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1.法定訴訟担当
・当事者適格
=特定の訴訟における訴訟物たる権利あるいはほうりつかんけいについて、当事者として訴訟追行し、本案判決を求めることができる資格
・訴訟担当=訴訟物の権利義務の帰属主体に代わって、またはその主体とともに、第三者がその訴訟物について当事者適格を有する場合を訴訟担当という!
・判決の効力は被担当者にも及ぶ。
+(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。
・担当者=訴訟担当において当事者となる者
・被担当者=訴訟物たる権利義務の帰属主体
・代理の場合とは、代理人には判決効が及ばない点が異なる!
・法定訴訟担当
担当者のための訴訟担当と職務上の当事者の2つがある。
・遺言執行者は条文上は相続人の代理人ともなされている(1015条)ものの、相続人とは別に、自己の名において当事者となる訴訟担当者と理解されている!
←遺言の執行にかんれんして遺言執行者と相続人とが原告・被告となる訴訟もありえ、遺言執行者が相続人の代理人だとすると両当事者共に相続人となってしまって、二当事者対立構造が取れなくなってしまう!!!!!
+判例(S31.9.18)
理由
上告代理人和田正平の上告理由第一、二点について。
旧民法施行当時において、遺言を以て家督相続人の指定がなされた場合に、遺言者の死亡により、その遺言が効力を生じたときは、被指定者は遺言者の家督相続をなして戸主となるとともに、遺言者が有した権利義務を包括的に承継したが、この権利義務の承継は、被指定者が家督相続をした効果であつて、家督相続人指定の遺言の直接の効果として生じたのではない。家督相続人の指定そのものには、財産を承継せしめる旨の意思表示を包含してはいないのである。ところで、民法の改正により、家督相続が廃止せられたので、新法施行後に遺言者が死亡したときは、家督相続人指定の遺言は、特段の事情のない限り、その効力を生ずる余地なく、従つて家督相続の効果たる遺言者の権利義務の承継もまた生じないこととなつたといわなければならない。
以上の如く新法施行後に遺言者が死亡した場合には、家督相続人指定の遺言は原則として無効となるが、これを包括的遺贈に転換して有効と認めることができるかどうかを次に考察しなければならない。思うに、家督相続人指定の遺言と包括遺贈とは全く別個の観念であり、前者に後者の意思表示が包含せられているとは云えないのであるから、前者を後者として有効とするがためには、遺言書の解釈により、遺言に表示せられたところを通じて後者の意思表示が看取される場合でなければならない。本件において、原審の確定したところを、原判文に徴すれば、亡Aは、昭和一五年七月二六日公正証書による遺言をなしたが、右遺言書には、訴外Bを家督相続人に指定する旨及び被上告人等その他に対し財産の一部を遺贈する旨の記載があるけれども、他にAに包括遺贈の意思があつたことを看取するに足る表示行為と目すべき事実上の記載がないというのであるから、原審が包括遺贈の表示があつたとは認められないと判断したことは正当である。なお、原審は、亡Aは昭和一六年一〇月二八日右遺言事項中被上告人その他に対する遺贈に関する部分を取り消す旨の遺言をなした事実を確定したが、この事実と前示遺言書の記載とによれば、AがBに財産を遺贈する意思があつたことを窺いうるようであるが、このことから要式行為である遺言の効力を判定することはできない。又本件遺言につき、家庭裁判所によつて遺言執行者が選任せられたことから、直ちに、右遺言には、財産を承継せしめる意思表示が包含せられていると言いえないことは当然である。原判決の説くところは、上記の趣旨と異るものがあるが、本件遺言書には、Bをして財産を承継せしめる意思が表示せられていないとする結論においては、正当なるに帰するから所論は結局採用し難い。
同第三点について。
遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係ある財産については相続人は処分の権能を失い(民法一〇一三条)、独り遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであつて(同一〇一二条)、遺言執行者はその資格において自己の名を以て他人のため訴訟の当事者となりうるものと云わなければならない。本件において、被上告人等は本件不動産は亡Aの所有であつたが、その死亡により共有持分権を有するに至つたと主張し、選遺言執行者たる上告人にその確認を求めるものであるところ、上告人は右不動産は遺言によりすべて訴外Bの所有に帰したと主張して被上告人の権利を争うものである。従つて本件が被上告人の勝訴に確定すれば、所論の如く、遺言は執行すべき内容を有せず、遺言執行者はその要なきに帰するけれども、若し敗訴すれば、本件不動産はすべて遺言によりBに帰属したものとして執行せられることとなるのである。かゝる場合においては、被上告人等は遺言執行者たる上告人に対し本件不動産について共有持分権の確認を求める利益があり、その効果はBに及ぶものといわなければならない。所論はこれを採用することができない。
