民法択一 物権 物権変動 明認方法


・土地が二重譲渡された場合に、未登記の第1譲受人がその土地上に立木を植栽した後、第2譲受人が土地の移転登記を具備した場合は、第1譲受人は立木所有権を公示する対抗要件を具備しなければ、自己が植栽した立木の所有権を第2譲受人に対抗することはできない。←242条ただし書きの類推適用により、譲渡人以外の地盤所有者に対する関係では立木の地盤への付合は遡って否定されるとしながらも、立木が地盤に付合したまま移転する本来の物権変動の効果を立木について制限することとなるから、その物権的効果を第三者に対抗するためには、少なくとも立木所有権を公示する対抗要件を必要とする!!!

++立木は独立した物権の客体になるのか?
立木は土地の定着物(86条1項)であり、しかも、取引通念上建物のような土地とは別個の不動産というよりも、土地の土砂や岩石のように土地の完全な構成部分に近いものと考えられる。そこで、立木は原則として土地に「付合」し、独立した物権の客体とはならないと解する。もっとも立木のみを取引の対象とする慣行が存在するのであり、その場合などには立木を独立の経済的価値を有する物権の客体として取り扱う必要がある。そこで、「権原」によって植栽した場合等には、立木は例外的に土地とは独立した物権の客体になる!

+なぜ242条の類推か?→「権原」とは他人の土地を利用する権利をいうところ、登記の対抗力は遡及しないので(=対抗力はあくまでも登記がなされた時点で発生し、物権変動の時まで遡及するものではない)、立木を植栽した時点で土地所有権者であったAには直接適用することはできないから。

+しかし、Cが出現するまでは、Aは土地の利用権以上の権利である所有権を有していたのに、Aが保護されないのは不都合。また、Cが登記を備えればそれ以後はAは対抗力を失うところ(177条)、これは他人の土地を利用していたのと同じ状況にあるといえる。そこで、Aは242条を類推適用により立木所有権を留保できる。

・当事者間の合意で立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするか又はその留保を公示するに足る明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもってその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗しえない。!!!

・明認方法は、登記に代わるものとして第三者が容易に所有権を認識することができる手段で、しかも、第三者が利害関係を取得する当時にもそれだけの効果をもって存在するものでなければならない!!!


民法択一 物権 物権変動 契約による動産物権変動

・占有改定も178条の「引渡し」にあたる!!!!!→動産の譲受人は、占有改定を受けることにより、その所有権の取得を第三者に対抗することができる。

・指図による占有移転(184条)も178条の「引渡し」に当たる!!→動産の寄託者がこれを譲渡した場合、寄託者が受寄者に対し以後譲受人のためにその動産を占有することを命じ、譲受人がこれを承諾した場合は、譲受人は、その所有権の取得を第三者に対抗することができる!!

・動産の二重譲渡がなされた場合、動産を占有しているYがXからの引き渡しを求める請求の棄却判決を得るためには、
①対抗要件の抗弁
②対抗要件具備による所有権喪失の抗弁
が考えられる。

・その際Yは、自己が甲動産をAから譲り受けたという事実に加えて、対抗要件を具備するまではXの所有権主張を認めないという主張、又は、AがAY間の売買契約に基づいて甲動産をYに引き渡したことを主張立証する必要がある。


民法択一 物権 物権変動 不動産物権変動における対抗要件主義


・不動産の取得については、当該不動産が未登記であっても177条の適用があり、取得者はその旨の登記を経なければ、取得後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗できない!→AB売買、BがB名義の所有権保存登記をしたうえで、Cにこれを売却し登記をした場合・・・。

・建物が減失した後、その跡地に同様の建物が新築された場合は、旧建物の既存の登記を新建物の保存登記に流用することは許されない!!!!このように流用された登記は新建物の登記としては無効!!

・取消し(詐欺など)の意思表示により土地所有権は元の所有者に復帰し、取消後の買受人とは177条により対抗関係となる。

・仮装の売買契約に基づくもので登記当時には実体的権利関係が欠けているから無効であったが、その後有効に買い受けてその所有権を取得した場合、その時以後当該登記は現在の実体的権利関係と合致するに至ったのであるから有効となり、以後所有権を第三者に対抗できる!!!

