憲法択一 統治 裁判所 司法権の独立


・裁判官が拘束される「法律」(76条3項)とは、形式的意味の法律のみならずおよそ一切の客観的法規範をいう。法律・条令・政令その他の制定された法規範だけでなく、慣習法や条理も含まれる。

・裁判官の定年は憲法79条5項、80条1項により、法律で定められることになっているが、法律で定められた年齢を引き下げ、その年齢に達しているすべての裁判官を退官させることは、78条の趣旨に照らして許されないと考えることができる・・・ヘー

・憲法上裁判官の報酬は、在任中、これを減額させることはできない。しかし、財政上の理由により、一般的に全裁判官の報酬を減額することは、憲法上許されると考える余地がある。

・個々の裁判官の報酬は相当額でなければならない。相当額であっても定期に支給されない場合は憲法違反になる。

・裁判官は、裁判により(裁判官会議とかではない)、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない(78条前段)。(ただし、最高裁判所の裁判官は国民審査による罷免がある点に注意)

・裁判官の罷免は、78条前段が、裁判官の罷免事由を限定していることから、懲戒による罷免はできない。


憲法択一 統治 裁判所 司法権


・国家試験における合格、不合格の判定は、学問又は技術上の知識能力、意見等の優劣、当否の判断を内容とする行為であるから、その試験実施機関の最終判断にゆだねられるべきであって、その判断の当否を審査し具体的に法令を適用して、その争を解決調整できる者とはいえず、「法律上の争訟」に当たらないとして、裁判所の審査の対象にならない。(×濫用に当たらない限り)

・裁判所の支部を廃止する最高裁判所規則が違憲であるとして、その支部の管轄区域内の居住者が取り消しを求める訴えは法律上の争訟に当たらない。

・教義、信仰の内容に立ち入ることなくしてその効力の有無を判断することができず、しかも、その判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠のものである場合は、この訴訟は、その実質において法令の適用による終局的解決に適さない。

・国または地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たらない。(宝塚パチンコ事件)

・議員資格争訟は、ある議員が44条の議員としての資格を有しているかの問題であり、懲罰としてその議員の資格を失わせるものではない。!!

・両院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自律性を尊重すべく、警察法制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきではない。

・統治行為論を採用した判例はその論拠として、司法権に対する制約は、結局、三権分立の原理に由来し、当該国家行為の高度の政治性、裁判所の司法機関としての性格、裁判に必然的に随伴する手続上の制約等にかんがみ、特定の明文により規定はないが、司法権の憲法上の本質に内在する制約と理解すべきものであるとして、内在的制約をあげている。(司法審査による混乱を回避するために自制すべきであることを論拠としているわけではない)

・衆議院の解散に対する有効無効の判断は、たとえ法律上可能であっても裁判所の審査権の外にあり、主権者たる国民に対して政治的責任を負う政府、国会等の政治部門に任され、最終的には国民の政治判断にゆだねられている。(苫米地事件)

・自衛隊機の離着陸の差止訴訟は不適法。(統治行為論をを理由とはしていない!)(厚木基地公害訴訟)

・日米安全保障条約は、高度の政治性を有するもので、司法裁判所の審査には原則としてなじまない性質のものであり、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである。(司法審査する余地は認めている!!!)(砂川事件)

・単位授与行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断にゆだねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象とならない。(富山大学単位不認定事件)

・政党には高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならないから、政党が党員に対して行った処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、当該処分の当否は、政党が定めた規範又は条理に基づいて、適正な手続に則ってなされたかを判断すべきであり、裁判所の審理もその点に限られる。(共産党袴田事件)

・日米安全保障上条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上、裁判所は、これらの条約に基づき義務を履行するために制定されたいわゆる駐留軍用地特別措置法の憲法適合性を審査すべきである。

・当選訴訟において「裁判所がその他の事由を原因として当選を無効とすることは、実定法上の根拠がないのに裁判所が独自の当選無効事由を設定することにほかならず、法の予定するところではない」。したがって、「名簿届出政党等による名簿登録者の除名が不存在又は無効であることは、除名届が適法にされている限り、当選訴訟における当選無効の原因とはならない」。

