民法択一 親族 保佐補助

・保佐人が本人の居住用不動産を処分する場合、家庭裁判所の許可を得る必要がある(876条の5第2項、859条の3)。

・保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人(×保佐監督人)の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(876条の2第3項本文)

・補助開始の審判において、家庭裁判所が、請求により、特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をした場合に代理権が付与されることとなる(15条3項、876条の9第1項)。=補助開始の審判がされる場合において、補助人は当然に代理権を付与されるわけではない。

・補助人は複数選任することができる(876条の7第2項、843条第3項)。

・補助人に法人を選任することも可能である(876条の7第2項、843条4項かっこ書)


民法択一 親族 後見


・成年後見は、後見開始の審判があった時に後見が開始する(836条2号)。

・未成年後見は、未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有していないときに開始する(836条1号)。→後見を開始するには、必ずしも後見開始の審判は必要ではない!

・単独親権者が成年被後見人であるときは、「未成年者に対して親権を行う者がないとき」(838条1号前段)に当たり、子のために後見が開始する。→単独親権者の後見人がこの親権を行うわけではない!!

・未成年後見人が選任されている未成年者についても、後見開始の審判をすることができる!!!

・839条の規定により未成年後見人となる者がいない場合は、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって(×職権)、未成年後見人を選任する(840条1項前段)。

・後見開始の審判(7条)は、本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合に、家庭裁判所が、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人または検察官の請求によりすることができる。

・家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する(843条1項)。
上との違いに注意!!

・家庭裁判所は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、後見開始の審判をするときは合わせて成年後見人を選任する(843条1項)。

・未成年後見人がある場合でも、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で更に未成年後見人を選任することができる(840条2項)。

・成年後見人が欠けたときは、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する(843条2項)。

・成年後見人の場合と同様、未成年後見人の人数につき制限はなくなった←842条削除

・法人は成年後見人になることができる(843条4項かっこ書き)

・後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族、検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。(846条)

・成年後見人は、成年被後見人の意思を尊重しなければならない(858条)。

・成年後見人は、成年被後見人の財産に関する法律行為について、成年後見人を「代表」する(859条1項)が、この「代表」とは、代理と同じ意味に解されている。

・後見人の代理権は、法定代理権であり、原則として成年被後見人の財産に関するすべての法律行為に及ぶ。→成年後見人の意思に反した場合であっても、無権代理とはならない。

・未成年後見人は、善良な管理者の注意をもって、後見の事務を行わなければならない(869条・644条)。

・成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住用に供する建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。(859条の3)。

・未成年者は後見人となることができない(847条1号)。

・被後見人に対して訴訟を提起した者の配偶者は後見人になることはできない(847条4号後段)。

・後見人の配偶者は、後見監督人となることができない(850条)。

・未成年後見人は、子の監護教育権(820条)について、親権者と同一の権利義務を有する(857条本文)。

・ただし、親権者が定めた教育方法、居所を変更する場合などは、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない(857条ただし書)!!

・後見開始原因が消滅した時は、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない(10条)。

・共同相続人の1人がほかの共同相続人の全部または一部の者を後見している場合に、後見人が被後見人を代理してする相続の放棄は、後見人自らが相続の放棄をした後にされたか、又はこれと同時にされたときは、利益相反行為にあたらない。!!!!

・後見監督人がいない場合で、後見人と被後見人との利益が相反する行為について、860条本文は826条を準用しており、特別代理人の選任が必要である。


民法択一 親族 親権


・協議離婚に際して、夫婦の間に未成年の子がある場合には、父母の協議で、一方を親権者と定めなければならない(819条1項)→親権者を定めなければ離婚届が受理されない(765条1項、819条1項)。

・協議離婚に際して、必ずしも、親権者の他に監護権者を定める必要はない。

・子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う(819条3項本文)!!!

・子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる(819条3項ただし書)

・裁判上の離婚の場合は、裁判所が父母の一方を親権者と定める(819条2項)。=協議で定めることはできない。

・父母が共同して親権を行う場合、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし、又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない!!ただし、相手方が悪意であった場合はこの限りではない(825条)。!!

