ホテルやキャンプ場などのキャンセル料を考える


ホテルやキャンプ場のキャンセル料の法的な性質はなんなのだろうか。

○月○日に宿泊をする契約を締結している。ホテル側としてはその日にお客さんを一泊させる義務を負うことになる。一方でお客さんの側からするとその日にホテルに出向いて宿泊する義務?を負うことになる。こう考えると、○月○日にホテルに出向くことができなくなければ債務不履行(民法415条)としての損害賠償責任を負うことになる。ただ、ホテル側が損害の立証をしなければならなくなる点について考えると、数日前にキャンセルの電話を入れておけば宿泊料全額の損害を立証するのは難しそうな気がする。
そんな時、宿泊の注意事項にキャンセル料の定めがあった場合は損害賠償の予定(民法420条1項)の合意があったとして、ホテル側の損害の立証なしに、合意の額が損害として立証されそうだ。
ここでもう一つ注意したいのがホテルは事業者で、お客さんは消費者であることから、消費者契約法の適用があるという点である。損害賠償の予定を定めたキャンセル料の額が高すぎる場合には、消費者契約法9条1号により無効となりうる。特に何週間も前に解約した場合などはホテルも他のお客さんを探すことができることから、100%のキャンセル料を常に要求しているような場合には一部無効になりそうだ。

他にもホテル料をあらかじめ振り込んでいた場合は解約手付のように考えることはできないか・・・。

キャンセルをするということは契約の解除をすることだ。すでにホテル代金を支払っている場合は原状回復義務が生じることからホテル側は、客からの不当利得返還請求によりホテル代を返還しなければならなくなる。ここで上記損害賠償請額と相殺することになるのか・・・。

参照
消費者契約法9条
 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
1号 該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分