債権総論 2-2 債権の目的 特定物債権・種類債権

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一.特定物債権
1.意義
・特定物債権とは
特定物の引渡しを目的とする債権をいう

+(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第四百条  債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

・特定物とは
具体的な取引において、当事者が物の個性に着目して「この物」と定めて合意した物をいう

2.善管注意義務
(1)意義
善管注意義務
=債務者と同じ職業や社会的経済的地位・立場にある標準的な人が払うべき注意

・抽象的過失
善管注意義務を怠ることを抽象的過失という
⇔具体的過失
人が自分の財産の保存に際して払う注意をいい、具体的な債務者の能力を基準とした注意

(2)善管注意義務を負う時期
現実に引渡しをする時まで負う(400条)。

他方で、特定物については
+(特定物の現状による引渡し)
第四百八十三条  債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない

・上記二つの規定の関係性
債務者は履行期の経過後であっても現実の引渡時まで善管注意義務を負い、そして、現実の引渡時における現状で引き渡せばよい

・履行期後も400条が適用されるのは、履行遅滞や受領遅滞でない場合に限られる

(3)特定物の減失・損傷
・483条

・給付危険
債務者が善管注意義務を尽くしたにもかかわらず目的物が減失または損傷した場合、減失または損傷による損失は債権者が負担する

・対価危険
双務契約において一方の債務者の帰責事由によらないで目的物が減失または損傷し履行が不可能となった場合に、それが相手方の債務にどのような影響を与えるか

3.目的物引渡義務
・特定物の引渡し場所
+(弁済の場所)
第四百八十四条  弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。

4.その他

二.種類債権
1.意義
種類債権とは、
一定の種類に属する物の一定量の引渡しを目的とする債権
その目的物を種類物または不特定物という
+(種類債権)
第四百一条  債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
2  前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。

・種類債権では、債務者が引渡しを予定していた物が減失・損傷しただけでは債務不履行にならず、それと同種の物が市場に存在する限り、債務者は新たに同種の物を調達する義務がある。

2.目的物の品質
・どの品質の物を引き渡すべきか
第一に、法律行為の性質または当事者の意思によって決まる。
次に、中等の品質の物

3.目的物の特定
(1)種類債権の特定(集中)
引き渡すべき物が特定され、それ以後種類債権が特定された物の引渡しを目的とする債権に転換すること

(2)目的物特定の事由
(ア)当事者の合意
契約自由の原則から認められる

(イ)債権者の同意を得た債務者の指定
+(種類債権)
第四百一条  債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
2  前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。

債権者と債務者が合意をして指定した場合ではなく、債権者が債務者に指定権を与え、それに基づいて債務者が指定した場合のこと。

(ウ)債務者の行為
物の給付に必要な行為の完了とは、
債務者が物の引渡しのために必要な行為をすべて行ったことをいう。

 a)持参債務の場合
持参債務とは、
債務者が債権者の住所に目的物を持参して引き渡すべき債務
+(弁済の場所)
第四百八十四条  弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。

持参債務の場合には、債務者が債権者の住所に目的物を持参して、債権者がいつでも受け取れる状態にしないと、目的物の特定は生じない。
=債権者の住所での現実の提供が必要
債権者に向けて発送しただけでは特定は生じない

 b)取立債務の場合
債権者が債務者の住所に来て目的物を受け取る債務
①債務者が引き渡すべき目的物を他の物と分離して、債権者が取りに来ればいつでも引き渡すことができる状態にし、
②そのことを債権者に通知すれば、
目的物の特定が生じる。

※取立債務の特定のための行為と493条ただし書きの「口頭の提供」「弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告」をすることとは区別しておく!
後者は債務者に債務不履行を丸枯れさせるための行為。
前者は目的物の分離を必要とし、後者は目的物の分離を必要としない。

+判例(S30.10.18)漁業用タール

 c)送付債務の場合
送付債務とは、
債権者又は債務者の住所以外の第三地に目的物を送付すべき債務。
債務者が分離して第三地へ発送することによって特定が生じる。

(3)特定の効果
 (ア)善管注意義務の発生

 (イ)目的物減失による免責と危険負担
その物が減失すると引渡債務を免れる

 (ウ)所有権の移転
特約がなければ、特定したときに目的物の所有権が移転

(4)債務者の変更権
・債務者は一度特定した目的物を他の同種・同量の物に変更することができるか?
債権者はとくに不利益がない限り、信義則によって債務者に特定した目的物を他の同種同量の物に変更して引き渡す権利(変更権)が認められる
→債務者に帰責事由があり、債務不履行による損害賠償責任を負う場合であっても、債務者は、他の物を引き渡すことによって責任を免れることができる。

4.制限種類債権
種類と数量のほかに一定の制限を加えて、目的物の範囲をさらに限定している債権

(1)履行不能の成否
特定以前であっても、その制限された範囲内の物が全部減失すれば履行不能
債務者は可能であったとしても、もはや他から同種の物を調達して引き渡す義務を負わない。

(2)目的物の品質
目的物の品質は問題とならない

(3)目的物の保管義務
制限種類債権であれば、特定前であっても保管義務を負うという見解
保管については自己の財産と同一の注意義務


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