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1.必要的共同訴訟の意義
必要的共同訴訟
=訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定する必要のある共同訴訟
合一確定の必要とは、
共同訴訟人間で訴訟資料と手続進行を統一することによって判決の内容を統一することが要求されること
・固有必要的共同訴訟
訴訟共同の必要がある場合。複数人が共同原告となり、または複数人を共同被告として訴えを提起しなければ当事者適格を欠くことになるために訴えが不適法になる場面。
共同原告または共同被告は訴訟追行権を共同でのみ行使することができることから、その結果として合一確定がもたらされる。
・類似必要的共同訴訟
訴訟共同の必要があるわけではないが、共同訴訟となった場合は、合一確定が要請される。
合一確定の要請は、
互いに判決効が拡張する場合があることから、判決効の矛盾抵触を回避するためには判決内容を統一する必要があるという観点から説明。
2.固有必要的共同訴訟
(1)固有必要的共同訴訟の意義
訴訟共同の必要がある訴訟形態。
固有必要的共同訴訟の範囲は、個別の実体法の規定の趣旨を探り、時には訴訟的な考慮も加味することによって確定される。
(2)共同の管理処分権の行使が必要とされている場合
管理処分権を共同行使すべき場合である以上、訴訟追行権も共同して行使する必要がある。
(3)他人間の法律関係に変動を生じさせる訴訟
他人間の法律関係に変動を生じさせる形成訴訟の場合、当該法律関係の主体全員を共同被告としなければならない。
(4)共同所有の場合
ⅰ)共同所有者から第三者に対する訴え
a)総有以外の場合
・共有持分権の確認を求める訴訟は固有必要的共同訴訟ではない
←共有持分権は各共同所有者に帰属する権利である以上、訴訟追行も各共同所有者の自由に委ねられるべき。
+判例(S40.5.20)
理由
上告代理人柴田健太郎の上告理由第一点について。
共有持分権の及ぶ範囲は、共有地の全部にわたる(民法二四九条)のであるから、各共有者は、その持分権はもとづき、その土地の一部が自己の所有に属すると主張する第三者に対し、単独で、係争地が自己の共有持分権に属することの確認を訴求することができるのは当然である(昭和三年一二月一七日大審院判決、民集七巻一〇九五頁参照)。これと同趣旨にでた原判決の判断は正当であり、論旨は独自の見解であつて、採用できない。
同第二点について。
本件において所有権の帰属につき争があるのは、被上告人らの主張する共有地の全部ではなく、その一部であること原判文上明らかであるのに、原判決は、共有地の全部が被上告人らの共有持分の及ぶ範囲であることを確認していること論旨指摘のとおりである。一筆の土地であつても、所有権確認の利益があるのは、相手方の争つている地域のみであつて、争のない地域については確認の利益がないこというまでもない。すなわち、原判決は、確認の利益のない部分について確認の判決をした違法があるといわざるをえない。論旨は理由があり、原判決中確認の訴を認容した部分を破棄し、争のある土地の範囲を特定させるため、原審に差し戻すべきものとする。
同第三点について。
甲乙両山林の境界についての原判決の事実認定は、挙示する証拠関係に照らして首肯しえなくはない。論旨は、原審の裁量に属する証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採用することができない。
よつて、その余の部分に対する上告を棄却し、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松田二郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 岩田誠)
・ABCの共有に属することの確認を求める訴えを第三者に対して提起する場合は、ABC全員が原告にならなければならない。
←共同所有者全員の有する1個の所有権そのものが紛争の対象となっている以上、共同所有者全員が共同して訴訟追行権を行使すべきであること、その紛争の解決いかんについては共同所有者全員が法律上利害関係を有することから、判決による解決は全員に矛盾なくされることが要請される。
+判例(S46.10.7)
理由
上告代理人荒井素佐夫、同山本孝の上告理由第四点について。
本件記録によれば、被上告人らの本訴請求は、被上告人らが共同して本件土地を訴外Aから買い受けてその所有権を取得したが、都合により上告人名義に所有権移転登記を経由したもので、その登記は実体関係に合致しないものであるとの理由で、上告人に対し本件土地の共有権の確認および右登記の抹消登記手続に代えて所有権移転登記手続を求めるものであるところ、被上告人Bは、本件第一審係属中に本訴を取り下げる旨の昭和三七年九月一〇日付書面を提出し、上告人がその取下げに同意する旨の同月一一日付書面を提出していることが明らかである。
そして、原審は、被上告人Bのした右訴の取下げは無効であると判示しているところ、論旨は、要するに、被上告人らの提起した本件訴訟は、通常の共同訴訟であつて、被上告人Bの取下げによつて、同人と上告人との間の訴訟は終了したものというべく、原判決には民訴法六二条の解釈適用を誤つた違法があるというのである。
