民法787条 認知の訴え
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(認知の訴え)
第七百八十七条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
・認知の訴えの性質は形成訴訟
・3年に制限
←証拠が不明確になるばかりか、濫用による弊害も生じるから。
・原告は
子、その直系卑属、これらの者の法定代理人
子の直系卑属は子の生存中は認知の訴えを提起しえない!!!!
・被告は
父
父の死後は検察官
・認知を求められた父の原告以外の子は、認知の訴えの当事者適格は有さない。ゆえに、父が子から強制認知させられた場合、認知訴訟の再審理である再審を別の子が求めることはできず、補助参加できるにすぎない!
+判例(H1.11.10)
理由
上告人Aの代理人原口酉男、同竹之下義弘、同松尾紀男の上告理由について
一 原審は、(一) 上告人Aは、B、Cの長女として戸籍に記載されているところ、昭和五五年一〇月一五日、福岡地方検察庁検事正を被告として、同上告人とB、Cとの間に親子関係が存在しないことの確認及び同上告人がDの子であることの認知を求めて、福岡地方裁判所に訴えを提起した、(二) 福岡地方裁判所は、上告人Aが提出した戸籍謄本及び同上告人が申請した証人二名を取り調べたうえ、昭和五六年二月二六日、同上告人の請求を全部認容する旨の判決を言い渡し、右判決は、昭和五六年三月一六日の経過をもって確定した(福岡地方裁判所昭和五五年(タ)第七〇号、右判決を以下「本件確定判決」という。)、(三) 被上告人らはDの子又は養子であるが、右認知請求事件について、訴訟告知を受けず、証人としての呼出しを受けず、また、検察官から事情を聴取されたこともなく、右判決が確定するまで訴訟の係属すら知らなかったとの各事実を適法に確定したうえ、憲法三二条の趣旨及び人事訴訟手続における真実発見の目的に照らして、被上告人らの救済を考えるべきであり、認知の確定判決を第三者が再審の手続で争う余地があると解されること(最高裁昭和二六年(オ)第八〇八号同二八年六月二六日第二小法廷判決・民集七巻六号七八七頁)、職権審理が行われ、処分又は裁決を取り消す判決に対世効を認める行政事件訴訟(行政事件訴訟法二四条、三二条)では、判決により権利を害された第三者で、自己の責に帰することができない理由により訴訟に参加することができなかった者は、一定の条件の下に再審の訴えをもって不服の申立をすることが認められていること(同法三四条、二二条)、右規定は憲法三一条、三二条の精神に則ったものであることから、本件においても、責に帰すべき事由なくして本件認知請求訴訟の係属を知らず、参加その他の方法で右事件の審理に関与する機会を与えられなかった被上告人らは、行政事件訴訟法三四条の規定を類推適用して、再審手続をもって本件確定判決を争うことができるものと解すべく、再審事由については、自己の責に帰することができない事由により訴訟に参加することができず、実質的に裁判を受ける権利を奪われたという意味で、民訴法四二〇条一項三号、四二五条の規定を類推適用することが相当であるとして、本件確定判決のうち上告人Aの認知請求を認容した部分に関して、被上告人らの再審請求を棄却した一審判決を取り消し、右部分を第一審裁判所に差し戻した。
二 しかし、右判断を是認することはできない。その理由は、次のとおりである。すなわち、検察官を相手方とする認知の訴えにおいて認知を求められた父の子は、右訴えの確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有するものではないと解するのが相当である。
けだし、民訴法に規定する再審の訴えは、確定判決の取消し及び右確定判決に係る請求の再審理を目的とする一連の手続であって(民訴法四二七条、四二八条)、再審の訴えの原告は確定判決の本案についても訴訟行為をなしうることが前提となるところ、認知を求められた父の子は認知の訴えの当事者適格を有せず(人事訴訟手続法三二条二項、二条三項)、右訴えに補助参加をすることができるにすぎず、独立して訴訟行為をすることができないからである。なるほど、認知の訴えに関する判決の効力は認知を求められた父の子にも及ぶが(同法三二条一項、一八条一項)、父を相手方とする認知の訴えにおいて、その子が自己の責に帰することができない事由により訴訟に参加する機会を与えられなかったとしても、その故に認知請求を認容する判決が違法となり、又はその子が当然に再審の訴えの原告適格を有するものと解すべき理由はなく、この理は、父が死亡したために検察官が右訴えの相手方となる場合においても変わるものではないのである。検察官が被告となる人事訴訟手続においては、真実の発見のために利害関係を有する者に補助参加の機会を与えることが望ましいことはいうまでもないが、右訴訟参加の機会を与えることなしにされた検察官の訴訟行為に瑕疵があることにはならず、前示当審判例は、第三者が再審の訴えの原告適格を有する余地のあることを判示したものと解すべきものではなく、更に、行政事件訴訟とは対象とする法律関係を異にし、再審の訴えをもって不服申立をすることが許される第三者には共同訴訟参加に準じた訴訟参加を許す旨の行政事件訴訟法二二条のような特別の規定のない人事訴訟手続に、行政事件訴訟法三四条の第三者の再審の訴えに関する規定を類推適用することはできない。
三 そうすると、本件確定判決中認知請求に関する被上告人らの再審の訴えを許容した原判決には、再審の訴えの原告適格に関する法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決中右の部分は破棄を免れない。そして、前示のとおり被上告人らの本件再審の訴えは不適法であるから、右請求を棄却した第一審判決を取り消し、被上告人らの訴えを却下すべきものである。
よって、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、九六条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 香川保一 裁判官 牧圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 藤島昭 裁判官 奧野久之)
・出訴期間は
父の生存中はいつでも可能
父の死亡の日から3年を経過すると不可
・胎児に認知請求権はない!!
・認知請求権の放棄契約は無効!!
・嫡出でない子と父との間の法律上の親子関係は認知によらずに父子関係存在確認の訴えを提起できない!
・認知の訴え(787条)にかかる訴訟は人事訴訟(人事訴訟法2条2号)にあたり、その確定判決は、民事訴訟法115条1項の規定にかかわらず第三者に対してもその効力を有する(人事訴訟法24条1項)
・卵子の提供と母子関係
+判例(H19.3.23)
要旨
1.一 民法が実親子関係を認めていない者の間にその成立を認める内容の外国裁判所の裁判は、我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものであり、民事訴訟法118条3号にいう公の秩序に反するといわなければならない。
二 現行民法の解釈としては、出生した子を懐胎し、出産した女性をその子の母と解さざるをえず、その子を懐胎、出産していない女性との間には、その女性が卵子を提供した場合であっても、母子関係の成立を認めることはできない。
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