民法択一 相続 相続の効力 遺産の共有


・連帯債務者の1人が死亡した場合、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる

・被相続人が不動産を相手方に譲渡する義務を負担した場合に、数人の相続人が遺産相続しその債務を承継した時は、各遺産相続人は不可分債務を負担し、相手方は遺産相続人の1人に対し全部の履行を求めることができる。=いずれの相続人も当該不動産の引渡し義務を負う。

・共同相続人は、908条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる(907条1項)

・遺産の分割は、相続開始時に遡ってその効力を生ずる(909条本文)=遺産分割の効力発生日は相続開始時!

・被相続人は、遺産分割方法の指定又は遺産分割の禁止(相続開始から5年を超えない期間)をすることができるが、それらは遺言によってなされなければならない(908条)!

・被相続人は、相続分の指定をすることもできるが、それらも遺言によってなされなければならない(902条1項)。ヘー

・相続人が被相続人から生前贈与や遺贈を受けていた場合は、特別受益として相続分から控除されることになる。

・養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又は死亡保険金は、原則として特別受益とならない。=保険金受取人である相続人とその他共同相続人との間に生ずる不公平が、903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段な事情が存する場合を除き、実質的に保険契約者又は被保険者の財産に属していたものとみることはできない。=特別受益には当たらない。

・被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定めることを第三者に委託することができる(908条)。

・家庭裁判所による遺産分割は、協議が調わないとき、又は協議をすることができないときに、各共同相続人が、家庭裁判所に請求することができる。=各相続人は、他の相続人全員を被告として遺産分割の訴えを提起できるわけではない。!

・遺産分割協議は、相続の開始により共同相続人の共有となった相続財産の全部または一部を各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移させることによって相続財産の帰属を確定させるから、その性質上、財産権を目的とする法律行為ということができ、詐害行為取消権の対象となる。

・各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う(911条)。

・共同相続人間で遺産分割協議が成立した場合に、相続人の1人が協議において負担した債務を履行しない場合であっても、その債務を有する相続人は、民法541条に基づいて当該協議を解除することはできない!!!

・相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人がすでにその分割その他の処分をしたときは、価格のみによる支払いの請求権を有する(910条)。=そのものを含めて改めて遺産分割協議をしなければならないわけではない!!

・共同相続人間における遺産分割の審判が確定した後に、被相続人をちちとする認知の判決が確定し被認知者が相続人となった場合、遺産分割の審判の効力は失われない。


民法択一 時効 総論

・不法行為時から20年を経過する前6か月以内に被害者が心神喪失の状況にあるのに法定代理人を有しない場合、その後後見開始の審判を受け、成年後見人に就職した者が、就職から6か月以内に権利を行使した場合は、158条の法意により、724条後段の効果は生じない。
(なお724条後段は除斥期間)


民法択一 契約の効力発生時期


・停止条件付売買契約において、条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は、期待権を侵害された買主に対して、損害賠償責任を負う。

・条件が成就することによって不利益を受ける者が故意に条件の成就を妨げた場合には、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる(130条)。(当然にみなされるわけではない。みなすことができる。)
・条件の成就によって利益を受ける者が故意に条件を成就した場合、130条の類推適用により条件が成就していないものとみなすことができる。

・婚姻、縁組、認知及び相続の承認・放棄には条件を付けることはできない。!!

・条件が法律行為時に成就していた場合には、その条件が停止条件であれば無条件のものとなる(131条1項)。

・条件が法律行為時に成就しないことが確定していた場合は、その条件が停止条件であればその法律行為は無効となる(131条2項)。

・条件が成就しないことが法律行為時に確定していた場合、解除条件であれば、無条件のものとなる。

・停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみにかかるときは無効とする(134条)。!!!

・不法な条件を付した法律行為は、条件のみが無効となるのではなく、その法律行為全体が無効となる(132条前段)。

・期限の利益の放棄の効力は将来に向かって発生する。(遡及しない) 


民法択一 代理 表見代理


・委任状の任者名義が白地である白紙委任状が、直接交付を受けた者から更に交付を受けた第三者により濫用された場合には、原則として代理権授与表示による表見代理(109条)は成立しない。
 しかし、白紙委任状を何人において行使しても差支えない趣旨で交付した場合には、本人は、契約上の責任を負うことがある。

第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その他人が無権代理人であることについて第三者が知っていることまたは知りえたことを立証しなければ 、その表示した代理権の範囲内で、その他人が第三者との間でした代理行為の責任を負う。 

・単なる事実行為をなす権限は基本代理権足りえない。預金の外交員が単に勧誘行為を委託したのみでは110条の基本代理権とはならない。!!

