民法754条 夫婦間の契約の取消権 家族法 親族 婚姻

民法754条 夫婦間の契約の取消権

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(夫婦間の契約の取消権)
第七百五十四条  夫婦間でした契約は、婚姻中いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

・取消権の行使は婚姻中に限られる!

・婚姻中ならばいつでも取消権を行使できる
=一般的な取消権の行使期間を制限する126条は適用されない
=20年以上前に婚姻中締結された契約の取消しもできる

・取消しの効果は遡及し、履行完了後でも回復を求められる。

・婚姻が実質的に破たんしている場合は、夫婦間の契約を取り消すことはできない!!!

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民法753条 婚姻による成年擬制 家族法 親族 婚姻

民法753条 婚姻による成年擬制

(婚姻による成年擬制)
第七百五十三条  未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

・成年擬制の効果は民法の中で認められる。
=公職選挙法や未成年者飲酒禁止法などでは以前として未成年者

・婚姻の解消によっても成年擬制の効果は失われない。

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民法752条 同居、協力及び扶助の義務 家族法 親族 婚姻

民法752条 同居、協力及び扶助の義務

(同居、協力及び扶助の義務)
第七百五十二条  夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

・同居義務の内包する政教動は婚姻共同生活の本質をなすものであるが、法的強制には親しまない。
→直接強制も間接強制も許されない

・家事事件手続法に基づく夫婦同居に関する審判は本質的に非訟事件の裁判であって、公開の法廷における対審及び判決によらなくても、憲法32条・82条に反しない

+判例(S40.6.30)
理由
 本件抗告の理由は別紙記載のとおりであり、これに対して当裁判所は次のように判断する。
 憲法八二条は「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」旨規定する。そして如何なる事項を公開の法廷における対審及び判決によつて裁判すべきかについて、憲法は何ら規定を設けていない。しかし、法律上の実体的権利義務自体につき争があり、これを確定するには、公開の法廷における対審及び判決によるべきものと解する。けだし、法律上の実体的権利義務自体を確定することが固有の司法権の主たる作用であり、かかる争訟を非訟事件手続または審判事件手続により、決定の形式を以て裁判することは、前記憲法の規定を回避することになり、立法を以てしても許されざるところであると解すべきであるからである。
 家事審判法九条一項乙類は、夫婦の同居その他夫婦間の協力扶助に関する事件を婚姻費用の分担、財産分与、扶養、遺産分割等の事件と共に、審判事項として審判手続により審判の形式を以て裁判すべき旨規定している。その趣旨とするところは、夫婦同居の義務その他前記の親族法、相続法上の権利義務は、多分に倫理的、道義的な要素を含む身分関係のものであるから、一般訴訟事件の如く当事者の対立抗争の形式による弁論主義によることを避け、先ず当事者の協議により解決せしめるため調停を試み、調停不成立の場合に審判手続に移し、非公開にて審理を進め、職権を以て事実の探知及び必要な証拠調を行わしめるなど、訴訟事件に比し簡易迅速に処理せしめることとし、更に決定の一種である審判の形式により裁判せしめることが、かかる身分関係の事件の処理としてふさわしいと考えたものであると解する。しかし、前記同居義務等は多分に倫理的、道義的な要素を含むとはいえ、法律上の実体的権利義務であることは否定できないところであるから、かかる権利義務自体を終局的に確定するには公開の法廷における対審及び判決によつて為すべきものと解せられる(旧人事訴訟手続法〔家事審判法施行法による改正前のもの〕一条一項参照)。従つて前記の審判は夫婦同居の義務等の実体的権利義務自体を確定する趣旨のものではなく、これら実体的権利義務の存することを前提として、例えば夫婦の同居についていえば、その同居の時期、場所、態様等について具体的内容を定める処分であり、また必要に応じてこれに基づき給付を命ずる処分であると解するのが相当である。けだし、民法は同居の時期、場所、態様について一定の基準を規定していないのであるから、家庭裁判所が後見的立場から、合目的の見地に立つて、裁量権を行使してその具体的内容を形成することが必要であり、かかる裁判こそは、本質的に非訟事件の裁判であつて、公開の法廷における対審及び判決によつて為すことを要しないものであるからである。すなわち、家事審判法による審判は形成的効力を有し、また、これに基づき給付を命じた場合には、執行力ある債務名義と同一の効力を有するものであることは同法一五条の明定するところであるが、同法二五条三項の調停に代わる審判が確定した場合には、これに確定判決と同一の効力を認めているところより考察するときは、その他の審判については確定判決と同一の効力を認めない立法の趣旨と解せられる。然りとすれば、審判確定後は、審判の形成的効力については争いえないところであるが、その前提たる同居義務等自体については公開の法廷における対審及び判決を求める途が閉ざされているわけではない。従つて、同法の審判に関する規定は何ら憲法八二条、三二条に牴触するものとはいい難く、また、これに従つて為した原決定にも違憲の廉はない。それ故、違憲を主張する論旨は理由がなく、その余の論旨は原決定の違憲を主張するものではないから、特別抗告の理由にあたらない。
 よつて民訴法八九条を適用し、主文のとおり決定する。
 この裁判は、裁判官横田喜三郎、同入江俊郎、同奥野健一の補足意見、裁判官山田作之助、同横田正俊、同草鹿浅之介、同柏原語六、同田中二郎、同松田二郎、同岩田誠の意見があるほか、裁判官全員の一致した意見によるものである。

