民法択一 相続 相続の効力 相続回復請求権


・共同相続人のうちの1人又は数人が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分について、表見相続人として真正共同相続人の相続権を否定し、自己の相続持分であると主張してこれを占有管理し、真正共同相続人の相続権を侵害している場合、884条の規定(相続回復請求権)の適用がある。

・相続回復請求権の消滅時効を援用しようとする者は、真正共同相続人の相続権を侵害している共同相続人が、相続権侵害の開始時点において、谷共同相続人がいることを知らず、かつ、これを知らなかったことに合理的な理由があったことを主張立証しなければならない!!!

・表見相続人が、相続財産である不動産について、他の共同相続人に対して相続回復請求権の消滅時効を援用することができない場合、表見相続人から譲り受けた第三者も消滅時効を援用することはできない。!!

・884条後段の消滅時効の起算点は、相続権の侵害が相続開始後20年の期間内に行われた場合であるか、20年の期間後に行われた場合であるかにかかわらず、相続開始時から起算(×知った時)される。+なお知った時からは5年

・表見相続人からの相続不動産の譲受人は、相続回復請求権の消滅時効の進行中であっても、自己の占有に合わせて前主である表見相続人の占有を主張し、当該不動産の取得時効を援用することができる。!!←家督相続人が家督相続の回復をなしうる間は、表見相続人が相続不動産時効取得することはできないとしつつ、占有者が表見相続人であるという事実は187条2項の規定する瑕疵に包含されないとしている。!!!

相続回復請求権は相続人の一身に専属する権利であり、相続回復請求権をしないで死亡した者の相続人は、被相続人の相続回復請求権を行使することができない!!!


民法択一 相続 相続の効力 相続分


・養子の養子縁組前の子は、養親の直系卑属とはならず、代襲相続人とはならない。

・配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2、直系尊属の相続分は3分の1となる(900条2号)。

・配偶者及び兄弟姉妹が相続人である場合は、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1である(900条3号)。

・特別受益者の受益額が相続分を超える場合、特別受益者は、その相続分を受けることができない(903条2項)。⇔その超過分を返還することを求めていない!!!!!!

・被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした相続人のあるときは、相続時に残存する相続財産の額から、寄与分を控除した額をみなし相続財産とし、これをもとに算出した相続分に寄与分を加えた額を、寄与した者の相続分とする(904条の2)
(2100万ー300万)÷3+300万

・寄与分を主張できる者は、共同相続人に限られる(904条の2)。→被相続人の長男の妻は、被相続人の療養看護をしたとしても、寄与分の主張はできない。

・共同相続人の1人が遺産の分割前に、その相続分を第三者に譲渡した場合、他の共同相続人は、その価格及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる(905条1項)。!!!←相続人以外の者を加えて行う遺産分割は順調に行えないおそれがあるから・・・。ホントニソウカナ(笑)

・相続人が数人ある場合において、その相続財産中に可分債権がある場合は、その債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。=3000万円の貸金債権とかは可分債権

・遺産である不動産につき、各相続人は自己の持分を処分することができる。←相続財産の共有は、249条以下に規定する共有とその性質を異にするものではないから!!

・相続財産を構成する金銭は遺産分割の対象となる。=当然分割されるわけではない。

・遺産分割による相続財産中の不動産に対する共有持分につき、法定相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対して、自己の権利の取得を主張することはできない。←第三者に関する関係においては、相続人が相続につきいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による特捜変更については、177条の適用がある


民法択一 相続 相続の効力 総則


・賃貸借契約における保証人の相続人は、相続開始後に生じた賃料債務についても当然にその債務を負担する。

・生活保護法に基づく保護受給権は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられえた一身専属の権利であって、相続の対象とならない。
+生存中の扶助のうちすでに遅滞にあるものも、被保護者の死亡によって消滅し、相続の対象にならない!!!

