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一.金銭債権
1.意義
金銭債権
=一定額の金銭の支払を目的とする債権
・金銭債権は、種類債権の一種ともいえるが、目的物の個性は失われている。
種類債権における目的物の特定も生じないし、履行の不能も考えられない。
2.金銭債権の弁済方法
(1)通貨による支払い
+(金銭債権)
第四百二条 債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。
2 債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。
3 前二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。
(2)特定種類の通貨による支払い
402条ただし書き
(3)外国通貨による支払い
+第四百三条 外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済をすることができる。
3.通貨価値の変動と金銭債権
通貨価値の極端な下落の場合に、信義則による事情変更の原則適用の可能性
二.利息債権
1.意義
(1)利息債権と利息
利息の支払いを目的とする債権
利息は金銭などの元本の使用の対価
(2)基本権たる利息債権と支分権たる利息債権
・基本権たる利息債権
元本に対して一定期間の経過後に一定額の利息を発生させることを内容とする利息債権
・支分権たる利息債権
基本権たる利息債権に基づいて一定期間の経過後に現実に発生した利息の支払いを目的とする具体的な利息債権
・元本債権に対する付従性の違い
基本権たる利息債権は元本債権に付従し、元本債権が消滅すれば消滅する。
支分権たる利息債権は、元本債権から独立して存在し、元本債権が弁済によって消滅しても、利息が支払われない限り残存。元本債権が譲渡されても随伴しない。元本債権とは独立して消滅時効にかかる。
2.約定利率・法定利率と単利・重利
(1)約定利率・法定利率
(ア)約定利率
当事者の合意により発生。
民法では、金銭の貸借で利息を支払うかどうかは当事者の合意に委ねられており、利息を支払う合意がないかぎり、金銭の貸借は無利息。
(イ)法定利率
+(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。
(2)単利・重利
単利
当初の元本についてのみ利息を付ける
重利
弁済期に達した利息を元本に組み入れ
・法定重利
+(利息の元本への組入れ)
第四百五条 利息の支払が一年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。
405条は、債権者の元本組み入れの意思表示(形成権)が必要。
3.利息の規制
(1)法律による規制
・利息制限法
法律の制限を超えた利息契約を無効とする民事法規
・出資取締法
法律の制限を超えた利息契約について刑罰を科す刑罰法規
・貸金業法
貸金業務の適正化を図るために貸金業の規制を行う行政法規
(2)全ての金融消費貸借に対する規制
(ア)利息の制限
・利息制限法
+(利息の制限)
第一条 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が十万円未満の場合 年二割
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分
・出資取締法
+(高金利の処罰)
第五条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3 前二項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
(イ)利息の天引き
貸付金額からあらかじめ利息額を差し引いて金銭を交付し、期日に貸付金額の弁済を受けることをいう。
(ウ)みなし利息
・利息制限法
+(みなし利息)
第三条 前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。
(エ)賠償額予定の制限
・利息制限法
+(賠償額の予定の制限)
第四条 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
2 前項の規定の適用については、違約金は、賠償額の予定とみなす。
(3)営業的金銭消費貸借に対する規制
・利息制限法
+(元本額の特則)
第五条 次の各号に掲げる利息に関する第一条の規定の適用については、当該各号に定める額を同条に規定する元本の額とみなす。
一 営業的金銭消費貸借(債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借をいう。以下同じ。)上の債務を既に負担している債務者が同一の債権者から重ねて営業的金銭消費貸借による貸付けを受けた場合における当該貸付けに係る営業的金銭消費貸借上の利息 当該既に負担している債務の残元本の額と当該貸付けを受けた元本の額との合計額
二 債務者が同一の債権者から同時に二以上の営業的金銭消費貸借による貸付けを受けた場合におけるそれぞれの貸付けに係る営業的金銭消費貸借上の利息 当該二以上の貸付けを受けた元本の額の合計額
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