・議員の資格争訟裁判において、議員の議席を失わせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決が必要である(55条但し書き)。議員の資格を失わせる場合でなければ、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要としない。
・議員の資格に関する同一の争訟が議院と裁判所の双方に係属する場合には、いずれか一方が被選資格なしと判断すれば、当選議員はその地位を失う。!
・決議は議院の意思表明に過ぎないので、69条(衆議院の内閣不信任と解散又は総辞職)の場合以外は原則として法的効果は生じない。⇒衆議院において各国務大臣に対する不信任決議がなされた場合は政治的効力しか有しない。
・決議が議院の意思表明であるという点は、両議院一致の決議がなされた場合も同じである。
・両議院の議事の公開(57条1項)、議事録の公表・頒布(57条2項)に関しては憲法上の明文がある。
・委員会は「両議院の会議」(57条1項)に当たらず、決議により秘密会とすることができる(国会法52条2項)。衆議院の委員会では議院の傍聴は許されるが、参議院の委員会では議員の傍聴を許していない点!!!が異なる。
・両議院は出席議員(×総議員)!の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
・憲法57条1項前段は、会議の公開原則を定めているが、この原則は国会の本会議に対する要請である。審議の中心となっている委員会は原則非公開である。
・両議院の会議を秘密会にする場合には、公の秩序又は善良の風俗を害する恐れがあることは必要ではない。
・「院内」(58条2項本文)とは、議事堂という建物の内部に限られない。議場外の行為であっても、会議の運営に関連し、又は議員として行った行為で、議員の品位を傷つけ、議院の秩序を乱したことに相当因果関係のあるものは懲罰の対象となる。
・会議の運営と関係のない個人的な行為は懲罰の対象とはならない。
・衆議院の議決がないのに参議院の議決のみで予算や法律が成立することはある=参議院の緊急集会!。
・59条2項の「これと異なった議決」には、衆議院で可決して送付された法律案について、参議院が否決する場合と修正可決!した場合の両方が含まれる。
・59条3項の両院協議会は、任意的に開かれるものである。
・予備費は、国会の議決に基づいて設けられている(87条1項)。予備費は予算に計上されるものであることから、「国会の議決」は予算の議決としてなされる!!。そのため、憲法60条1項による衆議院の優越が認められる。
・予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合には、衆議院は必ず!!両院協議会を開くよう求めなければならない(60条2項)。
・条約の承認については、予算に関して衆議院の先議権を認めた60条1項は準用されていない(61条)。⇒参議院の先議もOK!
・条約締結の国会承認については、衆議院の優越が認められており、両議院が異なる議決をした場合であって法律の定めるところにより両院協議会を開いても意見が一致しないときには衆議院の議決が国会の議決となる(61条、60条2項)=(再議決は不要!!!)
・締結について国会の承認を要する条約は、広く国家間の合意をいい、条約、協約、協定、議定書、憲章など名称のいかんを問わない。
・国家間の合意であっても、条約を執行するための細部の取決めや、条約の委任の基づく個別具体的な問題についてなされる取決め(行政協定・交換公文等)は、内閣の外交関係処理の権限(73条2号)の一環として処理されるので、国会の承認を得る必要はない。
・国会に条約の内容を修正をする権限があるかについて、肯定説は、61条が衆参両院で意見が分かれた場合に両院協議会を予定していること!は、妥協によって修正がなされる場合があることを前提としていることを理由とする。
・条約は、それだけではただちに国内法的効力が生じないものであっても、国家間の権利義務にかかわり直接国民の権利義務にかかわらないものであっても、天皇の交付の対象となる。
・各議院は、国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる(62条)。
・国政調査権の性質上、住居への立ち入り、捜索、押収、逮捕といった刑事手続上の強制力を行使することはできない。!
・補助的権能説=議院の憲法上の権能を実行的に行使するために認められた補助的権能
・国政調査権は、司法権の独立を害しない限り、司法に関する事項にも及ぶ。
・裁判官訴追委員会は、国会から独立した機関であり、訴追委員会のなす調査は、国政調査権行使の一例ではない。!
・特定の個人の犯罪行為を発見し、これを処罰するのに必要な証拠を収集するためだけに国政調査権を行使することは、たとえその個人が国会議員であったとしても許されない。←事件が係属中でなくとも、司法権の独立を犯すような調査は許されない。
・議院が裁判所と並行して調査を行うことは、その裁判内容に関する調査でない限り、司法権の独立を犯すことにはならない。
・立法・行政監督目的など議院が裁判所と異なる目的から、裁判と並行して調査することは、司法権の独立を害するものではない。
・国政調査権の行使に関して、適法な調査に付随して個人の犯罪容疑が明るみに出たとしても、直ちに国政調査権の範囲を逸脱したということにはならない。
・裁判所が審理を開始した事件の担当裁判官を証人として喚問することは、司法権の独立を侵害することになり、国政調査権の範囲を逸脱する。
・国政調査権の性質について、補助的権能説に立ったとしても、内閣が国会に対して連帯責任を負うことから(66条3項)!!、行政事務全般が調査の対象となる。
・準司法作用を有する検察権に対しては、起訴権に政治的圧力を加えることを目的とする調査、事件にかかわる事項や公訴内容を対象とする調査及び捜査に重大な支障をきたすような方法による調査は許されない。⇔ある罪に関する法改正の要否に関連して、犯罪捜査や公訴提起の状況等、その罪についての検察権の一般的な運用状況について、調査をすることは許される。
・省庁のみならず、その監督下にある独立の法人格を有する公益法人の活動についても調査することができる。
・憲法38条1項の黙秘権の保障は、国政調査においても妥当する。!!
・「正当な事由」(議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律7条1項)には個人の基本的人権が侵害される場合も含まれる。⇒個人的な信条を明らかにするよう尋問された場合証言を拒むことができる。
・内閣総理大臣その他国務大臣は、両議院のいずれかに議席を有すると有しないとにかかわらず、なん時でも議案について発言するため議院に出席することができる(63条前段)。
・答弁又は説明のために出席を求められた場合は出席しなければならない(63条後段)。→正当な事由がある場合でも拒めない。!!!
・弾劾裁判所は、両議院の議員で組織しなければならない(64条1項)。→一方の院だけで構成することはできない。!!
・弾劾裁判所は、訴追委員から罷免の訴追を受けた裁判官を裁判する。
・弾劾裁判所の裁判員は、同時に訴追委員となることはできない(国会法127条)。
・弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者は、裁判官、検察官、弁護士になる資格を失う。
・弾劾裁判所は憲法が認める特別裁判所であり、司法裁判所は一切関与できない。⇒罷免に対しては、通常の司法裁判所に救済を求めることはできない。!
・裁判官弾劾法38条は、弾劾裁判所による資格回復の可能性を認めている。