要件事実 紛争類型別の要件事実 第4章 不動産登記手続請求訴訟


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第1 はじめに

第2 登記請求権
1.物権的登記請求権
=現在の実体的な物権関係と登記とが一致しない場合に、この不一致を除去するため、物権そのものの効力として発生する登記請求権をいう

・真正な登記名義の回復を登記原因とする移転登記請求権も認めている

2.債権的登記請求権

3.物権変動的登記請求権
=物権変動の過程、態様と登記とが一致しない場合に、その不一致を除去するために、物権変動それ自体からこれに対応する請求権として発生する登記請求権をいう

第3 登記移転請求訴訟における訴訟物及び典型攻撃防御の構造
1.所有権移転登記抹消登記手続請求
(1)設例
(2)訴訟物
所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権
←物権的登記請求権

(3)請求原因
①Xがその不動産を所有していること
②Y名義の所有権移転登記が存在すること

(4)抗弁以下の攻撃防御方法

2.真正な登記名義の回復を原因とする抹消に代わる所有権移転登記手続請求
(1)設例
(2)訴訟物
所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権
←物権的登記請求権

(3)請求原因及び抗弁以下の攻撃防御の構造

3.時効取得を原因とする所有権移転登記請求権
(1)設例
(2)訴訟物
所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権
←物権的登記請求権

(3)請求原因
①Xがその不動産を所有していること
②Y名義の所有権移転登記が存在すること

ア 長期取得時効の要件事実
+(所有権の取得時効)
第百六十二条  二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2  十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

①ある時点で占有していたこと
②①の時から20年が経過した時点で占有していたこと
③援用権者が相手方に対し時効援用の意思表示をしたこと

+(占有の態様等に関する推定)
第百八十六条  占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2  前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

・取得時効の対象物は自己の所有物であってもよく、「他人の物を」は要件とはならない。

・初日不算入の原則から、時効期間は占有開始日の翌日から計算することになる
+第百四十条  日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

・時効の効果が遡るという起算日は占有開始日!!!!!!!

・時効援用権者は時効起算点を任意に選択することが許されない。
しかし、時効取得を主張する側は、「開始」時の占有として、「ある時点での占有」を主張立証すれば足りる

イ 短期取得時効の要件事実
①ある時点で占有していたこと
②①の点から10年経過した時点で占有していたこと
③占有開始時に善意であることについて無過失であること(無過失の評価根拠事実)
④援用権者が相手方に対し時効援用の意思表示をしたこと

・無過失=事故に所有権があると信ずるにつき過失がないこと
・無過失の判定時期は占有の開始時であり、その後悪意に代わってもよい

・時効の援用は、権利の得喪を確定させる実体法上の要件となるから、実体法上の意思表示として理解。

(4)抗弁以下の攻撃防御の構造
・所有の意思の有無は、外形的客観的に決せられる。
占有取得原因(権原)の客観的性質による

所有の意思がないこと
(A)その性質上所有の意思のないものとされる占有取得の権原(他主占有権原)
又は
(B)外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される占有に関する事情を示す具体的事実(他主占有事情)

・他主占有事情には、真の所有者であれば通常はとらない態度を示したこと、所有者であれば当然とるべき行動に出なかったこと。

4.抵当権設定登記抹消登記手続請求
(1)設例
(2)訴訟物
所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求

(3)請求原因
①Xがその不動産を所有していること
②Y名義の抵当権設定登記が存在すること

・登記には事実上に推定力。

(4)抗弁以下の攻撃防御方法

・登記保持権原の抗弁
①XY間の被担保債権の発生原因事実
②XがYとの間で①の再建を担保するためその不動産につき抵当権設定契約を締結したこと
③Xが②当時、その不動産を所有していたこと
④その登記が②の抵当権設定契約に基づくこと

・抵当権設定契約は直接物権の発生を目的とする物権契約であるから、②に加えて③の要件が必要になる!!

・登記が手続的に適法にされたことが必要か?
必要
(A)その登記が登記義務者の登記申請意思に基づくこと
又は
(B)登記申請時に、登記義務者においてその登記を拒みうる特段の事情がなく、かつ、騰貴権利者においてその登記申請が適法であると信ずるにつき正当の事由があること

5.登記上利害関係を有する第三者に対する承諾請求
(1)設例
(2)訴訟物
ア Y1に対する請求の訴訟物
所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権
or
所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権

イ Y2に対する請求の訴訟物

・Y1へ所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権の場合
Y2に対し
所有権に基づく妨害排除請求権としての承諾請求権

・所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権の場合
Y2に対し
所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求権

(3)請求原因
・Y1へ所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権の場合
Y2へ
所有権に基づく妨害排除請求権としての承諾請求権

①Xがその不動産を所有していること
②Y1名義の所有権移転登記が存在すること
加えて承諾請求権の発生要件として
③Y2名義の抵当権移転登記が存在すること
④抵当権設定登記はY1がその不動産の所有名義人になっているときにされたこと

(4)抗弁以下の攻撃防御方法

・善意の第三者の位置づけ

法定承継取得説
Y2は前記売買の抗弁及び通謀虚偽表示の再抗弁を前提とする登記保持権原の抗弁(予備的抗弁)
①Y1・Y2間の被保全債権の発生原因事実
②Y1がY2との間で①の債権を担保するためその不動産につき抵当権設定契約を締結したこと
③Y2が②の際、X・Y1間の売買契約が通謀虚偽表示であることを知らなかったこと
④その登記が②の抵当権絵ってい契約に基づくこと

順次取得説
Y2は再再抗弁として①②③を主張立証

6.真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続請求
(1)設例
(2)訴訟物
所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権

(3)請求原因
①Xがその不動産を所有していること
②Y名義の所有権移転登記が存在すること

(4)抗弁以下の攻撃防御方法

7.売買契約に基づく所有権移転登記手続請
(1)設例
(2)訴訟物
売買契約に基づく所有権移転登記請求権
←債権的登記請求権

(3)請求原因
XY売買契約の締結

←売買契約の効果として買主Xは売主Yに対し所有権移転登記請求権を取得し、特に売買契約と別に所有権移転登記をする特約を結ぶ必要はない。

(4)抗弁以下の攻撃防御方法


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