・父母は、その協議により、嫡出でない子について、一方が親権を、他方が監護権を行使すると定めることができる。 フム・・・

・父が認知した子に対する親権は、父母の協議又は家庭裁判所の審判で父を親権者と定めた場合に限り、父が行う(819条4項、5項)

・嫡出でない子は母の氏を称する(790条2項)。

・もっとも、父が認知をしたときは、「子が父または母と氏を異にする場合」(791条1項)に当たり、子は家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父または母の氏を称することができる。

・養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、養子となる者に代わって、縁組の承諾をすることができる(797条1項)。

・この承諾につき、養子となる者の父母でその監護すべきものがほかにいる場合には、その同意も得なければならない。

・さらに、養子となる者の父母で親権が停止されている者があるときには、その同意も得なければならない。

・子の利益のために必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求(×職権)によって、親権者を他の一方に変更することができる(819条6項)。

・子の親が未成年者であるときは、この未成年者の親権者又は後見人が親権を行う(833条、867条)。

・父母の婚姻中には親権共同行使の原則(818条3項本文)があり、一方の意思に反して行われた親権行使としての法律行為は原則として無効となる。

・上記例外として、父母の共同名義で行われた場合には、善意の第三者保護のために有効となる(825条)。⇔単独名義で行われたら有効となる余地はなく、善意の第三者も保護されない。

・親権者の変更は、子の利益のために必要があると認めるときに、子の親族の請求によって家庭裁判所が行う(819条6項)→父母の協議によって一方に定めた親権者を他方に変更する場合、再度協議によって変更することはできない。

・親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、子の財産管理を行わなければならない(827条)。

・親権者の代理権限は、原則として財産上の行為に限って認められる(824条本文)。

・しかし、一定の場合に親権者が子に代わって身分行為をなし得る。⇒認知の訴えの提起(787条)、15歳未満の子の縁組の代諾(797条1項)、15歳未満の子の離縁の代諾及び訴えの提起(811条2項、815条)、未成年者が養親となる縁組をした場合の取消請求(804条)、未成年者が養親となる縁組をした場合の取消請求(804条)、相続の承認・放棄

・利益相反関係にある親権者は特別代理人の選任を求め(選任を家庭裁判所に請求)、特別代理人と利益相反の関係にない親権者と共同して代理行為をなすべき。→母と子のみに利益相反関係がある場合に、父は特別代理人の選任を求め、共同して代理行為をしないといけない。
+特別代理人の選任なしに、家庭裁判所の許可を得れば利益相反行為をすることができるわけではないことに注意!

・親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割手続きを行うことは、利益相反行為になる。!

・親権者自身が金員を借り受けるに当たり、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、かりにその借受金を子の養育費に充当する意図があったとしても、利益相反行為に当たる。!!

・上記の事案で、連帯保証契約の締結も利益相反行為に当たる。=第三者の金銭債務につき、父母が連帯保証するとともに、父母が子を代理して連帯保証する場合

・親権者が特別代理人によることなく未成年の子を代理してした行為は、無権代理行為となる。→子が成年に達した後に追認をすれば有効となる。

・利益相反行為(826条)に当たるかどうかは行為自体を外形的客観的に考察して判断されるのであり、親権者の動機や意図では判断されない。

・第三者の金銭債務につき、父母が子を代理して子所有の不動産に抵当権を設定する行為は外形から利益相反行為に当たらない。しかし、代理権濫用に該当する場合がある。

・親権者は原則として、子の財産上の地位に変動を及ぼす一切の法律行為につき子を代理する権限を有する(824条本文)ところ、親権者が権限を濫用して法律行為をした場合には、93条ただし書きが類推適用される。

・家庭裁判所が親権喪失の審判をする要件は、父または母による虐待又は悪意の遺棄があるとき、その他父または母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときである(834条本文)。

・親権喪失の審判の請求権者は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官(834条本文)及び、児童相談所長(児童福祉33条の7)である。

・親権喪失(834条)、管理権喪失(835条)の原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人またはその親族の請求により、親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる(836条)。

・親権を行う父または母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる(836条)。


民法択一 親族 養子

・養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる(727条)。

・養子の子といった縁組前に生じた養子の血族は、養親とは親族関係にはならない。

・配偶者のある者が養子となる縁組をするには、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合を除き、配偶者の同意を得なければならない(796条)。

・未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならないが、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合はこの限りではない(798条)。!

・養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる(797条1項)。

・未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。養子縁組の成立には別途、養子縁組の届出が必要になる(799条・739条1項)ことに注意!!