・被相続人が、公営住宅の賃借権を有していた場合、相続人は、その賃借権を承継しない!!←公営住宅法は、住宅に困窮する低額所得者に、低廉な家賃で住居を賃貸することを目的とするものであって、その規定の趣旨は、入居機会の公平を確保することにあるから。

・被相続人が、民法上の組合の組合員であった場合、相続人は、その地位を相続しない。←組合は一身専属制を有し、組合員の死亡によってその組合員は脱退となる(679条1号)

・被相続人が、使用貸借の借主たる地位を有していた場合、相続人はその地位を承継しない!!←使用貸借は借主の死亡によって終了する(599条)。

・系譜、祭具及び墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべきものが承継する(897条1項本文)。


民法択一 親族 婚姻


・婚姻の届け出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭でしなければならない(739条2項)。

・724条1号の「当事者間に婚姻する意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係を設定する効果意思がない場合をいう。→単に他の目的を達するための便法として仮託され、真に夫婦関係を設定する効果意思がなかった場合には、婚姻は効力を生じない。

・将来婚姻する目的で性交渉を続けてきた者が、婚姻意思を有し、かつ、その意思に基づいて婚姻の届出を作成したときは、かりに届出が受理された当時意識を失っていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情がない限り、届け出の受理により婚姻は有効に成立する。

・養子と養方の傍系血族の間は婚姻できる。→要旨は養親の弟と結婚できる。

・養親子間においても婚姻は禁止されている。離縁によって親族関係が終了した後であっても同様とされている(736条)。

・直系姻族の間では婚姻関係が終了した後でも婚姻することができない(735条)。⇔妻の姉妹は傍系姻族だから結婚できる。

・未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない(737条1項)。そして、離婚により親権を失った父または母も同意権者である。!!!

・誤って二重に婚姻届が受理されてしまった場合、前婚について離婚原因(770条1項1号、5号)となり、後婚については取消原因(744条1項本文、732条)となるにとどまる。

・女は、前婚の解消又は取消しの日から6か月を経過した後でなければ、再婚をすることはできない(733条1項)。

・女性が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合は、その出産の日から733条1項の適用はない。

・再婚禁止期間に違反してした婚姻については、前配偶者も、その取消を請求できる。(744条2項)!!!

・未成年者(18歳←婚姻適齢ではある)が父母の同意を得ずに婚姻届を作成して届出をし、誤ってこれが受理された場合、父母は、その婚姻が不適法なものであるとして、家庭裁判所に取消しを請求することはできない。←744条1項には、737条が挙げられていないため。

婚姻適齢(731条)の規定に違反した婚姻については、各当事者から、その取消しうを家庭裁判所に請求することができ(744条1項本文)、婚姻適齢に達しない者は、父または母の同意がなくとも、婚姻の取り消し請求をすることができる。

・婚姻適齢の規定に違反した婚姻の取消しは、各当事者、その親族または検察官の請求に基づき、家庭裁判所が行う。←婚姻適齢は公益的規定であるため、親族及び検察官も取消請求できる。

・重婚(732条)は、婚姻取消事由であるが(744条1項)、取り消し得るのは、後婚であって、前婚は離婚自由になるにとどまる(770条1項1号、5号)!!→2人目の妻は1人目の妻と夫の婚姻の取り消しを裁判所に請求することはできない!!!

・後婚が離婚によって解消された場合、後婚の取消しを請求することは原則として許されない。←婚姻取消しの効果が離婚の効果に準じるため(748条、749条)、法律上の利益がないことを理由とする。!