・94条2項を根拠に取消後の第三者を保護する見解は、詐欺にかかる法律行為を取消した場合、取消の効力が遡及することを根拠とする!=復帰的物権変動を根拠としない!

・時効取得者は、登記を経由していなくても時効取得を時効完成前の第三者に対抗することができる。

・不動産の取得時効完成後に第三者に譲渡された場合、時効取得者は、登記を経由しなければ時効取得を時効完成後の第三者に対抗することができない。
+なお引き続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、登記なくして対抗できる。

・共有権に対する妨害排除として登記を実体的権利関係に合致させるために請求できるのは、持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続きである!!!→被相続人Aから甲不動産をBと共に共同相続したXは、Bが単独相続した旨の登記をしたうえでYに売却し、Yが所有権移転登記を備えた場合、Yに対し、この所有権移転登記の全部抹消を求めることはできない。

・相続放棄の効力は絶対的で、何人に対しても登記なくしてその効力を生ずる。

・遺産の分割は第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後の第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができない。

・特定の財産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は、特段の事情がない限り、遺産分割方法の指定(908条)であり、当該遺産を相続開始時に直ちに当該相続人に帰属させるものであることを前提に、これによる権利の移転は法定相続分又は指定相続分の相続の場合と本質的に異ならないため、登記なくして第三者に対抗できる!!!!!!!→「甲不動産はXに相続させる」旨の遺言により、Aの死亡時にXが所有権を取得した甲につき、共同相続人Bの債権者YがBに代位してB及びXの法定相続分により共同相続登記をしたうえでBの持分を差し押さえた場合、Xは、甲の所有権取得をYに対抗することができる。

・特定遺贈には177条の適用がある。→被相続人が生前に不動産を推定相続人に贈与したが、その登記未了の間に他の推定相続人に当該不動産を遺贈し、その後相続が開始された場合、贈与と遺贈の物権変動の優劣は、登記の前後で決定される。
+包括遺贈=遺産の全部・全体に対する配分割合を示す
+特定遺贈=遺産のうち特定の財産を示す

・競売の申立てをした相続人の債権者は、相続人の不動産持分に対する差押債権者として177条条にいう第三者に該当し、受遺者は登記がなければ自己の所有権取得をもって相続人の債権者に対抗できない!!→被相続人から不動産の特定遺贈を受けた者が、被相続人が死亡した後、所有権移転登記を備えない間に相続人の債権者が当該不動産について相続人を代位して相続による持分取得の登記をし、強制競売の申立てをした場合、受遺者は、登記なくして相続人の債権者に対抗することはできない!!

・177条の規定は、登記を第三者に対する権利得喪変更の対抗要件としたものであり、権利取得原因が通常の売買である場合と競落手続による場合とを問わず適用される。

・177条にいう「第三者」とは、当事者もしくはその包括承継人以外の者で、不動産に関する物権の得喪及び変更の登記欠缺を主張する正当の利益を有する者をいう。→Aの包括承継人たるCは「第三者」にあたらない。BはCに対し所有権移転登記なくして所有権を主張することができる。

・前主・後主の関係にあった場合も「第三者」に当たらない。→YAXと順次譲渡された場合、XがYに対して土地の引き渡しを請求した場合、Xが所有権移転登記を備えていなくとも、Yは引渡しを拒絶することはできない。

・被相続人が不動産を譲渡した場合、その相続人から当該不動産の譲渡を受けた者は、177条の規定する「第三者」にあたる。

・建物賃貸借契約が合意解除されたにもかかわらず何らの権原もなく家屋を占有する不法占有者は、177条にいう「第三者」には当たらない。→建物所有権を譲り受けるとともに建物賃貸借契約を承継した建物譲受人は、当該賃貸借契約が合意解除されたにもかかわらず、その後も変わらず家屋を占拠し続けている賃借人に対して、登記がなくとも明渡しを求め、損害賠償を請求することができる!。

・いったん登記簿に登記された以上、登記簿が減失し回復登記申請期間を徒過したとしても、これによって過去にさかのぼって未登記の状態になったものと同視しなければならないわけではなく、譲受人は登記の時点で完全に所有権を取得するから、無権利者たる譲渡人から譲り受けた第三者は177条の「第三者」には当たらない!!!!!!→登記なくして対抗できる。