・実質的証拠法則:ある行政機関が認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束するというようなルール

・認定事実を立証する実質的な証拠があり、実質的な証拠の有無は裁判所が判断するならば、実質的証拠法則は違憲ではない。

・明治憲法は、明文で、裁判の対審及び判決の公開原則を定めていた。

・裁判公開の趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては、裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。

・82条1項にいう対審とは、民事訴訟では口頭弁論、刑事訴訟では公判であり、裁判官の前での訴訟当事者の口頭による弁論をさす。(準備手続きなどは対象に含まれない)

・「裁判所が裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合、対審は(×判決)公開しないでこれを行うことができる」(82条2項)。

・裁判官全員一致の賛成があったとしても、政治犯罪、出版に関する犯罪又は憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件については、対審を公開しないことは許されない。

・性質上純然たる訴訟事件につき、当事者の意思いかんに拘わらず終局的に事実を確定し当事者の主張する権利義務の存否を確定するような裁判が公開の法廷における対審及び判決によってなされていないとするならば憲法82条に違反するとともの、同32条が裁判請求権を認めた趣旨も没却するものといわねばならない。

・審判手続きにおける前提事実の判断には既判力は生じず、別に民事訴訟を提起することができるから、遺産分割に関する処分の審判を公開の法廷において行わなくとも82条1項に反しない。

・82条1項は、各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものではないことはもとより、傍聴人に対して法廷においてメモを取ることを権利として保証しているものではない。(レペタ事件)

・刑事事件の公判廷における写真撮影は、審判の秩序を乱し、被告人その他訴訟関係者の正当な権利を害する結果を生ずる恐れがあるため、最高裁判所規則により、裁判長の許可を得なければすることができないと規定することは、憲法21条に違反しない。(北海タイムス事件)


憲法択一 統治 内閣 議院内閣制


・議院内閣制の責任本質説は、内閣の存立が議会の信任に依存している点に議院内閣制の本質があると解する。→衆議院の内閣不信任決議に対抗する内閣の衆議院解散権を議院内閣制のひっつすの要素とまでは考えてはいない。

・69条以外に内閣が衆議院を解散できると明文で定めている規定はない。

・内閣は当初から、衆議院の解散を天皇の国事行為とする7条に基づき、衆議院を解散してきたわけではない。(最初の解散は69条の場合に限定されるという理解に立っていた)

・解散の詔書では「日本国憲法7条により、衆議院を解散する」との文言が用いられている。

・解散権の根拠を議院内閣制又は権力分立制とする見解は、議院内閣制の本質につき均衡本質説に立つことによって導くことができる。

・均衡本質説:議院内閣制は国会を最高機関とし、さらにそのうち衆議院に強力な権能を与えつつ内閣による抑制をはかるという均衡の体制であると解する。

・日本国憲法は議院内閣制を採っていると理解できるから、この制度の本質からして内閣には自由な解散権が認められるという見解に対しては、議院内閣制の概念は一義的ではないという批判がなされている。

・現在の実務では、内閣の自由な衆議院解散権を憲法7条で根拠付けているが、最高裁判所は、これが妥当な憲法解釈であるか否かについての判断をしていない。←衆議院の解散は、きわめて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にあるとした。(苫米地事件)


民法論文 錯誤



1(1)動機の錯誤は「錯誤」(95条本文)にあたるか。
(2)錯誤とは内心の効果意思と表示の不一致を意味する。そこで、単なる縁由にすぎない動機の錯誤は原則として錯誤に当たらない。もっとも、常に錯誤に当たらないとすると表意者保護にかける。そこで、相手方保護と表意者保護の調和をはかるために、動機が明示または黙示に表示され、意思表示の内容になった場合は「錯誤」に当たるといえる。
(3)→レプリカ通常の取引価格で売却しているところ、動機が少なくとも黙示に表示され、意思表示の内容になっているといえる。