・養親が未成年者であることは、養子縁組の取消原因となる(804条本文、792条)。もっとも、婚姻による成年擬制が生じた者は養親たり得る(753条)。

・詐欺又は強迫によって養子縁組をした者は、養子縁組の取消しを裁判所に請求することができる(808条1項前段、747条1項)。

・養子縁組の無効は、いつでも何人でも主張でき、相手方からの訴えに対する抗弁や、別訴での前提問題として主張してもよい。

・養子縁組の取消しは、一定の取消原因に該当し、かつ、法定の取消権者が裁判所に請求するという方法によってのみ主張することが許される。

・養子縁組の取消権者に検察官は規定されていない!!!

・養子縁組の当時その取消原因があることを知らない当事者であっても、養子縁組によって得た財産を現に利益を受けている限度で返還しなければならない(808条1項前段・748条2項)


・縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁しようとするときは、家庭裁判所の許可を得てこれをすることができる(811条6項)

・縁組の当事者は協議で離縁することができる(811条1項)。=家庭裁判所の許可は不要

・養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする(811条2項)。

・養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りではない(816条1項)。

・縁組の日から7年を経過した後に816条1項の規定により縁組前の氏に復した者は、縁組の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる(816条2項)。

・未成年者と異なり、成年者の養子は、養親である夫婦の一方と離縁できる(811条の2本文)。

・特別養子縁組の養親は、配偶者のある者でなければならず(817条の3第1項)、夫婦の一方が養親とならない場合、他方も養親になれないのが原則(817条の3第2項本文)。ただし、夫婦の一方が、他方の嫡出子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く)の養親になる場合は夫婦が同時に養親になる必要はない(同条但し書き)

・25歳に達しない者は、特別養子縁組における養親になることはできない(817条の4本文)

・養親となる夫婦の一方が25歳に達していれば、もう一方は20歳以上であれば特別養子縁組における養親になることができる(817条の4ただし書)。

・特別養子縁組の請求時に6歳に達している者は特別養子となることができないのが原則である(817条の5本文)。

・例外的に6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている者(8歳未満)が特別養子となれる。

・特別養子縁組は、養子となる者について、父母による監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があるときでなければ成立させることはできない(817条の7)。

・特別養子縁組を成立させるためには、養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。

・特別養子縁組が成立した場合、養子と実方の父母及びその血族との親族関係は終了する(817条の9)。→養子は実方の父母を相続することはできない。

・家庭裁判所は、養子・実父母又は検察官の請求により(×養親)、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる(817条の10第1項柱書)。

・普通養子縁組は協議によって解消することができるが、特別養子縁組は、協議によって解消することはできない。=裁判所の審判によって離縁

・817条の10第2項は、同条1項各号に定める法定事由以外の理由による特別養子縁組の離縁を認めていない。

・特別養子縁組により終了した養子と当該養子の実方の父母との親族関係は、離縁をしない限り、養父母の双方が死亡したとしても復活することはない。


民法択一 親族 親子 実子


・婚姻の取消しは将来に向かってのみその効力を生ずるので(748条1項)、取消前に生じた準正の効力には影響がない。

・嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子をいい、婚姻中に懐胎した子は、出生時に婚姻関係になくとも嫡出子となる。

・婚姻成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に解体されたものと推定される(772条2項)。

・婚姻解消の日から300日以内に出生した子について、母とその夫の夫婦関係が離婚の届出に先立ち約2年半以上前から事実上の離婚状態にあり、夫婦の実態が失われ、単に離婚の届出が遅れていたにとどまるという事情の下では、実質的に772条の推定を受けない嫡出子というべきである。=推定の及ばない子

・嫡出否認の訴えは原則として夫のみが提起することができる(民法774条、775条)。例外として、夫が提訴期間内に死亡した場合に、その子のために相続権を害される者その他夫3親等内の血族も提起することができる(人訴41条1項)。→相続権を害されているかにかかわらず当然に妻が嫡出否認の訴えを提起できるわけではない。

・子の真の夫は嫡出否認の訴えを提起することはできない。!!!

・嫡出否認の訴えは、この出生を知った時から(×出生から)1年以内に提起しなければならない(777条)

・「婚姻成立の日」(772条2項)とは、婚姻の届出の日をいうとして、婚姻届出の日から200日以内に出生した子は、772条1項により嫡出子としての推定を受けない。しかし、内縁の妻が内縁関係継続中にその夫によって懐胎し、適法に婚姻した後、婚姻成立から200日以内に生まれた子については、出生と同時に嫡出子たる身分を取得する。!!