思うに、一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権(数人が共同して有する一個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である(大審院大正一一年(オ)第八二一号同一三年五月一九日判決、民集三巻二一一頁参照)。けだし、この場合には、共有者全員の有する一個の所有権そのものが紛争の対象となつているのであつて、共有者全員が共同して訴訟追行権を有し、その紛争の解決いかんについては共有者全員が法律上利害関係を有するから、その判決による解決は全員に矛盾なくなされることが要請され、かつ、紛争の合理的解決をはかるべき訴訟制度のたてまえからするも、共有者全員につき合一に確定する必要があるというべきだからである。また、これと同様に、一個の不動産を共有する数名の者全員が、共同原告となつて、共有権に基づき所有権移転登記手続を求めているときは、その訴訟の形態も固有必要的共同訴訟と解するのが相当であり(大審院大正一一年(オ)第二五六号同年七月一〇日判決、民集一巻三八六頁参照)、その移転登記請求が真正な所有名義の回復の目的に出たものであつたとしても、その理は異ならない。
それゆえ、このような訴訟の係属中に共同原告の一人が訴の取下げをしても、その取下げは効力を生じないものというべきである。これと同趣旨の原判決に所論の違法はなく、所論引用の判例は、いずれも本件と事案を異にして適切ではない。したがつて、論旨は採用することができない。
同第一点、第二点、第三点一ないし三について。
本件土地は被上告人両名が訴外Aから買い受けてその所有権を取得したものであり、単に所有権移転登記を経由するに際して便宜上上告人名義を用いたにすぎない旨の原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠関係に照らして肯認するに足り、原判決に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審の認定にそわない事実をも合わせ主張して原判決の認定判断を非難するか、または、原判決を正解しないでその判断を非難するにすぎず、採用することができない。
同第三点四について。
原判決は、本件土地の所有権の帰属を証拠によつて適法に認定判断しているのであるから、もはや登記の推定力を問題とする余地のないことは明らかである。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大隅健一郎 裁判官 岩田誠 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸盛一)
・不動産の共同所有者の1人が当該不動産の登記簿上の所有名義者に対してその登記の抹消を求める訴えは固有必要的共同訴訟ではない。
←持分権は共有物全体に及んでおり、持分権に基づく妨害排除請求権として自らの持分割合を超えた部分についても抹消登記を請求できるため、各持分権者が提訴できてよいから。
+(抹消登記請求は民法252条ただし書きの保存行為(現状を維持するもので、他の共同所有者の不利益にならない行為)に属するから。)
+判例(S31.5.10)
理由
上告代理人弁護士桑江常善の上告理由第一点について。
本件におけるがごとくある不動産の共有権者の一人がその持分に基ずき当該不動産につき登記簿上所有名義者たるものに対してその登記の抹消を求めることは、妨害排除の請求に外ならずいわゆる保存行為に属するものというべく、従つて、共同相続人の一人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる旨の原判示は正当であると認められるから、論旨は採ることができない。
同第二点について。
原判決挙示の証拠によれば、Aが実弟たる控訴人(上告人)名義に仮装して本件登記をなしたとの原判示認定を肯認することができるし、また、原判決は、第一審判決とは異つて被上告人等が共同相続をしたとの被上告人の主張事実を是認したものであるから、所論の審理不尽は認められない。なお、不法原因給付であるとの主張は、原審で主張しなかつたところであるから、原判決が民法七〇八条の解釈を誤つたとの主張は採用することができない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)
・共有地全体に関する移転登記請求訴訟は固有必要的共同訴訟である。
←共有地全体についての移転登記請求は持分権を基礎としてできるわけではない。
移転登記請求の場合、いかなる持分割合での移転登記をするかが原告の意思にかかっており、保存行為の範疇をこえる。
b)総有の場合
・ある土地が複数の入会権者の総有に属することの確認を求める訴訟においては総有権者たる入会権者全員が原告とならなければならない。
+判例(S41.11.25)
理由
