ロバートBライシュ 最後の資本主義 1 支配的な見方




 

支配的な見方

・この世のどこかに「自由市場」という概念が存在しており、そこに政府が「介入する」というのは誤り。

これを認めると、市場が作り出す不平等を肯定することになってしまう。

・どんな市場にも政府による規制と執行が必要。政府は自由市場に介入するどころか政府が市場を創造する。

・自由市場と政府のどちらがましかという不毛な議論を続けていれば、誰が権力を行使し、どんな恩恵を得ているのかを調べることが困難になる。

・大銀行が窮地に陥った場合には政府が補助してくれる暗黙の了解→財務上の優位→金融界全体への支配→政治力を高め、自分の望むルールを作らせる。

・昨今の取引できる物は複雑なものが多い。かかる複雑さが特定の者が利益を得るルールであることをわかりにくくしている。

 


ロバートBライシュ 最後の資本主義 0 はじめに




 

はじめに

経済とは将来への希望を生み出すものだった。世の中のルールは公正に機能していた。

⇔今は・・・恣意的な采配や不公正が横行

自由経済の基本理念に寄せる人々の信頼感が損なわれた。

・資本主義を脅かしているのは、現代社会の成長と安定に不可欠な「信用」の弱体化。成功の機会が公平に与えられていると信じなくなった。

→人々の自発的な協力という暗黙の社会契約によって成り立つ現代社会が瓦解。

・経済資源は徐々に生産するためのものから、既にあるものを守るためのものへと変質する。

・グローバル化と技術革新が多くの人から競争力を奪ってしまった。

解決策として、富裕層へ増税して、貧困層へ再分配、及び教育への投資。

 

1.問題は政府のサイズではなく、ルールの作られ方

政治権力が企業や金融セクターのエリートたちにより集中するようになり、経済を動かすルールにまで影響を与えるようになっている。

・中間層の弱体化→富裕層がさらに富を蓄積するために作り出した新たな市場

市場の内部で富裕層への事前分配が起きたのだが、市場の内部の出来事であったため、気づかれにくかった。

・ワーキングプアとノンワーキングリッチの両方が同時に急増している。

=報酬と努力が連動していないことを証明している。

・市場内部で未分配のまま富がトップに集中していくために、市場の外では税金や給与を通じた再分配が求められている。

・大多数の人々を拮抗勢力として再集結させるために組織化して統一すること。

・自分を利することのない市場ルールに不満を持つ者が政治不満を広げる。

 

2.資本主義を救え

資本主義を大多数の人々を利するものに変える。

社会の上層にある過剰な政治力や経済力を懸念

 


小倉昌男 経営学 15 経営リーダーの10条件




 

経営リーダーの10条件

 

1.論理的思考

計画と予測。前提条件があり、与件が与えられ、目標が決められ、行動に移す。

たくさん与件を考慮し、重みづけをする。

人間にかかわる与件は不確実。

論理的に予測をする。

 

 

2.時代の風を読む

時代の社会の変化に影響される

 

3.戦略的思考

戦略=経営目標を実現するための長期的な戦略

会社にとって今何が一番必要なのかを判断する

 

4.攻めの経営

需要を創り出すこと

需要はあるものではなく、つくるもの。

後継者の育成

 

 

5.行政に頼らぬ自立の精神

 

6.政治家に頼るな、自助努力あるのみ

腐れ縁と化す

 

7.マスコミとの良い関係

会社の認知度が高まる。

自社の社員への情報提供になる

 

8.明るい性格

9.身銭を切ること

10.高い倫理観

企業の目的は、永続すること。利益は手段であり、企業活動の結果である。

地域社会に対し有用な財やサービスを提供し、雇用で生活の基盤を支えること。

 

+あとがき

倫理観と、利用者に対する使命感

 


小倉昌男 経営学 14 組織の活性化




 

組織の活性化

組織の肥大化を防ぎ、活性化の道を探る

 

1.戦後の組織論~ライン・スタッフ制~

製造及び販売の基幹部門をライン部門と規定

支援部門をスタッフ部門

これは、製造業を対象とした組織論

 

2.事業部門の流行

事業内容を1単位として考える組織論

独占禁止法緩和以降は持ち株会社にした方がスピード化を図れる

 

3.個人償却制

企業内に社員による個人企業を抱えるシステム

 

4.ピラミッド組織からフラットな組織へ

組織をフラット化すれば年功序列になる危険性が減る

企業の利益計算単位を末端の第1線に移せる

 

 

5.人事考課の制度

上司の目は頼りにならない

下からの評価と横からの評価

 

 


小倉昌男 経営学 13 財務体質の強化




 

財務体質の強化

 

1.宅急便以前の状況

資本を増強して設備投資をする必要性

資金繰りは銀行借入にたよらざるえない。

メインバンクの必要性

 

2.資金調達の多様化

公募増資

宅急便の現金での運賃収入

社債転換

良いサービスを出発点にしてよい循環を

 