2.要素の錯誤
因果関係及び重要性
→レプリカという点に錯誤がなかったら、表意者のみならず一般人も安値で売却しなかったと認められるから、要素の錯誤に当たる。

3.(1)軽率に売却しているから「重大な過失」(95条但し書き)がありそう。当事者双方が錯誤に陥っている場合(共通錯誤)、95条但し書きは適用されるか。
(2)95条但し書きの趣旨は、表意者に重過失という帰責性がある場合に相手方を保護する点にある。共通錯誤の場合には相手方を保護してまで表意者の保護を奪う必要はなく、かかる趣旨は妥当しない。そこで、共通錯誤の場合には、95条但し書きの適用はない。{考えてみる!}
(3)→錯誤無効の主張できる


1(1)錯誤無効の主張→各々の給付は「法律上の原因」(703条)を欠く→返還請求
ところが、盗難により返還債務が履行不能。無効とされた後、給付物が買主のもとで帰責事由なくして減失した場合の取り扱いが問題となる。
(2)無効前の契約が双務契約であっても、無効後は当該契約自体が消滅している。そうであれば、売主と買主の不当利得返還請求権は独立無縁の関係にあると解される。そこで、この場合には、買主は返還義務を免れ、売主は返還義務を免れないことになる。もっとも、不当利得制度の趣旨である公平の理念に鑑み、売主買主間の売買の無効取消原因について、売主の関与の程度を斟酌して、売主の返還義務は縮減される。
(3)売主が軽率にレプリカと思ったことによるから売主の関与は大きい。売主の返還義務は縮減されない。{もはや錯誤無効の主張とかしない方がいいんじゃないか(笑)}


1(1)買主が利得した物に、買主の行為が加わることによって得られた運用利益の返還義務の有無。
(2)不当利得制度の趣旨は、法律の形式的適用において生じる当事者間の利得の変動を公平の理念に基づいて調整しようとする点にある。とすると、受益者が特殊な才能や機会に恵まれて、一般に合理的予想される以上の利益を得たとすれば、むしろ返還させない方が公平の理念にかなう。そこで、原則として返還義務はないが、社会観念上受益者の行為の介入なしに損失者がその財産から取得したであろうと考えられる範囲の収益を返還すべきである。
(3)→技術や機械がなければ取得しえなかった本件では不当利得返還請求できない。


憲法択一 統治 国会 国会と議院の権能


・議員の資格争訟裁判において、議員の議席を失わせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要である(55条但し書き)。議員の資格を失わせる場合でなければ、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要としない。

・議員の資格に関する同一の争訟が議院と裁判所の双方に係属する場合には、いずれか一方が被選資格なしと判断すれば、当選議員はその地位を失う。!

・決議は議院の意思表明に過ぎないので、69条(衆議院の内閣不信任と解散又は総辞職)の場合以外は原則として法的効果は生じない。⇒衆議院において各国務大臣に対する不信任決議がなされた場合は政治的効力しか有しない。

・決議が議院の意思表明であるという点は、両議院一致の決議がなされた場合も同じである。

・両議院の議事の公開(57条1項)、議事録の公表・頒布(57条2項)に関しては憲法上の明文がある。

・委員会は「両議院の会議」(57条1項)に当たらず、決議により秘密会とすることができる(国会法52条2項)。衆議院の委員会では議院の傍聴は許されるが、参議院の委員会では議員の傍聴を許していない点!!!が異なる。

・両議院は出席議員(×総議員)!の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

・憲法57条1項前段は、会議の公開原則を定めているが、この原則は国会の本会議に対する要請である。審議の中心となっている委員会は原則非公開である。

・両議院の会議を秘密会にする場合には、公の秩序又は善良の風俗を害する恐れがあることは必要ではない。

・「院内」(58条2項本文)とは、議事堂という建物の内部に限られない。議場外の行為であっても、会議の運営に関連し、又は議員として行った行為で、議員の品位を傷つけ、議院の秩序を乱したことに相当因果関係のあるものは懲罰の対象となる。

