民法択一 相続 相続人


・代襲の要件たる「相続の開始以前に死亡したとき」(887条2項本文)には同時死亡の場合も含まれる。→父と子が同時に死亡した場合には、孫は子を代襲して父を相続する。
+32条の2の同時死亡の推定とかにも注意

相続放棄は代襲原因ではないため、子が相続放棄した場合は孫は相続人とはならない!!!!!!

・内縁の妻は相続人とはならない。

・胎児は相続については既に生まれたものとみなされる(886条1項)。!!→代襲相続とかもできる

・代襲相続人は、被相続人の直系卑属及び兄弟姉妹の子(←コレ忘れずに)に限られる(887条2項、3項、889条2項)。→妻子のない者が死亡した場合、その母がすでに死亡していた場合、その母の父は代襲相続人とはならない。

・配偶者は被代襲者とはならない。→配偶者の連れ子は配偶者を代襲して相続しない。

・代襲原因は、相続開始以前の死亡、相続欠格及び相続人の排除の3つに限られる(887条2項本文)。=相続放棄は代襲原因とはされない。
=子が死亡していなくても孫は父の代襲相続人となる場合がある。

・故意に相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させて殺人罪(刑法199条)の刑に処せられた者は、相続人となることができない(民法891条1号)。⇔その子は代襲相続はできる

・被相続人の養子が相続開始前に死亡していることは、代襲原因に当たる(887条2項本文)。

・被相続人の養子が縁組前に縁組した養子は、被相続人の直系卑属に当たらず、相続人となることはできない。

・891条1号は欠格事由として、殺人の未遂既遂を問わず、刑に処せられた者と規定している。→疑いで拘留されただけでは「刑に処せられた」とはいえない。

・捜査機関が動き出して告訴告発の必要がなくなった後に犯罪事実を知った相続権者は、891条2号本文の相続欠格者に該当しない。!!

・891条2号本文は被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかったものを挙げている。ただし、その者が是非の弁別がないとき、又は当該殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときはこの限りではない。→殺害者が自己の妹とかなら直系血族じゃないから但し書きには該当しない!!

・相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合に、相続人のこの行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、この相続人は、891条5号所定の相続欠格者には当たらない!!

・遺言者の最終意思を実現するための法形式を整える趣旨で偽造又は変造(←遺言書に欠けていた押印等の方式を補充する行為)した者は、891条5号所定の相続欠格者には当たらない!!!

・廃除(←字に注意)の対象となるのは、遺留分を有する推定相続人である(892条)。→兄弟姉妹は遺留分権者ではない(1028条)から、廃除の対象にならない。

・推定相続人の廃除原因=遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたこと(892条)。→被相続人に対してではなく、他の推定相続人に対して加えられた場合は廃除原因にはならない。

・被相続人は、遺言で推定相続人を廃除することができる(893条)。→必ずしも被相続人自身が生前に家庭裁判所に対して請求品狩ればならないわけではない。

・被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる(894条1項)。


民法択一 相続 相続法総則

・相続財産に関する費用は、相続人の過失によるものを除き、その財産の中から支弁する(885条1項)。→相続財産に関する費用は、すべて相続財産の中から支弁するわけではない。!!


民法択一 親族 扶養

・直系血族及び同居の親族は互いに扶け合わなければならない=親族間には互助義務がある(730条)

730条は倫理的意義のみを有するが、877条で規定される範囲の親族(=直系血族及び兄弟姉妹)には扶養義務が課されている。

・特段の事情がある場合には、家庭裁判所は3親等内の親族間においても扶養義務を負わせることができる(877条2項)

・配偶者が前婚でもうけた子は、1親等の姻族であり、3親等内の親族に含まれる(725条3号)。→他方が前婚でもうけた子に対して扶養義務を負うことがある。

・配偶者の兄弟姉妹の配偶者は親族ではない。→夫婦の一方は、他方の兄弟姉妹の配偶者に対して扶養義務を負うことはない。

・扶養権利者が数人いる場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養の順序の決定は、当事者の協議によるのが原則である。

・当事者間に協議が調わないとき又は協議をすることができないときは家庭裁判所の審判による(878条後段)

・扶養権利者を扶養してきた扶養義務者が、他の扶養義務者に対して過去の扶養料の求償を求める場合の各自の分担額は、当事者の協議が調わない限り家庭裁判所が審判で決定すべきであり、通常裁判所が判決手続きで判定すべきではない!!!