・貞操の義務
不貞配偶者の相手方に対する他方配偶者の損害賠償請求は認められる!

・婚姻関係がすでに破たんしている夫婦の一方と肉体関係をもった第三者は、他方配偶者に対する不法行為責任は負わない!

+判例(H8.3.26)
理由
 上告代理人森健市の上告理由について
 一 原審の確定した事実関係は次のとおりであり、この事実認定は原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができる。
 1 上告人とaとは昭和四二年五月一日に婚姻の届出をした夫婦であり、同四三年五月八日に長女が、同四六年四月四日に長男が出生した。
 2 上告人とaとの夫婦関係は、性格の相違や金銭に対する考え方の相違等が原因になって次第に悪くなっていったが、aが昭和五五年に身内の経営する婦人服製造会社に転職したところ、残業による深夜の帰宅が増え、上告人は不満を募らせるようになった。
 3 aは、上告人の右の不満をも考慮して、独立して事業を始めることを考えたが、上告人が独立することに反対したため、昭和五七年一一月に株式会社A(以下「A」という)に転職して取締役に就任した。
 4 aは、昭和五八年以降、自宅の土地建物をAの債務の担保に提供してその資金繰りに協力するなどし、同五九年四月には、Aの経営を引き継ぐこととなり、その代表取締役に就任した。しかし、上告人は、aが代表取締役になると個人として債務を負う危険があることを理由にこれに強く反対し、自宅の土地建物の登記済証を隠すなどしたため、aと喧嘩になった。上告人は、aが右登記済証を探し出して抵当権を設定したことを知ると、これを非難して、まず財産分与をせよと要求するようになった。こうしたことから、aは上告人を避けるようになったが、上告人がaの帰宅時に包丁をちらつかせることもあり、夫婦関係は非常に悪化した。
 5 aは、昭和六一年七月ころ、上告人と別居する目的で家庭裁判所に夫婦関係調整の調停を申し立てたが、上告人は、aには交際中の女性がいるものと考え、また離婚の意思もなかったため、調停期日に出頭せず、aは、右申立てを取り下げた。その後も、上告人がAに関係する女性に電話をしてaとの間柄を問いただしたりしたため、aは、上告人を疎ましく感じていた。
 6 aは、昭和六二年二月一一日に大腸癌の治療のため入院し、転院して同年三月四日に手術を受け、同月二八日に退院したが、この間の同月一二日にA名義で本件マンションを購入した。そして、入院中に上告人と別居する意思を固めていたaは、同年五月六日、自宅を出て本件マンションに転居し、上告人と別居するに至った。
 7 被上告人は、昭和六一年一二月ころからスナックでアルバイトをしていたが、同六二年四月ころに客として来店したaと知り合った。被上告人は、aから、妻とは離婚することになっていると聞き、また、aが上告人と別居して本件マンションで一人で生活するようになったため、aの言を信じて、次第に親しい交際をするようになり、同年夏ころまでに肉体関係を持つようになり、同年一〇月ころ本件マンションで同棲するに至った。そして、被上告人は平成元年二月三日にaとの間の子を出産し、aは同月八日にその子を認知した。
 二 甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となる(後記判例参照)のは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである。
 三 そうすると、前記一の事実関係の下において、被上告人がaと肉体関係を持った当時、aと上告人との婚姻関係が既に破綻しており、被上告人が上告人の権利を違法に侵害したとはいえないとした原審の認定判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例(最高裁昭和五一年(オ)第三二八号同五四年三月三〇日第二小法廷判決・民集三三巻二号三〇三頁)は、婚姻関係破綻前のものであって事案を異にし、本件に適切でない。論旨は採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 可部恒雄 裁判官 園部逸夫 裁判官 大野正男 裁判官 千種秀夫 裁判官 尾崎行信)

