1-2 民事訴訟とは何か 法体系の中での民事訴訟制度

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1.訴訟と非訟
(1)非訟事件の意義

・元来の分類
訴訟事件
=具体的な紛争における権利関係を確定する作用

非訟事件
=国家が公権的な役割を果たすべき作用

・非訟事件は、基本的には裁判所の合目的的な裁量によって処分を行う作用。

(2)非訟手続の特徴
非訟手続では
原則として口頭弁論という審理の方式を経ることなく、原則として審尋という審理の方式により行われる。
手続は公開されない(非訟30条)
対審原則もなく、事実の認定に際して裁判所の職権による調査を行うことができる(非訟49条)
裁判も判決ではなく決定という簡略な方法による(非訟54条)。
非訟事件では、不服申し立ては、原則として1度の抗告が許されるのみ(非訟66条以下)
いったんなされた裁判を、職権で取り消し又は変更することもできる(非訟59条)

(3)訴訟事件の非訟化
裁判所による裁量による後見的な関与や事件の弾力的な処理を可能にする。

(4)非訟手続における手続保障
最高裁は、憲法32条の補償は非訟事件には及ばないとする立場をとっている。

権利義務の存否に関する争いの裁判は「純然たる訴訟事件」であるが、権利義務の存否を前提にしてその具体的な法律関係の内容を形成する作用の裁判は、非訟事件である
+判例(S40.6.30)
理由
 本件抗告の理由は別紙記載のとおりであり、これに対して当裁判所は次のように判断する。
 憲法は三二条において、何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪われないと規定し、八二条において、裁判の対審及び判決は、公開の法廷でこれを行う旨を定めている。すなわち、憲法は基本的人権として裁判請求権を認めると同時に法律上の実体的権利義務自体を確定する純然たる訴訟事件の裁判については公開の原則の下における対審及び判決によるべき旨を定めたものであつて、これにより近代民主社会における人権の保障が全うされるのである。従つて、性質上純然たる訴訟事件につき当事者の意思いかんに拘らず、終局的に事実を確定し、当事者の主張する実体的権利義務の存否を確定するような裁判が、憲法所定の例外の場合を除き、公開の法廷における対審及び利決によつてなされないとするならば、それは憲法八二条に違反すると共に同三二条が基本的人権として裁判請求権を認めた趣旨をも没却するものといわねばならない(昭和二六年(ク)第一〇九号同三五年七月六日大法廷決定民集第一四巻第九号一六五七頁以下参照)。
 しかしながら、家事審判法九条一項乙類三号に規定する婚姻費用分担に関する処分は、民法七六〇条を承けて、婚姻から生ずる費用の分担額を具体的に形成決定し、その給付を命ずる裁判であつて、家庭裁判所は夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、後見的立場から、合目的の見地に立つて、裁量権を行使して、その具体的分担額を決定するもので、その性質は非訟事件の裁判であり、純然たる訴訟事件の裁判ではない従つて、公開の法廷における対審及び判決によつてなされる必要はなく、右家事審判法の規定に従つてした本件審判は何ら右憲法の規定に反するものではない。しかして、過去の婚姻費用の分担を命じ得ないとする所論は、原決定の単なる法令違反を主張するにすぎないから、特別抗告の適法な理由とならないのみならず、家庭裁判所が婚姻費用の分担額を決定するに当り、過去に遡つて、その額を形成決定することが許されない理由はなく、所論の如く将来に対する婚姻費用の分担のみを命じ得るに過ぎないと解すべき何らの根拠はない。
 叙上の如く婚姻費用の分担に関する審判は、夫婦の一方が婚姻から生ずる費用を負担すべき義務あることを前提として、その分担額を形成決定するものであるが、右審判はその前提たる費用負担義務の存否を終局的に確定する趣旨のものではない。これを終局的に確定することは正に純然たる訴訟事件であつて、憲法八二条による公開法廷における対審及び判決によつて裁判さるべきものである。本件においても、かかる費用負担義務そのものに関する争であるかぎり、別に通常訴訟による途が閉されているわけではない。これを要するに、前記家事審判法の審判は、かかる純然たる訴訟事件に属すべき事項を終局的に確定するものではないから、憲法八二条、三二条に反するものではない。
 よつて民訴法八九条を適用して主文のとおり決定する。
 この裁判は、裁判官横田喜三郎、同入江俊郎、同奥野健一の補足意見、裁判官山田作之助、同横田正俊、同草鹿浅之介、同柏原語六、同田中二郎、同松田二郎、同岩田誠の意見があるほか、裁判官全員の一致した意見によるものである。

