民法択一 債権各論 契約総論 契約存続中の関係 その2


・Xは、Yに対して不特定物であるプリンターを売却し、入荷次第XがY宅に持参する契約を締結したところ、Xがプリンターを持参する前にXの店が第三者の放火によりプリンターごと焼失した場合、Xの引渡債務もYの代金支払債務も消滅しない!!!
←Xの債務は持参債務である。持参債務の目的物の特定(401条2項)のためには、目的物を履行地に持参して提供することが必要となる!本件では通知したにすぎず、目的物が特定していないので、債務者は依然として履行義務を負う!
+(種類債権)
第401条
1項 債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
2項 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする

・第三者のためにする契約においては、第三者の受益の意思表示は契約の成立要件とはならない!!=受益者の権利の発生要件に過ぎない!
+(第三者のためにする契約)
第537条
1項 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2項 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する

・XY間の契約において、X所有の不動産をZに譲渡する旨を約した。この場合、Zが、受益の意思表示をしたときに所有権は移転する。所有権移転のために受益者と諾約者との間で契約を締結することまでは必要ない。

・胎児を受益者とする第三者のための契約も有効である!!!!!
+判例(S37.6.26)
同第二点について。
上告人と被上告人先代Aとの間に成立した判示契約における大本教本部とは、当時官憲の弾圧に因り潰滅の状態にひんしていた大本教が、将来再興した場合の本部即ち本件の宗教法人愛善苑を指すものであることは、原判文上明らかであり、またいわゆる第三者のためにする契約において、その第三者はたとい契約の当時に存在していなくても、将来出現するであろうと予期した者をもつて第三者となした場合でも足りるものと解すべきであるから(大審院大正七年(オ)第六五一号、同年一一月五日判決、民録二一三一頁参照)、右判示契約の場合にあつても、右契約の当時前記宗教法人愛善苑が存在していなくても、何等右契約の成立は左右されないものといわねばならぬ。原判決に所論の違法は存せず、論旨は採るを得ない。

・Aが宝石をBに売り、代金の支払いに代えて、BがCに対して有する債権を放棄するとの契約を締結した場合、Cが受益の意思表示をすれば、BのCに対する債務免除の意思表示を要せずに、Cの債務は消滅する!!!
+解説もほしいい

・Aが宝石をBに売り、代金は、BがCに対して負っている借入金債務を弁済するため、BがCに支払うとの契約を締結した場合、既にDがCに対する債務を弁済していたときは、Cが受益の意思表示をした後であれば、Aは、Bとの契約を合意解除することはできない!!!←AC間の原因関係は契約の内容とはならず、第三者のためにする契約は有効に成立する!!
+解説ほしいいいい

+(第三者の権利の確定)
第538条
前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。

・要約者をX、諾約者をY、受益者をZとする第三者のためにする契約において、Zが受益の意思表示をした後においては、XYは、Zの権利の内容を変更することはできない!!!

・要約者をX、諾約者をY、受益者をZとして、YがZに不動産甲を引き渡す契約において、Zが受益の意思表示をした後に、Yに対して甲の引渡し請求をした場合、Yは、Zが受益の意思表示をする前に、XY間で、目的物を不動産乙に変更したとの合意を抗弁として主張することができる!!!

・諾約者が履行の提供をしない場合、第三者の受益の意思表示前でも、諾約者は要約者に対して遅滞の責任を負う!!!!!

・諾約者が履行の提供をしない場合、第三者の受益の意思表示前でも、諾約者は第三者に対して遅滞の責任を負わない!!!!
←第三者が履行請求権を取得するためには、第三者による受益の意思表示が必要であるから!!
+(第三者のためにする契約)
第537条
1項 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2項 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。

・第三者のためにする契約の受益者は、契約の当事者ではないから、瑕疵担保責任に基づく解除権(570条・566条1項)を有しない!!!!ナントオオオオオオオオ
=Aが自動車をBから買い、その自動車をBからCに引き渡すとの契約を締結した場合、Cが引渡しを受けた当該自動車に隠れた瑕疵があったときでも、Cは、AB間の売買契約を解除することはできない!!!!!

・Aが宝石をBに売り、その代金をBがCに支払うとの契約を締結し、Cが受益の意思表示をした場合、BがAの詐欺を理由にこの契約を取り消したとき、CがAの詐欺について善意無過失であったとしても、Bは詐欺取消しをCに対抗することができる!!
←539条。また、受益者は96条3項の「第三者」には当たらない。
+(債務者の抗弁)
第539条
債務者は、第537条第1項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。

+(詐欺又は強迫)
第96条
1項 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2項 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3項 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

・Aが宝石をBに売り、その代金をBがCに支払うとの契約を締結し、Cが受益の意思表示をした場合、Aが宝石をBに引き渡したが、Bが代金をCに支払わないときは、CはBに対して代金を事故に支払うよう請求することができる。AもBに対して代金をCに支払うように請求することができる!!
+(第三者のためにする契約)
第537条
1項 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する
2項 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。

・要約者X、諾約者Y、受益者Zとする第三者のためにする契約において、Zが受益の意思表示をした後においても、XはYに対してZへの履行を求めることができる!!
←第三者のためにする契約の当事者(要約者と諾約者)の間においては、通常の契約と同様の権利義務が発生→受益の意思表示によっても、要約者が諾約者に対して受益者への履行を求める権利を失うことはない!!

・XY間で特定物の売買契約が締結され、売主YがZに目的物を引渡すことを約した場合、Zが受益の意思表示をした後においても、YはZからの履行請求に対し、Xの代金の提供がないことを理由に、同時履行の抗弁を主張することができる!!
+(債務者の抗弁)
第539条
債務者は、第537条第1項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる。

・契約により相手方以外の第三者に対してある給付をすることを約した者が、相手方の詐欺を理由にこれを取り消す場合において、既に第三者が受益の意思表示をしていたときは、その取消しは、当該契約の相手方に対して行う(×第三者に対して)!!!!
+(取消し及び追認の方法)
第123条
取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。