権の被担保債権のを弁済しなければなりません。(民事執行法59条4項、188条)、その結果、事実上は、最先順位の優先弁済を受けることが出来ます。ヘー

債務者が破産した場合は、民法に基ずく留置権の効力は消滅してしまいます。(破産法66条3項) 破産宣告をされると、破産債務者の財産の決済手続きに変わり、原則的に債務者の財産すべてが処分され、留置権者には事実上の優先弁済権は無くなります。
ただし、民事留置権に対し商法に基づく留置権は、破産手続き内において優先弁済権へと転化するとされます。(破産法66条1項、2項)ヘー


民法択一 物権 用益物権 入会権


・入会権の内容である使用収益権は、入会団体の構成員たる資格に基づくものであり、本来、各自が単独で行使できるものであるから、構成員各自が単独で妨害排除請求権を行使できる。

・入会権が「共有の性質を有する入会権」(263条)に当たるか否か
入会権者の権利がその共有に属する地盤を目的とするか、他人の所有に属する地盤を目的とするかによって区別すべき!
+第263条
共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する

入会権は登記なくして第三者に対抗することができる!!!このことは入会権が共有の性質を有するかどうかを問わない!!

・入会権は権利者である一定の村落住民の総有に属する!!ものであるが、村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力なき社団に当たる場合には、当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟を追行する原告適格を有する!!!
+判例
入会権は権利者である一定の村落住民の総有に属するものであるが(最高裁昭和三四年(オ)第六五〇号同四一年一一月二五日第二小法廷判決・民集二〇巻九号一九二一頁)、村落住民が入会団体を形成し、それが権利能力のない社団に当たる場合には、当該入会団体は、構成員全員の総有に属する不動産につき、これを争う者を被告とする総有権確認請求訴訟を追行する原告適格を有するものと解するのが相当である。
けだし、訴訟における当事者適格は、特定の訴訟物について、誰が当事者として訴訟を追行し、また、誰に対して本案判決をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるべき事柄であるところ、入会権は、村落住民各自が共有におけるような持分権を有するものではなく、村落において形成されてきた慣習等の規律に服する団体的色彩の濃い共同所有の権利形態であることに鑑み、入会権の帰属する村落住民が権利能力のない社団である入会団体を形成している場合には、当該入会団体が当事者として入会権の帰属に関する訴訟を追行し、本案判決を受けることを認めるのが、このような紛争を複雑化、長期化させることなく解決するために適切であるからである。

+権利能力のない社団である入会団体の代表者が構成員全員の総有に属する不動産について総有権確認請求訴訟を原告の代表者として追行するには、当該入会団体の規約等において当該不動産を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権を要するものと解するのが相当である。
けだし、右の総有権確認請求訴訟についてされた確定判決の効力は構成員全員に対して及ぶものであり、入会団体が敗訴した場合には構成員全員の総有権を失わせる処分をしたのと事実上同じ結果をもたらすことになる上、入会団体の代表者の有する代表権の範囲は、団体ごとに異なり、当然に一切の裁判上又は裁判外の行為に及ぶものとは考えられないからである。

+権利能力のない社団である入会団体において、規約等に定められた手続により、構成員全員の総有に属する不動産につきある構成員個人を登記名義人とすることとされた場合には、当該構成員は、入会団体の代表者でなくても、自己の名で右不動産についての登記手続請求訴訟を追行する原告適格を有するものと解するのが相当である。
けだし、権利能力のない社団である入会団体において右のような措置を採ることが必要になるのは入会団体の名義をもって登記をすることができないためであるが、任期の定めのある代表者を登記名義人として表示し、その交代に伴って所有名義を変更するという手続を採ることなく、別途、当該入会団体において適切であるとされた構成員を所有者として登記簿上表示する場合であっても、そのような登記が公示の機能を果たさないとはいえないのであって、右構成員は構成員全員のために登記名義人になることができるのであり、右のような措置が採られた場合には、右構成員は、入会団体から、登記名義人になることを委ねられるとともに登記手続請求訴訟を追行する権限を授与されたものとみるのが当事者の意思にそうものと解されるから!!!!である。このように解したとしても、民訴法が訴訟代理人を原則として弁護士に限り、信託法一一条が訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託を禁止している趣旨を潜脱するものということはできない。!!!!!!
民訴の論点も入ってるね・・・

