トマ・ピケティ 21世紀の資本 7 格差と集中~予備的な見通し~

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格差と集中

・両世界大戦と公共政策が20世紀における格差縮小に大きな役割を果たした

労働所得の格差
所有資本とそれが生む所得の格差
相互作用

1.ヴォートランのお説教
勤勉さより遺産の方が価値のある社会

2.重要な問題~労働か遺産か~

3.労働と資本の格差

4.資本~常に労働よりも分配が不平等~

5.格差と集中の規模感

6.下流、中流、上流階級

7.階級闘争、あるいは百分位闘争?

8.労働の格差~ほどほどの格差~

9.資本の格差~極端な格差~
もっとも平等な国の富の格差ですら、賃金についてもっとも不平等な国の賃金格差よりも大きい
富の大きな部分は常に金融と事業資産が主体

10.20世紀の大きなイノベーション~世襲型の中流階級~

11.総所得の格差~2つの世界~
極端な格差が維持できるかどうかは、抑圧装置の有効性だけでなく、格差を正当化する仕組みの有効性に左右される。

高水準の格差を達成する方法
①超世襲社会
②超能力主義社会

12.総合指標の問題点
ジニ係数
0=平等
1=不平等

過度に事象を単純化しすぎている

13.公式発表を覆う慎みのベール
最上位を無視する方法論の採用は中立的ではない
故意に不平等を楽観視するような操作が加えられている

14.社会構成表と政治算術に戻る


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トマ・ピケティ 21世紀の資本 6 21世紀における資本と労働の分配

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21世紀における資本と労働の分配

1.資本/所得比率から資本と労働の分配へ
核となるのは、資本の収益率

2.フロー~ストックより更に推計が困難~

3.純粋な資本収益という概念

4.歴史的に見た資本収益率
純粋資本収益率の事実上の安定

5.21世紀初期の資本収益率
税を考慮すると、資本による純粋な経済収益率と、所有者個人にもたらされる収益率に大きな差が生じる

民間資産の大半を占める不動産や金融商品への投資で、平均収益率を引き上げている

6.実体資産と名目資産
名目資産はインフレのリスクがある。

7.資本は何に使われるか
住居の提供
他の財サービスを生み出す生産要素

8.資本の限界生産性という概念
資本を1単位追加したことによる生産増加分の価値

9.過剰な資本は資本収益率を減らす
限界生産性は量がある閾値を超えると減少する
代替弾力性の数値により異なる

10.コブ=ダグラス型生産関数を超えて
~資本と労働の分配率の安定性という問題~
代替弾力性が1の場合に相当。

11.21世紀の資本と労働の代替
~弾力性が1より大きい~

12.伝統的農業社会
~弾力性が1より小さい~

13.人的資本は幻?
土地建物金融資本が所得に占める割合を減少させたのは、人的資本の力が高まったせい?


労働によって都合の良い方向に技術が変化したとしても、超長期的な資本シェアが減少するとは限らない
資本の有用性は変わっていない

14.資本と労働の分配の中期的変化

15.再びマルクスと利潤率の低下
無限蓄積の原理
資本家たちが資本を蓄積しすぎると収益率が下がる
→自滅

16.二つのケンブリッジを超えて

17.低成長レジームにおける資本の復権
低成長社会が大きな資本ストックを再構築する

18.技術のきまぐれ
資本と所有からくる所得フローの重要性を減らす自然の力は存在しない

経済的技術的合理性を追求した進歩が、必ずしも民主的能力主義的合理性に向かう進歩を意味するわけではない

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トマ・ピケティ 21世紀の資本 5 長期的に見た資本/所得比率

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長期的に見た資本/所得比率

1.資本主義の第二基本法則

資本/所得比率 (β)= 貯蓄率(s)/成長率(g)

→たくさん蓄えてゆっくり成長する国は、長期的には莫大な資本ストックを蓄積し、社会構造と富の分配に大きな影響を与える
停滞した社会では過去に蓄積された富が大きな重要性を持つ

2.長期的法則
第二法則の実現には時間がかかる
第二法則が有効なのは人間が蓄積できる資本に注目した場合のみ
第二法則は資産価格が平均で見て、消費者物価と同様に推移する場合のみ