・会議の運営と関係のない個人的な行為は懲罰の対象とはならない。

・衆議院の議決がないのに参議院の議決のみで予算や法律が成立することはある=参議院の緊急集会!。

・59条2項の「これと異なった議決」には、衆議院で可決して送付された法律案について、参議院が否決する場合と修正可決!した場合の両方が含まれる。

・59条3項の両院協議会は、任意的に開かれるものである。

予備費は、国会の議決に基づいて設けられている(87条1項)。予備費は予算に計上されるものであることから、「国会の議決」は予算の議決としてなされる!!。そのため、憲法60条1項による衆議院の優越が認められる。

・予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合には、衆議院は必ず!!両院協議会を開くよう求めなければならない(60条2項)。

・条約の承認については、予算に関して衆議院の先議権を認めた60条1項は準用されていない(61条)。⇒参議院の先議もOK!

・条約締結の国会承認については、衆議院の優越が認められており、両議院が異なる議決をした場合であって法律の定めるところにより両院協議会を開いても意見が一致しないときには衆議院の議決が国会の議決となる(61条、60条2項)=(再議決は不要!!!)

・締結について国会の承認を要する条約は、広く国家間の合意をいい、条約、協約、協定、議定書、憲章など名称のいかんを問わない。

・国家間の合意であっても、条約を執行するための細部の取決めや、条約の委任の基づく個別具体的な問題についてなされる取決め(行政協定・交換公文等)は、内閣の外交関係処理の権限(73条2号)の一環として処理されるので、国会の承認を得る必要はない。

・国会に条約の内容を修正をする権限があるかについて、肯定説は、61条が衆参両院で意見が分かれた場合に両院協議会を予定していること!は、妥協によって修正がなされる場合があることを前提としていることを理由とする。

・条約は、それだけではただちに国内法的効力が生じないものであっても、国家間の権利義務にかかわり直接国民の権利義務にかかわらないものであっても、天皇の交付の対象となる。

・各議院は、国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる(62条)。

・国政調査権の性質上、住居への立ち入り、捜索、押収、逮捕といった刑事手続上の強制力を行使することはできない。!

・補助的権能説=議院の憲法上の権能を実行的に行使するために認められた補助的権能

・国政調査権は、司法権の独立を害しない限り、司法に関する事項にも及ぶ。

・裁判官訴追委員会は、国会から独立した機関であり、訴追委員会のなす調査は、国政調査権行使の一例ではない。!

・特定の個人の犯罪行為を発見し、これを処罰するのに必要な証拠を収集するためだけに国政調査権を行使することは、たとえその個人が国会議員であったとしても許されない。←事件が係属中でなくとも、司法権の独立を犯すような調査は許されない。

・議院が裁判所と並行して調査を行うことは、その裁判内容に関する調査でない限り、司法権の独立を犯すことにはならない。

・立法・行政監督目的など議院が裁判所と異なる目的から、裁判と並行して調査することは、司法権の独立を害するものではない。

・国政調査権の行使に関して、適法な調査に付随して個人の犯罪容疑が明るみに出たとしても、直ちに国政調査権の範囲を逸脱したということにはならない。

・裁判所が審理を開始した事件の担当裁判官を証人として喚問することは、司法権の独立を侵害することになり、国政調査権の範囲を逸脱する。

・国政調査権の性質について、補助的権能説に立ったとしても、内閣が国会に対して連帯責任を負うことから(66条3項)!!、行政事務全般が調査の対象となる。

・準司法作用を有する検察権に対しては、起訴権に政治的圧力を加えることを目的とする調査、事件にかかわる事項や公訴内容を対象とする調査及び捜査に重大な支障をきたすような方法による調査は許されない。⇔ある罪に関する法改正の要否に関連して、犯罪捜査や公訴提起の状況等、その罪についての検察権の一般的な運用状況について、調査をすることは許される。

・省庁のみならず、その監督下にある独立の法人格を有する公益法人の活動についても調査することができる。

・憲法38条1項の黙秘権の保障は、国政調査においても妥当する。!!