3.日銭の入る商売

日銭の入る有利さ

 

 


小倉昌男 経営学 12 新商品の開発




 

新商品の開発

 

1.スキー宅急便

スキー手ぶらサービス

 

2.ゴルフ宅急便

似通った名前のゴルフ場が多い・・・

プレーの前日に配達

横にすると破損の危険

宅急便を基本としているが別の業態

 

3.クール宅急便

電源の問題。蓄冷剤によるクール宅急便

生鮮食料品の輸送市場

 

4.コレクトサービス

通信販売事業の成長

代金引換えサービス

・品物を荷主から受け取った時点から1週間で荷主である通販会社に品代金を支払うシステム=コレクトサービス

手数料収入

無利息の金を数日間扱えるメリット

 

 

5.ブックサービス

宅急便ネットワークを活用して物品販売の世界に出る

書籍の流通業界は特殊(出版社→取次業者→小売)

電話で注文を受けて宅急便で届ける

出版社に在庫がないケースが多い

本の代金の回収はヤマトコレクトサービス

 

 


小倉昌男 経営学 11 業態化




 

業態化

1.業態化とは

同じ業種でも業態は異なる

 

2.トヨタと組んだウォークスルー車の開発

労働集約産業である運送業では、作業性は走行能力よりも重要。

運転者が運転席から直接荷物室に入れる。

 

3.自動仕分け機の導入

仕わけ能力は人力の方が優れていた。

人力の部分の組み合わせ方が大切。

 

4.情報システム

 


小倉昌男 経営学 10 労働組合を経営に生かす




 

労働組合を経営に生かす

会社と労組は運命共同体

 

1.組合の役割

労働組合は建前の世界に漬かっており、本音の議論をしたがらない。

同じ社員が従業員の立場で言う内容と組合員の立場でいう内容が違う。

・労働組合には経営をチェックする機能がある。

・管理職から以外に末端の情報を得る手段。

 

 

2.リストラをしない法

社員種別を多様化し、いざというときに雇用を縮小しやすくする。

 

3.労使間で信頼を築く

事務員と労務職を労職一本化。

経営に関する重要な問題を支障のない限り組合の幹部に話した。

 

4.現場の情報をどうすくいとるか

クレームの情報が管理職経由では上に伝わりにくい。

労働組合からの方が伝わりやすい。

 

5.そして一心同体

会社と組合は運命共同体である。

 


小倉昌男 経営学 9 全員経営




 

全員経営

全員経営とは、経営の目的や目標を明確にしたうえで、仕事のやり方を細かく規定せずに社員に任せ、自分の仕事を責任をもって遂行してもらうこと。

 

1.現場が自発的に働く体制

第一線のドライバーを中心とした営業及び作業の体制を作ることとした。

全員経営体制は、労使間の信頼を前提にしている。

 

2.セールスドライバーは寿司屋の職人

お客さんの立場に立って考える

 

3.優秀なフォワードたれ

SDの働きからすべてが始まる

 

4.米国はプロ野球、日本は学生野球

・米国は能力を買って契約する

・日本は潜在能力をみて社風に合ってるかを重視。

・集団主義は個人的な能力を高めるのには適当ではない点があるが、企業への忠誠心が高いという点にメリットがある。

社員に必要とされるスキルが変わっても、社内での教育で対応。

企業への貢献度により評価する制度。

 

 

5.日本人にとって働き甲斐は生き甲斐

潜在的に会社への参画意識がある

 

6.やる気のある社員集団

コミュニケーション

内容を具体的にあいまいでないものを。

目標を伝える。

 


小倉昌男 経営学 8 ダントツ三ヵ年計画、そして行政との闘い




 

ダントツ三ヵ年計画、そして行政との闘い

他社に先駆けて上の水準を目指す

非効率な許認可行政

民間企業は無用な規制に安易に屈してはならない。

 

1.創業五年で採算点クリア

サービスの差別化をおし進めた結果

徹底した業態化。商業貨物の大量取引を減らす。

 

2.ダントツ三ヵ年計画

他社の新規参入

・宅急便の全国網の完成

・翌日配達区域の拡大

・実現するための営業、作業の体制づくり

荷物の動きを登録管理する情報システム

 

・新ダントツ三ヵ年計画

2便制の導入、携帯端末の利用

 

・ダントツ三ヵ年計画3

数値を掲げる。

 

 

3.運輸省との闘い

利用する道路ごとに路線免許が必要とされていた。

免許申請と、同業者の持っている営業権の買収

道路運送法の恣意的な運用

 

4.モデルチェンジ、そして再び運輸省との闘い

宅急便での独自の運賃設定についての争い

そもそも運輸省に指示を出す権限はないはずである。

運輸省がトラック協会とだけ話し合い、事業者を無視している

世論を味方につける

 

 

5.過疎地の営業は赤字、のウソ

郡部へのサービスの拡大

販売促進に効果。