1-1 民事訴訟とは何か 民事訴訟の意義

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1.民事訴訟制度の目的と機能
目的
・権利保護説=国家が自力救済を禁止したことの代償として設けられたもの

・私法維持説=国家は自ら制定した法規による私法秩序を維持するために民事訴訟を設けた。

・紛争解決説=権利や私法より訴訟が先にあったとの歴史的認識を基礎として、民事訴訟の目的は端的に指摘紛争の解決にある。

2.民事紛争解決にかかわる諸制度
(1)調停
当事者間における紛争の自主的な解決のために、第三者が仲介又は助力する形態による合意型の紛争解決手段

(2)仲裁
当事者が紛争の解決を第三者である仲裁人に委ね、仲裁人の判断に服する旨の合意をして行う形態の紛争解決手段

(3)民事訴訟
強制的かつ最終的な紛争解決手段

調停や仲裁が行われた場合でも、その手続過程に重大な瑕疵があった場合には例外的に民事訴訟を通じて救済を図ることができる(仲裁法44条)

3.民事訴訟法の法源
(1)狭義の民事訴訟法と広義の民事訴訟法

(2)民事訴訟法の沿革

(3)慣習及び判例
制定法が整った現在のわが国では、原則として慣習を法源ということはできない!
民事訴訟における法律関係は公法上の法律関係であり、私法における慣習法の考え方や慣習法と事実たる慣習の区別に関する議論などは必ずしも妥当しない。また、民事訴訟においては、手続の安定性、透明性、画一性など、慣習の法源性を否定すべき本質的な要請があるから。

4.民事訴訟法に関する機能的分類
(1)機能的分類の意義
・効力規定
=裁判所や当事者に一定の義務を課すのみならず、これに違反したときは、その行為や手続きが無効になるなど、その訴訟上の効力に一定の影響が生じるという機能を有する規定。
効力規定は、行為規範であると同時に評価規範でもある。

・訓示規定
=裁判所や当事者に一定の義務を課すものであるが、これに違反しても訴訟上の効力に影響ない規定。

・効力規定のなかにも、強行規定と任意規定がある。

(2)効力規定
・強行規定
訴訟制度の根幹や原理を定める規定、裁判所の正統性の基礎を定める規定、当事者の基本的な地位を定める規定。

・任意規定
当事者の特約が法規に優先する。
不利益を受ける当事者が適時に異議を述べないときは瑕疵が治癒される。

訴訟法においては多数の事件を画一的に処理するという要請があるので、訴訟上の合意が認められる範囲は狭く、原則として許されない(任意訴訟の禁止)

(3)訓示規定

+α 行為規範と評価規範
・行為規範
=これから行為をするにあたって働く規範

・評価規範
=既になされた行為や手続きを振り返って、それにどのような法的評価を与えるかというときに働く規範

・私法法規は、裁判の場に登場するときは常に評価規範であるが、訴訟法規は、裁判の場において、まず行為規範として機能し、後に評価規範として機能する。

・評価規範として機能するときは、既になされた手続の安定性という考慮が強く働くので、規範としての拘束が行為規範よりも緩和される。


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