民法択一 親族 婚姻


・婚姻の届け出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭でしなければならない(739条2項)。

・724条1号の「当事者間に婚姻する意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係を設定する効果意思がない場合をいう。→単に他の目的を達するための便法として仮託され、真に夫婦関係を設定する効果意思がなかった場合には、婚姻は効力を生じない。

・将来婚姻する目的で性交渉を続けてきた者が、婚姻意思を有し、かつ、その意思に基づいて婚姻の届出を作成したときは、かりに届出が受理された当時意識を失っていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情がない限り、届け出の受理により婚姻は有効に成立する。

・養子と養方の傍系血族の間は婚姻できる。→要旨は養親の弟と結婚できる。

・養親子間においても婚姻は禁止されている。離縁によって親族関係が終了した後であっても同様とされている(736条)。

・直系姻族の間では婚姻関係が終了した後でも婚姻することができない(735条)。⇔妻の姉妹は傍系姻族だから結婚できる。

・未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない(737条1項)。そして、離婚により親権を失った父または母も同意権者である。!!!

・誤って二重に婚姻届が受理されてしまった場合、前婚について離婚原因(770条1項1号、5号)となり、後婚については取消原因(744条1項本文、732条)となるにとどまる。

・女は、前婚の解消又は取消しの日から6か月を経過した後でなければ、再婚をすることはできない(733条1項)。

・女性が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合は、その出産の日から733条1項の適用はない。

・再婚禁止期間に違反してした婚姻については、前配偶者も、その取消を請求できる。(744条2項)!!!

・未成年者(18歳←婚姻適齢ではある)が父母の同意を得ずに婚姻届を作成して届出をし、誤ってこれが受理された場合、父母は、その婚姻が不適法なものであるとして、家庭裁判所に取消しを請求することはできない。←744条1項には、737条が挙げられていないため。

婚姻適齢(731条)の規定に違反した婚姻については、各当事者から、その取消しうを家庭裁判所に請求することができ(744条1項本文)、婚姻適齢に達しない者は、父または母の同意がなくとも、婚姻の取り消し請求をすることができる。

・婚姻適齢の規定に違反した婚姻の取消しは、各当事者、その親族または検察官の請求に基づき、家庭裁判所が行う。←婚姻適齢は公益的規定であるため、親族及び検察官も取消請求できる。

・重婚(732条)は、婚姻取消事由であるが(744条1項)、取り消し得るのは、後婚であって、前婚は離婚自由になるにとどまる(770条1項1号、5号)!!→2人目の妻は1人目の妻と夫の婚姻の取り消しを裁判所に請求することはできない!!!

・後婚が離婚によって解消された場合、後婚の取消しを請求することは原則として許されない。←婚姻取消しの効果が離婚の効果に準じるため(748条、749条)、法律上の利益がないことを理由とする。!

・人違いその他の事由によって当事者に婚姻する意思がない場合、婚姻は無効となる(742条1号)(×取消事由)

・詐欺によって婚姻した者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができ(747条1項)、ここにいう詐欺には96条2項の適用はなく、相手方の善意悪意は問わない

・検察官は731条から736条までの規定に違反した婚姻につき、裁判所に取消しを請求することができるが(744条1項本文)、当事者の一方が死亡した後はこれを請求することはできない(同上但し書き)。

・不適齢者が適齢に達すると、本人以外の取消請求は許されなくなるが、本人による取消請求は、適齢に達した後追認しない限り、適齢に達した後も3か月間はすることができる(745条1項2項)。

・婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる(748条1項)→取消し前に発生した第三者に対する日常家事債務の連帯責任などは、既に発生しているものであり、取消に影響されない。

・婚姻の取消しは将来に向かってのみ効力を生ずるので(748条1項)、取消し前に準正を受けた子(789条)は、父母の婚姻が取り消されても、嫡出子としての身分を失わない。

・婚姻の時においてその取消原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。

・さらに、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う(748条3項)。

・同居その他夫婦間の協力及び扶助に関する権利義務について、多分に倫理的、道義的な要素を含むとはいえ、法律上の実体的権利義務であることは否定できない。→公開の法廷で対審及び判決によるべきである。

・民法752条は夫婦の同居義務を規定しているが、判例によれば、この同居義務の履行については、間接強制をすることはできない。

・第三者が夫婦の一方と肉体関係を持った場合、夫婦の婚姻関係がすでに破たんしていたときは、特段の事情がない限り、第三者は不法行為責任を負わない。←被侵害法益が婚姻生活の平和の維持だから!!

・父親が未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、父親自らの意思によって行えるから、他の女性との同せいの結果、未成年の子が父親の愛情、監護、教育を受けることができなかったとしても、その女性の行為との間には相当因果関係がない

・夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係については、婚姻費用の分担方法等の法廷財産制を規定する760条から762条までの規定が適用される(755条)。

・754条にいう「婚姻中」とは、単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも実質的にも継続していることをいうから、婚姻が実質的に破たんしている場合は、形式的に継続しているとしても、夫婦間の契約を取り消すことは許されない。

・夫婦間の財産関係は、婚姻の届出後は変更することはできない(758条1項)!!

・夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定される(762条2項)。

・夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とされる(762条1項)。

・夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する(760条)。

・「婚姻から生ずる費用」(婚姻費用)には、生計費・教育費等が含まれる。

・日常の家事に関する法律行為の具体的な範囲は、個々の夫婦によって異なるが、単にその法律行為をした夫婦の共同生活の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等も十分に考慮して判断すべきである。!!!

・結納は婚姻の成立を予想して授受する贈与であるから、婚約が後日合意解除された場合には、受贈者は不当利得としてこれを返還すべき義務を負う!!⇔しかし、挙式後8か月余りも夫婦生活を続け、婚姻の届出も完了し、法律上の婚姻が成立した場合においては、既に結納授受の目的を達したから、たとえその後協議離婚をしたとしても結納を返還すべき義務はない。