民法択一 親族 任意後見制度

・任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

・家庭裁判所が任意後見監督人を選任する要件
①任意後見契約が締結されていること
②任意後見契約が登記されていること
③精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあること
④本人配偶者等の請求があること

・任意後見契約が登記されている場合には、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り、後見開始の審判をすることができる。


民法択一 親族 保佐補助

・保佐人が本人の居住用不動産を処分する場合、家庭裁判所の許可を得る必要がある(876条の5第2項、859条の3)。

・保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人(×保佐監督人)の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(876条の2第3項本文)

・補助開始の審判において、家庭裁判所が、請求により、特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をした場合に代理権が付与されることとなる(15条3項、876条の9第1項)。=補助開始の審判がされる場合において、補助人は当然に代理権を付与されるわけではない。

・補助人は複数選任することができる(876条の7第2項、843条第3項)。

・補助人に法人を選任することも可能である(876条の7第2項、843条4項かっこ書)


民法択一 親族 後見


・成年後見は、後見開始の審判があった時に後見が開始する(836条2号)。

・未成年後見は、未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有していないときに開始する(836条1号)。→後見を開始するには、必ずしも後見開始の審判は必要ではない!

・単独親権者が成年被後見人であるときは、「未成年者に対して親権を行う者がないとき」(838条1号前段)に当たり、子のために後見が開始する。→単独親権者の後見人がこの親権を行うわけではない!!

・未成年後見人が選任されている未成年者についても、後見開始の審判をすることができる!!!

・839条の規定により未成年後見人となる者がいない場合は、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって(×職権)、未成年後見人を選任する(840条1項前段)。

・後見開始の審判(7条)は、本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合に、家庭裁判所が、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人または検察官の請求によりすることができる。

・家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する(843条1項)。
上との違いに注意!!

・家庭裁判所は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、後見開始の審判をするときは合わせて成年後見人を選任する(843条1項)。

・未成年後見人がある場合でも、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で更に未成年後見人を選任することができる(840条2項)。

・成年後見人が欠けたときは、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する(843条2項)。

・成年後見人の場合と同様、未成年後見人の人数につき制限はなくなった←842条削除

・法人は成年後見人になることができる(843条4項かっこ書き)

・後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族、検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。(846条)

・成年後見人は、成年被後見人の意思を尊重しなければならない(858条)。

・成年後見人は、成年被後見人の財産に関する法律行為について、成年後見人を「代表」する(859条1項)が、この「代表」とは、代理と同じ意味に解されている。

・後見人の代理権は、法定代理権であり、原則として成年被後見人の財産に関するすべての法律行為に及ぶ。→成年後見人の意思に反した場合であっても、無権代理とはならない。

・未成年後見人は、善良な管理者の注意をもって、後見の事務を行わなければならない(869条・644条)。

・成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住用に供する建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。(859条の3)。

・未成年者は後見人となることができない(847条1号)。

・被後見人に対して訴訟を提起した者の配偶者は後見人になることはできない(847条4号後段)。

・後見人の配偶者は、後見監督人となることができない(850条)。

・未成年後見人は、子の監護教育権(820条)について、親権者と同一の権利義務を有する(857条本文)。

・ただし、親権者が定めた教育方法、居所を変更する場合などは、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない(857条ただし書)!!

・後見開始原因が消滅した時は、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない(10条)。

・共同相続人の1人がほかの共同相続人の全部または一部の者を後見している場合に、後見人が被後見人を代理してする相続の放棄は、後見人自らが相続の放棄をした後にされたか、又はこれと同時にされたときは、利益相反行為にあたらない。!!!!

・後見監督人がいない場合で、後見人と被後見人との利益が相反する行為について、860条本文は826条を準用しており、特別代理人の選任が必要である。


民法択一 親族 親権


・協議離婚に際して、夫婦の間に未成年の子がある場合には、父母の協議で、一方を親権者と定めなければならない(819条1項)→親権者を定めなければ離婚届が受理されない(765条1項、819条1項)。

・協議離婚に際して、必ずしも、親権者の他に監護権者を定める必要はない。

・子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う(819条3項本文)!!!

・子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる(819条3項ただし書)

・裁判上の離婚の場合は、裁判所が父母の一方を親権者と定める(819条2項)。=協議で定めることはできない。

・父母が共同して親権を行う場合、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし、又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない!!ただし、相手方が悪意であった場合はこの限りではない(825条)。!!