・婚姻後200日以内に生まれた子は、嫡出子としての推定を受けない(772条2項)→父子関係は嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えで争うことになる!!!!(なお提訴期間の制限はない)

・夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う(776条)。

・嫡出否認の訴えを提起した場合でも、出生の届出をしなければならず(戸籍53条)、出生の届出は、「嫡出であることを承認した」には当たらない→否認権を失わない。

・妻が産んだ子ではない場合には、そもそも嫡出の推定が及ばないから、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによるべき。

・既に死亡した子の嫡出性を否認することはできない!!!(認知の場合とは異なる)

・夫が戦争で長期間出征しており、妻が夫の子を懐胎することが不可能であったと認められる時期に懐胎したと推認される子には嫡出の推定が及ばないとしている。→父子関係の否定には嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによる。

・親子関係存否確認訴訟は、第三者も提起できる。

・戸籍上の両親以外の第三者による親子関係不存在確認請求がなされた場合において、諸般の事情を考慮し、実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすといえるときには、その確認請求は権利の濫用に当たり許されない。

・第三者が親子関係存否確認の訴えを提起する場合において、親子のうち一方のみが死亡し他方が生存しているときには、第三者は生存している者のみを相手方として訴えを提起できる

・待婚機関(733条1項)に再婚した女が出産した場合、嫡出推定(772条)によってその子の父を定めることができないときは、裁判所がこれを定める。=父子関係の争いは父を定める訴えによることとなる。

・非嫡出子と母との間の親子関係は、原則として、母の認知を待たず、分娩の事実により当然発生する。

・父による任意認知は、原則として認知者である父の一方的意思表示のみに係る単独行為である。=子が未成年者であるときは誰の承諾も必要ない。

・成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない(782条)。

・未成年者が婚姻した場合には、成年に達したものとみなされるから(753条)、当該子を認知するには、その承諾が必要。

・未成年者が認知をする場合、法定代理人の同意は必要ない(780条)。

・認知は要式行為とされており、認知の方式については、戸籍法の定めるところによる届出(781条1項)と、遺言(781条2項)が定められている。→認知の届出がない場合には、父の生前の認知の意思が客観的に明らかであっても認知の効力は生じない!!!

・認知は遺言によっても行うことができる(781条2項)。

・子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる(786条)。

・認知の判決が正当な当事者の間で確定している以上、当該判決は第三者に対しても効力を有するから、これに対して再審の手続きで争うのは別にして、もはや第三者も反対の事実を主張して認知の無効の訴えを提起することはできない。

・認知の訴えは、父の死亡の日から3年間を経過するまでは提起することができる(787条ただし書)。

・死後の認知の場合の被告は検察官である(人事訴訟42条1項)。

・父母が認知をすることができるのは嫡出でない子に限られる(779条)。=すでに嫡出推定が及んでいる子は認知の訴えを提起することはできない。

・父は胎児であっても認知をすることができるが、母の承諾を得なければならない(783条1項)。

・母は胎児を代理して認知の訴え(胎児認知の訴え)を提起することはできない。


民法択一 親族 内縁


・761条の日常家事代位に関する規定は、内縁の夫婦にも適用される。

・内縁関係には婚姻についての規定が準用される余地があるが、成年擬制(753条)は婚姻届出を前提とする制度であるので、準用されない

・内縁の夫婦がその共有する不動産を居住又は共同事業のために共同で使用してきたときは、特段の事情がない限り、両者の間で、その一方が死亡した後は他方がその不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認することが相当であるとして、従前と同一の目的、態様の不動産の無償使用を継続することを認め、内縁の妻を保護した。→相続人からの建物使用に係る不当利得返還請求を拒絶することができる。

・夫婦としての実質的生活関係が存在しており、後に他方の配偶者が届出の事実を知って追認した場合は、婚姻は追認によって届出の当初に遡って有効となる。

・内縁を不当に破棄された者は、相手方に対して婚姻予約の不履行を理由として損害賠償請求をすることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる。

・当事者間の婚姻の予約は適法であるから、これを不当に破棄した者は、相手方に損害を賠償っする責任を負う。しかし、婚姻予約に基づく債務の履行の強制は許されない

・戸籍上の妻の遺族給付受給権を否定することによって、間接的にではあるが、重婚的内縁の妻を保護している。!!