・人違いその他の事由によって当事者に婚姻する意思がない場合、婚姻は無効となる(742条1号)(×取消事由)

・詐欺によって婚姻した者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができ(747条1項)、ここにいう詐欺には96条2項の適用はなく、相手方の善意悪意は問わない

・検察官は731条から736条までの規定に違反した婚姻につき、裁判所に取消しを請求することができるが(744条1項本文)、当事者の一方が死亡した後はこれを請求することはできない(同上但し書き)。

・不適齢者が適齢に達すると、本人以外の取消請求は許されなくなるが、本人による取消請求は、適齢に達した後追認しない限り、適齢に達した後も3か月間はすることができる(745条1項2項)。

・婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる(748条1項)→取消し前に発生した第三者に対する日常家事債務の連帯責任などは、既に発生しているものであり、取消に影響されない。

・婚姻の取消しは将来に向かってのみ効力を生ずるので(748条1項)、取消し前に準正を受けた子(789条)は、父母の婚姻が取り消されても、嫡出子としての身分を失わない。

・婚姻の時においてその取消原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。

・さらに、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う(748条3項)。

・同居その他夫婦間の協力及び扶助に関する権利義務について、多分に倫理的、道義的な要素を含むとはいえ、法律上の実体的権利義務であることは否定できない。→公開の法廷で対審及び判決によるべきである。

・民法752条は夫婦の同居義務を規定しているが、判例によれば、この同居義務の履行については、間接強制をすることはできない。

・第三者が夫婦の一方と肉体関係を持った場合、夫婦の婚姻関係がすでに破たんしていたときは、特段の事情がない限り、第三者は不法行為責任を負わない。←被侵害法益が婚姻生活の平和の維持だから!!

・父親が未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、父親自らの意思によって行えるから、他の女性との同せいの結果、未成年の子が父親の愛情、監護、教育を受けることができなかったとしても、その女性の行為との間には相当因果関係がない

・夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係については、婚姻費用の分担方法等の法廷財産制を規定する760条から762条までの規定が適用される(755条)。

・754条にいう「婚姻中」とは、単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも実質的にも継続していることをいうから、婚姻が実質的に破たんしている場合は、形式的に継続しているとしても、夫婦間の契約を取り消すことは許されない。

・夫婦間の財産関係は、婚姻の届出後は変更することはできない(758条1項)!!

・夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定される(762条2項)。

・夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とされる(762条1項)。

・夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する(760条)。

・「婚姻から生ずる費用」(婚姻費用)には、生計費・教育費等が含まれる。

・日常の家事に関する法律行為の具体的な範囲は、個々の夫婦によって異なるが、単にその法律行為をした夫婦の共同生活の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等も十分に考慮して判断すべきである。!!!

・結納は婚姻の成立を予想して授受する贈与であるから、婚約が後日合意解除された場合には、受贈者は不当利得としてこれを返還すべき義務を負う!!⇔しかし、挙式後8か月余りも夫婦生活を続け、婚姻の届出も完了し、法律上の婚姻が成立した場合においては、既に結納授受の目的を達したから、たとえその後協議離婚をしたとしても結納を返還すべき義務はない。


憲法択一 統治 憲法訴訟


・憲法判断回避論:訴訟において違憲の争点が適法に提起されている場合でも、裁判所はその争点に触れないで事件を解決することができるのならば、あえて憲法判断をする必要はないし、すべきでもない。

・憲法判断回避の方法として、憲法判断そのものを回避する方法と、法律の違憲判断を回避(合憲限定解釈)する方法の2つが挙げられる。

・被告人の行為は自衛隊法121条の構成要件に該当しないとして無罪とするとともに、その結論に達した以上、もはや、弁護人ら指摘の憲法問題に関し、何らの判断を行う必要がないのみならず、これを行うべきではないとする。(恵庭事件)

・輸入書籍・図画等の税関検査の合憲性が問題となった事案において、表現の自由を規制する立法について合憲限定解釈が許されるのは、その解釈により、規制の対象になるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合であって、しかも一般市民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその基準から読み取ることができるときに限られるとした。→「風俗を害すべき書籍、図画」等とは、わいせつな書籍、図画等を指すものと解すべきであり、この規定は広汎又は不明確ゆえに違憲無効ということはできず、当該規定によるわいせつ表現物の輸入規制が憲法21条1項の規定に違反するものではない。