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民法751条 生存配偶者の復氏等 家族法 親族 婚姻

民法751条 生存配偶者の復氏等

(生存配偶者の復氏等)
第七百五十一条  夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる
2  第七百六十九条の規定は、前項及び第七百二十八条第二項の場合について準用する。

・当然に復氏するわけではなく、生存配偶者が復氏を望む場合にその意思に基づき復氏することができる。

・現行民法は復氏の意思表示を姻族関係終了の意思表示(728条2項)と別個に扱っている。

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民法749条 離婚の規定の準用 家族法 親族 婚姻

民法749条 離婚の規定の準用

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(離婚の規定の準用)
第七百四十九条  第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

・婚姻取消しの効果が離婚に類似するので、離婚の規定が準用される。

・準用
婚姻関係の終了(728条)
子の監護権者の決定(766条)
婚姻によって氏を改めた者の復氏(769条)
財産分与(768条)
祭祀に関する権利の承継(769条)
子の氏(790条1項ただし書き)
離婚または認知の場合の子の親権者の決定(819条2項3項5項6項)

・取消しの場合にも成年擬制(753条)の効果は失われない。

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民法748条 婚姻の取消しの効力 家族法 親族 婚姻

民法748条 婚姻の取消しの効力

(婚姻の取消しの効力)
第七百四十八条  婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
2  婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。
3  婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。

・遡及効の否定
←継続した事実上の婚姻の尊重
婚姻から生まれた子の身分が不安定になるのを防ぐ。

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民法747条 詐欺又は強迫による婚姻の取消し 家族法 親族 婚姻

民法747条 詐欺又は強迫による婚姻の取消し

(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)
第七百四十七条  詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2  前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。

・取消権者は表意当事者、被告は相手方配偶者。

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民法746条 再婚禁止期間内にした婚姻の取消し 家族法 親族 婚姻

民法746条

(再婚禁止期間内にした婚姻の取消し)
第七百四十六条  第七百三十三条の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消しの日から六箇月を経過し、又は女が再婚後に懐胎したときは、その取消しを請求することができない

・婚姻禁止の目的であった父性推定の衝突を問題にする必要がなくなった場合には、取り消すことができないことにした。

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民法745条 不適齢者の婚姻の取消し 家族法 親族 婚姻

民法745条 不適齢者の婚姻の取消し

(不適齢者の婚姻の取消し)
第七百四十五条  第七百三十一条の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することができない。
2  不適齢者は、適齢に達した後、なお三箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。

・不適齢者以外は適齢後、不適齢者は適齢後3か月経過した後又は適齢に達した後に追認したときは取り消すことができなくなる。

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