・委任状の受任者名義が白地である白紙委任状が、直接交付を受けた者から更に交付を受けた第三者により濫用された場合には、原則として代理権授与表示による表見代理(109条)は成立しない。
しかし、白紙委任状を何人において行使しても差支えない趣旨で交付した場合には、本人は、契約上の責任を負うことがある。
・第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その他人が無権代理人であることについて第三者が知っていることまたは知りえたことを立証しなければ 、その表示した代理権の範囲内で、その他人が第三者との間でした代理行為の責任を負う。
・単なる事実行為をなす権限は基本代理権足りえない。預金の外交員が単に勧誘行為を委託したのみでは110条の基本代理権とはならない。!!
・約束手形が代理人によりその権限をゆ越して振り出された場合、110条によりこれを有効とするには、受取人が代理人に振り出し権限のあるものと信ずべき正当な理由がある場合に限る。その後の手形所持人が、代理人にこのような権限があるものと信ずべき正当な理由を有していたとしても、110条を類推適用して、所持人に対し振出人をして手形上の責任を負担させることはできない。!
・契約の相手方が110条により有効に権利を取得した後に、転得者がその権利を承継取得した場合、取引の安定のため、転得者は悪意であっても当該権利を取得する。
・代理人が代理権限を逸脱する行為を本人名義で行った場合は110条は適用されない。相手方がこの者を本人であると信じたことに正当な理由があった場合は110条が類推適用される。
・代理権を有する者が行った権限外の行為が、その代理権と何らの関係のない場合であっても、110条の適用がある。