職権をもつて調査するに、入会権は権利者である一定の部落民に総有的に帰属するものであるから、入会権の確認を求める訴は、権利者全員が共同してのみ提起しうる固有必要的共同訴訟というべきである(明治三九年二月五日大審院判決・民録一二輯一六五頁参照)。この理は、入会権が共有の性質を有するものであると、共有の性質を有しないものであるとで異なるとこるがない。したがつて、上告人らが原審において訴の変更により訴求した「本件土地につき共有の性質を有する入会権を有することを確認する。若し右請求が理由がないときは、共有の性質を有しない入会権を有することを確認する」旨の第四、五次請求は、入会権者全員によつてのみ訴求できる固有必要的共同訴訟であるというべきところ、本件右請求が入会権者と主張されている部落民全員によつて提起されたものでなく、その一部の者によつて提起されていることは弁論の全趣旨によつて明らかであるから、右請求は当事者適格を欠く不適法なものである。本件土地を上告人らが総有することを請求原因として被上告人に対しその所有権取得登記の抹消を求める第二次請求もまた同断である。
さらに、上告人らの本件第三次請求は、本件土地が又重財産区の所有に属することを請求原因として、被上告人に対しその所有権取得登記の抹消を求めるものである。そうとすれば、本請求の正当な原告は又重財産区であつて、上告人らは当事者適格を有しないものというべきである。本訴もまた不適法である。
よつて、上告人ら代理人森吉義旭、同浅石大和の上告理由中前文および第一点ないし第一〇点に対する判断を省略し、本件第二ないし第五次請求について本案の判断をした第一、二審判決を破棄し、右請求を却下すべきものとする。
同第一一、一二点について。
論旨は、上告人らが時効により本件土地の共有権を取得したことを請求原因とし、被上告人に対しそれぞれ持分三三〇分の一の移転登記を求める上告人らの第一次請求を排斥した原判決の判断に、法令違背、事実誤認、判断遺脱の違法がある、という。
しかし、上告人らが時効取得の基礎として主張する占有は、又重部落民全員ないしは又重部落としての団体的占有であることもその主張自体に照して明らかであるところ、このような団体的占有によつて個人的色彩の強い民法上の共有権が時効取得されるとは認めらないから、本請求は、その主張自体失当であるというべきである。そうとすれば、論旨はすべて無用の論議に帰するから採用することができない。
よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官山田作之助は退官につき署名押印することができない。裁判長裁判官 奥野健一)
・入会地に関する地上権設定登記の抹消を求める訴訟についても入会権者全員が原告にならなければならない。
←総有においては、通常の享有におけるような持分権を観念できない以上、構成員各自において入会権自体に対する妨害排除としての抹消登記を請求することはできない。民法252条ただし書きを経由した個別訴訟の可能性を否定。
+判例(S57.7.1)
理由
上告代理人奥野健一、同伊豆鉄次郎、同早瀬川武の上告理由第一点について
入会部落の構成員が入会権の対象である山林原野において入会権の内容である使用収益を行う権能は、入会部落の構成員たる資格に基づいて個別的に認められる権能であつて、入会権そのものについての管理処分の権能とは異なり、部落内で定められた規律に従わなければならないという拘束を受けるものであるとはいえ、本来、各自が単独で行使することができるものであるから、右使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には、その者が入会部落の構成員であるかどうかを問わず、各自が単独で、その者を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害の排除を請求することができるものと解するのが相当である。これを本件についてみると、原審が適法に確定したところによれば、当事者参加人らは、本件山林について入会権を有する山中部落の構成員の一部であつて、各自が本件山林において入会権に基づきその内容である立木の小柴刈り、下草刈り及び転石の採取を行う使用収益権を有しているというのであり、右使用収益権の行使について特別の制限のあることは原審のなんら認定しないところであるから、当事者参加人らの上告人及び被上告人神社に対する右使用収益権の確認請求については、当事者参加人らは当然各自が当事者適格を有するものというべく、また、上告人に対する地上権設定仮登記の抹消登記手続請求についても、それが当事者参加人らの右使用収益権に基づく妨害排除の請求として主張されるものである限り、当事者参加人ら各自が当事者適格を有するものと解すべきである。これと同旨の原審の判断は正当であつて、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は、入会部落の構成員の一部の者が入会部落民に総有的に帰属する入会権そのものの確認及びこれに基づく妨害排除としての抹消登記手続を求めた場合に関するものであつて、事案を異にし本件に適切でない。
