民法択一 相続 遺留分


・遺留分請求権者は、兄弟姉妹を除く相続人である(1028条)!!!

直系尊属のみが相続人である場合、その相続人が受ける遺留分の割合は、被相続人の財産の3分の1である(1028条1号)。→両親のみが相続人の場合、両親の遺留分はそれぞれ6分の1になる。

・遺留分権利者が受ける遺留分の額は、直系尊属のみが相続人である場合を除いて2分の1である(1028条)。

・共同相続人の1人の遺留分の放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない(1043条2項)

・遺留分権利者が数人ある場合でも、単独で遺留分減殺請求権を行使できる!
+各自の遺留分を保全するのに必要な限度でしか減殺請求権を行使できないという制限はある(1031条)

・相続開始の遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可(×に申述)を受けた時に限りその効力を生ずる(1043条1項)。

・特別受益は遺留分算定基礎財産に算入される(1044条・904条)

・共同相続人相互の公平の観点から、特別受益の評価の基準時を相続開始時としている。→被相続人が相続人に対し贈与した財産の価格をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価格に加える場合に、当該贈与財産が金銭であるときは、その贈与のときの金額を相続開始の時の貨幣価格に換算した価格をもって評価すべきである。

・贈与は、相続開始前の1年間にした者に限り、1029条の規定によりその価格を算入する。当事者双方が遺留分権者に損害を加えることを知って贈与したときは、1年前の日より前にした者についても同様とする(1030条)

・特別受益者に待っする贈与については1030条の限定はない(1044条・903条参照)=相続開始よりも相当以前になされたもので、減殺請求を認めることが当該相続人に酷である等の特段の事情のない限り、遺留分減殺の対象となる!!!

+特別受益に当たるのは「婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として」受けた贈与(903条参照)

・遺留分減殺の順序=遺贈を減殺した後に贈与を減殺(1033条)!!!!!!!イ→ゾ

・遺留分権利者による遺留分保全のための贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする(1035条)!!

・相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合、遺贈の目的の価格のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみがこれにあたる。

「目的の価格」(1035条)について※※
http://www.ilc.gr.jp/saikousai/kaisetsu/36.htm

・遺留分減殺請求権の法的性質=判例は形成権(×請求権)→遺留分減殺請求権は受遺者・受贈者に対する財産引渡請求権又は履行拒絶権ではない!

・遺留分権利者が受遺者に対して減殺請求をした場合、減殺を受けるべき贈与の目的物を譲り受けた者に対して減殺の請求をすることはできない。→受遺者が遺留分減殺請求を受けた後に、減殺を受けるべき贈与の目的物である不動産を第三者に譲り渡し、所有権移転登記をした場合、当該譲受人が譲渡時において遺留分権利者は、当該譲受人に対して減殺請求をすることはできない!!!!!!!!!!ナント

・不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなされる結果(1039条)、遺留分減殺請求の対象となる(1030条)

・遺留分減殺請求と取得時効の関係=遺留分減殺請求が優先→遺留分減殺の対象となる贈与を受けた者が、その贈与に基づき目的物の占有を継続し、取得時効を援用したとしても、遺留分減殺請求をした遺留分権利者への目的物の権利の帰属は妨げられない。

・遺留分減殺請求権の基本的効力は、贈与・遺贈の失効による目的物返還義務の発生であるが、受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価格を遺留分権者に弁償して返還の義務を免れることができる(1041条1項)。

・遺留分権利者が受贈者に対して価格弁償を請求する訴訟において
価格弁償における価格算定の基準時は、現実に弁償がされるときである(×贈与時)。=訴訟に当たっては事実審口頭弁論終結時。

・減殺すべき贈与があったことを知った時(1042条)とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時である!!
+1042条=減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、事項によって消滅する。相続開始の時から10年を経過した時も同様とする。

・遺留分請求権者が減殺請求により取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記手続き請求権は、時効によって消滅しない!


民法択一 相続 遺言の撤回・取消し

・遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない(1026条)

・遺言をした後に、これと抵触する処分が生前になされた場合には、その抵触する部分については遺言は撤回されたものとみなされる(1023条2項・1項)←本人の最終意思を尊重し、遺言の撤回の自由を認める。

・遺言者が故意に遺言書を破棄した時は、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす!!→全体について撤回したものとみなされるわけではない!!

・撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至った時であっても、原則として、その効力を回復しない(1025条本文)!!!!!

・もっとも、遺言の撤回が詐欺・強迫によってなされたために、それが取り消されたときは、撤回された遺言の効力の回復が認められている(同条但し書き)。


民法択一 相続 遺言の執行


・公正証書遺言を除き、遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない(1004条1項前段、同条2項)

・公正証書遺言は偽造・変造のおそれがないから、一種の証拠保全手続である検認を要しない。

・遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない(1013条)。

・遺言執行者がいる場合に相続人が遺贈の目的物につき1013条に違反して行った処分行為の効力は、絶対的に無効になる。→相続人が、遺贈の目的不動産を第三者に譲渡してその登記をしたとしても、当該処分行為は無効であり、受遺者は、遺贈による目的不動産の所有権取得を登記なくして処分行為の相手方たる第三者に対抗できる!!!!!

・遺言者は、遺言で1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる(1006条1項)。

・遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって(×職権)、これを選任することができる(1010条)。

遺言者が提起する遺言無効確認の訴えは不適法である!!!!!←遺言者は、既になした遺言をいつでも取り消すことができるから、受遺者は将来遺贈の目的物たる権利を取得することの期待権を有さない。フム・・・

・未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない(1009条)!!!

・成年被後見人であることは遺言執行者の欠格事由とはされていない!!!!!マジカ

・特定債権が遺贈された場合、債務者に対する通知又は承認がなければ、受遺者は遺贈による債権の取得を債務者に対抗することはできない!!