・Aがその不動産にBのために抵当権を設定し、その後AがCに同一不動産を譲渡した場合、Bはその抵当権設定の登記がなければその抵当権取得をCに対抗することができない。←Cは、Bの抵当権取得について当事者もしくはその包括承継人以外の者であって、Bの抵当権が設定された不動産の所有権を正当に取得しているので、Bの抵当権の取得について登記欠缺を主張する正当な利益を有するものとして「第三者」(177条)にあたる。

・背信的悪意者故に「第三者」(177条)に当たらない場合であっても、譲渡人と背信的悪意者の間の売買自体の無効をきたすものではないので、背信的悪意者は無権利者ではない!!→背信的悪意者は無権利であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないわけではない。

・実体的物権変動があった事実を知る者において物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、このような背信的悪意者は、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであって、「第三者」(177条)に当たらない。=XはYA間の売買を知る者であり、Yの代理人であったことから背信的悪意者にあたる。

・背信的悪意者に当たるかどうかは当事者ごとに相対的に評価する!!→背信的悪意者からの転得者は、転得者自身が第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価されるのでない限り、所有権取得を第一譲受人に対抗できる!!

・通行地役権の承役地が譲渡された場合においても、譲渡の時に承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、承役地の譲受人がそのことを知らなかったとしても特段の事情がない限り、通行地役権者は、登記なくして通行地役権を承役地の譲受人に対抗することができる。
←承役地の譲受人は、地役権登記の欠缺を主張するにおいて正当な利益を有する「第三者」に当たらない!!!
通行地役権の特殊性から、悪意者でない者でも登記の欠缺を主張することが信義に反する場合があると判断したものと解されている。

・取得時効の場合には、(背信的悪意の)悪意の要件が緩和され、時効完成に必要なすべての事実を認識している必要はなく、多年にわたる占有の認識の事実で足りる!!!!!
→時効取得した不動産について、取得時効完成後に当該不動産を譲り受けて所有権移転登記を具備した者が背信的悪意者に当たるというためには、譲渡を受けた時点において、譲受人が多年にわたり当該不動産が占有されている事実を認識しており、登記の欠缺を主張することが信義に反するものといえる事情が存在することが必要である。


民法択一 物権 物権変動 不動産登記


・仮登記は本登記の順位保全効があるにとどまり仮登記のままで本登記を経由したのと同一の効力があるとはいえない。→本登記手続きが終わるまでは、第三者は仮登記権利者の本登記の欠缺を主張し得る第三者に該当し、仮登記権利者は第三者に対し所有権の取得を対抗しえない。

・代物弁済の予約の仮登記を経由した場合に、債権者が所有権を取得するのは予約完結の意思表示をした時(×仮登記を経由したとき)である!!!

・登記手続き請求権の累計 3種類!
物権的登記手続請求権:所有権に基づく移転登記請求
債権的登記手続請求:契約に基づき賃借権設定登記手続き請求
物権変動的登記手続き請求:ABCと順次譲渡された場合、BがAに対して物権変動家庭に沿って登記手続きを請求する場合

・不動産につき贈与を原因とする所有権移転仮登記がなされているにとどまるときは、仮登記権利者が当該不動産の所有権を取得したことはもとより、当該不動産の贈与を受けた事実についても、仮登記の存在のみによってこれを推定することはできない。

・登記の存在により権利の所在が法律上推定されるか?→事実上の推定の効力のみ!!!

・物権的登記手続請求権の請求原因として、自己が所有権を有することを立証することが必要。当該事実について争いがある場合は、原告の現在の所有は立証できなくても、元所有を立証できれば足りる!!