・「正当な事由」(議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律7条1項)には個人の基本的人権が侵害される場合も含まれる。⇒個人的な信条を明らかにするよう尋問された場合証言を拒むことができる。

・内閣総理大臣その他国務大臣は、両議院のいずれかに議席を有すると有しないとにかかわらず、なん時でも議案について発言するため議院に出席することができる(63条前段)。

・答弁又は説明のために出席を求められた場合は出席しなければならない(63条後段)。→正当な事由がある場合でも拒めない。!!!

・弾劾裁判所は、両議院の議員で組織しなければならない(64条1項)。→一方の院だけで構成することはできない。!!

・弾劾裁判所は、訴追委員から罷免の訴追を受けた裁判官を裁判する。

・弾劾裁判所の裁判員は、同時に訴追委員となることはできない(国会法127条)。

・弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者は、裁判官、検察官、弁護士になる資格を失う。

・弾劾裁判所は憲法が認める特別裁判所であり、司法裁判所は一切関与できない。⇒罷免に対しては、通常の司法裁判所に救済を求めることはできない。!

・裁判官弾劾法38条は、弾劾裁判所による資格回復の可能性を認めている。


憲法択一 統治 国会 国会の組織と活動


・内閣が連帯して責任を負う「国会」については、国政調査権が各議院に与えられいること(62条)から考えると、各議院がそれぞれ内閣の責任を追及し得ると考えられるので、両議院の意味に解することができる。⇒各議院は個別的に内閣の責任を追及することができる。

・両議院の召集・開会が同時に行われるべきという憲法上の明文はない。もっとも、54条2項本文が、衆議院が解散されたときは、参議院は同時に閉会になると定めていることや、憲法が二院制を採用していることからすれば(42条)、両議院の同時活動の原則が憲法上の要請であるといえる。

・各議院が独立して議事を行い、議決することを独立活動の原則といい、二院制から当然に導かれる。

・両院協議会を開くこと(59~61条)、両議院の常任委員会が合同して開く合同審査会制度(国会法44条)等が上記の例外としてある。

・両院協議会の協議案は出席議員の3分の2以上の多数で議決されたときに成案となる(国会法92条1項)。

・両院協議会は非公開とされ、傍聴は一切許されない(国会法97条)。

・内閣総理大臣の指名について、両議院で異なった指名を議決した場合、まず、両院協議会を開き、協議が調わないときに初めて衆議院の議決を国会の議決とする(67条2項)。

・憲法改正の発議(96条)については、両議院の議決価値に優劣はない。⇒衆議院の議決が優先されるわけではない。

・両議院の議員の資格は、法律でこれを定める。ただし、教育によって差別してはならない。

・単記投票法とは、一選挙区から選出する議員定数の多少にかかわらず、投票用紙に一人の候補者の指名を記名せしめて投票させる方法である。

・選挙人が政党の作成した候補者名簿に対して投票を行い、原則として名簿上の候補者間で投票の委譲を行う方式を名簿式という。

・現行の衆議院議員選挙の比例代表制は拘束名簿式、参議院は非拘束式である。

・直接選挙とは、選挙人が直接に代表者を選出することであり、投票結果と代表者の選出の間に選挙人以外の者の意思が介入することを禁ずる

・名簿式比例代表制について、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはないとしたうえで、当選人の決定に選挙人以外の意思が介入するものではないから、本件非拘束名簿式比例代表制による比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、43条1項に違反するものではない。

・国会議員は法律の定めるところにより歳費を受け取ることが憲法上規定されているにすぎず(49条)、任期中減額されないことまで保障されているわけではない。

・両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されない(50条1項)。

・「法律の定める場合」として、国会法が「院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕できない」(国会ほう33条)としている。⇒現行犯うんぬんは憲法が直接規定しているわけではない。

・国会議員が逮捕されないのは任期中ではなく会期中である(50条)。

・国会議員について、憲法上訴追禁止の明文はない

・両議院の議員が逮捕されない「会期中」(50条)とは、国会の開会中を意味し、国会の閉会中の参議院の緊急集会中に、不逮捕特権は認められない。もっとも、国会法100条によって、参議院の緊急集会中の参議院議員に不逮捕特権は認められている