+権利能力なき社団
民事訴訟法第29条において、権利能力なき社団で「代表者の定め」のあるものは訴訟の当事者となることができる旨が規定されていることから、権利能力なき社団は、「代表者の定め」が有るものと無いものに分類することができる。前者が狭義の「権利能力なき社団」、後者を含めたものが広義の「権利能力なき社団」であって、成立要件が異なる。
代表者の定めが無い場合(広義の「権利能力なき社団」)について、判例は「権利能力なき社団の財産は、実質的には社団を構成する総社員の所謂総有に属するものであるから、総社員の同意をもつて、総有の廃止その他右財産の処分に関する定めのなされない限り、現社員及び元社員は、当然には、右財産に関し、共有の持分権又は分割請求権を有するものではないと解するのが相当である。」(最判 昭和32年11月14日民集 第11巻12号1943頁)としているから、所有財産が総有となる形態を取ることが、最低限の成立要件である。
訴訟の当事者となり得る狭義の「権利能力なき社団」となるためには、「団体としての組織をそなえそこには多数決の原則が行なわれ構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならない」

+共同所有の諸形態
共有
「(狭義の)共有」はその共有者に特別な人的つながりはあまりなく、たまたま偶然的に共同で所有している状態に過ぎず、個人主義的な共有形態であり、民法で規定される共有はほとんどこの共有のことを指します。
=ある目的物を共有する限りで偶然的に関係するにすぎず、団体を形成しない(249条)。
●各自の持分・・・有り
●各自の持分の処分・・・自由(他の共有者から独立して処分できる)
●各自の持分の分割請求・・・自由(いつでも分割を請求可)

合有
「合有」はその共有者が共同目的を有し、その目的達成のために一つの団体を作り目的物を所有する形態であり、その共同目的による団体的規制を受けます。ですから、その合有物は様々な制限を受けることになります。
=共同目的達成のため、団体的結合を作っている(667条共同事業)
●各自の持分・・・有り
●各自の持分の処分・・・所有目的により制限される
●各自の持分の分割請求・・・団体存続中は認められない。
●合有の例・・・○○組合の財産など

総有
「総有」は共有者に地縁や血縁等による人的つながりが有る場合で、団体的性格の強い状態であり、その団体的拘束を受けます。その総有物は団体的規制により使用や利用が強く制限され、各自の持分という概念もありません。
=各人は団体に包摂されるが、各人も全面的に独立性を失うわけではない。
●各自の持分・・・無し
●各自の持分の処分・・・認められない
●各自の持分の分割請求・・・認められない
●総有の例・・・入会権や権利能力なき社団の財産など


民法択一 物権 用益物権 地役権


・地役権は、要役地から分離して譲り渡すことはできない!!他の権利の目的とすることもできない!!!!!(281条2項)

・地役権については、要役地の共有者の1人についての時効取得の完成により、他の者も地役権を取得する(284条1項)。!!!!!

・地役権の取得時効において共有者全員に対して時効中段を主張するためには、地役権を行使する各共有者に対して行わなければならない(284条2項)!!!=地役権を行使する1人に対してするのみでは、他の共有者の時効取得を妨げることはできない!!

・地役権についても、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限って時効によって取得することができる(283条)!!

・地役権は「所有権以外の財産権」として20年の消滅時効にかかる(167条2項)。

・その期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じたときから起算する(291条)!!!→通路を開設する通行地役権は、20年の消滅時効にかかり、その期間は通路が破壊されるというような事実があった時から起算する!

・承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、地役権は、これによって消滅する(289条)!!=承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をした場合、当該占有者は、地役権の負担のついてない土地の所有権を時効取得する!!

・要役地上に地上権又は永小作権の設定を受けた者は当然に地役権を行使する!!!←地役権は、要役地上に存する他の権利の目的となる(281条1項本文後段)から!!!
+第281条
1項 地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2項 地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。

・地役権設定者、永小作権設定者、地役権を設定した承役地の所有者のいずれも目的物の修繕義務を負わない!!!

・地上権、永小作権はいずれも物権であるので、原則として、自由に譲渡することができる(272条本文参照)。

・地役権は、要役地から分離して譲渡することはできないが、要役地の所有権の従たる権利として、要役地の所有権とともに移転する(281条1項本文前段)。

・地上権永小作権の譲渡性及び地役権の随伴性は特約で排除することができる(272条ただし書き、281条1項ただし書き)。

・かかる特約については、永小作権、地役権の場合は登記することができ、登記すれば第三者に対抗することができる(不動産登記法79条3号、80条1項3号)。

地上権の場合は登記することができず、特約を第三者に対抗することはできない!!!!!!