・法令違憲:争われた法令の規定そのものを違憲と判断する方法。

・運用違憲:法令の一連の適用の在り方に照らして違憲と判断される運用の一環としてなされた処分を違憲と判断する方法。=この手法は、法令の具体的適用の次元ではなく、その前の運用一般の次元で違憲と判断するという点で、適用違憲の手法よりも、法令違憲の手法に近い。

・適用違憲:法令が当該事件に適用される限りで違憲として、その適用を排除する方法をいう。

・17条に違反するかどうかは、当該行為の態様、これによって侵害される法的利益の種類及び侵害の程度、免責又は責任限定の範囲及び程度等に応じ、当該規定の目的の正当性並びに手段として 免責又は責任限定を認めることの合理性及び必要性を総合的に考慮して判断すべきである。(郵便法免責規定違憲判決)

・当事者においてある法令が憲法に適合しない旨を主張した場合に、裁判所が有罪判決の理由中にその法令の適用を挙示したときは、その法令は憲法に適合するものであるとの判断を示したものに他ならない。

・違憲とされた法令は一般に無効になるとする見解←当該事件に限って無効の扱いを受けるとすると法的安定性を害する。憲法98条1項の文言。

・違憲とされた法令は当該事件に限って適用が排除されると解する見解←違憲判決に一般的効力を認めると、裁判所に一種の消極的立法作用を認めることになり、国会以外による実質的意味の立法は憲法の特別の定めがある場合を除いて許されないという国会中心立法(×国会単独立法)の原則に反する。

・付随的違憲審査制説をとった場合でも、法令違憲の判決の効力について、一般的効力説を採ることは可能である。

・個別的効力説を前提とした場合でも、行政機関は最高裁判所が違憲無効と判断した法律を執行することはできないと解することは可能←他の国家機関は、最高裁判所の違憲判決を十分尊重することが要求されるから。

・将来効判決:ほうれいを違憲無効とはするが、その効力の発生は将来の一定時期以降にするという判決方法。(実際に採用した例はない)

・事情判決:判決の中で処分又は裁決が違法だと宣言するが、無効にはしないという判決方法。⇔裁判拒絶と同じだという批判あり。


民法論文  詐欺


1(1)詐欺を理由とする売買契約にかかる意思表示を取消している(96条1項)。したがって、遡及的無効(121条本文)により、買主は無権利者となり、転得者もは買主から土地を承継取得しえないのが原則。
(2)しかし、詐欺の事実について善意無過失で土地の売却を受けた転得者を保護する必要。そこで「善意の第三者」(96条3項)として保護されないか問題となる。
ア.詐欺取消し前に利害関係に入っているから「善意の第三者」に該当しそう。
イ.としても、登記を具備していない。96条3項の第三者は登記を具備している必要があるか 問題となる。
(ア)96条3項の「第三者」は承継取得者に近く、本人と非両立の関係に立つものではないから、対抗関係に立たない。とすれば、対抗要件としての登記は必要ない。
また、被詐欺者は詐欺されたことにつき帰責性がある。とすれば、利益衡量上、96条の「第三者」には権利保護資格要件としての登記も不要であると解される。したがって、96条3項の「第三者」は、登記を具備している必要はない。
(イ)登記を具備していなくとも「第三者」として保護される。
(3)転得者は土地の所有権を有する。