しかしながら、職権をもつて、当事者参加人らの請求中本件山林について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続請求の当否について検討するに、当事者参加人らが有する使用収益権を根拠にしては右抹消登記手続を請求することはできないものと解するのが相当である。けだし、原審が適法に確定したところによれば、当事者参加人らが入会部落の構成員として入会権の内容である使用収益を行う権能は、本件山林に立ち入つて採枝、採草等の収益行為を行うことのできる権能にとどまることが明らかであるところ、かかる権能の行使自体は、特段の事情のない限り、単に本件山林につき地上権設定に関する登記が存在することのみによつては格別の妨害を受けることはないと考えられるからである。もつとも、かかる地上権設定に関する登記の存在は、入会権自体に対しては侵害的性質をもつといえるから、入会権自体に基づいて右登記の抹消請求をすることは可能であるが、かかる妨害排除請求権の訴訟上の主張、行使は、入会権そのものの管理処分に関する事項であつて、入会部落の個々の構成員は、右の管理処分については入会部落の一員として参与しうる資格を有するだけで、共有におけるような持分権又はこれに類する権限を有するものではないから、構成員各自においてかかる入会権自体に対する妨害排除としての抹消登記を請求することはできないのである。しかるに、原審は、なんら前記特段の事情のあることを認定することなしに、当事者参加人らが入会権の内容として有する使用収益権に特別の効力を認め、右使用収益権はその法的効力においてはいわば内容において限定を受けた持分権叉は地上権と同様の性質を持つものと解したうえ、当事者参加人らは、右各自の使用収益権に基づく保存行為として本件山林について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができるものと判断しているのであつて、右判断には、入会権に関する法律の解釈適用を誤つた違法があるものといわなければならず、右違法が原判決中右抹消登記手続請求に関する部分に影響を及ぼすことは明らかである。
したがつて、論旨は、理由がなく、採用の限りでないが、原審が当事者参加人らの請求中本件山林について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続請求を認容したことは失当であるから、原判決中右請求に関する部分を破棄し、第一審判決中右請求に関する部分を取り消し、右請求を棄却すべきである。
同第二点について
記録によれば、所論の主張は、本件山林が被上告人神社の所有であつて同神社は上告人との間で適法かつ有効に地上権設定契約を締結したことを強調する趣旨に出たものにとどまり、独立の抗弁として主張する趣旨と解することはできないから、原審が所論の主張について判断を加えていないからといつて所論の違法があるとはいえない。のみならず、記録によれば、当事者参加人らは、上告人主張の地上権設定契約は本件山林について処分権限のない被上告人神社との間で締結された無効なものであると主張して民訴法七一条に基づき本件訴訟に当事者として参加し、上告人及び被上告人神社の双方に対し、右地上権設定契約に基づく上告人の請求とは両立しえない請求をしていることが明らかであつて、本件山林はその実質においては山中部落の総有であつて被上告人神社はなんらの処分権限を有しないものとして当事者参加人らの入会権の内容である使用収益権の確認請求を認容する限り、右地上権設定契約を有効なものと認めて上告人の被上告人神社に対する請求を認容することは、論理的に不可能であるといわなければならない。そうとすれば、たとえ所論のように、被上告人神社には上告人との関係で右地上権設定契約の無効を主張することの許されない特段の事情があるとしても、処分権限のない被上告人神社が締結した右契約を有効なものと認めて上告人の請求を認容する余地はないから、仮に原審において所論の主張がされていたにもかかわらず原審がこれについての判断を遺脱したものであるとしても、右は判決の結論に影響を及ぼすものではないというべきである。論旨は、結局、採用することができない。
同第三点について
原審が確定したところによれば、本件山林について被上告人神社名義に所有権移転登記が経由されたのは、入会部落である山中部落が独立の法人格を有せず、払下げを受けるにあたつて部落有地としての登記方法がなかつたためやむをえず行つたもので、所有権の信託的譲渡があつたものではない、というのであり、右事実は原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができる。もつとも、右事実によれば、被上告人神社に対する右所有権移転登記が入会権者である山中部落民の承諾を得て経由されたものであることを否定することはできないが、入会権については現行法上これを登記する途が開かれていないため(不動産登記法一条参照)、入会権の対象である山林原野についての法律関係は、登記によつてではなく実質的な権利関係によつて処理すべきものであるから、本件山林について被上告人神社名義に所有権移転登記が経由されていることをとらえて、入会権者と被上告人神社との間で仮装の譲渡契約があつたとか又はこれと同視すべき事情があつたものとして、民法九四条二項を適用又は類推適用するのは相当でないものというべきである(最高裁昭和四二年(オ)第五二四号同四三年一一月一五日第二小法廷判決・裁判集民事九三号二三三頁)。右と結論を同じくする原審の判断は正当として是認することができる。所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。論旨は、採用することができない。
よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八四条、九六条、九三条、九二条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 本山亨 裁判官 団藤重光 裁判官 藤﨑萬里 裁判官 中村治朗 裁判官 谷口正孝)
・使用収益権の確認を各入会権者が単独で求めることはできる。
c)共同所有者の一部が提訴を拒否する場合
・提訴に同調しない入会権者を被告とすることでこの訴えを適法に提起することができる。
←提訴を拒否する構成員は被告とされる限り、訴訟に関与することができる以上、利害を害されるとはいえないから。
+判例(H20.7.17)
理由
上告代理人中尾英俊、同増田博、同蔵元淳の上告受理申立て理由について
1 本件は、上告人らが、第1審判決別紙物件目録記載1~4の各土地(以下、同目録記載の土地を、その番号に従い「本件土地1」などといい、併せて「本件各土地」という。)は鹿児島県西之表市A集落の住民を構成員とする入会集団(以下「本件入会集団」という。)の入会地であり、上告人ら及び被上告人Y2(以下「被上告会社」という。)を除く被上告人ら(以下「被上告人入会権者ら」という。)は本件入会集団の構成員であると主張して、被上告人入会権者ら及び本件各土地の登記名義人から本件各土地を買い受けた被上告会社に対し、上告人ら及び被上告人入会権者らが本件各土地につき共有の性質を有する入会権を有することの確認を求める事案である。
2 原審が確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
被上告会社は、本件土地1についてはその登記名義人である被上告人Y3及び同Y4から、本件土地2~4についてはその登記名義人である被上告人Y5及び同Y6から、それぞれ買い受け、その所有権を取得したとして、平成13年5月29日、共有持分移転登記を了した。
3 原審は、次のとおり判示して、本件訴えを却下すべきものとした。
(1) 入会権は権利者である入会集団の構成員に総有的に帰属するものであるから、入会権の確認を求める訴えは、権利者全員が共同してのみ提起し得る固有必要的共同訴訟であるというべきである。
(2) 本件各土地につき共有の性質を有する入会権自体の確認を求めている本件訴えは、本件入会集団の構成員全員によって提起されたものではなく、その一部の者によって提起されたものであるため、原告適格を欠く不適法なものであるといわざるを得ない。本件のような場合において、訴訟提起に同調しない者は本来原告となるべき者であって、民訴法にはかかる者を被告にすることを前提とした規定が存しないため、同調しない者を被告として訴えの提起を認めることは訴訟手続的に困難というべきである上、入会権は入会集団の構成員全員に総有的に帰属するものであり、その管理処分については構成員全員でなければすることができないのであって、構成員の一部の者による訴訟提起を認めることは実体法と抵触することにもなるから、上告人らに当事者適格を認めることはできない。
4 しかしながら、原審の上記3(2)の判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
上告人らは、本件各土地について所有権を取得したと主張する被上告会社に対し、本件各土地が本件入会集団の入会地であることの確認を求めたいと考えたが、本件入会集団の内部においても本件各土地の帰属について争いがあり、被上告人入会権者らは上記確認を求める訴えを提起することについて同調しなかったので、対内的にも対外的にも本件各土地が本件入会集団の入会地であること、すなわち上告人らを含む本件入会集団の構成員全員が本件各土地について共有の性質を有する入会権を有することを合一的に確定するため、被上告会社だけでなく、被上告人入会権者らも被告として本件訴訟を提起したものと解される。
特定の土地が入会地であることの確認を求める訴えは、原審の上記3(1)の説示のとおり、入会集団の構成員全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟である。そして、入会集団の構成員のうちに入会権の確認を求める訴えを提起することに同調しない者がいる場合であっても、入会権の存否について争いのあるときは、民事訴訟を通じてこれを確定する必要があることは否定することができず、入会権の存在を主張する構成員の訴権は保護されなければならない。そこで、入会集団の構成員のうちに入会権確認の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、入会権の存在を主張する構成員が原告となり、同訴えを提起することに同調しない者を被告に加えて、同訴えを提起することも許されるものと解するのが相当である。このような訴えの提起を認めて、判決の効力を入会集団の構成員全員に及ぼしても、構成員全員が訴訟の当事者として関与するのであるから、構成員の利益が害されることはないというべきである。