・地役権も物権であるため、177条が適用され、対抗要件として登記が必要になる!そして、地役権の付従性(281条1項本文)について、地役権の設定行為に別段の定めがあるときは、その旨を登記することもできる(281条1項ただし書き、不動産登記法80条1項3号)


民法択一 物権 用益物権 永小作権


・永小作権は、必ず定期の小作料を支払う(270条)!!!!⇔地上権は無償で設定することもできる(265条266条1項参照)

・永久の永小作権は禁止されている(278条参照)!!⇔民法において、地上権と地役権の存続期間については特に制限はないので、永久の存続させることも認められる。

・永小作権の存続期間は、20年以上50年以下としなければならず、設定行為で50年より長い期間を定めた場合、その期間は50年とされる(278条1項)=無効となるわけではない!

・永小作人は、不可抗力により収益について損失を受けたときであっても、小作料の免除又は減額を請求することができない(274条)!!!

・地上権が消滅したときの地上権者の収去権と土地の所有者の買取請求権を定めた269条1項は、永小作権に準用されている(279条)!!→永小作権者は、その権利が消滅したときに、土地を原状に復してその地上物を収去することができるが、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、永小作権者は、正当な理由がなければこれを拒むことができない!!!!!

・永小作人は、土地に回復することができない損害を生ずるような変更を加えることはできない(271条)!!!この規定に違反した場合、541条による解除が認められる!!

・永小作人が引き続き2年以上小作料の支払いを怠ったときは、土地の所有者は、永小作権の消滅を請求することができる(当然消滅するわけではない)!!


民法択一 物権 用益物権 地上権


・用益物権は不動産のみに成立する!!!←民法上の用益物権は、地上権(265条)・永小作権(270条)・地役権(280条)・入会権(263条、294条)の4種類。いずれも土地を目的としている!

・区分地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があれば、設定することができる(269条の2第2項)。→第三者がすでに永小作権を有する土地についても、区分地上権を設定することはできる。

・法定の用益物権も存在する。=法定地上権(388条)

・地上権は土地を使用する物権であり(265条)、地上権者は土地を占有すべき権利を有するので、本件に基づく返還請求権を行使できる。→土地所有者に対しても返還請求権を行使することができる。

・地上権を譲渡することは、設定者の承諾を要することなく自由にできる!←地上権は土地に対する直接の使用権である(265条)

・地上権において、地代の支払は要素とされていない!!!=無償の地上権も認められる!!!

・地上権者が定期の地代を支払わなければならない場合において、不可抗力により収益について損失を受けたときは、永小作権に関する274条が準用され(266条1項)、地上権者は、地代の免除又は減額を請求することはできない!!!!!
+第266条
1項 第274条から第276条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
2項 地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
+第274条
永小作人は、不可抗力により収益について損失を受けたときであっても、小作料の免除又は減額を請求することができない。

・土地の所有者は、地上権者が附属させた工作物について、時価相当額を提供して買い取ることができる(269条1項ただし書き)

・また、建物所有目的の地上権が設定されている場合には、地上権者の側からも、借地権設定者に対して建物の買取りを請求することができる!!!

・当事者間で提起の地代を支払う旨の特約を定めた場合、賃貸借に関する規定が準用され(266条2項)、賃借物の一部減失による賃料の減額請求に関する規定の適用を受ける(611条1項)=土地の一部が地上権者の過失によらず減失したときは、地上権者は、その減失した部分の割合に応じて、地代の減額を請求することができる!!
+第611条
1項 賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
2項 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

・相隣関係の規定は、原則として、地上権者間又は地上権者と土地所有者との相隣土地利用関係について準用される(267条本文)!!←相隣関係の規定は土地の利用の調節を趣旨とするものであるところ、これは土地の利用を目的とする地上権にも打倒するため!