・両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない(51条)。この規定の趣旨は、議員の職務の執行の自由を保障することにあるから、特権の保証は演説、討論又は表決の形式にとどまらず、議院の活動として職務上行ったものに及ぶ

・免責の対象は院外の責任とされており、刑事上・民事上の責任を免れれば職務執行の自由は失われないから、政治的・道義的責任を追及することは許される。⇒除名処分は許される。

・議院における発言が個人の名誉を棄損する場合には、それが違法であることに変わりはないから、国家賠償法に基づき国に賠償を請求することができる場合があり、議員個人は国が賠償しても国から求償を受けないという保護をすれば足りると考えることができる。フム

・名誉を棄損された私人からの国家賠償請求を認めると、国会議員自身を証人として取り調べなければ違法性の有無を判断できない場合がないとはいえず、国会議員が証人として原告から追及されることもありえ、このような事態は国会議員の発言を最大限保障するという憲法の趣旨に反するおそれがある。フムフム

・国会議員たる地位を失った場合に在職中の言論の法的責任を追及可能とすると、現職の国会議員は自らが国会議員の地位を失った場合の法的責任の追及を考えて在職中自由な発言ができず、51条の趣旨を没却する。

・国会議員の免責特権(51条)にいう「責任」は弁護士法上の懲戒責任も含む。

・51条についての国会議員の立法過程における行動は政治的責任の対象とするにとどめるのが国民の代表者による政治の実現を期するという目的にかなうとしたうえで、国会議員の立法行為は、本質的に政治的なものであって、その性質上法的規制の対象になじまず国会議員は、立法に関しては、原則として、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではないとした。(在宅投票制度廃止事件上告審)

・議員が院内での質疑等によって個人の名誉を棄損する発言をしたとしても、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情がある場合に限り、国家賠償法1条1項におけつ違法な行為があったといえる。

・国会議員の免責特権は、国会議員が国務大臣を兼職している場合は、国務大臣として行った発言は免責の対象とはならない

・憲法は、常会(52条)のほかに臨時会(53条)の規定を置いていることから、国会の会期については憲法上、会期制が予定されていると考えられるため、常設制を採用することはできない。⇒常会の会期を1年と定めることはできない。

・憲法には会期延長に関する規定はないが、国会法はこれについて定め、常会、臨時会及び特別会の会期延長の議決について衆議院の優越を認めている!。

・会期不継続の原則は、国会法68条本文で規定しているが、憲法上、同原則を定めた規定はない

・一次不再議の原則は、一度議院が議決した案件については同一会期中には再びこれを審議しないという原則である。

・一次不再議の原則について、明治憲法39条は規定していたが、日本国憲法にも、国会法や議員規則にも、それに当たるものは置かれていない。

・国会の召集は、憲法上、国事行為のひとつとして天皇の権能である(7条2号)。しかし、これは、内閣の「助言と承認」(3条、7条柱書)に基づいてなされる形式的・儀礼的行為であり、召集の実質的決定権は、内閣にある。

・臨時会については、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集の決定をしなければならない(53条後段)。

・衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に衆議院議員総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければならない。

・参議院の緊急集会は、衆議院の解散中、国に緊急の必要があるとき、内閣の求めによって行われ(54条2項但し書き)、衆議院の任期満了による総選挙の間については想定していない。!

・緊急集会をもとめることができるのは内閣(54条2項但し書き)であり、内閣総理大臣ではない!!5。また、参議院議員にもその権能はない。

・緊急集会では憲法改正の発議を除き、国会の機能に属する事項のすべてを審議することができる。というのも、憲法改正の発議は両議院の議決を要する(96条1項)ので、緊急集会になじまないから。

・緊急集会は、内閣が緊急に必要とした議案を審議するために開かれるものである以上、審議できるのは、内閣総理大臣が内閣を代表して示した案件に限られる(国会法99条1項)。例外として、当該案件に関連する議員発議にかかる議案を審議することもできる。

・緊急集会で採られた措置は「臨時のもの」であって、次の国会の開会後10日以内に衆議院の(×国会)同意がない場合は、将来に向かって効力を失う(54条3項)!!!!