・父母は、その協議により、嫡出でない子について、一方が親権を、他方が監護権を行使すると定めることができる。 フム・・・

・父が認知した子に対する親権は、父母の協議又は家庭裁判所の審判で父を親権者と定めた場合に限り、父が行う(819条4項、5項)

・嫡出でない子は母の氏を称する(790条2項)。

・もっとも、父が認知をしたときは、「子が父または母と氏を異にする場合」(791条1項)に当たり、子は家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父または母の氏を称することができる。

・養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、養子となる者に代わって、縁組の承諾をすることができる(797条1項)。

・この承諾につき、養子となる者の父母でその監護すべきものがほかにいる場合には、その同意も得なければならない。

・さらに、養子となる者の父母で親権が停止されている者があるときには、その同意も得なければならない。

・子の利益のために必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求(×職権)によって、親権者を他の一方に変更することができる(819条6項)。

・子の親が未成年者であるときは、この未成年者の親権者又は後見人が親権を行う(833条、867条)。

・父母の婚姻中には親権共同行使の原則(818条3項本文)があり、一方の意思に反して行われた親権行使としての法律行為は原則として無効となる。

・上記例外として、父母の共同名義で行われた場合には、善意の第三者保護のために有効となる(825条)。⇔単独名義で行われたら有効となる余地はなく、善意の第三者も保護されない。

・親権者の変更は、子の利益のために必要があると認めるときに、子の親族の請求によって家庭裁判所が行う(819条6項)→父母の協議によって一方に定めた親権者を他方に変更する場合、再度協議によって変更することはできない。

・親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、子の財産管理を行わなければならない(827条)。

・親権者の代理権限は、原則として財産上の行為に限って認められる(824条本文)。

・しかし、一定の場合に親権者が子に代わって身分行為をなし得る。⇒認知の訴えの提起(787条)、15歳未満の子の縁組の代諾(797条1項)、15歳未満の子の離縁の代諾及び訴えの提起(811条2項、815条)、未成年者が養親となる縁組をした場合の取消請求(804条)、未成年者が養親となる縁組をした場合の取消請求(804条)、相続の承認・放棄

・利益相反関係にある親権者は特別代理人の選任を求め(選任を家庭裁判所に請求)、特別代理人と利益相反の関係にない親権者と共同して代理行為をなすべき。→母と子のみに利益相反関係がある場合に、父は特別代理人の選任を求め、共同して代理行為をしないといけない。
+特別代理人の選任なしに、家庭裁判所の許可を得れば利益相反行為をすることができるわけではないことに注意!

・親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割手続きを行うことは、利益相反行為になる。!

・親権者自身が金員を借り受けるに当たり、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、かりにその借受金を子の養育費に充当する意図があったとしても、利益相反行為に当たる。!!

・上記の事案で、連帯保証契約の締結も利益相反行為に当たる。=第三者の金銭債務につき、父母が連帯保証するとともに、父母が子を代理して連帯保証する場合

・親権者が特別代理人によることなく未成年の子を代理してした行為は、無権代理行為となる。→子が成年に達した後に追認をすれば有効となる。

・利益相反行為(826条)に当たるかどうかは行為自体を外形的客観的に考察して判断されるのであり、親権者の動機や意図では判断されない。

・第三者の金銭債務につき、父母が子を代理して子所有の不動産に抵当権を設定する行為は外形から利益相反行為に当たらない。しかし、代理権濫用に該当する場合がある。

・親権者は原則として、子の財産上の地位に変動を及ぼす一切の法律行為につき子を代理する権限を有する(824条本文)ところ、親権者が権限を濫用して法律行為をした場合には、93条ただし書きが類推適用される。

・家庭裁判所が親権喪失の審判をする要件は、父または母による虐待又は悪意の遺棄があるとき、その他父または母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときである(834条本文)。

・親権喪失の審判の請求権者は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官(834条本文)及び、児童相談所長(児童福祉33条の7)である。

・親権喪失(834条)、管理権喪失(835条)の原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人またはその親族の請求により、親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる(836条)。

・親権を行う父または母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる(836条)。


民法択一 親族 養子

・養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる(727条)。

・養子の子といった縁組前に生じた養子の血族は、養親とは親族関係にはならない。

・配偶者のある者が養子となる縁組をするには、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合を除き、配偶者の同意を得なければならない(796条)。

・未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならないが、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合はこの限りではない(798条)。!

・養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる(797条1項)。

・未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。養子縁組の成立には別途、養子縁組の届出が必要になる(799条・739条1項)ことに注意!!

・養親が未成年者であることは、養子縁組の取消原因となる(804条本文、792条)。もっとも、婚姻による成年擬制が生じた者は養親たり得る(753条)。

・詐欺又は強迫によって養子縁組をした者は、養子縁組の取消しを裁判所に請求することができる(808条1項前段、747条1項)。

・養子縁組の無効は、いつでも何人でも主張でき、相手方からの訴えに対する抗弁や、別訴での前提問題として主張してもよい。

・養子縁組の取消しは、一定の取消原因に該当し、かつ、法定の取消権者が裁判所に請求するという方法によってのみ主張することが許される。

・養子縁組の取消権者に検察官は規定されていない!!!