民法択一 相続 相続の効力 遺産の共有


・連帯債務者の1人が死亡した場合、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる

・被相続人が不動産を相手方に譲渡する義務を負担した場合に、数人の相続人が遺産相続しその債務を承継した時は、各遺産相続人は不可分債務を負担し、相手方は遺産相続人の1人に対し全部の履行を求めることができる。=いずれの相続人も当該不動産の引渡し義務を負う。

・共同相続人は、908条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる(907条1項)

・遺産の分割は、相続開始時に遡ってその効力を生ずる(909条本文)=遺産分割の効力発生日は相続開始時!

・被相続人は、遺産分割方法の指定又は遺産分割の禁止(相続開始から5年を超えない期間)をすることができるが、それらは遺言によってなされなければならない(908条)!

・被相続人は、相続分の指定をすることもできるが、それらも遺言によってなされなければならない(902条1項)。ヘー

・相続人が被相続人から生前贈与や遺贈を受けていた場合は、特別受益として相続分から控除されることになる。

・養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又は死亡保険金は、原則として特別受益とならない。=保険金受取人である相続人とその他共同相続人との間に生ずる不公平が、903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段な事情が存する場合を除き、実質的に保険契約者又は被保険者の財産に属していたものとみることはできない。=特別受益には当たらない。

・被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定めることを第三者に委託することができる(908条)。

・家庭裁判所による遺産分割は、協議が調わないとき、又は協議をすることができないときに、各共同相続人が、家庭裁判所に請求することができる。=各相続人は、他の相続人全員を被告として遺産分割の訴えを提起できるわけではない。!

・遺産分割協議は、相続の開始により共同相続人の共有となった相続財産の全部または一部を各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に移させることによって相続財産の帰属を確定させるから、その性質上、財産権を目的とする法律行為ということができ、詐害行為取消権の対象となる。

・各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う(911条)。

・共同相続人間で遺産分割協議が成立した場合に、相続人の1人が協議において負担した債務を履行しない場合であっても、その債務を有する相続人は、民法541条に基づいて当該協議を解除することはできない!!!

・相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人がすでにその分割その他の処分をしたときは、価格のみによる支払いの請求権を有する(910条)。=そのものを含めて改めて遺産分割協議をしなければならないわけではない!!

・共同相続人間における遺産分割の審判が確定した後に、被相続人をちちとする認知の判決が確定し被認知者が相続人となった場合、遺産分割の審判の効力は失われない。


民法択一 相続 相続人


・代襲の要件たる「相続の開始以前に死亡したとき」(887条2項本文)には同時死亡の場合も含まれる。→父と子が同時に死亡した場合には、孫は子を代襲して父を相続する。
+32条の2の同時死亡の推定とかにも注意

相続放棄は代襲原因ではないため、子が相続放棄した場合は孫は相続人とはならない!!!!!!

・内縁の妻は相続人とはならない。

・胎児は相続については既に生まれたものとみなされる(886条1項)。!!→代襲相続とかもできる

・代襲相続人は、被相続人の直系卑属及び兄弟姉妹の子(←コレ忘れずに)に限られる(887条2項、3項、889条2項)。→妻子のない者が死亡した場合、その母がすでに死亡していた場合、その母の父は代襲相続人とはならない。

・配偶者は被代襲者とはならない。→配偶者の連れ子は配偶者を代襲して相続しない。

・代襲原因は、相続開始以前の死亡、相続欠格及び相続人の排除の3つに限られる(887条2項本文)。=相続放棄は代襲原因とはされない。
=子が死亡していなくても孫は父の代襲相続人となる場合がある。

・故意に相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡させて殺人罪(刑法199条)の刑に処せられた者は、相続人となることができない(民法891条1号)。⇔その子は代襲相続はできる

・被相続人の養子が相続開始前に死亡していることは、代襲原因に当たる(887条2項本文)。

・被相続人の養子が縁組前に縁組した養子は、被相続人の直系卑属に当たらず、相続人となることはできない。

・891条1号は欠格事由として、殺人の未遂既遂を問わず、刑に処せられた者と規定している。→疑いで拘留されただけでは「刑に処せられた」とはいえない。

・捜査機関が動き出して告訴告発の必要がなくなった後に犯罪事実を知った相続権者は、891条2号本文の相続欠格者に該当しない。!!

・891条2号本文は被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかったものを挙げている。ただし、その者が是非の弁別がないとき、又は当該殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときはこの限りではない。→殺害者が自己の妹とかなら直系血族じゃないから但し書きには該当しない!!

・相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合に、相続人のこの行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、この相続人は、891条5号所定の相続欠格者には当たらない!!

・遺言者の最終意思を実現するための法形式を整える趣旨で偽造又は変造(←遺言書に欠けていた押印等の方式を補充する行為)した者は、891条5号所定の相続欠格者には当たらない!!!

・廃除(←字に注意)の対象となるのは、遺留分を有する推定相続人である(892条)。→兄弟姉妹は遺留分権者ではない(1028条)から、廃除の対象にならない。

・推定相続人の廃除原因=遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたこと(892条)。→被相続人に対してではなく、他の推定相続人に対して加えられた場合は廃除原因にはならない。

・被相続人は、遺言で推定相続人を廃除することができる(893条)。→必ずしも被相続人自身が生前に家庭裁判所に対して請求品狩ればならないわけではない。

・被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる(894条1項)。


民法択一 相続 相続法総則

・相続財産に関する費用は、相続人の過失によるものを除き、その財産の中から支弁する(885条1項)。→相続財産に関する費用は、すべて相続財産の中から支弁するわけではない。!!