・土地所有者は、隣地の竹林の根が境界線を越えているときは、その根を切り取ることができる(233条2項)。

・上記規定は、地上権者と土地の所有者との間について準用されている(267条本文)

・存在期間なき地上権については、特段の慣習がない限り、地上権者は、自由にその権利を放棄することができる(268条1項本文)。


民法択一 物権 所有権 共同所有関係


・255条と958条の3との適用関係
共有持分は、他の相続財産と共に、958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象になる。=958条の3が優先的に適用される。
+第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
++255条について
この規定は、相続財産が共有持分の場合にも相続人不存在の場合の前記取扱い(951条・・・)を貫くと、国と他の共有者との間に共有関係が生じ、国としても財産管理上の手数がかかるなど不便であり、また、そうすべき実益もないので、むしろ、そのような場合にはその持分を他の共有者に帰属させた方がよいという考慮から、相続財産の国庫帰属に対する例外として設けられたものであり、法二五五条は法九五九条一項の特別規定であったと解すべき。
法二五五条により共有持分である相続財産が他の共有者に帰属する時期は、相続財産が国庫に帰属する時期と時点を同じくするものであり、前記清算後なお当該相続財産が承継すべき者のないまま残存することが確定したときということになり、法二五五条にいう「相続人ナクシテ死亡シタルトキ」とは、相続人が存在しないこと、並びに、当該共有持分が前記清算後なお承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときと解するのが相当

・各共有者は、共有物の全部についてその持分に応じた使用をすることができる(249条)→共有持分の価格の過半数を有することを理由に、共有物を現に占有する他の共有者に対して当然にその明渡しを請求できるものではない!!!
理由
けだし、このような場合、右の少数持分権者は自己の持分によつて、共有物を使用収益する権原を有し、これに基づいて共有物を占有するものと認められるからである。従つて、この場合、多数持分権者が少数持分権者に対して共有物の明渡を求めることができるためには、その明渡を求める理由を主張し立証しなければならないのである。

・共有持分権者から使用を許された第三者は、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は第三者に対して当然には共有物の明渡を請求することはできない!

・不動産の共有者の1人は、その持分権に基づき、共有不動産に対して加えられた妨害を排除することができる。→不実の持分移転登記がされている場合は、その登記によって共有不動産に対する妨害状態が生じている→持分権に基づく保存行為(注あり)として単独で当該持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
+この訴訟は、当該不動産の共有者の一部の者が、自己の共有持分割合自体については当該不実の持分移転登記によって侵害状態が生じていなくても、同登記の抹消登記手続を請求することができるかどうかが争われた訴訟。

++共有者の一人から登記名義を有する他の共有者に対する請求の場合はどうか?(乙)
数名の者の共有に属する不動産につき共有者のうちの一部の者が勝手に自己名義で所有権移転登記を経由した場合に、共有者の一人がその共有持分に対する妨害排除として登記を実体的権利に合致させるため右の名義人に対し請求することができるのは、自己の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であると解するのが相当である。

+++共有者の一人が、白己の共有持分を超える部分についても、実体に合致しない登記の抹消登記手続を請求することを認めているが、乙類型の事件では、実体に合致しない部分があっても、自己の共有持分の範囲内においてのみ一部抹消(更正)登記手続を請求できるにすぎないとされているかのようにみえる。これらの違いをどう整合的に説明するかが問題となる。

++++保存行為について
民法二五二条ただし書にいう保存行為は共有物の滅失・毀損を防止してその現状を維持する行為であるから、不実登記の抹消を求めることまで保存行為であるというのは保存行為概念を広げすぎたものであるとの批判あり→共有持分権は共有物の全部に及ぶものであり、その円満な状態を回復するためには、物の全部の上の妨害の全部を除去すべきであり、妨害が違法な登記による場合にも同様であるから、共有持分権に基づく妨害排除請求権を根拠とすべき。

・内縁の夫婦が共有する不動産を居住又は共同事業のために共同で使用していたときは、特段の事情のない限り、両者間において、その一方が死亡した後は他方がその不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認される!!!=相続人に対する不当利得返還義務は原則として成立しない!!

・共有物の所有権確認訴訟を提起するには、共有者全員が原告となることが必要!!=必要的共同訴訟!!!!!!

・各共有者は、その持分権に基づき、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができる!!!←共有持分権の及ぶ範囲は、共有地の全部にわたる(249条)から

・各共有者は、単独で、第三者に対し、裁判上の主張をもって、自己の持分についての時効中断をすることができる!!←時効の中断が共有物の保存行為(252条ただし書き)に当たることから、共有者の共有持分権の主張につき裁判上の請求(147条1号)として、単独での主張を認めている!!