・内縁の子については、722条の趣旨を類推し、内縁の夫の子と事実上推定されるにすぎず、その子は、認知を待たずして、法律上一応推定を受ける父の子として扱われるわけではない。

・内縁の夫の死亡後、内縁の妻は、その相続人の賃借権を援用して賃貸人に対して本件建物の居住権を主張できる。(内縁の妻が相続人と並んで共同賃貸人となるわけではない)

・内縁の配偶者は、自己が他方の配偶者から受けることができた将来の扶養利益の喪失を損害として、加害者に対して損害賠償を請求できる。

・死亡による婚姻の解消の際に財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、法の予定しないところである。→内縁の夫婦の一方の死亡により内縁が解消された場合、財産分与の規定(768条)を類推適用することはできない!!!!

・内縁の夫婦は、婚姻費用の分担の規定(760条)に準じて、共同生活のために必要な費用を分担する。


民法択一 親族 婚姻の解消

・協議離婚の形式的要件(764条・739条・765条1項)に、財産分与に関する協議は挙げられていない。→財産分与に関する協議が調わなくても、協議離婚をすることができる。

・未成年の子(18歳)が離婚をするのには父母の同意は必要ない。

・判例は離婚意思を法律上の離婚関係を解消する意思と形式的にとらえている。→事実上の婚姻関係を維持しつつ、生活保護受給を継続するための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、協議離婚は有効!!!

・成年被後見人が離婚をする場合には、成年後見人の同意を要しない(746条・738条)。

・協議上の離婚によって、婚姻の効果は将来に向かって解消する。←コレ

・詐欺又は強迫によって離婚をした者は、その離婚の取消しを裁判所に請求することができる(764条・747条1項)。そして、取消請求が認められると、離婚届の届出の時点にさかのぼって離婚がなかったことになる(764条は747条を準用しているが、748条を準用していない)

・協議上の離婚は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生じる(764条・739条1項)。

・離婚訴訟は形成訴訟であるから、離婚の請求を認容する判決が確定した時に、判決による離婚の効力が生じる。


・裁判所は、具体的離婚原因がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる(770条2項)。

有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間に対し相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない。

・夫婦が離婚した場合、姻族関係は当然終了するが(728条1項)、夫婦の一方が死亡した場合、婚姻関係は当然には終了せず、生存配偶者(×死亡配偶者の血族)の意思表示により終了する(728条2項)。

・夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる(751条1項)。(家庭裁判所の許可は不要)

・婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する(767条1項)。

・婚姻前の氏に復した夫または妻は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる(767条2項)。

・婚姻により氏を改めた者は、裁判上の離婚によって当然に婚姻前の氏に復し、届け出によって離婚の際に称していた氏を称することができるのであって、裁判所が氏を定めるわけではない。

・婚姻関係が破たんして父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉をすることは、子の監護の一内容であるということができ、別居状態にある父母の間で面接交渉につき協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、民法766条を類推適用し、面接交渉について相当な処分を下すことができる

・協議離婚をする場合に未成年者の子がいるときは、その協議で、父母の一方(共同で親権を行使することはできない)を親権者と定めなければならない(819条1項)

・裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める(819条2項)。

・財産分与と慰謝料請求はその性質を異にすることを前提として、財産分与に慰謝の要素を含めることも可能であるが、財産分与に慰謝の要素を含めた趣旨と解されないか、あるいはそれが慰謝するに足りないときには慰謝料請求は妨げられない

・財産分与と異なり、夫婦の共有財産は、離婚のときから2年以内に分割しなければならないわけではない。

・離婚訴訟において、裁判所は、夫婦の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の額及び方法を定めることができる。

・財産分与によって一般債権者に対する共同担保を減少させる結果になるとしても、それが768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産分与であると認るに足りる特段の事情のない限り、詐害行為となりえない。


民法択一 親族 親族法総則


・自然血族=親子、兄弟のように本来的に血縁関係にある血族

・法定血族=養親子関係など、法律によって血縁関係が擬制された血族

・従兄弟は、傍系だが尊属でも卑属でもない。

・配偶者は親族だが、血族でも姻族でもない特殊な地位にある。!

・親族=6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいう(725条)

・姻族=自己の配偶者の血族、及び自己の血族の配偶者をいう。

・夫の母親と妻の父親は親族ではない!!!

・従兄弟の妻は、4親等の姻族となり親族ではない!!

・直系血族又は3親等内の傍系血族の間の婚姻は禁じられている(734条1項本文)。ただし、養子と養方の傍系血族との間の婚姻は禁止されていない(同上但し書き)←実子と養子との婚姻により「家」を承継させるという慣習が行われていたことから、例外を認めた。

・尊属又は年長者は、これを養子とすることはできない(793条)。→年下の叔父とかを養子にはできない。!

