民法択一 親族 親子 実子


・婚姻の取消しは将来に向かってのみその効力を生ずるので(748条1項)、取消前に生じた準正の効力には影響がない。

・嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子をいい、婚姻中に懐胎した子は、出生時に婚姻関係になくとも嫡出子となる。

・婚姻成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に解体されたものと推定される(772条2項)。

・婚姻解消の日から300日以内に出生した子について、母とその夫の夫婦関係が離婚の届出に先立ち約2年半以上前から事実上の離婚状態にあり、夫婦の実態が失われ、単に離婚の届出が遅れていたにとどまるという事情の下では、実質的に772条の推定を受けない嫡出子というべきである。=推定の及ばない子

・嫡出否認の訴えは原則として夫のみが提起することができる(民法774条、775条)。例外として、夫が提訴期間内に死亡した場合に、その子のために相続権を害される者その他夫3親等内の血族も提起することができる(人訴41条1項)。→相続権を害されているかにかかわらず当然に妻が嫡出否認の訴えを提起できるわけではない。

・子の真の夫は嫡出否認の訴えを提起することはできない。!!!

・嫡出否認の訴えは、この出生を知った時から(×出生から)1年以内に提起しなければならない(777条)

・「婚姻成立の日」(772条2項)とは、婚姻の届出の日をいうとして、婚姻届出の日から200日以内に出生した子は、772条1項により嫡出子としての推定を受けない。しかし、内縁の妻が内縁関係継続中にその夫によって懐胎し、適法に婚姻した後、婚姻成立から200日以内に生まれた子については、出生と同時に嫡出子たる身分を取得する。!!

・婚姻後200日以内に生まれた子は、嫡出子としての推定を受けない(772条2項)→父子関係は嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えで争うことになる!!!!(なお提訴期間の制限はない)

・夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う(776条)。

・嫡出否認の訴えを提起した場合でも、出生の届出をしなければならず(戸籍53条)、出生の届出は、「嫡出であることを承認した」には当たらない→否認権を失わない。

・妻が産んだ子ではない場合には、そもそも嫡出の推定が及ばないから、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによるべき。

・既に死亡した子の嫡出性を否認することはできない!!!(認知の場合とは異なる)

・夫が戦争で長期間出征しており、妻が夫の子を懐胎することが不可能であったと認められる時期に懐胎したと推認される子には嫡出の推定が及ばないとしている。→父子関係の否定には嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによる。

・親子関係存否確認訴訟は、第三者も提起できる。

・戸籍上の両親以外の第三者による親子関係不存在確認請求がなされた場合において、諸般の事情を考慮し、実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすといえるときには、その確認請求は権利の濫用に当たり許されない。

・第三者が親子関係存否確認の訴えを提起する場合において、親子のうち一方のみが死亡し他方が生存しているときには、第三者は生存している者のみを相手方として訴えを提起できる

・待婚機関(733条1項)に再婚した女が出産した場合、嫡出推定(772条)によってその子の父を定めることができないときは、裁判所がこれを定める。=父子関係の争いは父を定める訴えによることとなる。

・非嫡出子と母との間の親子関係は、原則として、母の認知を待たず、分娩の事実により当然発生する。

・父による任意認知は、原則として認知者である父の一方的意思表示のみに係る単独行為である。=子が未成年者であるときは誰の承諾も必要ない。

・成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない(782条)。

・未成年者が婚姻した場合には、成年に達したものとみなされるから(753条)、当該子を認知するには、その承諾が必要。

・未成年者が認知をする場合、法定代理人の同意は必要ない(780条)。

・認知は要式行為とされており、認知の方式については、戸籍法の定めるところによる届出(781条1項)と、遺言(781条2項)が定められている。→認知の届出がない場合には、父の生前の認知の意思が客観的に明らかであっても認知の効力は生じない!!!

・認知は遺言によっても行うことができる(781条2項)。

・子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる(786条)。

・認知の判決が正当な当事者の間で確定している以上、当該判決は第三者に対しても効力を有するから、これに対して再審の手続きで争うのは別にして、もはや第三者も反対の事実を主張して認知の無効の訴えを提起することはできない。

・認知の訴えは、父の死亡の日から3年間を経過するまでは提起することができる(787条ただし書)。

・死後の認知の場合の被告は検察官である(人事訴訟42条1項)。

・父母が認知をすることができるのは嫡出でない子に限られる(779条)。=すでに嫡出推定が及んでいる子は認知の訴えを提起することはできない。

・父は胎児であっても認知をすることができるが、母の承諾を得なければならない(783条1項)。

・母は胎児を代理して認知の訴え(胎児認知の訴え)を提起することはできない。