・共有者の一部が、他の共有者の同意を得ることなく共有物を物理的に損傷しあるいはこれを改変するなど共有物に変更を加える行為をしている場合には、他の共有者は、各自の共有持分権に基づいて、右行為の全部の禁止を求めることができる!!共有物を原状に復することが不能であるなどの特段の事情がある場合を除き、右行為により生じた結果を除去して共有物を原状に復させることを求めることもできる!!!

・土地の共有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、固有必要的共同訴訟ではない!
また、898条の「共有」は、249条以下の「共有」とその性質を異にするものではない(←この論点忘れずに)ので、上記判例は共有一般に妥当。→建物収去土地明渡しの訴えを提起するときは、AB双方を被告とする必要はない!!
+理由
けだし、右の場合、共同相続人らの義務はいわゆる不可分債務であるから、その請求において理由があるときは、同人らは土地所有者に対する関係では、各自係争物件の全部についてその侵害行為の全部を除去すべき義務を負うのであつて、土地所有者は共同相続人ら各自に対し、順次その義務の履行を訴求することができ、必ずしも全員に対して同時に訴を提起し、同時に判決を得ることを要しないからである。
もし論旨のいうごとくこれを固有必要的共同訴訟であると解するならば、共同相続人の全部を共同の被告としなければ被告たる当事者適格を有しないことになるのであるが、そうだとすると、原告は、建物収去土地明渡の義務あることについて争う意思を全く有しない共同相続人をも被告としなければならないわけであり、また被告たる共同相続人のうちで訴訟進行中に原告の主張を認めるにいたつた者がある場合でも、当該被告がこれを認諾し、または原告がこれに対する訴を取り下げる等の手段に出ることができず、いたずらに無用の手続を重ねなければならないことになるのである。のみならず、相続登記のない家屋を数人の共同相続人が所有してその敷地を不法に占拠しているような場合には、その所有者が果して何びとであるかを明らかにしえないことが稀ではない。そのような場合は、その一部の者を手続に加えなかつたために、既になされた訴訟手続ないし判決が無効に帰するおそれもあるのである。以上のように、これを必要的共同訴訟と解するならば、手続上の不経済と不安定を招来するおそれなしとしないのであつて、これらの障碍を避けるためにも、これを必要的共同訴訟と解しないのが相当である。
また、他面、これを通常の共同訴訟であると解したとしても、一般に、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意をえたうえでなければ、その強制執行をすることが許されないのであるから、かく解することが、直ちに、被告の権利保護に欠けるものとはいえないのである。

・共有地上の樹木全部の伐採行為は、変更行為(251条)にあたる。そして、変更行為をするには、共有者全員の同意が必要である!

・建物の売却は変更行為(251条)にあたる。→共有者全員の同意が必要!!

・各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払う義務を負う(253条1項)。

・共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる(254条)。→立替金の支払いとか。

・共同相続人が、共同相続人の中の1人を借主とする使用貸借を解除するのは、252条本文の管理行為に当たるから、持分の価格に従い過半数の同意がなければ、解除を行うことができない!!=単独ではダメ。
+使用貸借の解除原因は、借主(×貸主)の死亡だよ!(599条)

・共有物を目的とする賃貸借契約を解除することは、252条本文の管理行為に当たる。その解除については544条1項の適用はない!!!!!→各共有者の持分価格に従いその過半数の同意があればすることができる。

・共有にかかる土地が不法に占有されたことを理由として、共有者の全員又はその一部の者から右不法行為者に対してその損害賠償を求める場合には、右共有者は、それぞれその共有持分権の割合に応じて請求すべきものである!!!!

・共有者が1年以内に管理費用支払義務(253条1項)を履行しない場合は、他の共有者は、相当の償金を支払って、そのものの持分を取得することができる(253条2項)!!!ヘー

・各共有者は原則としていつでも共有物の分割を請求することができる(256条1項本文)。もっとも、相隣者の共有に属する境界線、囲障、障壁、溝および堀は、共有物であっても分割請求をすることはできない(257条)!!!

・裁判上の分割(258条1項)にいう「共有者間に協議が調わないとき」とは、共有者の一部に共有物分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をなしえない場合を含む。必ずしも現実に協議をしたうえで不調に終わった場合に限られるものではない!!