最高裁昭和34年(オ)第650号同41年11月25日第二小法廷判決・民集20巻9号1921頁は、入会権の確認を求める訴えは権利者全員が共同してのみ提起し得る固有必要的共同訴訟というべきであると判示しているが、上記判示は、土地の登記名義人である村を被告として、入会集団の一部の構成員が当該土地につき入会権を有することの確認を求めて提起した訴えに関するものであり、入会集団の一部の構成員が、前記のような形式で、当該土地につき入会集団の構成員全員が入会権を有することの確認を求める訴えを提起することを許さないとするものではないと解するのが相当である。
したがって、特定の土地が入会地であるのか第三者の所有地であるのかについて争いがあり、入会集団の一部の構成員が、当該第三者を被告として、訴訟によって当該土地が入会地であることの確認を求めたいと考えた場合において、訴えの提起に同調しない構成員がいるために構成員全員で訴えを提起することができないときは、上記一部の構成員は、訴えの提起に同調しない構成員も被告に加え、構成員全員が訴訟当事者となる形式で当該土地が入会地であること、すなわち、入会集団の構成員全員が当該土地について入会権を有することの確認を求める訴えを提起することが許され、構成員全員による訴えの提起ではないことを理由に当事者適格を否定されることはないというべきである。
以上によれば、上告人らと被上告人入会権者ら以外に本件入会集団の構成員がいないのであれば、上告人らによる本件訴えの提起は許容されるべきであり、上告人らが本件入会集団の構成員の一部であることを理由に当事者適格を否定されることはない。
5 以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、第1審判決を取り消した上、上告人らと被上告人入会権者ら以外の本件入会集団の構成員の有無を確認して本案につき審理を尽くさせるため、本件を第1審に差し戻すこととする。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 泉徳治 裁判官 才口千晴 裁判官 涌井紀夫)
・提訴拒否者がいる場合のほかの共同所有者による提訴困難という問題について。
給付訴訟においては権利の帰属主体と主張する者のみが原告適格を有するという原則が妥当する。提訴拒否者を被告に回すという処理をすることは、第三者の権利を確認対象とすることも当然には否定されない確認訴訟以上に困難では。
・境界確定訴訟における固有必要的共同訴訟
提訴を拒否する共同所有者を被告に回すという処理
←公簿上の境界を定めるにあたって、裁判所は当事者の主張に拘束されずに境界線を定めることができるという境界確定訴訟の特殊性
+判例(H11.11.9)
理由
上告代理人森脇勝、同河村吉晃、同今村隆、同植垣勝裕、同小沢満寿男、同岩松浩之、同田中泰彦、同山本了三、同麦谷卓也の上告理由について
一 原審の適法に確定した事実関係は、(1) Bの相続人である被上告人らは、第一審判決別紙物件目録記載(1)の土地(以下「本件土地」という。)を持分各四分の一ずつの割合で相続した、(2) 本件土地は、その北側が上告人所有の道路敷(以下「本件道路敷」という。)に、南側が同人所有の河川敷(以下「本件河川敷」という。)に、それぞれ隣接している(以下、本件道路敷及び本件河川敷を併せて「上告人所有地」という。)、(3) 被上告人らの間においてBの遺産の分割について協議が調わず、被上告人Cを除く同Aら三名(以下「被上告人Aら」という。)が同Cを相手方として申し立てた遺産分割の審判が京都家庭裁判所に係属しているところ、本件土地と上告人所有地との境界が確定していないために右手続が進行しないでいる、(4) 被上告人Aらは、本件土地と上告人所有地との境界を確定するために、被上告人Cと共同して、上告人を被告として境界確定の訴えを提起しようとしたが、被上告人Cがこれに同調しなかったことから、同人及び上告人を被告として、本件境界確定の訴えを提起した、というものである。
二 第一審は、本件土地と本件道路敷との境界は第一審判決別紙図面記載イ、ロ、ハ、ニの各点を結ぶ直線であり、本件土地と本件河川敷との境界は同図面記載ホ、ヘ、トの各点を結ぶ直線であると確定した。上告人は、被上告人Aらを被控訴人として控訴を提起し、原審において、土地の共有者が隣接する土地との境界の確定を求める訴えは共有者全員が原告となって提起すべきものであると主張し、本件訴えの却下を求めた。原審は、本件訴えを適法なものであるとし、被上告人Cも被控訴人の地位に立つとした上で、被上告人Aらと上告人との間及び被上告人Aらと同Cとの間で、それぞれ第一審と同一の境界を確定した。
三 境界の確定を求める訴えは、隣接する土地の一方又は双方が数名の共有に属する場合には、共有者全員が共同してのみ訴え、又は訴えられることを要する固有必要的共同訴訟と解される(最高裁昭和四四年(オ)第二七九号同四六年一二月九日第一小法廷判決・民集二五巻九号一四五七頁参照)。したがって、共有者が右の訴えを提起するには、本来、その全員が原告となって訴えを提起すべきものであるということができる。しかし、【要旨】共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいるときには、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と共に右の訴えを提起することに同調しない者を被告にして訴えを提起することができるものと解するのが相当である。