・養子縁組の当時その取消原因があることを知らない当事者であっても、養子縁組によって得た財産を現に利益を受けている限度で返還しなければならない(808条1項前段・748条2項)


・縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁しようとするときは、家庭裁判所の許可を得てこれをすることができる(811条6項)

・縁組の当事者は協議で離縁することができる(811条1項)。=家庭裁判所の許可は不要

・養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする(811条2項)。

・養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りではない(816条1項)。

・縁組の日から7年を経過した後に816条1項の規定により縁組前の氏に復した者は、縁組の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる(816条2項)。

・未成年者と異なり、成年者の養子は、養親である夫婦の一方と離縁できる(811条の2本文)。

・特別養子縁組の養親は、配偶者のある者でなければならず(817条の3第1項)、夫婦の一方が養親とならない場合、他方も養親になれないのが原則(817条の3第2項本文)。ただし、夫婦の一方が、他方の嫡出子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く)の養親になる場合は夫婦が同時に養親になる必要はない(同条但し書き)

・25歳に達しない者は、特別養子縁組における養親になることはできない(817条の4本文)

・養親となる夫婦の一方が25歳に達していれば、もう一方は20歳以上であれば特別養子縁組における養親になることができる(817条の4ただし書)。

・特別養子縁組の請求時に6歳に達している者は特別養子となることができないのが原則である(817条の5本文)。

・例外的に6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている者(8歳未満)が特別養子となれる。

・特別養子縁組は、養子となる者について、父母による監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があるときでなければ成立させることはできない(817条の7)。

・特別養子縁組を成立させるためには、養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。

・特別養子縁組が成立した場合、養子と実方の父母及びその血族との親族関係は終了する(817条の9)。→養子は実方の父母を相続することはできない。

・家庭裁判所は、養子・実父母又は検察官の請求により(×養親)、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる(817条の10第1項柱書)。

・普通養子縁組は協議によって解消することができるが、特別養子縁組は、協議によって解消することはできない。=裁判所の審判によって離縁

・817条の10第2項は、同条1項各号に定める法定事由以外の理由による特別養子縁組の離縁を認めていない。

・特別養子縁組により終了した養子と当該養子の実方の父母との親族関係は、離縁をしない限り、養父母の双方が死亡したとしても復活することはない。


民法択一 親族 親子 実子


・婚姻の取消しは将来に向かってのみその効力を生ずるので(748条1項)、取消前に生じた準正の効力には影響がない。

・嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子をいい、婚姻中に懐胎した子は、出生時に婚姻関係になくとも嫡出子となる。

・婚姻成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に解体されたものと推定される(772条2項)。

・婚姻解消の日から300日以内に出生した子について、母とその夫の夫婦関係が離婚の届出に先立ち約2年半以上前から事実上の離婚状態にあり、夫婦の実態が失われ、単に離婚の届出が遅れていたにとどまるという事情の下では、実質的に772条の推定を受けない嫡出子というべきである。=推定の及ばない子

・嫡出否認の訴えは原則として夫のみが提起することができる(民法774条、775条)。例外として、夫が提訴期間内に死亡した場合に、その子のために相続権を害される者その他夫3親等内の血族も提起することができる(人訴41条1項)。→相続権を害されているかにかかわらず当然に妻が嫡出否認の訴えを提起できるわけではない。

・子の真の夫は嫡出否認の訴えを提起することはできない。!!!

・嫡出否認の訴えは、この出生を知った時から(×出生から)1年以内に提起しなければならない(777条)

・「婚姻成立の日」(772条2項)とは、婚姻の届出の日をいうとして、婚姻届出の日から200日以内に出生した子は、772条1項により嫡出子としての推定を受けない。しかし、内縁の妻が内縁関係継続中にその夫によって懐胎し、適法に婚姻した後、婚姻成立から200日以内に生まれた子については、出生と同時に嫡出子たる身分を取得する。!!