+判例(H20.5.8)
理由
 憲法32条所定の裁判を受ける権利が性質上固有の司法作用の対象となるべき純然たる訴訟事件につき裁判所の判断を求めることができる権利をいうものであることは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(最高裁昭和26年(ク)第109号同35年7月6日大法廷決定・民集14巻9号1657頁、最高裁昭和37年(ク)第243号同40年6月30日大法廷決定・民集19巻4号1114頁参照)。したがって、上記判例の趣旨に照らせば、本質的に非訟事件である婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審において手続にかかわる機会を失う不利益は、同条所定の「裁判を受ける権利」とは直接の関係がないというべきであるから、原審が、抗告人(原審における相手方)に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず、反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことが同条所定の「裁判を受ける権利」を侵害したものであるということはできず、本件抗告理由のうち憲法32条違反の主張には理由がない。また、本件抗告理由のその余の部分については、原審の手続が憲法31条に違反する旨をいう点を含めて、その実質は原決定の単なる法令違反を主張するものであって、民訴法336条1項に規定する事由に該当しない。
 なお、本件は、家事審判の手続において妻である相手方が夫である抗告人に対して婚姻費用の分担金の支払を求める事案であり、原々審が、抗告人の負担すべき分担金として、抗告人に対し、過去の未払分95万円と1か月12万円の割合による金員の支払を命ずる審判をしたのに対し、原審は、抗告人の負担すべき分担金として、過去の未払分167万円と1か月16万円の割合による金員の支払を命ずる決定をしたものである。原審は、抗告人が相手方に対して正式に離婚が決まるまでの間婚姻費用として支払う旨約した月額5万円の仮払金の既払分を原々審の審判と同じく25万円であるとしているが、本件抗告理由において、抗告人は、原決定までの間に更に仮払金を支払ったと主張している。仮に抗告人の主張するような仮払金支払の事実があったとすれば、抗告人は、原決定の執行力を排除するために、その事実を異議の事由として請求異議の訴えを提起することができるものと考えられるが、本来、仮払金支払の事実の有無については、原審において審理されるべきものである。ところが、本件記録によれば、原審においては、抗告人に対して相手方から即時抗告があったことを知らせる措置が何ら執られていないことがうかがわれ、抗告人は原審において上記主張をする機会を逸していたものと考えられる。そうであるとすると、原審においては十分な審理が尽くされていない疑いが強いし、そもそも本件において原々審の審判を即時抗告の相手方である抗告人に不利益なものに変更するのであれば、家事審判手続の特質を損なわない範囲でできる限り抗告人にも攻撃防御の機会を与えるべきであり、少なくとも実務上一般に行われているように即時抗告の抗告状及び抗告理由書の写しを抗告人に送付するという配慮が必要であったというべきである。以上のとおり、原審の手続には問題があるといわざるを得ないが、この点は特別抗告の理由には当たらないところである。

3.判決手続きに関連する手続き
(1)強制執行手続
国家機関である執行機関を通じて権利の実現を強制的に達成する。

(2)民事保全手続
判決又は執行までの暫定措置として、被告となるべき者に対して現状の変更を禁止するとか、原告となるべき者のために一定の法律関係を形成するなどの処分を行う。

(3)倒産処理手続き
債務者が倒産状態にあるときに、権利関係の確定や執行などを統一的かつ包括的に行うための手続

3.判決手続の基本構造
(1)判決手続の概略
判決手続
=当事者間の紛争の対象である私法上の権利関係を確定することにより、紛争解決のための基準を作成する手続。

(2)判決手続きの基本理念
・公正と効率
適正=真実に即した裁判
公平=平等に当事者を扱う
迅速=訴訟の手続が不当に停滞または遅延しない
経済=当事者に無用の出費を強いないようにする。有形無形の負担を軽減。

・信義則の原則
相手方の信頼を裏切らないように誠実に行動。

・手続保障
当事者に手続主体としての地位を保障
弁論権=裁判の基礎となる資料を提出する権利
=主張及び立証の機会を与えられる権利

(3)判決手続における特別手続
ⅰ)簡易裁判所の手続
・口頭による訴えの提起が認められる
+(口頭による訴えの提起)
第二百七十一条  訴えは、口頭で提起することができる。

・準備書面の提出が義務付けられていない
+(準備書面の省略等)
第二百七十六条  口頭弁論は、書面で準備することを要しない。
2  相手方が準備をしなければ陳述をすることができないと認めるべき事項は、前項の規定にかかわらず、書面で準備し、又は口頭弁論前直接に相手方に通知しなければならない。
3  前項に規定する事項は、相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載し、又は同項の規定による通知をしたものでなければ、主張することができない。

・一定の書面審理が認められている
+(続行期日における陳述の擬制)
第二百七十七条  第百五十八条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。

・人証による証拠調べに代えて書面による証拠調べができる
+(尋問等に代わる書面の提出)
第二百七十八条  裁判所は、相当と認めるときは、証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人の意見の陳述に代え、書面の提出をさせることができる。

・司法委員の立合いによる審理が認められる
+(司法委員)
第二百七十九条  裁判所は、必要があると認めるときは、和解を試みるについて司法委員に補助をさせ、又は司法委員を審理に立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる。
2  司法委員の員数は、各事件について一人以上とする。
3  司法委員は、毎年あらかじめ地方裁判所の選任した者の中から、事件ごとに裁判所が指定する。
4  前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
5  司法委員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。

・判決の記載を簡略化することができる
+(判決書の記載事項)
第二百八十条  判決書に事実及び理由を記載するには、請求の趣旨及び原因の要旨、その原因の有無並びに請求を排斥する理由である抗弁の要旨を表示すれば足りる。

ⅱ)人事訴訟の手続
職権探知主義(人訴20条)
当事者尋問等の公開停止(人訴22条)
判決効の第三者への拡張(人訴24条1項)

ⅲ)行政訴訟の手続

ⅳ)各種の略式手続
・手形訴訟、小切手訴訟

・少額訴訟
60万円以下

・督促手続

ⅴ)刑事手続きに付随する損害賠償命令の申立手続
刑事事件の訴因を原因とする不法行為に基づく損害賠償請求

(4)判決手続きを補助する付随的手続


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