憲法択一 人権 基本的人権の原理 歴史など


・1948年の世界人権宣言は、国際人権規約とは異なり、加盟国を直接に拘束する効力を有しない。

・日本は1979年に国際人権規約A規約(社会権規約)及びB規約(自由権規約)を批准した。

・A規約については、公の休日の報酬確保・一部の公務員のストライキ権保障・中高等教育の無償の三点についについて留保している。

・B規約については、その選定議定書を批准していない。

・B規約は、国の安全や公の秩序の目的のために必要な場合の制限を認めている

・女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、母性を保護することを目的とする特別措置を認めており、日本も批准している。


憲法択一 統治 権力分立の原理


・裁判所による違憲審査制が導入され司法権が議会・政府の活動をコントロールする、いわゆる司法国家現象の進展は、権力分立制の現代的変容のひとつである。

・政党国家現象は、伝統的な議会と政府の関係を、政府・与党と野党の対抗関係へと機能的に変容させるものであり、権力分立制の現代的変容のひとつである。

・権力分立の垂直的分立とは、中央(国政)と地方との間の権限分配を意味する。

・権力分立の水平的分立とは、垂直的分立により分配された権限を、中央・地方においてそれぞれ分配することを意味する。

・積極・社会国家において事実上中心的役割を果たすのは行政府となる。そして、行政府への国家権力の集中を阻止する観点から、議論の焦点が、相互抑制から、立法府が行政府をどこまで民主的にコントロールできるかに移ってきている。

・憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えていないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運営を期待することはできないのであるから、憲法は政党の存在を当然に予定しているものというべきである。(八幡製鉄政治献金事件)

・政党を憲法で直接規定することには問題もある。政党の公的機関性が強まり、「戦う民主主義」の名のもとに、法律によって党内民主主義を規制したり、反民主主義政党を排除したりする恐れがあるからである。

・政党の結社・政治活動をする自由も通常の結社の自由と異なるわけではなく、21条1項で保障されているといえる。

・政党は、政治上の信条、意見等を共通にする者が任意に結成する政治結社であって、内部的には、通常、自律的規範を有し、その構成員である党員に対して政治的忠誠を要求したり、一定の統制を施すなどの自治機能を有する。そのうえで、各人に対して、政党を結成し、または政党に加入し、もしくはそれから脱退する自由を保障するとともに、政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。(共産党袴田事件)

・外国人の政治献金の禁止は、政治献金が我が国の政治的意思決定に影響を及ぼし、国民主権原理に抵触することが根拠である。参政権が否定されていることが根拠ではない。!!!!!!!!

・政治献金を規制することは政治活動の自由を規制するものであるが、政治活動の公明と公正を確保するための必要かつ合理的な規制と解される。ただ、規制対象が恣意的に拡大されて政治活動の自由が不当に侵害されることを防止するため規制対象となる団体等を限定する必要がある。そこで、一定数の国会議員が所属するものに限定することも合理的であって、違憲とまでは言えない。

・国会議員の免責特権は、沿革的には、政府からの議員に対する干渉を排除することにあり、政党政治のもとで初めて重要な意義をもつものではない。フム

・憲法上政党に関する特別の規定は何ら設けられていない以上、その公的性格を重視して他の種類の結社と区別し、法的強制力をもって政党の内部秩序を民主的原則に適合すべきことを要求することは憲法上許されない。!!

・法律により、政党の役員・党員等の名簿、活動計画書を提出させたうえで政党の設立を許可する制度を設けることは、政党の自主性・自律性を害する度合いが強く、違憲である。


民法択一 私権の主体 自然人


・権利能力に関する規定は強行規定であり、契約をもって権利能力を制限したり放棄したりすることは許されない。

・外国人であっても、日本国籍を有するものと平等に権利能力を有するのが原則である。

・出生届の有無は権利能力の取得には関係ない。 

・胎児を代理して相続放棄はできない。

・責任能力⇒自己の行為が法的に非難を受け、何らかの法的責任を負うことを認識する能力。

・意思能力⇒自己の行為の結果についての判断力

・不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により(検察官×)失踪の宣告をすることができる。 

・失踪宣告の取消しは、本人または利害関係人の請求を要件としている。

・失踪宣告が取り消された場合、原則として、失踪宣告は、初めに遡ってなかったものとして扱われる。

・失踪宣告後取消し前に善意でした行為の効力には影響ない。(契約の場合双方の善意)