・不動産の買主は、不動産を転売して所有権を喪失した後は、物権的登記手続請求権は失うが、売主に対して、甲土地の債権的登記手続請求権を有している。売買契約に基づく債権的登記手続請求権も時効にかかっている場合、物権変動的登記手続請求権により所有権移転登記手続を請求することもできる。→ABCと順次譲渡され、登記がいまだAにある場合、BはAに対して、自己の下に所有権移転登記手続を請求できる。

・、一種の中間省略登記を認めることになるとも思われるが、判例は、真正な登記名義の回復を原因とする抹消に代わる所有権移転登記請求を認めている!→XがABに土地を二重譲渡、Bが登記。AはBへの所有権移転登記の抹消登記手続きを求めることができるが、BからAへ直接所有権移転登記手続きを請求することもできる。

・真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、登記を真実に合致させることを内容とする登記請求権を有する=他の当事者は登記請求に応じて登記を真実に合致させることに協力する義務を負う。→契約の解除の場合登記の抹消を求めることができる。

・不動産の所有権者でない者が所有権保存登記手続きをして登記記録上所有名義人となった場合、真正の所有権者は、この名義人に対し直接自己への所有権移転登記手続きを求めることができる。

・実体的な権利変動の過程と異なる移転登記を請求する権利は、当然には発生しない!!→ABCとと順に所有権が移転した場合で登記が依然としてAにある場合、現に所有権を有するCは、Aに対して直接自己に移転登記すべき旨を請求することは許されない!!!

・登記の現状が実質的権利関係に合致する場合、登記の抹消を訴求するについての法律上の利益がない者については、中間省略登記の抹消登記手続きは認められない!!!・・・同意なくされた中間省略登記であっっても・・・。(同意していた場合は有効、同意がなくても正当な理由を有するときにしか抹消登記はできないよってこと)

・では、どんな時に中間省略登記の抹消がみ認められるのか?
BCが売買→通常、代金支払いと登記移転は同時履行の関係→Bが代金の支払いを受けていないのにAからCに中間省略登記がなされている場合には、Bがその抹消を求めることができないとすると、Bは同時履行の抗弁権を失うことになる。コンナバアイニミトメラレル。


民法択一 物権 物権変動 契約による物権変動


・特定物売買における所有権移転時期=特約がない限り、契約時に直ちに移転する!

・特定物の売買契約において、特定の日時までに買主が代金を支払わないときには契約が当然に失効する旨の解除条件の特約を当事者間でしていた場合、契約により所有権は当然買主には移転しない!!=解除条件が成立した時に売主に復帰するものでもない。

・物権行為の独自性を認める立場によると、一筆の土地を贈与する契約において、2つの法律行為が存在する。=物権行為をするという債権が発生する債権契約+物件移転そのものに向けられた当事者の合意(物件契約)

・不特定物売買については、原則として目的物が特定した時に(×契約の成立時)(401条2項参照)所有権は当然買主に移転する!!!

・不動産所有権の譲渡をもってする代物弁済による債務消滅の効果は、単に当事者がその意思表示をするだけでは足りず、登記その他引渡行為を完了し、第三者に対する対抗要件を具備したときでなければ生じない!!

・そのことは、代物弁済による所有権移転の効果が、原則として当事者間の代物弁済契約の意思表示によって生ずるものを妨げるものではない!!!→不動産を目的物とする代物弁済契約による債務の消滅時期と所有権の移転時期は同一とはならない!

・公信の原則=物権変動が存在しないにもかかわらず、真の権利関係と異なる公示が存在する場合、その公示を信頼して取引に入った者に対し、公示どおりの権利関係があったと同様の保護を与える原則。

・公示の原則=物権変動があった場合、その存在を外界から認識し得るものを要求する原則。


民法択一 物権 物権変動 物権変動とは


・同一物について所有権と占有権が同一人に帰属することになっても、占有権が消滅することはない!!!!(179条3項、1項)

・いったん混同により消滅した賃借権は、第三者に対する関係では、同人所有権取得によって、消滅しなかったものとなる!!
→Aが甲土地及び甲土地上に乙建物を所有している場合において、AとBが乙建物の賃貸借契約を締結し、乙建物を引き渡した後に、AがBに対して乙建物を贈与したが、その後、Bが乙建物の所有権移転登記をする前にAがCに対して乙建物を譲渡して所有権移転登記を経由した場合、CのBに対する乙建物の所有権に基づく引渡請求は認められない!!←Bの乙建物賃借権は消滅しなかったものとなり、Bは当該賃借権をCに対抗することができる!!(借地借家法31条1項)

・第2順位の抵当権者が抵当権が設定されている土地を取得した場合、原則通り第2順位抵当権は混同により消滅する(179条1項本文)

・B所有の土地にAが地上権の設定を受けている場合において、AがBから当該土地を買い受けた。AB間の売買契約が解除されたらどうなるか。
=契約が解除されると、その契約の効果は遡及的に消滅する(直接効果説)。したがって、混同によって消滅したAの地上権は復活する!!!