3.1970年代以降の富裕国における資本の復活
経済成長の鈍化、人口増加の低迷、貯蓄率の高さ
→第二法則

民営化
長期的なキャッチアップ現象

4.バブル以外のポイント~低成長、高貯蓄~

5.民間貯蓄の構成要素二つ
・民間個人が直接行った貯蓄

・企業がその所有者である民間個人にかわり、直接的あるいは金融投資を通じて間接的に行う貯蓄

・純貯蓄のみが資本ストックを増加させられる。

6.耐久財と貴重品
民間財産には家計による耐久財の購入は含まれない
貴重品は含む

7.可処分所得の年数で見た民間資本
・可処分所得
世帯が直接処分する家計収入のこと

8.財団などの資本保有者について

9.富裕国における富の民営化

10.資産価格の歴史的回復

11.富裕国の国民資本と純外国資産

12.21世紀の資本/所得比率はどうなるか?
U字曲線をかく

13.地価の謎
資本/所得比率の上昇は、純粋な市街地の価値増加では説明できない


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トマ・ピケティ 21世紀の資本 4 古いヨーロッパから新世界へ

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古いヨーロッパから新世界へ

1.ドイツ~ライン型資本主義と社会的所有~
インフレで公的債務を埋めた。

民間財産が国富のほぼすべてを占めている。

ドイツの民間財産が英仏に比べて少ないのは、住宅の価格の統制と、ドイツ企業の市場価格の低さにある。

ドイツ企業の市場価値の低さはライン型資本主義(利害関係者モデル)の反映らしい。
=利害関係者(労働者代表等)の参加

2.20世紀の資本が受けた打撃
2階の戦争が財政と政治に与えた打撃の方が、実際の戦闘よりも大きな破壊的影響を資本にもたらした。

金融規制、配当課税、利潤課税

3.米国の資本~ヨーロッパより安定~
20世紀の米国の
資本/所得比率
は、ヨーロッパに比べてはるかに安定

4.新世界と外国資本
米国の対外投資は、外国が保有している債権に支払う額をはるかに上回る収益をもたらし続けた。
←ドルに対する信頼がもたらした特権

5.カナダ~王国による所有が長期化~

6.新世界と旧世界~奴隷制の重要性~

奴隷制度に基づく富は、富の集中の最たるものであった。
南部では奴隷資本が土地資本を補い、上回っていた

7.奴隷資本と人的資本


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トマ・ピケティ 21世紀の資本 3 資本の変化

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資本の変化

1.富の性質
19世紀初頭において富はレントを生み出すためのものだった
大抵は土地か国債

常にリスク志向で起業精神にあふれているが、十分に蓄財すると必ずレントに変わろうとする

2.イギリスとフランスにおける資本の変化
20世紀初頭の水準に回復した。

・国民資本=農地+住宅+他の国内資本+純外国資本

3.外国資本の盛衰
純外国資産のポジションが非常に高かったため、イギリスとフランスは構造的な貿易赤字を出していた。
=輸出するよりも多くの財・サービスを外国から受け入れていた

国際収支は大きくプラスとなり外国資産を毎年増やせた。
取引の黒字を出して植民地を併合し、外国資産を蓄積する目的は、まさに貿易赤字を出せる立場に立つことであった。

貿易黒字を出していても利益は得られない。
モノを所有する利点は、労働なしに消費を続けられること、もしくは、消費を続けて自分が生産するよりも多くを蓄財することである。

4.所有と富~どの程度の規模か~

5.公共財産、民間財産
国民資本=公的資本+民間資本
公的資本=国の資産と負債の差

公共資産
非金融資産・金融資産

・イギリスフランスでは、民間資本の99~95%を民間資本が占める。

6.歴史的観点から見た公共財産

7.イギリス~民間資本の強化と公的債務~
イギリスの公的債務の水準の高さがイギリス社会の民間財産の影響力を増した。

財産持ちの立場からすると、無償で税を納めるより、国に貸し付けて利息を受け取る方が有益だった。

財政赤字によって民間財産に対する需要が増加したせいで、財産からの収益が増えた。

8.公的債務で得をするのは誰か
19世紀、民間財産は公的債務により増加
20世紀、負債はインフレに埋もれた。財政赤字は実質的に国にお金を貸した人の資金で埋め合わされた。
インフレによる再分配。