同第四点について。
原判決には所論の如き違法のないことは、上記説明に照らし自ら明らかである。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
+++当事者能力と当事者適格の違い
当事者能力とは、民事訴訟法において当事者となることができる一般的能力です。
一方、当事者適格とは、訴訟物たる特定の権利または法律関係において当事者として訴訟を追行し、本案判決をもとめることができる資格をいいます。どちらも判決という紛争解決手段を与えるのにふさわしいかを判断するものですが、当事者能力が一般的な能力であるのに対し、当事者適格は特定の権利または法律関係に関するものであり訴訟物ごとに判断される点で異なります。
2.債務者自身による訴え提起
・代位権行使に着手した場合
債務者に対してその事実を通知するかまたは債務者がこれを了知したときには、期限未到来の場合の裁判上の代位の場合ですらその告知により債務者はその権利の処分権を失う(非訟88条3項)との均衡から、債務者は代位の目的となった権利につき債権者の代位権行使を妨げるような処分をする権能を失い、したがって処分行為と目される訴えの提起をすることができなくなる。
一定の条件のもとに、債権者と第三債務者との間の判決の効力は債務者にも及ぶ。
+(代位の許可等)
第八十八条 裁判所は、第八十五条の規定による申立てを理由があると認めるときは、担保を立てさせて、又は立てさせないで、裁判上の代位を許可することができる。
2 前項の規定による許可の裁判は、債務者に告知しなければならない。
3 前項の規定による告知を受けた債務者は、その代位に係る権利の処分をすることができない。
4 第七十二条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により担保を立てる場合における供託及び担保について準用する。
・債権者代位訴訟が係属中に、債務者が、債権者の債務者に対する債権の不存在及びこれに基づく債権者の当事者適格の欠缺を主張し、さらにモズから第三債務者に対して訴訟上権利行使をするためにはどのような手段をとるべきか?
→債権者代位訴訟に独立当事者参加(権利主張参加 47条1項)をすべき
重複起訴の禁止の趣旨である、審判の重複による訴訟上の不経済、規範量の抵触の恐れ、及び被告の応訴の煩という弊害は生じない。
+(独立当事者参加)
第47条
1項 訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2項 前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3項 前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4項 第40条第1項から第3項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第43条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。
+判例(S48.4.24)
理由
上告代理人今野佐内の上告理由(一)について。
所論は、参加人(被上告人)の被告(上告人)に対する訴の訴訟物は、原告(被上告人)の被告に対する訴の訴訟物と同一であつて重複起訴になり不適法である、というのである。
所論に関する本件の訴訟関係は、つぎのとおりである。すなわち、原告は参加人からその所有の第一審判決添付別紙目録(一)の土地(以下「本件土地」という。)を含む土地を賃借しているとして、その一部である本件土地につき賃貸人たる参加人に代位しその所有権にもとづき本件土地上に同目録(二)の建物部分(以下「本件建物」という。)を所有して本件土地を占有している被告に対し、本件建物収去本件土地明渡を求めたのが本訴であるところ、参加人は、原告が本件土地を被告に無断転貸したから本件土地についての賃貸借契約を解除したとして、原告に対し原告が本件土地について賃借権を有しないことの確認を求めるとともに、被告に対し所有権にもとづき本件建物収去本件土地明渡を求めて民訴法七一条(現47条)により本訴に参加したものである。
思うに、債権者が民法四二三条一項の規定により代位権を行使して第三債務者に対し訴を提起した場合であつても、債務者が民訴法七一条により右代位訴訟に参加し第三債務者に対し右代位訴訟と訴訟物を同じくする訴を提起することは、民訴法二三一条(現142条)の重複起訴禁止にふれるものではないと解するのが相当である。