・第1順位の抵当権者に土地を代物弁済(482条)した場合。代物弁済の効果として、被担保債権が消滅する。そして、付従性により抵当権も消滅する!
+第2順位の抵当権者がいたとしても変わらない。

・「所有権以外の物権」及び「これを目的とする他の権利」が同一人に帰属したときは、当該権利は消滅するのが原則(179条2項)。ただし、所有権以外の物権を目的とする他の権利が第三者の権利の目的であるときは、例外的に当該他の権利は消滅しない(同項後段)。=抵当権が転抵当の目的になっているなど。

・Bは、Aの地上権を目的とした第1順位の抵当権の設定を受け、さらにCが第2順位の抵当権の設定を受けた。このとき、BがAの地上権を取得しても、Bの第1順位の抵当権は消滅しない!!!!!!←Bの第1順位の抵当権が消滅すると、Cが第1順位となってしまうから。

・特定の土地につき所有権と賃借権が同一人に帰属するに至った場合であっても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備した後に土地に抵当権が設定されていた時は、179条1項ただし書きの準用により、賃借権は消滅しない!!


民法択一 物権 物権法序説、物件法定主義


・一定の物に対して債権と物権が成立する場合、原則として物権が優先的効力を有する!

・しかし、対抗要件を備えた賃借権(605条、借地借家10条1項、31条1項)など、債権が物権に優先する場合もある。

・物件の排他性=同じ物のうえに同一内容の複数の物権が存在しないことをいう。

・先取特権においては、並存が認められ、その優先順位が法律で定められていることから、先取特権が、物権の排他性を有していないことを意味する!=排他性の例外

・物権の客体としての「物」とは有体物である(85条)!しかし、物権の客体は有体物に限られない!!!←例外的に、権利質(362条1項)や地上権のうえの抵当権(369条2項)など、権利を対象とする物権を認めている。

・一筆の土地の一部について取得時効が可能であることは、一筆として登記記録上1個の土地の一部に所有権の成立を認めたものであり、一物一権主義の例外である。

・法律や判例には、物の集合体に1個の物権を認めるものがある!!←工場抵当法2条は、企業経営のための土地・機械・器具などの物的設備の集合体に対して1個の抵当権の設定を認めている。判例は、構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定されている場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。

・慣習法による物権も認められる!!!!←温泉の湯口権について地方慣習法による物権的権利であることを肯定しており、その権利が物権であること及び物権的効力を有することを承認している。


民法択一 相続 遺留分


・遺留分請求権者は、兄弟姉妹を除く相続人である(1028条)!!!

直系尊属のみが相続人である場合、その相続人が受ける遺留分の割合は、被相続人の財産の3分の1である(1028条1号)。→両親のみが相続人の場合、両親の遺留分はそれぞれ6分の1になる。

・遺留分権利者が受ける遺留分の額は、直系尊属のみが相続人である場合を除いて2分の1である(1028条)。

・共同相続人の1人の遺留分の放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない(1043条2項)

・遺留分権利者が数人ある場合でも、単独で遺留分減殺請求権を行使できる!
+各自の遺留分を保全するのに必要な限度でしか減殺請求権を行使できないという制限はある(1031条)

・相続開始の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可(×に申述)を受けた時に限りその効力を生ずる(1043条1項)。

・特別受益は遺留分算定基礎財産に算入される(1044条・904条)

・共同相続人相互の公平の観点から、特別受益の評価の基準時を相続開始時としている。→被相続人が相続人に対し贈与した財産の価格をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価格に加える場合に、当該贈与財産が金銭であるときは、その贈与のときの金額を相続開始の時の貨幣価格に換算した価格をもって評価すべきである。

・贈与は、相続開始前の1年間にした者に限り、1029条の規定によりその価格を算入する。当事者双方が遺留分権者に損害を加えることを知って贈与したときは、1年前の日より前にした者についても同様とする(1030条)

・特別受益者に待っする贈与については1030条の限定はない(1044条・903条参照)=相続開始よりも相当以前になされたもので、減殺請求を認めることが当該相続人に酷である等の特段の事情のない限り、遺留分減殺の対象となる!!!

