民事訴訟法 基礎演習 通常共同訴訟(同時審判申出共同訴訟・訴えの主観的予備的併合)


+(共同訴訟の要件)
第38条
訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。

+(共同訴訟人の地位)
第39条
共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

+(必要的共同訴訟)
第40条
1項 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2項 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3項 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4項 第32条第1項の規定は、第1項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

+(任意の出頭による訴えの提起等)
第41条
1項 共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
2項 前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3項 第1項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

1.通常共同訴訟と共同訴訟人独立の原則

2.要件事実入門
請求原因
X→Y
①売買契約
②顕名
③先立つ代理権授与

X→Z(117条責任に基づく履行請求)
①売買契約
②顕名
(③は抗弁となる)

3.同時審判申出訴訟
一方の請求における請求原因事実が他方の請求では抗弁事実になるなど、両請求が実体法上の択一関係にある場合


無権代理の場合
民法717条関係
+(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
民法第717条
1項 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負うただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない
2項 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3項 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

(3)効果

・両勝ちは、両負けを防止しようとする同時審判申出訴訟の制度趣旨には反しない!
・Yの自白でXY間の訴訟が判決をするのに熟したとしても、同時判決の要請から、Yに対する請求についてのみ判決することはできない!

・共同被告の一方についての中断・中止の事由が生じた場合
→停止しないのが原則だが、同時審判の要請から事実上停止。
40条3項を準用する考えも

・上訴の提起も当該当事者間の訴訟についてのみ確定遮断と維新の効果が生じる。
→原告が控訴しないと両負けの恐れが出てくる!
→念のため公訴。

4.訴えの主観的予備的併合の適否

+判例(S43.3.8)
理由
上告代理人羽生長七郎、同江幡清の上告理由第一点について。
記録によれば、所論の主張は原審においてなされていないことが明らかであるから、所論は採用することができない。
同追加上告理由一について。
記録によれば、原審は、被上告人Aが原判示の経緯により本件土地所有権を取得したと認定し、上告人の被上告人Aに対する本訴請求を棄却していることが明らかであつて、挙示の証拠によれば、原審の右認定および判断は、これを是認することができる。所論は、原判決を正解せず、独自の見解に基づき原判決を非難するものであつて、採用することができない。なお、弁済期に関する所論は、原判決の結論に影響のない主張であるから、この点に関する所論も採用のかぎりではない。
同上告理由第二点および追加上告理由二について。
訴の主観的予備的併合は不適法であつて許されないとする原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法は存しない。所論は、独自の見解に基づき原判決を非難するに帰し、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎)

予備的被告の不利益とは
Zは応訴を強いられ、たとえその防御が功を奏して代理権授与の事実が認められたとしても、主位的請求の認容により予備的請求の解除条件が成就するため、Zは勝訴判決を取得できない!
→Yの無資力などによりXの強制執行が不奏功の場合、XがZに再訴を提起すると、この再訴は実質的に前訴の蒸し返しであるにもかかわらずZは再訴を既判力により封じることができない!