けだし、境界確定の訴えは、所有権の目的となるべき公簿上特定の地番により表示される相隣接する土地の境界に争いがある場合に、裁判によってその境界を定めることを求める訴えであって、所有権の目的となる土地の範囲を確定するものとして共有地については共有者全員につき判決の効力を及ぼすべきものであるから、右共有者は、共通の利益を有する者として共同して訴え、又は訴えられることが必要となる。しかし、共有者のうちに右の訴えを提起することに同調しない者がいる場合であっても、隣接する土地との境界に争いがあるときにはこれを確定する必要があることを否定することはできないところ、右の訴えにおいては、裁判所は、当事者の主張に拘束されないで、自らその正当と認めるところに従って境界を定めるべきであって、当事者の主張しない境界線を確定しても民訴法二四六条の規定に違反するものではないのである(最高裁昭和三七年(オ)第九三八号同三八年一〇月一五日第三小法廷判決・民集一七巻九号一二二〇頁参照)。このような右の訴えの特質に照らせば、共有者全員が必ず共同歩調をとることを要するとまで解する必要はなく、共有者の全員が原告又は被告いずれかの立場で当事者として訴訟に関与していれば足りると解すべきであり、このように解しても訴訟手続に支障を来すこともないからである。
そして、共有者が原告と被告とに分かれることになった場合には、この共有者間には公簿上特定の地番により表示されている共有地の範囲に関する対立があるというべきであるとともに、隣地の所有者は、相隣接する土地の境界をめぐって、右共有者全員と対立関係にあるから、隣地の所有者が共有者のうちの原告となっている者のみを相手方として上訴した場合には、民訴法四七条四項を類推して、同法四〇条二項の準用により、この上訴の提起は、共有者のうちの被告となっている者に対しても効力を生じ、右の者は、被上訴人としての地位に立つものと解するのが相当である。
右に説示したところによれば、本件訴えを適法なものであるとし、被上告人Cも被控訴人の地位に立つとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の各判例のうち、最高裁昭和三九年(オ)第七九七号同四二年九月二七日大法廷判決・民集二一巻七号一九二五頁は、本件と事案を異にし適切でなく、その余の各判例は、所論の趣旨を判示したものとはいえない。論旨は、右と異なる見解に立って原判決を非難するものであって、採用することができない。なお、原審は、主文三項の1において被上告人Aらと上告人との間で、同項の2において被上告人Aらと同Cとの間で、それぞれ本件土地と上告人所有地との境界を前記のとおり確定すると表示したが、共有者が原告と被告とに分かれることになった場合においても、境界は、右の訴えに関与した当事者全員の間で合一に確定されるものであるから、本件においては、本件土地と上告人所有地との境界を確定する旨を一つの主文で表示すれば足りるものであったというべきである。
よって、裁判官千種秀夫の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
ⅱ)第三者から共同所有者に対する訴え
・土地所有者の相続人に対する買主からの移転登記請求訴訟について、
各相続人の移転登記義務は不可分債務であり、買主は各相続人に対して全部の履行を請求し得る。
=共同訴訟の必要はない。
・所有権に基づく建物収去土地明渡しを求める訴えについて、
建物の共同所有者全員を被告にする必要はない。
←建物収去土地明渡しの義務は不可分債務に当たる
建物の共同所有者を具体的に把握することの困難さを考えれば、固有必要的共同訴訟とするのはいたずらに原告に大きな負担を課すことになる。
訴訟共同の必要を否定しても、原告は共同所有者に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意を得たうえでなければ、その強制執行をすることが許されない以上は、他の共同所有者の保護に欠けることはない。
+判例(S43.3.15)
理由
上告代理人金綱正己、同根本孔衛、同鶴見祐策の上告理由第一、二点について。
所論の準備書面には所論のような記載があるが、右準備書面が原審口頭弁論期日に陳述された形跡は認められない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は理由がない。
同第三点について。
所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断を非難するにすぎず、所論引用の原判示に所論の違法はなく、論旨は理由がない。
同第四点について。
所論違憲の主張は前提を欠くことが明らかであるから、採用できない。
同第五点について。
