行政法 基本行政法 行政処分手続(1) 成田新法


1.行手法の意義
(1)行政手続の重要性
+(目的等)
第1条
1項 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第46条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
2項 処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

・憲法と行政手続き
+判例(H4.7.1.)成田新法事件
理由
一 被上告人運輸大臣が昭和六〇年二月一日の公告をもってした主文第一項掲記の処分の取消しの訴えについて
職権をもって調査するに、上告人は、本件訴えにおいて、被上告人運輸大臣が昭和六〇年二月一日の公告をもってした主文第一項掲記の処分の取消しを求めているところ、右処分は、別紙記載の建築物の所有者である上告人に対し、昭和六〇年二月六日から昭和六一年二月五日までの間右工作物を新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五九年法律第八七号による改正前のもの。以下「本法」という。)三条一項一号又は二号の用に供することを禁止することを命ずるものであり、右処分の効力は、昭和六一年二月五日の経過により失われるに至ったから、その取消しを求める法律上の利益も消滅したものといわざるを得ない。そうすると、右処分の取消しを求める訴えはこれを却下すべきであり、右訴えに係る請求につき本案の判断をした原判決は失当であることに帰するから、原判決のうち右請求に関する部分を破棄し、右訴えを却下すべきである。

二 被上告人運輸大臣がしたその余の処分の取消しの訴え及び被上告人国に対する訴えについて
1 上告代理人高橋庸尚の上告理由第一点の(一)のうち、本法は制定の経緯、態様に照らして拙速を免れず、法全体として違憲無効であるという点について
本法の法案が衆議院及び参議院でそれぞれ可決されたものとされ、昭和五三年五月一三日、同年法律第四二号として公布されたものであることは公知の事実であるところ、法案の審議にどの程度の時間をかけるかは専ら各議院の判断によるものであり、その時間の長短により公布された法律の効力が左右されるものでないことはいうまでもない。論旨は、独自の見解であって、採用することができない。