+特別受益に当たるのは「婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として」受けた贈与(903条参照)

・遺留分減殺の順序=遺贈を減殺した後に贈与を減殺(1033条)!!!!!!!イ→ゾ

・遺留分権利者による遺留分保全のための贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする(1035条)!!

・相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合、遺贈の目的の価格のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみがこれにあたる。

「目的の価格」(1035条)について※※
http://www.ilc.gr.jp/saikousai/kaisetsu/36.htm

・遺留分減殺請求権の法的性質=判例は形成権(×請求権)→遺留分減殺請求権は受遺者・受贈者に対する財産引渡請求権又は履行拒絶権ではない!

・遺留分権利者が受遺者に対して減殺請求をした場合、減殺を受けるべき贈与の目的物を譲り受けた者に対して減殺の請求をすることはできない。→受遺者が遺留分減殺請求を受けた後に、減殺を受けるべき贈与の目的物である不動産を第三者に譲り渡し、所有権移転登記をした場合、当該譲受人が譲渡時において遺留分権利者は、当該譲受人に対して減殺請求をすることはできない!!!!!!!!!!ナント

・不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなされる結果(1039条)、遺留分減殺請求の対象となる(1030条)

・遺留分減殺請求と取得時効の関係=遺留分減殺請求が優先→遺留分減殺の対象となる贈与を受けた者が、その贈与に基づき目的物の占有を継続し、取得時効を援用したとしても、遺留分減殺請求をした遺留分権利者への目的物の権利の帰属は妨げられない。

・遺留分減殺請求権の基本的効力は、贈与・遺贈の失効による目的物返還義務の発生であるが、受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価格を遺留分権者に弁償して返還の義務を免れることができる(1041条1項)。

・遺留分権利者が受贈者に対して価格弁償を請求する訴訟において
価格弁償における価格算定の基準時は、現実に弁償がされるときである(×贈与時)。=訴訟に当たっては事実審口頭弁論終結時。

・減殺すべき贈与があったことを知った時(1042条)とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時である!!
+1042条=減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、事項によって消滅する。相続開始の時から10年を経過した時も同様とする。

・遺留分請求権者が減殺請求により取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記手続き請求権は、時効によって消滅しない!


民法択一 相続 遺言の撤回・取消し

・遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない(1026条)

・遺言をした後に、これと抵触する処分が生前になされた場合には、その抵触する部分については遺言は撤回されたものとみなされる(1023条2項・1項)←本人の最終意思を尊重し、遺言の撤回の自由を認める。

・遺言者が故意に遺言書を破棄した時は、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす!!→全体について撤回したものとみなされるわけではない!!

・撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至った時であっても、原則として、その効力を回復しない(1025条本文)!!!!!

・もっとも、遺言の撤回が詐欺・強迫によってなされたために、それが取り消されたときは、撤回された遺言の効力の回復が認められている(同条但し書き)。


民法択一 相続 遺言の執行


・公正証書遺言を除き、遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない(1004条1項前段、同条2項)

・公正証書遺言は偽造・変造のおそれがないから、一種の証拠保全手続である検認を要しない。

・遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない(1013条)。

・遺言執行者がいる場合に相続人が遺贈の目的物につき1013条に違反して行った処分行為の効力は、絶対的に無効になる。→相続人が、遺贈の目的不動産を第三者に譲渡してその登記をしたとしても、当該処分行為は無効であり、受遺者は、遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして処分行為の相手方たる第三者に対抗できる!!!!!

・遺言者は、遺言で1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる(1006条1項)。

・遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって(×職権)、これを選任することができる(1010条)。

遺言者が提起する遺言無効確認の訴えは不適法である!!!!!←遺言者は、既になした遺言をいつでも取り消すことができるから、受遺者は将来遺贈の目的物たる権利を取得することの期待権を有さない。フム・・・

・未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない(1009条)!!!

・成年被後見人であることは遺言執行者の欠格事由とはされていない!!!!!マジカ

・特定債権が遺贈された場合、債務者に対する通知又は承認がなければ、受遺者は遺贈による債権の取得を債務者に対抗することはできない!!