12-3 多数当事者訴訟 通常共同訴訟

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1.通常共同訴訟の意義
通常共同訴訟
=訴訟共同の必要も合一確定の必要もない共同訴訟形態
請求を併合審理に付すことで、審理の効率化および統一的な解決を図る

もともと訴訟共同の必要はないのであるから、各当事者の訴訟追行の自由は可能な限り尊重される。
共同訴訟形態が維持されたとしても、常に論理的に矛盾のない判決がなされることまで保障されているわけではない。

2.通常共同訴訟の要件
+(共同訴訟の要件)
第三十八条  訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。

①訴訟の目的である権利又は義務が数人において共通であるとき
=訴訟物が同一であること、または、訴訟の基礎となる法律関係に共通性が認められること。
ex同一土地に関する所有権確認請求訴訟を、複数人を共同被告として提起
主債務者と保証人を共同被告にする場合

②訴訟の目的である権利または義務が同一の事実上および法律上の原因に基づくとき
ex共同不法行為による被害者が複数の加害者に対して訴えを提起する場合

③訴訟の目的である権利又は義務が同種であって、事実上および法律上の同種の原因に基づくとき
ex貸金業者が複数の借主に対して貸金返還訴訟を提起する場合

①②と③では、管轄の規律について違いが生じる。

・38条の要件は、職権調査事項ではなく、被告の意義がある場合に限り審査される!
←38条の保護法益は早期解決に対する被告の利益であり、裁判所が効率的な審理について有する利益ではないから。

・裁判所は弁論の分離を通じて、審理の効率化を図ることができる(152条1項)
+(口頭弁論の併合等)
第百五十二条  裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。
2  裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

・共同訴訟は複数の訴訟物が併合審理に付されているという意味で客観的併合でもある。したがって客観的併合の要件を満たす必要があり、各請求は同種の手続に服するものでなければならない。
←この要件は職権調査事項

・7条の関連裁判籍は常に認められるわけではなく、38条前段の要件を満たした場合にのみ認められる。
+(併合請求における管轄)
第七条  一の訴えで数個の請求をする場合には、第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)の規定により一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。ただし、数人からの又は数人に対する訴えについては、第三十八条前段に定める場合に限る。

3.共同訴訟人独立の原則
(1)共同訴訟人独立の原則の意義
+(共同訴訟人の地位)
第三十九条  共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