・共有物の分割請求(256条1項本文)において、裁判所としては、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得されるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、全面的価格賠償の方法(=自らが本件不動産を単独で取得し、その持分の価格を賠償する方法)による分割も許される!!!
=民法258条2項は、共有物の分割方法をすべての場合に現物分割又は競売による分割のみに限定し、他の分割方法を一切否定した趣旨のものとは解されず、その他の方法によることも許される。
←民法二五八条二項は、共有物分割の方法として、現物分割を原則としつつも、共有物を現物で分割することが不可能であるか又は現物で分割することによって著しく価格を損じるおそれがあるときは、競売による分割をすることができる旨を規定している。
ところで、この裁判所による共有物の分割は、民事訴訟上の訴えの手続により審理判断するものとされているが、その本質は非訟事件であって、法は、裁判所の適切な裁量権の行使により、共有者間の公平を保ちつつ、当該共有物の性質や共有状態の実状に合った妥当な分割が実現されることを期したものと考えられる。したがって、右の規定は、すべての場合にその分割方法を現物分割又は競売による分割のみに限定し、他の分割方法を一切否定した趣旨のものとは解されない。
そうすると、共有物分割の申立てを受けた裁判所としては、現物分割をするに当たって、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることができる(最高裁昭和五九年(オ)第八〇五号同六二年四月二二日大法廷判決・民集四一巻三号四〇八頁参照)のみならず、当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許されるものというべきである。

・各共有者は5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができ(256条1項ただし書き)、当該契約は、更新することができる(同条2項本文)!!!

・260条は、共有者から共有物の権利者に対する分割協議を行う旨の通知義務を課してはいない!→共有者は分割協議の通知をしなかったとしても、分割協議の結果を抵当権者に対抗できる!!!
+260条
1項 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
2項 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。

・遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない!!!→BC間の遺産分割の結果、甲土地をCの帰属とすることとしたときでも、Bは相続開始から遺産分割までの間に甲土地から生ずるDに対する賃料債権を、相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する!!!
+理由
遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当(=遺産たる賃貸不動産から生じた賃料債権は,可分債権であるから,民法427条により,当然に分割されて,共有者である共同相続人がその共有持分である法定相続分に応じて,単独分割債権として取得するものと解される)である。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。

+遺産中に金銭債権その他の可分債権があるときは,その債権は,相続開始と同時に,当然に,相続分に応じて分割されて,各共同相続人の分割単独債権となる

+遺産中の特定の不動産が相続人全員の同意によって売却された場合には,その不動産は遺産から逸出するとともに,その売却代金は,これを遺産分割の対象に含める合意をするなどの特段の事情のない限り,相続分に応じて分割されて,各共同相続人の分割単独債権となる

・共有物の購入資金として他から借り入れた債務は、「共有物について」他の共有者に対して負担する債務に該当しないから、共有持分の譲受人に承継されない!!!!!→Aから共有持分を譲り受けたCは、ABが建物購入資金として他から借り入れた債務のうち、Aの負担部分を承継するものではない!!!


民法択一 物権 所有権 所有権の取得


・所有権の取得原因
①承継取得(特定承継+包括承継)
特定承継=売買・贈与・・・
包括承継=相続・合併・・・
②原始取得=時効取得・無主物先占・遺失物取得・埋蔵物発見・添付・即時取得

・所有者のない不動産は、国庫に帰属する(239条2項)!=所有の意思をもって占有することによって、所有権を取得するわけではない!

・所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する(239条1項無主物先占)

・他人の動産に工作を加えた者(加工者)があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。

・ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超える場合は、加工者がその加工物の所有権を取得する(246条1項ただし書き)

・246条1項ただし書きの適用により損害を受けた者は、不当利得の規定に従い、その償金を請求することができる(248条)。

・賃借人による増改築部分について、それ自体独立性を有しない場合、当該部分の所有権は、本体建物の所有権に符合(242条本文)する。また、242条ただし書きは適用されないとし、賃貸人の承諾があっても結論は左右されない!

・いまだ独立の不動産に至らない建築途中の建前に、第三者が工事を加え完成させた場合における所有権の帰属は、加工の規定(246条2項)(×動産の付合(243条))によって決せられる!!!
+けだし、このような場合には、動産に動産を単純に附合させるだけでそこに施される工作の価値を無視してもよい場合とは異なり、右建物の建築のように、材料に対して施される工作が特段の価値を有し、仕上げられた建物の価格が原材料のそれよりも相当程度増加するような場合には、むしろ民法の加工の規定に基づいて所有権の帰属を決定するのが相当であるからである。

・所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったとき、及び分離するのに過分の費用を要するとき(←コレモ!!)は、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する(243条)。

・付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合時における価格の割合に応じて(×現在の価格の割合)その合成物を共有する(244条)!!!