2 同第一点の(二)について
現代民主主義社会においては、集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また、相互に意見や情報等を伝達、交流する場として必要であり、さらに、対外的に意見を表明するための有効な手段であるから、憲法二一条一項の保障する集会の自由は、民主主義社会における重要な基本的人権の一つとして特に尊重されなければならないものである。
しかしながら、集会の自由といえどもあらゆる場合に無制限に保障されなければならないものではなく、公共の福祉による必要かつ合理的な制限を受けることがあるのはいうまでもない。そして、このような自由に対する制限が必要かつ合理的なものとして是認されるかどうかは、制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を較量して決めるのが相当である(最高裁昭和五二年(オ)第九二七号同五八年六月二二日大法廷判決・民集三七巻五号七九三頁参照)。
原判決が本法制定の経緯として認定するところは、次のとおりである。新東京国際空港(以下「新空港」という。)の建設に反対する上告人及び上告人を支援するいわゆる過激派等による実力闘争が強力に展開されたため、右建設が予定より大幅に遅れ、ようやく新空港の供用開始日を昭和五三年三月三〇日とする告示がされたが、その直前の同月二六日に、上告人の支援者である過激派集団が新空港内に火炎車を突入させ、新空港内に火炎びんを投げるとともに、管制塔に侵入してレーダーや送受信器等の航空管制機器類を破壊する等の事件が発生したため、右供用開始日を同年五月二〇日に延期せざるを得なくなった。このような事態に対し、政府は、同年三月二八日に過激派集団の暴挙を厳しく批判し、新空港を不法な暴力から完全に防護するための抜本的対策を強力に推進する旨の声明を発表した。また、国会においても、衆議院では同年四月六日に、参議院でも同月一〇日に、全会一致又は全党一致で、過激派集団の破壊活動を許し得ざる暴挙と断じた上、政府に対し、暴力排除に断固たる処置を採るとともに、地元住民の理解と協力を得るよう一段の努力を傾注すべきこと及び新空港の平穏と安全を確保し、我が国内外の信用回復のため万全の諸施策を強力に推進すべきことを求める決議をそれぞれ採択した。本法は、右のような過程を経て議員提案による法律として成立したものである。
本法は、新空港若しくはその機能に関連する施設の設置若しくは管理を阻害し、又は新空港若しくはその周辺における航空機の航行を妨害する暴力主義的破壊活動を防止するため、その活動の用に供される工作物の使用の禁止等の措置を定め、もって新空港及びその機能に関連する施設の設置及び管理の安全の確保を図るとともに、航空の安全に資することを目的としている(一条)。本法において「暴力主義的破壊活動等」とは、新空港若しくは新空港における航空機の離陸若しくは着陸の安全を確保するために必要な航空保安施設若しくは新空港の機能を確保するために必要な施設のうち政令で定めるもの(以下、右の航空保安施設若しくは新空港の機能を確保するために必要な施設のうち政令で定めるものを「航空保安施設等」という。)の設置若しくは管理を阻害し、又は新空港若しくはその周辺における航空機の航行を妨害する刑法九五条等に規定された一定の犯罪行為をすることをいうと定義され(二条一項)、「暴力主義的破壊活動者」とは、暴力主義的破壊活動等を行い又は行うおそれがあると認められる者をいうと定義されている(同条二項)。
ところで、本法三条一項一号は、規制区域内に所在する建築物その他の工作物が多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用に供され又は供されるおそれがあると認めるときは、運輸大臣は、当該工作物の所有者等に対し、期限を付して当該工作物をその用に供することを禁止することを命ずることができるとしているが、同号に基づく工作物使用禁止命令により当該工作物を多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用に供することが禁止される結果、多数の暴力主義的破壊活動者の集会も禁止されることになり、ここに憲法二一条一項との関係が問題となるのである。
そこで検討するに、本法三条一項一号に基づく工作物使用禁止命令により保護される利益は、新空港若しくは航空保安施設等の設置、管理の安全の確保並びに新空港及びその周辺における航空機の航行の安全の確保であり、それに伴い新空港を利用する乗客等の生命、身体の安全の確保も図られるのであって、これらの安全の確保は、国家的、社会経済的、公益的、人道的見地から極めて強く要請されるところのものである。他方、右工作物使用禁止命令により制限される利益は、多数の暴力主義的破壊活動者が当該工作物を集合の用に供する利益にすぎない。しかも、前記本法制定の経緯に照らせば、暴力主義的破壊活動等を防止し、前記新空港の設置、管理等の安全を確保することには高度かつ緊急の必要性があるというべきであるから、以上を総合して較量すれば、規制区域内において暴力主義的破壊活動者による工作物の使用を禁止する措置を採り得るとすることは、公共の福祉による必要かつ合理的なものであるといわなければならない。また、本法二条二項にいう「暴力主義的破壊活動等を行い、又は行うおそれがあると認められる者」とは、本法一条に規定する目的や本法三条一項の規定の仕方、さらには、同項の使用禁止命令を前提として、同条六項の封鎖等の措置や同条八項の除去の措置が規定されていることなどに照らし、「暴力主義的破壊活動を現に行っている者又はこれを行う蓋然性の高い者」の意味に解すべきである。そして、本法三条一項にいう「その工作物が次の各号に掲げる用に供され、又は供されるおそれがあると認めるとき」とは、「その工作物が次の各号に掲げる用に現に供され、又は供される蓋然性が高いと認めるとき」の意味に解すべきである。したがって、同項一号が過度に広範な規制を行うものとはいえず、その規定する要件も不明確なものであるとはいえない。 
以上のとおりであるから、本法三条一項一号は、憲法二一条一項に違反するものではない。右と同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違憲はなく、論旨は採用することができない。

3 同第一点の(三)について
本法三条一項一号に基づく工作物使用禁止命令により多数の暴力主義的破壊活動者が当該工作物に居住することができなくなるとしても、右工作物使用禁止命令は、前記のとおり、新空港の設置、管理等の安全を確保するという国家的、社会経済的、公益的、人道的見地からの極めて強い要請に基づき、高度かつ緊急の必要性の下に発せられるものであるから、右工作物使用禁止命令によってもたらされる居住の制限は、公共の福祉による必要かつ合理的なものであるといわなければならない。
したがって、本法三条一項一号は、憲法二二条一項に違反するものではない。右と同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違憲はなく、論旨は採用することができない。なお、論旨は、本法三条一項三号についても憲法二二条一項違反を主張しているが、右三号は本件工作物使用禁止命令に関係がない。