・婚姻後200日以内に生まれた子は、嫡出子としての推定を受けない(772条2項)→父子関係は嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えで争うことになる!!!!(なお提訴期間の制限はない)

・夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う(776条)。

・嫡出否認の訴えを提起した場合でも、出生の届出をしなければならず(戸籍53条)、出生の届出は、「嫡出であることを承認した」には当たらない→否認権を失わない。

・妻が産んだ子ではない場合には、そもそも嫡出の推定が及ばないから、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによるべき。

・既に死亡した子の嫡出性を否認することはできない!!!(認知の場合とは異なる)

・夫が戦争で長期間出征しており、妻が夫の子を懐胎することが不可能であったと認められる時期に懐胎したと推認される子には嫡出の推定が及ばないとしている。→父子関係の否定には嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによる。

・親子関係存否確認訴訟は、第三者も提起できる。

・戸籍上の両親以外の第三者による親子関係不存在確認請求がなされた場合において、諸般の事情を考慮し、実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすといえるときには、その確認請求は権利の濫用に当たり許されない。

・第三者が親子関係存否確認の訴えを提起する場合において、親子のうち一方のみが死亡し他方が生存しているときには、第三者は生存している者のみを相手方として訴えを提起できる

・待婚機関(733条1項)に再婚した女が出産した場合、嫡出推定(772条)によってその子の父を定めることができないときは、裁判所がこれを定める。=父子関係の争いは父を定める訴えによることとなる。

・非嫡出子と母との間の親子関係は、原則として、母の認知を待たず、分娩の事実により当然発生する。

・父による任意認知は、原則として認知者である父の一方的意思表示のみに係る単独行為である。=子が未成年者であるときは誰の承諾も必要ない。

・成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない(782条)。

・未成年者が婚姻した場合には、成年に達したものとみなされるから(753条)、当該子を認知するには、その承諾が必要。

・未成年者が認知をする場合、法定代理人の同意は必要ない(780条)。

・認知は要式行為とされており、認知の方式については、戸籍法の定めるところによる届出(781条1項)と、遺言(781条2項)が定められている。→認知の届出がない場合には、父の生前の認知の意思が客観的に明らかであっても認知の効力は生じない!!!

・認知は遺言によっても行うことができる(781条2項)。

・子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる(786条)。

・認知の判決が正当な当事者の間で確定している以上、当該判決は第三者に対しても効力を有するから、これに対して再審の手続きで争うのは別にして、もはや第三者も反対の事実を主張して認知の無効の訴えを提起することはできない。

・認知の訴えは、父の死亡の日から3年間を経過するまでは提起することができる(787条ただし書)。

・死後の認知の場合の被告は検察官である(人事訴訟42条1項)。

・父母が認知をすることができるのは嫡出でない子に限られる(779条)。=すでに嫡出推定が及んでいる子は認知の訴えを提起することはできない。

・父は胎児であっても認知をすることができるが、母の承諾を得なければならない(783条1項)。

・母は胎児を代理して認知の訴え(胎児認知の訴え)を提起することはできない。


民法択一 親族 内縁


・761条の日常家事代位に関する規定は、内縁の夫婦にも適用される。

・内縁関係には婚姻についての規定が準用される余地があるが、成年擬制(753条)は婚姻届出を前提とする制度であるので、準用されない

・内縁の夫婦がその共有する不動産を居住又は共同事業のために共同で使用してきたときは、特段の事情がない限り、両者の間で、その一方が死亡した後は他方がその不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認することが相当であるとして、従前と同一の目的、態様の不動産の無償使用を継続することを認め、内縁の妻を保護した。→相続人からの建物使用に係る不当利得返還請求を拒絶することができる。

・夫婦としての実質的生活関係が存在しており、後に他方の配偶者が届出の事実を知って追認した場合は、婚姻は追認によって届出の当初に遡って有効となる。

・内縁を不当に破棄された者は、相手方に対して婚姻予約の不履行を理由として損害賠償請求をすることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできる。

・当事者間の婚姻の予約は適法であるから、これを不当に破棄した者は、相手方に損害を賠償っする責任を負う。しかし、婚姻予約に基づく債務の履行の強制は許されない

・戸籍上の妻の遺族給付受給権を否定することによって、間接的にではあるが、重婚的内縁の妻を保護している。!!

・内縁の子については、722条の趣旨を類推し、内縁の夫の子と事実上推定されるにすぎず、その子は、認知を待たずして、法律上一応推定を受ける父の子として扱われるわけではない。

・内縁の夫の死亡後、内縁の妻は、その相続人の賃借権を援用して賃貸人に対して本件建物の居住権を主張できる。(内縁の妻が相続人と並んで共同賃貸人となるわけではない)

・内縁の配偶者は、自己が他方の配偶者から受けることができた将来の扶養利益の喪失を損害として、加害者に対して損害賠償を請求できる。

・死亡による婚姻の解消の際に財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、法の予定しないところである。→内縁の夫婦の一方の死亡により内縁が解消された場合、財産分与の規定(768条)を類推適用することはできない!!!!

・内縁の夫婦は、婚姻費用の分担の規定(760条)に準じて、共同生活のために必要な費用を分担する。