民法択一 物権 質権 不動産質権


・不動産質権者が第三者に対して不動産の質権を対抗するには、当該不動産の登記が必要!←不動産質権の対抗要件は登記(177条、361条・373条)

+(抵当権の規定の準用)
第361条
不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。
+(抵当権の順位)
第373条
同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

・不動産質権の登記は対抗要件であり、効力発生要件ではない!

・不動産質権者は、質権設定者の承諾なく、当該不動産をその用法に従い、その使用収益をすることができる!!!!←質権者による質物の使用・収益には、質権設定者の承諾を要するのが原則である(350条・298条2項)が、不動産が誰も使用収益しないことは、社会経済上不利益となるため、356条が設けられた!
+(不動産質権者による使用及び収益)
第356条
不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。

・Aの所有する甲不動産を不動産質権に基づいて占有しているBが、甲建物の固定資産税を支払った場合でも、BはAに対し償還を求めることはできない!!
+(不動産質権者による管理の費用等の負担)
第357条
不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う
++(設定行為に別段の定めがある場合等)
第359条
前3条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法 (昭和54年法律第4号)第180条第二号 に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない

・不動産質権者は原則として、その債権の利息を請求することはできない!!
+(不動産質権者による利息の請求の禁止)
第358条
不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。

まあ、359条の例外はある。
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356条が、不動産質権者は、不動産を使用・収益することができると規定したことと対応して、この民法358条が規定されている。

不動産質権の存続期間は10年を超えることができず、設定行為で存続期間を定めなかった場合は、その存続期間は10年となる!←定めのない場合については規定はないが10年!
+(不動産質権の存続期間)
第360条
1項 不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
2項 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。
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不動産質権は、所有権者の使用・収益権を奪い、質権者に使用・収益させるものであるから、あまり長期間になると、不動産の使用・収益が不十分になり社会経済的利益を害する可能性があるからです。ヘーーー

・不動産質権について抵当権の規定が準用されるが、不動産質権者は質権の使用収益権を有するため、果実を収取することができる!!!!!!
+(抵当権の規定の準用)
第361条
不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。
+(不動産質権者による使用及び収益)
第356条
不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。

・不動産質権者相互間及び不動産質権と抵当権の優劣は登記の先後によって決まる!