4 同第一点の(四)について
本法三条一項に基づく工作物使用禁止命令は、当該工作物を、(1) 多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用に供すること、(2) 暴力主義的破壊活動等に使用され、又は使用されるおそれがあると認められる爆発物、火炎びん等の物の製造又は保管の場所の用に供すること、又は(3) 新空港又はその周辺における航空機の航行に対する暴力主義的破壊活動者による妨害の用に供することの三態様の使用を禁止するものである。そして、右三態様の使用のうち、多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用に供することを禁止することが、新空港の設置、管理等の安全を確保するという国家的、社会経済的、公益的、人道的見地からの極めて強い要請に基づくものであり、高度かつ緊急の必要性を有するものであることは前記のとおりであり、この点は他の二態様の使用禁止についても同様であるから、右三態様の使用禁止は財産の使用に対する公共の福祉による必要かつ合理的な制限であるといわなければならない。また、本法三条一項一号の規定する要件が不明確なものであるといえないことは、前記のとおりであり、同項二号の規定する要件も不明確なものであるとはいえない。
したがって、本法三条一項一、二号は、憲法二九条一、二項に違反するものではない。右と同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違憲はなく、論旨は採用することができない。なお、論旨は、同項三号についてもその規定する要件が不明確であると主張するが、同号は本件工作物使用禁止命令に関係がない。

5 同第一点の(五)について
憲法三一条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない
しかしながら、同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても、一般に、行政手続は、刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である。
本法三条一項に基づく工作物使用禁止命令により制限される権利利益の内容、性質は、前記のとおり当該工作物の三態様における使用であり、右命令により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等は、前記のとおり、新空港の設置、管理等の安全という国家的、社会経済的、公益的、人道的見地からその確保が極めて強く要請されているものであって、高度かつ緊急の必要性を有するものであることなどを総合較量すれば、右命令をするに当たり、その相手方に対し事前に告知、弁解、防御の機会を与える旨の規定がなくても、本法三条一項が憲法三一条の法意に反するものということはできない。また、本法三条一項一、二号の規定する要件が不明確なものであるといえないことは、前記のとおりである。
右と同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違憲はなく、論旨は採用することができない。

6 同第一点の(六)について
憲法三五条の規定は、本来、主として刑事手続における強制につき、それが司法権による事前の抑制の下に置かれるべきことを保障した趣旨のものであるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない(最高裁昭和四四年(あ)第七三四号同四七年一一月二二日大法廷判決・刑集二六巻九号五五四頁)。しかしながら、行政手続は、刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、行政手続における強制の一種である立入りにすべて裁判官の令状を要すると解するのは相当ではなく、当該立入りが、公共の福祉の維持という行政目的を達成するため欠くべからざるものであるかどうか、刑事責任追及のための資料収集に直接結び付くものであるかどうか、また、強制の程度、態様が直接的なものであるかどうかなどを総合判断して、裁判官の令状の要否を決めるべきである。 
本法三条三項は、運輸大臣は、同条一項の禁止命令をした場合において必要があると認めるときは、その職員をして当該工作物に立ち入らせ、又は関係者に質問させることができる旨を規定し、その際に裁判官の令状を要する旨を規定していない。しかし、右立入り等は、同条一項に基づく使用禁止命令が既に発せられている工作物についてその命令の履行を確保するために必要な限度においてのみ認められるものであり、その立入りの必要性は高いこと、右立入りには職員の身分証明書の携帯及び提示が要求されていること(同条四項)、右立入り等の権限は犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと規定され(同条五項)、刑事責任追及のための資料収集に直接結び付くものではないこと、強制の程度、態様が直接的物理的なものではないこと(九条二項)を総合判断すれば、本法三条一、三項は、憲法三五条の法意に反するものとはいえない。 
右と同旨の原審の判断は正当であり、原判決に所論の違憲はなく、論旨は採用することができない。

7 同第二点ないし第五点について
所論の点に関する原審の認定判断は正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論違憲の主張は、前記説示と異なる前提に立つか又は独自の見解にすぎない。論旨は、いずれも採用することができない。
8 以上のとおり、被上告人運輸大臣がした前記一の使用禁止命令以外の使用禁止命令の取消しの訴え及び被上告人国に対する訴えに関する上告人の上告は、すべて理由がなく、これを棄却すべきである。

三 結論
よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、九五条、八九条に従い、裁判官園部逸夫、同可部恒雄の意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

