憲法択一 統治 国会 国会の組織と活動


・内閣が連帯して責任を負う「国会」については、国政調査権が各議院に与えられいること(62条)から考えると、各議院がそれぞれ内閣の責任を追及し得ると考えられるので、両議院の意味に解することができる。⇒各議院は個別的に内閣の責任を追及することができる。

・両議院の召集・開会が同時に行われるべきという憲法上の明文はない。もっとも、54条2項本文が、衆議院が解散されたときは、参議院は同時に閉会になると定めていることや、憲法が二院制を採用していることからすれば(42条)、両議院の同時活動の原則が憲法上の要請であるといえる。

・各議院が独立して議事を行い、議決することを独立活動の原則といい、二院制から当然に導かれる。

・両院協議会を開くこと(59~61条)、両議院の常任委員会が合同して開く合同審査会制度(国会法44条)等が上記の例外としてある。

・両院協議会の協議案は出席議員の3分の2以上の多数で議決されたときに成案となる(国会法92条1項)。

・両院協議会は非公開とされ、傍聴は一切許されない(国会法97条)。

・内閣総理大臣の指名について、両議院で異なった指名を議決した場合、まず、両院協議会を開き、協議が調わないときに初めて衆議院の議決を国会の議決とする(67条2項)。

・憲法改正の発議(96条)については、両議院の議決価値に優劣はない。⇒衆議院の議決が優先されるわけではない。

・両議院の議員の資格は、法律でこれを定める。ただし、教育によって差別してはならない。

・単記投票法とは、一選挙区から選出する議員定数の多少にかかわらず、投票用紙に一人の候補者の指名を記名せしめて投票させる方法である。

・選挙人が政党の作成した候補者名簿に対して投票を行い、原則として名簿上の候補者間で投票の委譲を行う方式を名簿式という。

・現行の衆議院議員選挙の比例代表制は拘束名簿式、参議院は非拘束式である。

・直接選挙とは、選挙人が直接に代表者を選出することであり、投票結果と代表者の選出の間に選挙人以外の者の意思が介入することを禁ずる

・名簿式比例代表制について、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはないとしたうえで、当選人の決定に選挙人以外の意思が介入するものではないから、本件非拘束名簿式比例代表制による比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできず、43条1項に違反するものではない。

・国会議員は法律の定めるところにより歳費を受け取ることが憲法上規定されているにすぎず(49条)、任期中減額されないことまで保障されているわけではない。

・両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されない(50条1項)。

・「法律の定める場合」として、国会法が「院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕できない」(国会ほう33条)としている。⇒現行犯うんぬんは憲法が直接規定しているわけではない。

・国会議員が逮捕されないのは任期中ではなく会期中である(50条)。

・国会議員について、憲法上訴追禁止の明文はない

・両議院の議員が逮捕されない「会期中」(50条)とは、国会の開会中を意味し、国会の閉会中の参議院の緊急集会中に、不逮捕特権は認められない。もっとも、国会法100条によって、参議院の緊急集会中の参議院議員に不逮捕特権は認められている

・両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない(51条)。この規定の趣旨は、議員の職務の執行の自由を保障することにあるから、特権の保証は演説、討論又は表決の形式にとどまらず、議院の活動として職務上行ったものに及ぶ

・免責の対象は院外の責任とされており、刑事上・民事上の責任を免れれば職務執行の自由は失われないから、政治的・道義的責任を追及することは許される。⇒除名処分は許される。

・議院における発言が個人の名誉を棄損する場合には、それが違法であることに変わりはないから、国家賠償法に基づき国に賠償を請求することができる場合があり、議員個人は国が賠償しても国から求償を受けないという保護をすれば足りると考えることができる。フム

・名誉を棄損された私人からの国家賠償請求を認めると、国会議員自身を証人として取り調べなければ違法性の有無を判断できない場合がないとはいえず、国会議員が証人として原告から追及されることもありえ、このような事態は国会議員の発言を最大限保障するという憲法の趣旨に反するおそれがある。フムフム

・国会議員たる地位を失った場合に在職中の言論の法的責任を追及可能とすると、現職の国会議員は自らが国会議員の地位を失った場合の法的責任の追及を考えて在職中自由な発言ができず、51条の趣旨を没却する。

・国会議員の免責特権(51条)にいう「責任」は弁護士法上の懲戒責任も含む。

・51条についての国会議員の立法過程における行動は政治的責任の対象とするにとどめるのが国民の代表者による政治の実現を期するという目的にかなうとしたうえで、国会議員の立法行為は、本質的に政治的なものであって、その性質上法的規制の対象になじまず国会議員は、立法に関しては、原則として、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではないとした。(在宅投票制度廃止事件上告審)

・議員が院内での質疑等によって個人の名誉を棄損する発言をしたとしても、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情がある場合に限り、国家賠償法1条1項におけつ違法な行為があったといえる。

・国会議員の免責特権は、国会議員が国務大臣を兼職している場合は、国務大臣として行った発言は免責の対象とはならない

・憲法は、常会(52条)のほかに臨時会(53条)の規定を置いていることから、国会の会期については憲法上、会期制が予定されていると考えられるため、常設制を採用することはできない。⇒常会の会期を1年と定めることはできない。

・憲法には会期延長に関する規定はないが、国会法はこれについて定め、常会、臨時会及び特別会の会期延長の議決について衆議院の優越を認めている!。

・会期不継続の原則は、国会法68条本文で規定しているが、憲法上、同原則を定めた規定はない

・一次不再議の原則は、一度議院が議決した案件については同一会期中には再びこれを審議しないという原則である。

・一次不再議の原則について、明治憲法39条は規定していたが、日本国憲法にも、国会法や議員規則にも、それに当たるものは置かれていない。

・国会の召集は、憲法上、国事行為のひとつとして天皇の権能である(7条2号)。しかし、これは、内閣の「助言と承認」(3条、7条柱書)に基づいてなされる形式的・儀礼的行為であり、召集の実質的決定権は、内閣にある。

・臨時会については、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集の決定をしなければならない(53条後段)。

・衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に衆議院議員総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければならない。

・参議院の緊急集会は、衆議院の解散中、国に緊急の必要があるとき、内閣の求めによって行われ(54条2項但し書き)、衆議院の任期満了による総選挙の間については想定していない。!

・緊急集会をもとめることができるのは内閣(54条2項但し書き)であり、内閣総理大臣ではない!!5。また、参議院議員にもその権能はない。

・緊急集会では憲法改正の発議を除き、国会の機能に属する事項のすべてを審議することができる。というのも、憲法改正の発議は両議院の議決を要する(96条1項)ので、緊急集会になじまないから。

・緊急集会は、内閣が緊急に必要とした議案を審議するために開かれるものである以上、審議できるのは、内閣総理大臣が内閣を代表して示した案件に限られる(国会法99条1項)。例外として、当該案件に関連する議員発議にかかる議案を審議することもできる。

・緊急集会で採られた措置は「臨時のもの」であって、次の国会の開会後10日以内に衆議院の(×国会)同意がない場合は、将来に向かって効力を失う(54条3項)!!!!