2(1)妻から買い受けた者が土地の所有権を取得するには、妻が代理権を有し、効果が夫に帰属する必要がある。ところが、夫から代理権を授与されていない。しかも、761条本文は「日常の家事」に関して夫婦相互間に法定代理権を付与したものと解されるものの、土地の売却は。客観的に見て、個々の夫婦それぞれの共同生活を営むうえにおいて通常必要とされる事務とはいえないから、「日常の家事」には当たらない。したがって、妻の土地売却行為は、夫の追認(116条本文)がない限り、無権代理行為として夫に効果帰属しないのが原則である。
(2)しかし、妻から買い受けた者が一切保護されないのは取引の安全を害する。そこで、第三者は、761条本文の法定代理権を基本代理権とし、110条の表見代理の成立によって保護されないか問題となる。
ア.たしかに、広く一般的に110条の表見代理の成立を認めると、夫婦の財産的独立(夫婦別産制、762条1項)を著しく損なう。他方、第三者の信頼を一切保護しないと取引の安全を損なう。そこで、両者の調和の観点から、第三者において当該行為が当該夫婦の日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信じるにつき正当な理由があるときに限り、(←信頼の対象を注意!!!)110条の趣旨を類推適用して、第三者は保護される。
イ.本件では、土地の売却は極めて高額な取引。日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当な理由なし。
(3)所有権を取得しない。


憲法択一 統治 憲法保障 総説


・憲法の主たる名宛人は国家権力である。

・憲法保障制度の事後的手段として、違憲審査制度(81条)がある。

・憲法保障制度の事前的な手段として、憲法の最高法規性の宣言(98条1項)、公務員の憲法尊重擁護義務(99条)、権力分立制(41条、65条、76条1項)、硬性憲法(96条)などがある。

・近代立憲主義の進展とともに、憲法保障制度は整備され、抵抗権は成文から姿を消した。←抵抗権の本質が非合法的なところにあり、組織化・制度化になじまない性格を持っているためであり、抵抗権の思想が不要になったわけではない。

・革命権は、既存の法秩序を倒し新たな法秩序を創設する行為である。(⇔抵抗権とはちがう)

・抵抗権:侵害された既存の法秩序を回復する行為

・中世ヨーロッパにおいて、法の支配を最終的に担保するものとして主張され、フランス人権宣言などで自然権として保障されたのは抵抗権である(×革命権)

・国家緊急権に関する規定は、明治憲法にはおかれていたが、当該権利が濫用されたことや、戦争の放棄の規定(9条)が置かれたことを考慮して、日本国憲法では除外されている。

・緊急の事態を法律で定めることが一切許されないわけではなく、憲法解釈として許される範囲内で、いくつかの法律が緊急事態への対応を定めている。

・国家緊急権は、国家存亡の際に憲法の保持を図るもので、憲法保障のひとつの形態であるといえる。

・他方、立憲的な憲法秩序を一時的にせよ停止し、執行権への権力の集中とその強化を図って危機を乗り切ろうとするものであるから、立憲主義を破壊する危険性をはらんでいる。→自然権思想を推進力として発展してきた人権や、その根底にあってこれを支えてきた抵抗権とは性質が異なる。

・条約:外国との間における国際法上の権利・義務関係の創設・変更にかかわる文書による法的合意をいう。

・日本国が外国との間で純然たる私人としての立場で結んだ合意は「条約」にあたらない。

・憲法99条にいう「義務」については、道徳的要請を規定したものと解されているが、憲法の侵犯・破壊を行わないという消極的不作為義務違反は法律による制裁の対象となることがあり得る。→憲法の非合法的変革を企てたり主張したりすることは消極的不作為義務違反に当たり、憲法村長擁護義務に違反すると解される。

・99条は、憲法尊重擁護義務の主体として国民を挙げていない。

・73条1号の「誠実に執行」に関連して、内閣は法律が憲法に違反していると判断した場合、法律の執行を拒否できるか?→法律が違憲かどうかの判断は国会が優先し、内閣はその判断に拘束されるため、拒否できない。

・国務大臣にも憲法尊重擁護義務がある。


民法論文 錯誤 要件事実など


・錯誤:内心的効果意思と表示の不一致を表意者が知らないことをいう。

・当事者以外の第三者が錯誤無効を主張できないか。
民法95条本文の趣旨が表意者の保護にあることからすれば、第三者は原則として錯誤無効を主張することはできないが、債権保全の必要性があり、かつ表意者が錯誤を認めている場合には、第三者も錯誤無効の主張をできる。
→不当利得返還請求権を満足させるに足りる財産を有していない
表意者は錯誤を認めていることを主張