9.リカード等価定理の浮き沈み
・リカード等価定理
ある状況下において公的債務は国民資本の蓄積に影響しない。
公的債務の増加は民間貯蓄の増加で賄われていた

10.フランス~戦後の資本家なき資本主義~
私的資本主義に対して、強い公的規制と監督が存在する混合経済
大企業を掌握するのが民間所有者ではない国家資本主義

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トマ・ピケティ 21世紀の資本 2 経済の成長

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経済の成長~幻想と現実~

・21世紀は低成長時代になるかもしれない。
(低成長時代の方が常)

・産出の成長を
人口の増加と1人当たりの産出の成長とに分ける

1.超長期で見た経済成長

2.累積成長の法則
低い成長率でもきわめて長期にわたれば、かなりの進歩につながる

資本収益率や経済成長率の、一見すると小さな違いでも、長期的には社会的格差の構造や力学に対し、強力で不安定化するような影響をもたらせる。

3.人口増加の段階
人工増の加速時期は抜け出し、人口転換に向かっている。
低人口増期に戻る

4.マイナスの人口増加?

5.平等化要因としての人口増加
人口増加が大きいと格差低下につながりやすい。
←相続財産の重要性を引き下げるから。

・経済成長率が高いと、新しい経済機能や社会機能や専門活動が作られ、世代ごとに新規技能が要求される。
=富の格差の再生産と拡大を制限してくれる

6.経済成長の段階

7.購買力の10倍増とは

8.経済成長~ライフスタイルの多様化~
・サービス部門での生産性向上は他ほど急速ではなかったので、サービスで見た購買力はずっと増え方は少ない。

・国民経済計算での慣習では、公的資本については、報酬を全く計算しないことになっている。

9.成長の終わり?

10.年率1パーセントの経済成長は大規模な社会変革をもたらす。
社会格差の構造や富の分配力学にとって重要な意味を持つ

11.戦後期の世代
フランス・ドイツ・日本は戦後どのような政策をとっていたとしても戦後の崩壊のあと、英米に追いついた可能性が高い。
技術の最前線に追いつくまで。

12.世界成長の二つの釣鐘曲線
世界1人当たりの産出成長率は、人口増加率のたどった釣鐘曲線と比べて、
人口ピークより遅くなる
ゼロまで下がらない

この二つの曲線を足すと、世界の総産出成長率となる

13.インフレの問題
相対価格の問題に加え、インフレ自体は富の分配力学に根本的な役割を果たす。

14.18・19世紀の通貨大安定
インフレは20世紀の現象

15.古典文学にみるお金の意味

16.20世紀における金銭的な目安の喪失
金本位制度の廃止
世界大戦がもたらしたインフレの影響
お金の意味があいまいになった


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トマ・ピケティ 21世紀の資本 1 所得と産出

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・生産からの収入は労働と資本の間でどう山分けされるべきか。

・分配問題の2つの側面
①労働と資本が生産要素として抽象的に均質な存在とみなされる要素分配の側面
②個人レベルにおける労働と資本からの所得の格差を考慮した個別分配の側面

・資本からの所得は、常に労働からの所得格差より大きい

1.長期的に見た資本・労働の分配
実は不安定なものである。

2.国民所得の考え方
ある国で住民たちに提供されているその年すべての所得の総和

GDP-資本の減価償却部分=国内純生産
国内純生産+外国からの純収入=国民所得

3.資本とは
・国民所得=資本所得+労働所得
資本の定義から人的資本を外している

4.資本と富
資本は価値を蓄積するものでもあり、生産要素でもある

国富=民間財産+公的財産
国富=国民資本=国内資本+純外国資本

所得=フロー=ある期間の間に生産され分配された財の量
資本=ストック=ある時点で所有されている富の総額

5.資本主義の第一基本法則
α(国民所得の中で資本からの所得を占める割合)=γ(資本収益率)×β(資本/所得比率)

6.国民経済計算~進化する社会構造物~

7.生産の世界的な分布

8.大陸ブロックから地域ブロックへ

9.世界の格差
富裕国と貧困国の格差は収斂しつつある

10.世界の所得分配は産出の分配よりももっと不平等
富裕国は所得の低い国にある資本からの所得のフローを一部受け取っている

11.収斂に有効なのはどんな力?
富裕国による投資は貧困国の生産性をあげる。
しかし、
この均質化メカニズムは1人当たりの所得の収斂を保障しない。産出の収斂をもたらすだけ。
人的資本への投資は自力でしなければならない。

自由貿易からの利益は主に、
知識の普及と国境開放で必要となった生産性向上からくる!
専門特化からくる静的な利益はわずかなものである。

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