・再婚当事者が双方善意であれば前婚は復活しない。

・善意でなくても⇒後婚は無効にならない(取消原因)。前婚も復活。重婚関係生じる。

・財産を得たものは、現存利益の返還で足りる。

・生活費として浪費した場合は現存利益がある。

・行為能力を欠く者のなす法律行為は取り消すことができるにとどまる。

・制限行為能力者単独での取消しは完全に有効。

・取り消すことができる行為の相手方が確定しているときには、その取消しは、相手方に対する意思表示によって行う(123)。

・成年被後見人が建物の贈与を受けた場合、成年被後見人は、当該贈与契約を取り消すことができる。(なぜなら、日常生活に関する行為ではないから)

・成年被後見人の行為は、原則として成年後見人の同意の有無にかかわらず常に取り消しうる。

・被保佐人が訴訟行為をするには、保佐人の同意を要する(13条1項4号)

・被保佐人の応訴については同意は不要(民訴32条1項)

・元本の領収には保佐人の同意が必要

・準禁治産者(被保佐人)がした時効完成後の債務の承認は、借財と同視し得るから、13条1項2号の類推で保佐人の同意が必要。

時効完成前の債務の承認(147条3号)については、相手方の権利につき行為能力または権限があることを要しない(156条)から、保佐人の同意は不要

・被保佐人の行為に関する規定(13条)は、遺言については適用されない(962条)⇒保佐人の同意を得なくても遺言OK。

・保佐人の同意を要する行為については、13条1項各号に列挙された以外の行為も、保佐人などの請求に基づき家庭裁判所が追加することができる。

・補助開始の審判がされる場合においても、補助人は当然に代理権を付与されるわけではない。

・本人の同意がなければ本人以外の請求によりすることができないのは、補助開始の審判だけである(15条2項)。

・補助人の同意を得なければならないとすることができる行為は、名文上、13項1項に規定する行為の一部に限定される。(17条1項但し書き)

・家庭裁判所が補助開始の審判を取り消さなければならないのは、同意権及び代理権授与の審判をすべて取り消す場合である(18条3項)

・成年後見人に対して1か月以上の期間を定めて追認するかどうかの催告⇒成年後見人がその期間内に格闘を発しないときはその行為を追認したものとみなされる。

・未成年者及び成年被後見人に対する催告は、いかなる効力も生じない。なぜなら、意思表示の受領能力がなく(98条の2本文)、意思表示に準ずるものとして催告の受領能力もないと考えられるからである。

・親権者が共同して親権を行使している場合は、両方に対して催告をしなければならない。

・単に制限行為能力者であることを黙秘していただけでは詐術に当たらない。


民法択一 民法の全体像


・事情変更が客観的に観察して信義誠実の原則上当事者を契約によって拘束することが著しく不合理と認められる場合には、事情変更の原則による契約の解除が認められる。

・権利濫用に当たるとの判断をするのに、加害の意思は不可欠の要件ではない。

・ディーラーがサブディーラーに対して自ら負担すべき代金回収不能の危険をユーザーに転嫁しようとするものであり、自己の利益のために代金を完済したユーザーに不測の損害を被らせるものであって、権利の濫用として許されない。

・実親子関係の不存在を確定することが著しく不当な結果をもたらすものといえるときには、当該請求は権利の濫用にあたり許されない。(当然に許されないわけではない)

・良好な景観の恩恵を享受する利益は、法律上は保護に値するとした。違法な侵害に当たるといえるためには、すくなくとも、侵害行為が刑罰法規や行政法規の規制に違反する場合、公序良俗違反や権利濫用に該当する場合など 、侵害行為の態様や程度の面において社会的に認容された行為としての相当性を欠くことが求められる