憲法択一 統治 憲法改正 憲法改正の限界


・無限界説によれば、憲法所定の改正手続に基づくものである限り、憲法制定権力の主体や元の憲法の基本原理を変更することも法的に認められ、憲法の廃止と新憲法の制定という法を超えた政治的な事件となるわけではない。!!

・無限界説←将来において憲法制定時の規範・価値が変化した場合には憲法こそ変化すべきであり、将来の世代が憲法の規範・価値に拘束されるべきでない。

・無限界説←憲法規範中に上下の価値の序列や階層性を認めることはできない。

・限界説←近代憲法は自然権思想を成文化した法であり、人権と国民主権とが、共に個人の尊厳の原理に支えられ不可分に結びついて共存する関係にあることが、近代憲法の本質かつ理念であるとしたうえで、このような根本規範といえる人権宣言の基本原則を改変することは許されない

・限界説→憲法典を持続させるために設けられた憲法改正規定の実質を変更することは許されない。

・憲法の効力根拠に関する学説には、自然法との合致に求めるものと、憲法制定権力の決断に求めるものとがある。

・憲法改正権と憲法制定権を区別する見解からは、改正権が自己の存立の基盤ともいうべき制憲権の所在(国民主権)を変更することは、理論的に許されない。

・憲法改正権を制度化された制憲権と理解すると、制憲権は憲法特典のなかに取り込まれていることになる。そして、改正権の生みの親は制憲権であるから、改正権が自己の存立の基盤ともいうべき制憲権の所在(国民主権)を変更することは、いわば自殺行為であって理論的に許されない。

・憲法改正には限界があるという立場からは、主権の存在を変更するような改正は不可能となる。ポツダム宣言の受諾によって主権の所在が天皇から国民に移ったという、いわゆる八月革命説は、憲法改正には限界があるという立場を採りつつ日本国憲法の制定を正当化しようというものである。=大日本帝国憲法は新しい建前に抵触する限り重要な変革を被りながら存続したと説明。