・占有訴権は占有権の効果として認められるところ、占有権を取得するためには目的物を所持することが必要であり(180条)、子の所持は独立したものでなければならない。そのため、他人の手足として補助的に物を支配しているにすぎない占有補助者は、占有権を取得することはできない!!→占有補助者である家事使用人は、占有回収の訴え(200条1項)を提起することはできない!!!!
・法人の機関等には、独立の所持が認められず、本人のために事実上物を保持するものにすぎない。←占有補助者(占有機関)だから
→法人の機関には占有訴権の原告適格は認められない!
・占有保持の訴えは、妨害の存する間又は消滅した後1年以内に提起しなければならない(201条本文)
・占有訴権の要件比較
占有保持の訴え=占有者の占有が妨害されているとき
占有保全の訴え=占有を妨害されるおそれがあるとき
占有回収の訴え=占有者の占有が奪われたとき
・占有保持の訴え(198条)を提起するための要件として、占有妨害の客観的事実があればよく、妨害者の故意または過失は不要!!
・占有者が妨害者に対して、妨害を除去し、原状回復を求める場合、その費用は妨害者が負担する!!←占有保持の訴え(198条)における「妨害の停止」とは、妨害者の費用で妨害を排除し、原状回復させることである。
・占有者がその占有を妨害されるおそれがある場合、占有保全の訴えによって、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる!!←いずれかの請求により目的が達成されるから!
・占有者がその占有を奪われた場合、占有回収の訴えを提起することができる(200条1項)。占有の侵奪とは、占有者が意思に基づかずにその所有を奪われることである!!!→賃借人が、占有権限を失った後に(賃貸借契約の終了など)占有を継続していても、賃貸人の占有を奪ったことにはならないので、占有回収の訴えを適することはできない!!!!!注!
・占有回収の訴えは、占有者のみならず、一般に所有の意思を有しない他人のために占有する者も提起することができる(197条後段)!!ヘー
・占有者は、その占有を奪われた場合、その占有が正当な権原に基づかないとしても、占有回収の訴え(200条1項)により損害賠償請求が認められる!!!!(占有侵害の事実があれば足りる!)
・詐取された場合は「占有を奪われたとき」(200条1項)に当たらない!!→占有回収の訴えは提起できない。
・遺失の場合も占有回収の訴えを提起できない←占有者の意思に反して奪われていないから!
・占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りではない(200条2項)
・侵奪物の占有がいったん善意の特定承継人に移転すれば、その後の特定承継人がたまたま占有侵奪の事実につき知っているとしても、そのものに対し占有回収の訴えを提起することはできない!!
・不法に他人の占有を侵奪した者がその目的物を他人に貸与したとしても借受人は貸主のために代理占有(181条)しているので、貸主である侵奪者は、目的物を占有しており、被侵奪者は侵奪者に対して占有回収の訴え(200条1項)を提起することができる。
・寄託を受けた者は特定承継人に当たる!!→寄託を受けた者が侵奪の事実に悪意の場合は、この者に対して占有回収の訴えを提起できる!
・占有回収の訴えは占有を奪われた時から(×知った時から)1年以内に提起しなければならない(201条3項)!!!!
占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることはできない(202条2項)!!!→裁判所は、占有回収の訴えに対して原告が係争物について所有権を有しないことを理由に請求を棄却することはできない!!!
・占有の訴に対し防御方法として本権の主張をなすことは許されないが、これに対し本権に基づく反訴を提起することは許される。
・占有者が占有物のうえに行使する権利はこれを適法に有するものと推定される以上(188条)、譲受人たる占有取得者がそのように信じることについて過失のないものと推定される。
・他人の所有地上の建物に居住している者がその敷地を占有する正権原があると主張するときには、占有者がその正権原の立証責任を負う!!=188条を援用して自己の正権原を所有者に対抗することはできない!!
・189条1項の「善意の占有者」とは、所有権、賃借権等の本権がないのにそれがあると確信して占有する者をいう!悪意の占有者とは、本権がないことを知り、又はその有無につき疑いを持ちながら占有する者をいう!!→土地の占有者が、その土地につき果実収取権をともなった本権を自身が有するかどうかについて疑いを抱いている場合には、善意の占有者による果実の取得を規定した189条1項の「善意の占有者」にはあたらない。
・善意の占有者が本件の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から(×判決の確定時)悪意の占有者とみなされる(189条2項)!!!
・占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって損傷した場合に、その回復者に対し、善意の自主占有者が負う賠償義務の範囲はその損傷によって現に利益を受けている限度に限定される(191条)。←占有の特殊性に着目して不法行為、不当利得等の特則として、善意の自主占有者を保護し、その賠償義務の範囲を制限する趣旨!
・占有者が占有物を返還する場合、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は占有者の負担に帰する(196条1項ただし書き)。固定資産税は、甲建物の保管に通常必要となる費用であり、通常の必要費に当たる!
→善意の占有者は、甲建物を占有したことによって得た利益(使用利益)を取得する(189条1項)から、占有期間中の固定資産税を負担しなければならない!!