・約束手形が代理人によりその権限をゆ越して振り出された場合、110条によりこれを有効とするには、受取人が代理人に振り出し権限のあるものと信ずべき正当な理由がある場合に限る。その後の手形所持人が、代理人にこのような権限があるものと信ずべき正当な理由を有していたとしても、110条を類推適用して、所持人に対し振出人をして手形上の責任を負担させることはできない。!

・契約の相手方が110条により有効に権利を取得した後に、転得者がその権利を承継取得した場合、取引の安定のため、転得者は悪意であっても当該権利を取得する。

・代理人が代理権限を逸脱する行為を本人名義で行った場合は110条は適用されない。相手方がこの者を本人であると信じたことに正当な理由があった場合は110条が類推適用される。

・代理権を有する者が行った権限外の行為が、その代理権と何らの関係のない場合であっても、110条の適用がある。


民法択一 代理 無権代理


・本人は相続により無権代理人の債務を承継する(117条1項)。

・無権代理の相手方は本人の追認以前に限り、無権代理行為を取り消すことができる(115条本文)。

・上記取消しは本人・無権代理人のいずれに対してなされてもよい。 !

・ 無権代理行為の相手方は、本人が追認しない間でも、無権代理人に代理権がないことについて悪意の場合は契約を取り消すことはできない(115条但し書き)。

・他人の物を自己のものとして処分した場合、真実の権利者が追認した時は、116条の類推適用により、処分の時に遡って効果を生じる。!!

・上記の場合、 追認後も他人物売主と買主が契約の当事者であるため、真の権利者は、相手方(買主)に対して売買契約に基づく債務の履行を求めることはできない。

・116条但し書きは無権代理行為の相手方の取得した権利と第三者の取得した権利とが、ともに特段の対抗要件を要しないで排他的な主張ができる場合にのみ適用される。!!!

・114条の催告の期間内に本人の確答がない場合は、追認拒絶が擬制され、契約は無効なものとして確定する。 

・無権代理における本人の追認(113条1項、116条本文)は、代理権の欠缺を補充するにすぎないから、無権代理人の法律行為に錯誤や虚偽表示などの無効原因がある場合、本人は、無効を主張できる。ヘー

取消しうべき行為についての法定追認(125条)は、無権代理行為の追認には類推適用されない。→代金受領したことのみをもって、契約成立の効果を主張することはできない。

・成年後見人がその就職前に成年被後見人の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することは、当該契約の内容・性質、双方の経済的利害損失、交渉の経緯、自己の関与した行為の程度など諸般の事情に照らし、正義の観念に反するような例外的な場合でない限り、信義則に反するとは言えない。!

・表見代理は相手方保護の制度であるから、無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反する。フム

・無権代理人が自己に代理権が存するとして土地を売却し、その後、無権代理人が真実の権利者から当該土地を買い受けた場合において、無権代理人の相手方が履行を請求した時は、無権代理人と第三者との間に当該土地の売買契約が成立したのと同様の効果が生じる。!

・無権代理人の117条1項による損害賠償責任は、信頼利益損害の賠償にとどまるものではない。なぜなら、履行に代わるべき損害の賠償責任だから。


民法択一 代理 代理行為

・代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示であっても、代理人が本人のためにすることを相手方において知ることができた場合には、意思表示は本人に帰属する(100条但し書き、99条1項)

・法人の代表機関が代理人により取引をした場合、192条の善意無過失はその代理人について判断する。(101条の趣旨から)!

・ 法人の使用人が法人の目的の範囲外の行為を行い、法人に不当利得が生じたとしても、使用人に法人を代理する権限はないことから、使用人の悪意をもって法人の悪意(704)とすることはできない。!!

・特定の法律行為を委託された場合において、代理人が本人の指示に従ってその行為をしたとき、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することはできない(101条2項前段)。!

・代理人は行為能力者であることを要しない(102条)(未成年者OK)。!!

・制限行為能力者の代理行為を、行為能力の制限を理由に取り消すことはできない。


民法択一 相続 相続人


・代襲の要件たる「相続の開始以前に死亡したとき」(887条2項本文)には同時死亡の場合も含まれる。→父と子が同時に死亡した場合には、孫は子を代襲して父を相続する。
+32条の2の同時死亡の推定とかにも注意

相続放棄は代襲原因ではないため、子が相続放棄した場合は孫は相続人とはならない!!!!!!

