2-2 訴訟手続きの開始 訴訟物

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1.訴訟物の意義
原告によって主張される権利自体

2.訴訟物の機能
訴訟物は、これ以上分割することのできない審判対象の最小単位を指す。

3.訴訟物理論
(1)実体法説と訴訟法説
・実体法説
=実体法上の権利を訴訟物とする考え方
→訴訟物の単複異同は、実体法上の権利の単複異同を基準として判断されることになる。

・訴訟法説
=実体法上の権利から距離を置く。

・訴訟法説(一分肢説)
=一定の裁判要求が訴訟物であるとする。
→裁判要求の単複異同を基準として訴訟物の単複異同が判断される。

・訴訟法説(二分肢説)
=裁判要求のみならず事実関係の同一性によっても訴訟物を枠づける考え方

(2)我が国における訴訟物理論の展開
訴訟法説の一種としての新訴訟物理論
我が国の新訴訟物理論は、目的論としての紛争解決説を背景として、紛争の一回的解決を可能とする議論として提唱された。

(3)給付訴訟の訴訟物
・旧訴訟物理論とこれに対する批判と解決
①紛争の蒸し返しのおそれ。
②二重の認容判決のおそれ。
⇔選択的併合(数個の請求のうちいずれかが認容されることを解除条件として他の請求について審判を申し立てること)を認めることで対応が可能。
しかし、常に選択的併合と解するのは処分権主義に反する。
まあ、受訴裁判所の釈明により選択的併合とすることになりそう。釈明に応じなかった場合は後訴の提起を訴訟上の信義則に反するとして却下する対応も。

・新訴訟物理論とこれに対する批判
①裁判所の釈明義務が拡大するおそれ
←一定の給付を受ける地位を基礎付ける法的観点として複数の請求権を想定し得ることがあるが、当事者がそのうちの一部についてしか注意を払っていない場合、裁判所としては残りの請求権およびその要件事実について釈明する義務を負うおそれがある!

②請求認容判決が確定したとしても、新訴訟物理論によるとそこで存在するとされる請求権の実体法上の法的性質が明らかにならない!
→不法行為によるものなのか、債務不履行によるものなのかで相殺が許されるかどうかもかわってくるので、問題が起きる。

(4)確認訴訟の訴訟物
・新旧訴訟物理論のどちらをとっても、実体法上の権利が1個の訴訟物を構成する。
←確認訴訟は実体法上の権利の存否を覚醒することによって紛争を予防し、または、抜本的に解決することを目的とするため

・土地の取得原因
+判例(H9.3.14)
理由
 上告代理人宮﨑富哉の上告理由について
 共同相続人甲、乙、丙のうち甲と乙との間において、ある土地につき甲の所有権確認請求を棄却する旨の判決が確定し、右確定判決の既判力により、甲が乙に対して相続による右土地の共有持分の取得を主張し得なくなった場合であっても、甲は右土地につき遺産確認の訴えを提起することができると解するのが相当である。けだし、遺産確認の訴えは、特定の財産が被相続人の遺産に属することを共同相続人全員の間で合一に確定するための訴えであるところ(最高裁昭和五七年(オ)第一八四号同六一年三月一三日第一小法廷判決・民集四〇巻二号三八九頁、最高裁昭和六〇年(オ)第七二七号平成元年三月二八日第三小法廷判決・民集四三巻三号一六七頁参照)、右確定判決は、甲乙間において右土地につき甲の所有権の不存在を既判力をもって確定するにとどまり、甲が相続人の地位を有することや右土地が被相続人の遺産に属することを否定するものではないから、甲は、遺産確認の訴えの原告適格を失わず、共同相続人全員の間で右土地の遺産帰属性につき合一確定を求める利益を有するというべきである。右と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官根岸重治 裁判官大西勝也 裁判官河合伸一 裁判官福田博)

(5)形成訴訟の訴訟物
・旧訴訟物理論では、形成原因が訴訟物であり、形成原因が異なれば、求める形成結果が同じでも別個の訴訟物を構成する。

・新訴訟物理論では、一定の形成結果を求める法的地位が1個の訴訟物を構成し、かかる地位を基礎づける形成原因が異なる場合も訴訟物の同一性は失われない。


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