民法択一 物権 物権変動 物権変動とは


・同一物について所有権と占有権が同一人に帰属することになっても、占有権が消滅することはない!!!!(179条3項、1項)

・いったん混同により消滅した賃借権は、第三者に対する関係では、同人所有権取得によって、消滅しなかったものとなる!!
→Aが甲土地及び甲土地上に乙建物を所有している場合において、AとBが乙建物の賃貸借契約を締結し、乙建物を引き渡した後に、AがBに対して乙建物を贈与したが、その後、Bが乙建物の所有権移転登記をする前にAがCに対して乙建物を譲渡して所有権移転登記を経由した場合、CのBに対する乙建物の所有権に基づく引渡請求は認められない!!←Bの乙建物賃借権は消滅しなかったものとなり、Bは当該賃借権をCに対抗することができる!!(借地借家法31条1項)

・第2順位の抵当権者が抵当権が設定されている土地を取得した場合、原則通り第2順位抵当権は混同により消滅する(179条1項本文)

・B所有の土地にAが地上権の設定を受けている場合において、AがBから当該土地を買い受けた。AB間の売買契約が解除されたらどうなるか。
=契約が解除されると、その契約の効果は遡及的に消滅する(直接効果説)。したがって、混同によって消滅したAの地上権は復活する!!!

・第1順位の抵当権者に土地を代物弁済(482条)した場合。代物弁済の効果として、被担保債権が消滅する。そして、付従性により抵当権も消滅する!
+第2順位の抵当権者がいたとしても変わらない。

・「所有権以外の物権」及び「これを目的とする他の権利」が同一人に帰属したときは、当該権利は消滅するのが原則(179条2項)。ただし、所有権以外の物権を目的とする他の権利が第三者の権利の目的であるときは、例外的に当該他の権利は消滅しない(同項後段)。=抵当権が転抵当の目的になっているなど。

・Bは、Aの地上権を目的とした第1順位の抵当権の設定を受け、さらにCが第2順位の抵当権の設定を受けた。このとき、BがAの地上権を取得しても、Bの第1順位の抵当権は消滅しない!!!!!!←Bの第1順位の抵当権が消滅すると、Cが第1順位となってしまうから。

・特定の土地につき所有権と賃借権が同一人に帰属するに至った場合であっても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備した後に土地に抵当権が設定されていた時は、179条1項ただし書きの準用により、賃借権は消滅しない!!


民法択一 物権 物権法序説、物件法定主義


・一定の物に対して債権と物権が成立する場合、原則として物権が優先的効力を有する!

・しかし、対抗要件を備えた賃借権(605条、借地借家10条1項、31条1項)など、債権が物権に優先する場合もある。

・物件の排他性=同じ物のうえに同一内容の複数の物権が存在しないことをいう。

・先取特権においては、並存が認められ、その優先順位が法律で定められていることから、先取特権が、物権の排他性を有していないことを意味する!=排他性の例外

・物権の客体としての「物」とは有体物である(85条)!しかし、物権の客体は有体物に限られない!!!←例外的に、権利質(362条1項)や地上権のうえの抵当権(369条2項)など、権利を対象とする物権を認めている。

・一筆の土地の一部について取得時効が可能であることは、一筆として登記記録上1個の土地の一部に所有権の成立を認めたものであり、一物一権主義の例外である。

・法律や判例には、物の集合体に1個の物権を認めるものがある!!←工場抵当法2条は、企業経営のための土地・機械・器具などの物的設備の集合体に対して1個の抵当権の設定を認めている。判例は、構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定されている場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。

・慣習法による物権も認められる!!!!←温泉の湯口権について地方慣習法による物権的権利であることを肯定しており、その権利が物権であること及び物権的効力を有することを承認している。