12-5 多数当事者訴訟 主体的追加的併合

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1.主体的追加的併合の意義
訴えの提起後に共同訴訟が発生する場合で、当事者の訴訟行為に基づく場合。

2.原告がイニシアティヴをとる場合
(1)原告の申立てによる主体的追加的併合の意義
原告にとっては便宜かもしれない。

しかし、
新たに追加される被告が従前の審理の結果について十分に関与できないとすれば、手続保障の観点から問題がある。
新たに追加される被告に従前の審理結果について改めて十分な手続関与を認めるとすれば、従前の被告および裁判所はある程度の訴訟遅延を甘受せざる得ない。

(2)主体的追加的併合の適法性
通常共同訴訟が成立する場合について主体的追加的併合を認めない。
←①併合前の訴訟状態を新たに追加された当事者との間で当然に利用できる保障はない
②軽率な提訴ないし濫訴が増える恐れ
③事後的に共同訴訟を作り出したければ、新たに被告として追加したい者を相手取って別訴を提起したうえで、裁判所による弁論の併合を待てば足りる。

+判例(S62.7.17)
理由
 上告人の上告状及び上告理由書記載の上告理由について
 所論は、要するに、上告人が井上利行を被告として提起している東京地方裁判所昭和五五年(ワ)第八八一号事件の請求(以下「旧請求」という。)と上告人が被上告人を被告として提起している本件訴えにかかる請求とは民訴法(以下「法」という。)五九条所定の共同訴訟の要件を具備しているから、本件訴えを旧請求の訴訟に追加的に併合提起することが許されるべきであるところ、右の両請求の経済的利益が共通しているから、上告人は本件訴えにつき手数料を納付する必要はない、というのである。
 しかし、甲が、乙を被告として提起した訴訟(以下「旧訴訟」という。)の係属後に丙を被告とする請求を旧訴訟に追加して一個の判決を得ようとする場合は、甲は、丙に対する別訴(以下「新訴」という。)を提起したうえで、法一三二条の規定による口頭弁論の併合を裁判所に促し、併合につき裁判所の判断を受けるべきであり、仮に新旧両訴訟の目的たる権利又は義務につき法五九条所定の共同訴訟の要件が具備する場合であっても、新訴が法一三二条の適用をまたずに当然に旧訴訟に併合されるとの効果を認めることはできないというべきである。けだし、かかる併合を認める明文の規定がないのみでなく、これを認めた場合でも、新訴につき旧訴訟の訴訟状態を当然に利用することができるかどうかについては問題があり、必ずしも訴訟経済に適うものでもなく、かえって訴訟を複雑化させるという弊害も予想され、また、軽率な提訴ないし濫訴が増えるおそれもあり、新訴の提起の時期いかんによっては訴訟の遅延を招きやすいことなどを勘案すれば、所論のいう追加的併合を認めるのは相当ではないからである。
 右と同旨の見解に立ち、上告人の被上告人に対する本件訴えは新訴たる別事件として提起されたものとみるべきであるから、新訴の訴訟の目的の価額に相応する手数料の納付が必要であるとして、上告人が手数料納付命令に応じなかつたことを理由に本件訴えは不適法として却下を免れないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、失当である。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 よつて、法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 坂上壽夫 裁判官 伊藤正己 裁判官 安岡滿彦 裁判官 長島敦)


弁論の併合をするためには既に係属中の訴訟と新たに提訴された訴訟とが官署として同一の裁判所に係属していることが必要であるが、前者の裁判所が後者の訴訟について管轄を有する保障はない。
主体的追加併合なら、既に訴訟が係属している裁判所が新たな被告に対する訴えにつき固有の管轄を有していないとしても、関連裁判籍を認める7条の類推適用を導くことができる。

⇔⇔
別訴を提起する際にも、同時に38条前段の要件を満たすような共同訴訟を成立させる弁論の併合を求めるのであれば7条を類推適用するという解釈を採用することは可能である。
新たに追加される被告の管轄の利益という観点からは、7条の類推適用を認めることが当然に好ましいとも言い難い。

・被告の側で訴訟共同の必要がある場合において、欠けている被告を追加するために主体的追加的併合を用いることの適法性は、異なる解釈をする余地がある。
上記①②③の理由は妥当する者の、主体的追加的併合を許さないとした場合、訴えは不適法になるため、原告にとって酷に過ぎると考えることができるから。
もっとも、裁判所が弁論を併合することによって、かかる不都合は回避できる。

3.被告がイニシアティヴをとる場合
被告が、原告が定めた当事者の範囲っを変更することを望む場合。

原告がイニシアティヴを採る場合に関して述べたのと同様、いずれについても別訴の提起と弁論の併合の組み合わせでほぼ対応することができる。

4.第三者がイニシアティヴをとる場合
追加的選定(30条3項)は、選定者の請求が追加されるか否かは選定を受けた者の意思にかかるため、かかる追加的選定のみで訴外の被害者にとって十分というわけではない。
+(選定当事者)
第三十条  共同の利益を有する多数の者で前条の規定に該当しないものは、その中から、全員のために原告又は被告となるべき一人又は数人を選定することができる。
2  訴訟の係属の後、前項の規定により原告又は被告となるべき者を選定したときは、他の当事者は、当然に訴訟から脱退する。
3  係属中の訴訟の原告又は被告と共同の利益を有する者で当事者でないものは、その原告又は被告を自己のためにも原告又は被告となるべき者として選定することができる
4  第一項又は前項の規定により原告又は被告となるべき者を選定した者(以下「選定者」という。)は、その選定を取り消し、又は選定された当事者(以下「選定当事者」という。)を変更することができる。
5  選定当事者のうち死亡その他の事由によりその資格を喪失した者があるときは、他の選定当事者において全員のために訴訟行為をすることができる。

そこで、主体的追加的併合の可否が問題となるが、
別訴の提起と弁論の併合で対処すれば足りる。


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