・内縁の妻は相続人とはならない。

・胎児は相続については既に生まれたものとみなされる(886条1項)。!!→代襲相続とかもできる

・代襲相続人は、被相続人の直系卑属及び兄弟姉妹の子(←コレ忘れずに)に限られる(887条2項、3項、889条2項)。→妻子のない者が死亡した場合、その母がすでに死亡していた場合、その母の父は代襲相続人とはならない。

・配偶者は被代襲者とはならない。→配偶者の連れ子は配偶者を代襲して相続しない。

・代襲原因は、相続開始以前の死亡、相続欠格及び相続人の排除の3つに限られる(887条2項本文)。=相続放棄は代襲原因とはされない。
=子が死亡していなくても孫は父の代襲相続人となる場合がある。

・故意に相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させて殺人罪(刑法199条)の刑に処せられた者は、相続人となることができない(民法891条1号)。⇔その子は代襲相続はできる

・被相続人の養子が相続開始前に死亡していることは、代襲原因に当たる(887条2項本文)。

・被相続人の養子が縁組前に縁組した養子は、被相続人の直系卑属に当たらず、相続人となることはできない。

・891条1号は欠格事由として、殺人の未遂既遂を問わず、刑に処せられた者と規定している。→疑いで拘留されただけでは「刑に処せられた」とはいえない。

・捜査機関が動き出して告訴告発の必要がなくなった後に犯罪事実を知った相続権者は、891条2号本文の相続欠格者に該当しない。!!

・891条2号本文は被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかったものを挙げている。ただし、その者が是非の弁別がないとき、又は当該殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときはこの限りではない。→殺害者が自己の妹とかなら直系血族じゃないから但し書きには該当しない!!

・相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合に、相続人のこの行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、この相続人は、891条5号所定の相続欠格者には当たらない!!

・遺言者の最終意思を実現するための法形式を整える趣旨で偽造又は変造(←遺言書に欠けていた押印等の方式を補充する行為)した者は、891条5号所定の相続欠格者には当たらない!!!

・廃除(←字に注意)の対象となるのは、遺留分を有する推定相続人である(892条)。→兄弟姉妹は遺留分権者ではない(1028条)から、廃除の対象にならない。

・推定相続人の廃除原因=遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたこと(892条)。→被相続人に対してではなく、他の推定相続人に対して加えられた場合は廃除原因にはならない。

・被相続人は、遺言で推定相続人を廃除することができる(893条)。→必ずしも被相続人自身が生前に家庭裁判所に対して請求品狩ればならないわけではない。

・被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる(894条1項)。


民法択一 相続 相続法総則

・相続財産に関する費用は、相続人の過失によるものを除き、その財産の中から支弁する(885条1項)。→相続財産に関する費用は、すべて相続財産の中から支弁するわけではない。!!


民法択一 親族 扶養

・直系血族及び同居の親族は互いに扶け合わなければならない=親族間には互助義務がある(730条)

730条は倫理的意義のみを有するが、877条で規定される範囲の親族(=直系血族及び兄弟姉妹)には扶養義務が課されている。

・特段の事情がある場合には、家庭裁判所は3親等内の親族間においても扶養義務を負わせることができる(877条2項)

・配偶者が前婚でもうけた子は、1親等の姻族であり、3親等内の親族に含まれる(725条3号)。→他方が前婚でもうけた子に対して扶養義務を負うことがある。

・配偶者の兄弟姉妹の配偶者は親族ではない。→夫婦の一方は、他方の兄弟姉妹の配偶者に対して扶養義務を負うことはない。

・扶養権利者が数人いる場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養の順序の決定は、当事者の協議によるのが原則である。

・当事者間に協議が調わないとき又は協議をすることができないときは家庭裁判所の審判による(878条後段)

・扶養権利者を扶養してきた扶養義務者が、他の扶養義務者に対して過去の扶養料の求償を求める場合の各自の分担額は、当事者の協議が調わない限り家庭裁判所が審判で決定すべきであり、通常裁判所が判決手続きで判定すべきではない!!!


民法択一 親族 任意後見制度

・任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

・家庭裁判所が任意後見監督人を選任する要件
①任意後見契約が締結されていること
②任意後見契約が登記されていること
③精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあること
④本人配偶者等の請求があること

・任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判をすることができる。