7-5-4 事案の解明 証拠調べ 鑑定

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4.鑑定
(1)鑑定の意義
鑑定
=裁判官の判断能力を補充するために、学識経験を有する第三者に、その専門知識または専門知識を具体的事実に適用して得た判断を報告させる証拠調べ

鑑定における証拠方法は「鑑定人」
証拠資料は「鑑定意見」

鑑定は、欠格事由(212条2項)や当事者による忌避(214条)が認められるなど、中立性や公正性を担保するための手続が整備されている。
+(鑑定義務)
第二百十二条  鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
2  第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。

+(忌避)
第二百十四条  鑑定人について誠実に鑑定をすることを妨げるべき事情があるときは、当事者は、その鑑定人が鑑定事項について陳述をする前に、これを忌避することができる。鑑定人が陳述をした場合であっても、その後に、忌避の原因が生じ、又は当事者がその原因があることを知ったときは、同様とする。
2  忌避の申立ては、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官にしなければならない。
3  忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。
4  忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。

専門的な学識により知り得た具体的な知見を報告する者は「鑑定証人」であり、鑑定ではなく証人尋問の手続による(217条)
+(鑑定証人)
第二百十七条  特別の学識経験により知り得た事実に関する尋問については、証人尋問に関する規定による。

(2)鑑定人
学識経験を有する第三者の中から、裁判所によって鑑定人として指定された者(212条1項・213条)
+(鑑定義務)
第二百十二条  鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
2  第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。
(鑑定人の指定)
第二百十三条  鑑定人は、受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官が指定する。

鑑定人には代替性があるので、勾引は認められていない(216条による194条の不準用)

(3)鑑定の手続
・鑑定の開始は当事者の申出による
=職権鑑定は原則として否定
+(証拠の申出)
第百八十条  証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない。
2  証拠の申出は、期日前においてもすることができる。

+(鑑定人質問)
第二百十五条の二  裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合には、鑑定人が意見の陳述をした後に、鑑定人に対し質問をすることができる
2  前項の質問は、裁判長、その鑑定の申出をした当事者、他の当事者の順序でする。
3  裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる
4  当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。

・調査嘱託
+(調査の嘱託)
第百八十六条  裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。

調査嘱託は、裁判所が職権で行うことができるので、弁論主義の証拠原則に対する明文の例外。

調査嘱託は特殊な証拠調べの手続であり、嘱託に対する回答がそのまま直接に証拠資料となる。

・鑑定嘱託
+(鑑定の嘱託)
第二百十八条  裁判所は、必要があると認めるときは、官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は相当の設備を有する法人に鑑定を嘱託することができる。この場合においては、宣誓に関する規定を除き、この節の規定を準用する。
2  前項の場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁、公署又は法人の指定した者に鑑定書の説明をさせることができる。

鑑定嘱託は、裁判所が職権で行うことができるので、弁論主義の証拠原則に対する明文の例外

(4)私鑑定
当事者が任意に学識経験ある第三者に専門的な知見の提供や専門家としての判断を依頼し、その報告書を書証のための文書として裁判所に提出すること

民事訴訟では書証の対象となる文書の性質に制限はないことや、専門家の適格性や判断の内容については、必要があればその者に対する証人尋問によって確認することができることなどを挙げて、書証として取り扱うことに問題はないとする立場。


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