民法択一 物権 所有権 物権的請求権


・物権的請求権は物権に随伴する。物権的請求権のみを債権のように譲渡することはできない。

・賃貸借契約の成立による占有権原の抗弁
賃貸借契約の成立要件は、目的物の賃借、すなわち使用収益させる旨及びその対価として賃料を支払う旨の合意のみであるが(601条)、同契約に基づく土地の占有権原を主張する場合は、占有の適法性を根拠付けるため、合意に基づき目的物の引き渡しを受けた旨も要件事実となる。

・地上権の成立による占有権原の抗弁
要件事実は地上権の設定を受ける旨の合意と、基づく引渡し
地上権設定登記をした事実を主張立証しても、請求棄却判決を得ることはできない!
=登記は事実上の推定力を有するにすぎず、地上権の設定登記を受けた事実を主張立証しても
、それにより適法に地上権の設定があったことは推定されず、請求棄却の判決を得ることはできない。

・他人の土地を占有する権原がないにもかかわらず、その土地上に建物を所有し、これを第三者に賃貸している賃貸人は、当該建物の間接占有者であるから、当該土地を不法に占有する者にほかならず、当該土地の所有者は、賃貸人に対して、所有権に基づき、当該土地の返還を請求することができる。

・土地の所有権に基づく物上請求権の訴訟においては、現実に家屋を所有することによって現実にその土地を占有して土地の所有権を侵害している者を被告としなければならない!
+建物所有者と登記名義人が異なる場合も原則として同様。

・同時履行の抗弁(633条本文)や留置権の抗弁(295条1項)の法的性質は権利抗弁である。
→請負代金債権の弁済があるまでは、甲土地を引き渡さないとの権利主張が必要。→認められたら引換給付判決。

・建物の所有権を有しない者は、たとえ、所有者との合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する機能を有しないから、建物の敷地所有者の所有権に基づく請求に対し、建物収去義務を負うものではない。!!(=原則は現実の建物所有者とすべきってこと。)
+なお、一定の要件のもと例外アリ!下へ↓

・他人の土地上に無権原で建てられた建物の所有権を取得した者が、自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合、その者は、建物を他に譲渡しても引き続き登記名義を保有しているときは、土地所有者に対し、譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去土地明渡の義務を免れることはできない!!!

・土地の所有者は、その土地に起因して、隣地所有者の権利を侵害し又は侵害の危険を生じさせている場合には、その侵害又は危険が自己の行為に基づくものと否とを問わず、その侵害の除去又は侵害の危険を防止すべき義務がある。!!!
+隣地との境界線上から垂直に約2尺4寸掘下げて素畑地を水田にしたため、隣地の土砂が水田内に崩壊し、かつ境界より約1間を隔てて人の住居に供する家屋が存し、隣地の地質が砂地のため自然崩壊の危険があるときは、隣地所有者は危険の防止に必要な相当設備を請求する権利がある。


民法択一 物権 所有権 所有権の内容


・土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる(209条1項本文)

・隣地所有者の承諾(同項ただし書き)が得られない場合には、裁判所に請求して承諾に代わる判決を求めたうえで、立ち入ることができる(414条2項ただし書き)

+414条2項
債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思に代えることができる。

・袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者又はこれにつき利用権を有する者に対して、囲繞地通行権を主張することができる。

・分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地(残余地)のみを通行することができ、償金の支払いを要しない(213条1項)。

・公道に至るための他の土地の通行権は、残余地について特定承継が生じた場合にも消滅するものではない!

・他人の設置した給排水設備をその給排水のため使用することが他の方法に比べて合理的であるときは、その使用により当該給排水設備に予定される効用を著しく害するなどの特段の事情がない限り、220条及び221条の類推適用により、当該給排水設備を使用することができる。フム
=宅地の所有者が、他の土地を経由しなければ、水道事業者の敷設した排水管から当該宅地に給水を受け、その下水を公流、下水道まで排出することができない場合、当該宅地の給排水のために、他人の設置した給排水設備を使用することができる場合がある!

・他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができ(210条1項)、この通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる(211条2項)。