←通常共同訴訟は、本来個別訴訟を提起することも許される。

(2)共同訴訟人間の主張共通
主張共通は認めなかった
+判例(S43.9.12)
理由
 上告代理人田中一男の上告理由について。
 本訴のうち、上告人が被上告人Aを除くその余の被上告人ら(以下「被上告人五名」という。)に対して本件土地の所有権に基づき本件建物からの退去ないしその収去による本件土地の明渡を求める請求については、被上告人五名から、抗弁として、本件土地の占有権限につき、被上告人Bは、さきに被上告人Cが上告人から設定を受けていた本件土地の賃借権を上告人の承諾を得て譲り受け、その賃借権に基づいて本件土地を占有し、また、被上告人五名のうちその余の者は、被上告人Bの家族または同被上告人の所有にかかる本件建物の借家人としてそれぞれ本件土地を占有するものである旨を主張したのに対し、原審が、被上告人総と上告人との間に、昭和三五年七月七日、本件土地に関して原判決理由第一の二の(二)に摘示する(1)項ないし(5)項の約定を内容とする契約が成立した事実を認定したうえ、上告人は、被上告人Bに対し、本件土地を他に売却することが実現するに至るまで、または右契約(4)項の約旨に従つて被上告人Bが本件建物を収去するまでの間、これを同被上告人に賃貸する旨を約したものであるが、右不確定期限の到来したことは上告人においてなんら主張しないところであるから、右賃貸借関係はなお継続しているものとし、また、被上告人五名のうち同Bを除く者は、Bの承諾に基づいて本件建物に居住しているものとして、被上告人五名に対する請求を棄却したことは、その判文に照らして明らかである。
 しかし、原審認定の契約には、一方において「上告人は本件土地が売却できるまで、あるいは被上告人Bが本件建物を収去するまで本件土地を同被上告人に対して一ケ月七、二八〇円の貸料をもつて賃貸する」旨の約定(原判示(5)項)が存在するけれども、他方において「被上告人Bが本件建物を買い戻した後一年半を経過するもなお本件土地の売却ができないときは、右土地売却促進のため、同被上告人は任意本件建物を収去して本件土地を上告人に明渡す」旨の約定(原判示(4)項)も存在するのであつて、右契約の成立に至るまでの経緯、ことに上告人が本件土地を他に売却しようと企てながら右契約を締結した事情と契約条項全体の趣旨にかんがみれば、右契約の趣旨は、原判決のように、本件土地の売却が建物の買戻後一年半以内に実現しない場合においては、被上告人Bにおいて本件建物を収去しないかぎり、その賃貸期限が到来しない趣旨に解すべきではなく、本件建物の売却がその買戻後一年半以内に実現すればその時まで、実現しなければ右買戻後一年半を経過するまでの間、本件土地を被上告人Bに賃貸することとし、売却が実現できないまま右一年半を経過したときは、被上告人Bは上告人に対して本件建物の収去義務を負担するとともに、右収去に至るまでその実質は損害金として賃料相当の一ケ月七、二八〇円の金員を支払うことを約したものと解するのが当事者の意思に合致するものというべきである。そして、原審は、前記のように、右賃貸借についてその期限が到来したことは、上告人において何ら主張しないところと判示するけれども、上告人は、被上告人五名の主張した前記被上告人Bによる賃貸借承継の抗弁事実を否認しつつ、上告人と被上告人総との間に原審認定の前示契約とほぼ同一内容の契約が成立したことを主張し、該契約に定めた期間も経過したため(被上告人Bが、昭和三六年一二月二三日、被上告人Aから本件建物を買い受けて、同三七年一月二七日、その旨の所有権移転登記を経由したことは、原審の確定するところである。)、被上告人らに対し本訴を提起したものである旨主張していることは、原判文に照らして明らかであるから、もし原審認定の契約が全体として有効なものであるならば、上告人は、他に特段の事情のないかぎり、被上告人五名に対して本件土地の明渡を求めうるものといわなければならない。
 そうであるとすると、原審は、その認定にかかる契約の趣旨についての解釈を誤つた結果、被上告人Bの上告人に対する賃借権を肯認し、たやすく上告人の請求を排斥した違法があることに帰するから、右の違法をいう論旨は理由があり、原判決中被上告人五名に対する請求を排斥した部分は、その余の論旨について判断を加えるまでもなく、破棄を免れない。
 つぎに、上告人の被上告人Aに対する本件土地の不法占有を理由とする損害賠償請求について、原審は、「本件共同訴訟人である被控訴人(被上告人)服部C及び同服部Bは右期間中の賃料弁済を主張しているから、右主張は被控訴人(被上告人)田渕Aについてもその効力を及ぼすものと解するのを相当とする(いわゆる共同訴訟人間の補助参加関係)。」としたうえ、被上告人Aが本件土地を不法に占有したことによつて上告人が蒙つた損害は、被上告人B、同Cにおいて右不法占有期間中の本件土地の賃料を上告人に支払つたことにより補填された旨認定判断し、もつて上告人の被上告人Aに対する請求をも排斥したことが、その判文に照らして明らかである。
 しかし、通常の共同訴訟においては、共同訴訟人の一人のする訴訟行為は他の共同訴訟人のため効力を生じないのであつて、たとえ共同訴訟人間に共通の利害関係が存するときでも同様であるしたがつて、共同訴訟人が相互に補助しようとするときは、補助参加の申出をすることを要するのである。もしなんらかかる申出をしないのにかかわらず、共同訴訟人とその相手方との間の関係から見て、その共同訴訟人の訴訟行為が、他の共同訴訟人のため当然に補助参加がされたと同一の効果を認めるものとするときは、果していかなる関係があるときこのような効果を認めるかに関して明確な基準を欠き、徒らに訴訟を混乱せしめることなきを保しえない
 されば、本件記録上、なんら被上告人C、同Bから補助参加の申出がされた事実がないのにかかわらず、被上告人C、同Bの主張をもつて被上告人Aのための補助参加人の主張としてその効力を認めた原判決の判断は失当であり、右の誤りは判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点に関し同旨をいう論旨は理由があり、原判決は右請求に関する部分についても破棄を免れない。
 そして、上告人の被上告人五名に対する請求については、原審の認定にかかる前示契約の借地法上の性質、その効力、右被上告人らが抗弁として主張する本件土地賃借権と右契約との関係等につきなお審理を尽させる必要があり、また、被上告人Aに対する請求についても、その理由の有無に関してさらに審理をする必要があると認められるので、本件を原審に差し戻すべきものとする。
 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 長部謹吾 裁判官 入江俊郎 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田誠 裁判官 大隅健一郎)