・立証はどちらがすべきか
第三者は無効を主張できないのが原則である以上、錯誤無効を主張する第三者がその事実を立証すべき。

・重過失については、95条が但し書きで例外的に無効を主張できないと定めていることから、錯誤無効の主張を争う側が主張立証すべきである。

要件事実表
1.訴訟物
ZのYに対する不当利得の基づく利得金返還請求

2.請求原因
(1)被保全債権の発生原因事実(不当利得返還請求権)
ア.損失と被告の利得、およびそれらの因果関係
イ.アが法律上の意原因に基づかないこと
(ア)法律行為の要素に動機の錯誤があること
(イ)動機が意思表示の内容として表示されたこと
(2)無資力
(3)代位される権利の発生原因事実
ア.損失と利得、及びそれらの因果関係
イ.アが法律上の意原因に基づかないこと
(ア)法律行為の要素に動機の錯誤があること
(イ)動機が意思表示の内容として表示されたこと
ウ.被代位債権者が錯誤を認めていること

3.抗弁
(被保全債権に対して)錯誤について重過失があることの評価根拠事実

4.再抗弁
共通錯誤


民法択一 契約の有効性 契約内容の一般的有効要件


・正妻との婚姻が将来解消したら婚姻をする旨の予約及び、その婚姻予約に基づいて婚姻入籍まで扶養料を支払う旨の契約は、善良の風俗に反するもので無効である(90条)。

・不倫関係を断つために慰謝の目的で金銭を贈与する、いわゆる手切れ金の契約は有効である(笑)公序良俗に反しないらしい。

・クラブのホステスが顧客の飲食代金債務を保証する契約も、自己独自の客としての関係を維持することによって、クラブから支給される報酬以外の特別の利益を得る目的で任意にこれを締結するものであれば、公序良俗に反せず無効とはならない。笑

・687条のやむをえない事情がある場合に組合から任意に脱退することができると定める部分は強行規定である。(組合員の自由の著しい制限となるから)。

・食品衛生法に違反する有害食品と知ったうえで販売する取引行為は90条に反し無効。(取締規定だけど90条に抵触し無効)

・当事者が慣習の存在を知りながら特に反対の意思を表示しなかったときは、慣習による意思があるものと推定する。


憲法択一 統治 地方自治 地方自治の意義


・団体自治とは、地方公共団体が、国から独立した団体として、自らの意思と責任の下で自治を行うことをいう。←自由主義的要素

・住民自治とは、地方自治が住民の意思に基づいて行われることをいう。←民主主義的要素

・法律で地方議会を諮問機関とすることは、国が地方自治のあり方に介入する点で、団体自治に反し、「地方自治の本旨」に反する→違憲

・地方公共団体の長に対する住民による条例の制定又は改廃についての直接請求制度は、直接民主主義制度であり、住民自治を実現する制度である。

・地方自治の本旨について、地方自治制度は国家の統治権に由来するものであるから、国は地方自治の廃止を含めて地方自治保障の範囲を法律によって定めることができるという説がある。

・上記説の批判として、憲法が特に一つの章を地方自治を定めた趣旨が没却されるという批判がある。

・制度的保障説:地方自治の保障は、地方公共団体の自然権的・固有権的基本権を保障したものではなく、地方自治という歴史的・伝統的・理念的な公法上の制度を保障したものであるとする説。

・地方自治保障の性質を制度的保障と解しても、都道府県を廃止して道州制を導入することが92条に反することになるとは限らない。

・課税権を自治権の一環として捉えるのであれば、少なくとも、地方税に関しては「地方自治の本旨」(92条)の要請において、84条の法律には条令も含まれ、条例によっても、税源や税目を具体的に定めることができる。

・住民投票自体を認めるということが必然的に投票結果の拘束力についての首長の法的義務を導き出すわけではない。