けだし、この場合は、同一訴訟物を目的とする訴訟の係属にかかわらず債務者の利益擁護のため訴を提起する特別の必要を認めることができるのであり、また、債務者の提起した訴と右代位訴訟とは併合審理が強制され、訴訟の目的は合一に確定されるのであるから、重複起訴禁止の理由である審判の重複による不経済、既判力抵触の可能性および被告の応訴の煩という弊害がないからである。したがつて、債務者の右訴は、債権者の代位訴訟が係属しているというだけでただちに不適法として排斥されるべきものと解すべきではない。もつとも、債権者が適法に代位権行使に着手した場合において、債務者に対しその事実を通知するかまたは債務者がこれを了知したときは、債務者は代位の目的となつた権利につき債権者の代位権行使を妨げるような処分をする権能を失い、したがつて、右処分行為と目される訴を提起することができなくなる(大審院昭和一三年(オ)第一九〇一号同一四年五月一六日判決・民集一八巻九号五五七頁参照)のであつて、この理は、債務者の訴提起が前記参加による場合であつても異なるものではない。したがつて、審理の結果債権者の代位権行使が適法であること、すなわち、債権者が代位の目的となつた権利につき訴訟追行権を有していることが判明したときは、債務者は右権利につき訴訟追行権を有せず、当事者適格を欠くものとして、その訴は不適法といわざるをえない反面、債権者が右訴訟追行権を有しないことが判明したときは、債務者はその訴訟追行権を失つていないものとして、その訴は適法ということができる。
本件についてみるに、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)が適法に確定した事実関係によれば、原告の代位原因たる本件土地の賃借権は、その発生原因である賃貸借契約が原告において被告に対してした無断転貸を理由として参加人により解除されたため消滅したものということができるから、原告の代位訴訟はその代位原因を欠くものとして却下を免れず、したがつて、参加人が本訴に参加し被告に対して所有権にもとづいて本件建物収去本件土地明渡を求めた訴は適法というべきである。
右と結論を同じくする原判決は相当であつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
同(二)について。
所論は、参加人の被告に対する請求は権利の濫用である、というのである。
しかし、原判決が適法に確定した事実関係によれば、参加人の右請求が権利の濫用に当らないとした原判決の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。引用の判例は本件に適切でなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
+判例(S14.5.16)要旨
債権者が民法四二三条一項により代位権を行使して訴を提起した場合に、債務者に対しその事実を通知するかまたは債務者がこれを了知するときは、債務者は自ら権利を消滅させることはもちろん権利の行使もできない。
←非訟 88条3項との均衡から。
3.代位債権者と第三債務者との間の訴訟上の和解
・第三者の訴訟担当は、他人の権利義務について第三者が管理処分権を有する場合に認められる!
・職務上の当事者の場合には、権利主体による権利行使の事実上あるいは法律上の空白状態を前提として、担当者は本来の権利主体の有する管理処分権を全面的に有する。
・担当者のための訴訟担当の場合には、被担当者の管理処分権が全面的に担当者に帰属するわけではなく、被担当者の権限が一定範囲で残ることの反面として、訴訟物たる権利法律関係についての管理処分権限が制約されることがある。
→代位債権者は代位の目的である権利の処分権まで有するわけではなく、代位行使される権利の一部免除や期限の猶予をすることはできない。
→それらを内容とする訴訟上の和解も原告・被告限りではできない!!
4.債権者代位訴訟における請求棄却判決の債務者への効力
(1)判例・かつての通説とその問題点
判例(S15.3.15)要旨
債権者代位訴訟の判決は、債務者がその訴訟に参加したかどうかを問わず、常に115条1項2号の規定により債務者にその効力が及ぶ。
(2)学説の展開~判決効拡張の見直し
(3)学説の展開~判決効拡張の正当化
・その後の学説
債権者代位訴訟においては、原告は債務者への訴訟告知をすべきであり(非訟88条2項または会社法849条3項類推)、これによって債務者が独立当事者参加あるいは共同訴訟的補助参加をする機会を確保し、この機会を利用しない債務者には、公平あるいは訴訟経済の観点から、不利な判決も債務者に及ぶ!
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