・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、補佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官請求により、後見開始の審判をすることができるとされている(7条)。

・直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があり(877条1項)、家庭裁判所は、特別の事情があるときは、3親等内の親族間においても、扶養の義務を負わせることができる(同条2項)。⇐特別事情とはについてしらべてみる・・・。


民法択一 代理 代理権


・代理権授与行為と代理行為とは一体の法律行為ではなく、独立の法律行為であるから、代理権授与行為が取り消されても、すでになされた代理行為は影響を受けない。!

・権限の定めのない代理人は、保存行為と、権利の性質の変更をともなわない利用または改良行為のみをなしうる。(無利息の金銭貸付行為は権利の性質の変更をともなう利用行為であるから、権限外の行為として無権代理行為となる)

・法定代理人は、やむを得ない事由がないとき(通常)は、復代理人に過失あれば法定代理人に過失なくとも責任を負う

・法定代理人はやむを得ない事由があって復代理人を選任した時には、選任監督上の過失について責任を負う(106条後段、105条1項)。

・任意代理人は、通常は復代理人の選任監督懈怠責任を負う。

・任意代理人は、本人の指名があるときは、不適任・不誠実を知って、本人に通知せず、解任しなかった場合に責任を負う。

・復代理人の代理権は原代理人の代理権の範囲を超えることができず、それを超えた代理行為は無権代理行為となる。

・委任による代理人は本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときに、復代理人を選任できる(104条)。

法定代理人は自己の責任で復代理人を選任することができる(106条前段)

・自己契約、双方代理は禁止されている。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為はこの限りではない。

・自己契約、双方代理⇒無権代理行為となる。⇒本人が追認すれば有効(113条1項)

・代理権は代理人の死亡により消滅する(111条2号)。

・代理権は 本人の死亡により消滅する(111条1項1号)。なお、これと異なる合意も有効

・代理権は代理人が後見開始の審判を受けたことにより消滅する(111条1項2号)。

・後見開始の審判の時期が代理権を与えられた後であり、かつ、代理行為がなされる前であれば、代理権の消滅を主張するものがその事実を主張立証すれば、代理権消滅の抗弁となる。

・委任による代理権は、本人が破産開始の決定を受けると消滅する。なぜなら、本人の破産手続き開始決定は委任の終了自由だから(653条2号)。

・代理人は虚偽表示をする権限はないのであるから、この場合の代理人は代理人とはいえず単に相手方の意思表示を本人に伝達する者となり、そうすると当該意思表示は、本人に対し自己の真意と異なることを知りながらしたものとして心裡留保に当たるとして、93条但し書きにより本人が相手方の真意を知り、又は知りえた場合でない限り有効となる。!!


民法択一 契約の有効性 無効と取消し


・取消権は、追認をすることができるときから5年または行為の時から20年を経過した時に時効によって消滅する。

・ 父が非嫡出子を妻の生んだ嫡出子として届け出ていた場合、嫡出子でない以上、届け出通りの効果は生じないが、届け出の中に認知の意思があるから、その届出には認知としての効力が認められる。(無効行為の転換)!!

・詐欺による意思表示をした者が、相手方から、1か月以上の期間を定めて、その期間内に当該意思表示を追認するかどうかを確答すべき旨の催告を受けた場合、その期間内に確答を発しないときは、その効果を追認したとみなされるわけではない。(詐欺による意思表示をした者に対する関係では、相手方の催告件に関する規定はない)!!

・詐欺または強迫による行為の取消権者は、瑕疵ある意思表示をしたもののほか、代理人もしくは承継人である(120条2項)。

・取り消すことができる行為について担保の供与があった場合は、追認したものとみなされる(125条4号、法定追認)。担保の供与は、取消権者が債務者として担保を供与した場合のみならず、債権者として担保の供与を受けた場合も含む

・追認は、取消しの原因となっていた事情が消滅した後にしなければ、その効力を生じない(124条1項)。また、法定代理人が追認をする場合には、124条1項は適用されず、本人が追認するような制限はない(124条3項)。

・取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消しは、相手方に対する意思表示によってする(123条)。ここでいう相手方は元の相手方(譲渡人)を指し、譲受人ではない。 

・取消しの不当利得返還 制限行為能力者は現存利益についてのみ返還義務を負う(121条但し書き)

・法定追認の場合、追認をなしうる状態になければならないが、現実に取消権のあることまで知っていることは必要とされない。

・「代理人」には、法定代理人と取消権の行使をゆだねられた任意代理人を含む。

・保証人は取消権者ではない!