民法択一 物権 先取特権 先取特権の順位


・共益費用についての一般の先取特権者は、雇用関係についての一般の先取特権者に優先して債務者の総財産から弁済を受けることができる!
+(一般の先取特権の順位)
第329条
1項 一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第306条各号に掲げる順序に従う
2項 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。

+(一般の先取特権)
第306条
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一 共益の費用
二 雇用関係
三 葬式の費用
四 日用品の供給

・動産保存の先取特権は、動産売買の先取特権に優先する!
+(動産の先取特権の順位)
第330条
1項 同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
一 不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
動産の保存の先取特権
動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
2項 前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
3項 果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。

・内容の衝突する物権相互間においては、その優先順位は、対抗要件具備の順序に従うのが原則である!ただし、登記をした不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権は、抵当権に先立って行使することができる!!!
=不動産先取特権、不動産質権、抵当権の順位は常に登記の先後によって決まるわけではない!

+(登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権)
第339条
前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。

+(不動産保存の先取特権の登記)
第337条
不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。

+(不動産工事の先取特権の登記)
第338条
1項 不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
2項 工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。

+++337条解説
先取特権というのは、担保物権の中の一つでしたが、その中でも法定担保物権の一つでした。つまり、抵当権などとは異なり当事者が契約をしなくても、法律上一定の事由があれば当然に発生するものなのです。そして、同一の不動産に対して、抵当権と不動産保存の先取特権が競合した場合、不動産保存の先取特権が抵当権に対して優先するのです。これは抵当権者からしたら、たまったものではありません。→抵当権者の保護のため。

++不動産保存の先取特権とは?
不動産に関する権利の保存費用を負担した人がいる場合に、その人がその旨を登記すれば、先取特権が発生し、不動産を競売して保存費用を取り戻せるという権利である。

・動産売買の先取特権と動産質権が競合する場合には、動産質権が優先する!!!

+(先取特権と動産質権との競合)
第334条
先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第330条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。

+(動産の先取特権の順位)
第330条
1項 同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
一 不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
二 動産の保存の先取特権
動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
2項 前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
3項 果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。