被上告人の被告Aに対する本訴請求が本件土地の所有権に基づいてその地上にある建物の所有者である同被告に対し建物収去土地明渡を求めるものであることは記録上明らかであるから、同被告が死亡した場合には、かりにBが同被告の相続人の一人であるとすれば、Bは当然に同被告の地位を承継し、右請求について当事者の地位を取得することは当然である。しかし、土地の所有者がその所有権に基づいて地上の建物の所有者である共同相続人を相手方とし、建物収去土地明渡を請求する訴訟は、いわゆる固有必要的共同訴訟ではないと解すべきである。けだし、右の場合、共同相続人らの義務はいわゆる不可分債務であるから、その請求において理由があるときは、同人らは土地所有者に対する関係では、各自係争物件の全部についてその侵害行為の全部を除去すべき義務を負うのであつて、土地所有者は共同相続人ら各自に対し、順次その義務の履行を訴求することができ、必ずしも全員に対して同時に訴を提起し、同時に判決を得ることを要しないからである。もし論旨のいうごとくこれを固有必要的共同訴訟であると解するならば、共同相続人の全部を共同の被告としなければ被告たる当事者適格を有しないことになるのであるが、そうだとすると、原告は、建物収去土地明渡の義務あることについて争う意思を全く有しない共同相続人をも被告としなければならないわけであり、また被告たる共同相続人のうちで訴訟進行中に原告の主張を認めるにいたつた者がある場合でも、当該被告がこれを認諾し、または原告がこれに対する訴を取り下げる等の手段に出ることができず、いたずらに無用の手続を重ねなければならないことになるのである。のみならず、相続登記のない家屋を数人の共同相続人が所有してその敷地を不法に占拠しているような場合には、その所有者が果して何びとであるかを明らかにしえないことが稀ではない。そのような場合は、その一部の者を手続に加えなかつたために、既になされた訴訟手続ないし判決が無効に帰するおそれもあるのである。以上のように、これを必要的共同訴訟と解するならば、手続上の不経済と不安定を招来するおそれなしとしないのであつて、これらの障碍を避けるためにも、これを必要的共同訴訟と解しないのが相当である。また、他面、これを通常の共同訴訟であると解したとしても、一般に、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意をえたうえでなければ、その強制執行をすることが許されないのであるから、かく解することが、直ちに、被告の権利保護に欠けるものとはいえないのである。そうであれば、本件において、所論の如く、他に同被告の承継人が存在する場合であつても、受継手続を了した者のみについて手続を進行し、その者との関係においてのみ審理判決することを妨げる理由はないから、原審の手続には、ひつきよう、所論の違法はないことに帰する。したがつて、論旨は採用できない。
上告人C、同D、同E、同F、同G、同H、同I、同J、同K、同有限会社舘野箔押所、同L、同M、同Nの各上告理由について。
所論は、いずれも、原判決に憲法の解釈の誤り、その他憲法の違背あること、または判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違背のあることを主張するものではないから、論旨はすべて採用に値しない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)
・共同所有者に対する所有権移転登記の抹消を求める訴えについては固有必要的共同訴訟になる・・・。
ⅲ)共同所有者間の訴え
・持分確認訴訟は固有必要的共同訴訟ではない。
←持分権については各共同所有者が管理処分権を有しており、個別に訴えを提起することができるから。
・共有関係の管理処分権が全法定相続人に帰属するうえ、遺産帰属性は遺産分割の前提問題である以上、相続人間で合一的に確定している必要が高いことから、全法定相続人を当事者としなければならない固有必要的共同訴訟である。
訴訟法的な考慮は、相続人の地位不存在確認訴訟を相続人全員が当事者とならなければならない固有必要的共同訴訟であるとした判決においてより色濃く表れている。
3.類似必要的共同訴訟
(1)類似必要的共同訴訟の意義
権利関係の合一確定の必要が高いため、第三者での判決効の拡張が予定されている訴訟類型。
婚姻取消しの訴え
株主代表訴訟
(2)類似必要的共同訴訟の要件
ある共同訴訟人の受けた判決の既判力が、勝訴の場合も敗訴の場合も他の共同訴訟人に及ぶ場合。
反射効の拡張は類似必要的共同訴訟を基礎付けない。
反射効は実体法上の効果であって、既判力の矛盾抵触とは関係がないから。
4.必要的共同訴訟の審理と判決
訴訟資料と手続進行を統一しなければならない
+(必要的共同訴訟)
第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。
・訴えの取り下げ
訴訟共同の必要を伴う固有必要的共同訴訟は、共同訴訟人全員が行わなければ効力を生じない。
類似必要的共同訴訟においては、訴訟共同の必要がないため、訴えの取り下げは各共同訴訟人が自由になし得る。
・上訴
固有必要的共同訴訟においては、全共同訴訟人が上訴人となる。
類似必要的共同訴訟は、他の共同訴訟人は上訴人にならない。
←訴訟共同の必要がない訴訟類型であるから、全体として確定が遮断し、移審するという効果が確保されていれば足りるから。
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