主張しないという選択をした当事者に対する不当な干渉となり得る、積極的な訴訟活動を行っていないにもかかわらず有利な判決を得る共同訴訟人が生じ得るのは、相手方に対して不意打ちとなり得る。

(3)共同訴訟人間の証拠共通
ある共同訴訟人が申し出た証拠の取調べの結果裁判所が得た証拠資料は、すべての請求の審判に関して用いることができる。
←共同訴訟人間の証拠共通を認めないと、裁判所に対して矛盾する事実認定を強い、自由心証主義に対する不当な制約となる

共同訴訟においては同一期日に審判がなされる以上、ある共同訴訟人が申し出た証拠の取調べ
については他の共同訴訟人も関与する機会が与えられているという点を共同訴訟人間の証拠共通を支える根拠として強調する見解。
⇔152条2項が制定されたことによりかかる解釈は取りづらくなった
+(口頭弁論の併合等)
第百五十二条  裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる。
2  裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

4.同時審判申出共同訴訟
(1)同時審判申出共同訴訟の意義
・弁論の分離や信義に反する結果が生じてしまう危険がある。
→主体的予備的併合を使う?

主体的予備的併合とは
主位的請求が認容されることを解除条件として、予備的請求についての判決を求める併合形態。

予備的併合である結果、弁論の分離は禁じられるという効果が得られ、また、同時に双方の認容判決を要求しているわけではないことになる結果、不当な二重取りであるとの非難も回避できる。

もっとも、判例は主体的予備的併合を不適法としている。
←主位的請求が認容された場合、予備的請求に係る被告は判決を得られないことになるが、この者をそのような不安定な地位におくことは許されないから。
+判例(S43.3.8)
理由
 上告代理人羽生長七郎、同江幡清の上告理由第一点について。
 記録によれば、所論の主張は原審においてなされていないことが明らかであるから、所論は採用することができない。
 同追加上告理由一について。
 記録によれば、原審は、被上告人Aが原判示の経緯により本件土地所有権を取得したと認定し、上告人の被上告人Aに対する本訴請求を棄却していることが明らかであつて、挙示の証拠によれば、原審の右認定および判断は、これを是認することができる。所論は、原判決を正解せず、独自の見解に基づき原判決を非難するものであつて、採用することができない。なお、弁済期に関する所論は、原判決の結論に影響のない主張であるから、この点に関する所論も採用のかぎりではない。
 同上告理由第二点および追加上告理由二について。
 訴の主観的予備的併合は不適法であつて許されないとする原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法は存しない。所論は、独自の見解に基づき原判決を非難するに帰し、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎)

そこで、同時審判申出共同訴訟
+(同時審判の申出がある共同訴訟)
第四十一条  共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
2  前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3  第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

複数の請求が単純併合に付された通常共同訴訟の一種であるが、弁論の分離が禁じられるという新たな訴訟形態を認めることで、原告の利益に配慮しつつ、被告の地位の不安定を解消する。

(2)同時審判申出共同訴訟の要件
弁論の分離禁止は、被告や裁判所に対して審理の複雑化や遅延という不利益をもたらす可能性があるため、41条の規律が適用される範囲はある程度限定せざる得ない。

「法律上併存し得ない関係」
事実上ではダメ。

控訴審の口頭弁論終結時までに原告が同時審判の申出をすること。

既に通常共同訴訟が成立していること。

(3)同時審判申出訴訟の審理
弁論の分離と一部判決を禁じるのみであり、その他については通常共同訴訟の規律が妥当する。

・共同被告の1人について中断事由が生じた場合
+(共同訴訟人の地位)
第三十九条  共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

しかし、同時審判申出共同訴訟においては、一部判決が禁じられているため、一部の被告について訴訟手続きを進めることに大きな意味があるわけではない。
早期解決を欲する原告の利益保護も、受継の申立てまたは同時審判の申出の撤回に委ねれば足りる。
中断事由のない被告の有する早期に訴訟から解放される利益も、一部判決ができないかぎりは保護されないのであるから、特別な配慮をする必要はない。

・上訴
第1審においてY1に対する請求が認容され、Y2に対する請求が棄却されたという事例でY1のみが上訴する場合。
この場合、XのY2に対する請求を棄却する第1審は確定するため、控訴審の審理次第では、Xは両負けするおそれがある。
→XはY2を相手取って控訴を選択しておく必要がある。


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