+意見
上告理由第一点の(五)についての裁判官園部逸夫の意見は、次のとおりである。
私は、本法三条一項が憲法三一条の法意に反するものではないとする法廷意見の結論には同調するが、その理由を異にするので、以下、私の意見を述べることとする。
私は、行政庁の処分のうち、少なくとも、不利益処分(名宛人を特定して、これに義務を課し、又はその権利利益を制限する処分)については、法律上、原則として、弁明、聴聞等何らかの適正な事前手続の規定を置くことが、必要であると考える。このように行政手続を法律上整備すること、すなわち、行政手続法ないし行政手続条項を定めることの憲法上の根拠については、従来、意見が分かれるところであるが、上告理由は、これを憲法三一条に求めている。確かに、判例及び学説の双方にわたって、憲法三一条の法意の比較法的検討をめぐる議論が、我が国の行政手続法理の発展に寄与してきたことは、高く評価すべきことである。しかしながら、我が国を含め現代における各国の行政法理論及び行政法制度の発展状況を見ると、いわゆる法治主義の原理(手続的法治国の原理)、法の適正な手続又は過程(デュー・プロセス・オヴ・ロー)の理念その他行政手続に関する法の一般原則に照らして、適正な行政手続の整備が行政法の重要な基盤であることは、もはや自明の理とされるに至っている。したがって、我が国でも、憲法上の個々の条文とはかかわりなく、既に多数の行政法令に行政手続に関する規定が置かれており、また、現在、行政手続に関する基本法の制定に向けて努力が重ねられているところである。もとより、個別の行政庁の処分の趣旨・目的に照らし、刑事上の処分に準じた手続によるべきものと解される場合において、適正な手続に関する規定の根拠を、憲法三一条又はその精神に求めることができることはいうまでもない。
ところで、一般に、行政庁の処分は、刑事上の処分と異なり、その目的、種類及び内容が多種多様であるから、不利益処分の場合でも、個別的な法令について、具体的にどのような事前手続が適正であるかを、裁判所が一義的に判断することは困難というべきであり、この点は、立法当局の合理的な立法政策上の判断にゆだねるほかはないといわざるを得ない。行政手続に関する基本法の制定により、適正な事前手続についての的確な一般的準則を明示することは、この意味においても重要なのである。
もっとも、不利益処分を定めた法令に事前手続に関する規定が全く置かれていないか、あるいは事前手続に関する何らかの規定が置かれていても、実質的には全く置かれていないのと同様な状態にある場合は、行政手続に関する基本法が制定されていない今日の状況の下では、さきに述べた行政手続に関する法の一般原則に照らして、右の法令の妥当性を判断しなければならない事態に至ることもあろう。しかし、そのような場合においても、当該法令の立法趣旨から見て、右の法令に事前手続を置いていないこと等が、右の一般原則に著しく反すると認められない場合は、立法政策上の合理的な判断によるものとしてこれを是認すべきものと考える。
これを本法三条一項について見ると、右規定の定める工作物使用禁止命令は、処分の名宛人を確知できる限りにおいて、右名宛人に対し不作為義務を課する典型的な行政上の不利益処分に当たる。したがって、本法に右命令についての事前手続に関する規定が全く置かれていないことに着目すれば、右に述べた意味において、右条項の妥当性が問題とされなければならない。しかし、この点については、右工作物使用禁止命令により制限される権利利益の内容、性質は、当該工作物の三態様における使用であり、右のような態様の使用を禁止することは、新空港の設置・管理等の安全を確保するという国家的、社会経済的、公益的、人道的見地からの極めて強い要請に基づくものであり、高度かつ緊急の必要性を有するものである、という本判決理由の全体にわたる法廷意見の判断があり、私もこれに同調しているところである。本法三条一項の定める工作物使用禁止命令については、右命令自体の性質に着目すると、緊急やむを得ない場合の除外規定を付した上で、事前手続の規定を置くことが望ましい場合ではあるけれども、本法は、法律そのものが、高度かつ緊急の必要性という本件規制における特別の事情を考慮して制定されたものであることにかんがみれば、事前手続の規定を置かないことが直ちに前記の一般原則に著しく反するとまでは認められないのであって、右のような立法政策上の判断は合理的なものとして是認することができると考えるのである。このような見地から、私は、本法三条一項が憲法三一条の法意に反するものではないとする法廷意見に対し、その結論に同調するのである。

+意見
上告理由第一点の(五)についての裁判官可部恒雄の意見は、次のとおりである。
一 憲法三一条にいう「法律に定める手続」とは、単に国会において成立した法律所定の手続を意味するにとどまらず、「適正な法律手続」を指すものであること、同条による適正手続の保障はひとり同条の明規する刑罰にとどまらず「財産権」にも及ぶものであること(昭和三〇年(あ)第二九六一号同三七年一一月二八日大法廷判決・刑集一六巻一一号一五九三頁)、また、民事上の秩序罰としての過料を科する作用は、その実質においては一種の行政処分としての性質を有するものであるが、非訟事件手続法による過料の裁判は、過料を科するについての同法の規定内容に照らして、法律の定める適正な手続によるものということができ、憲法三一条に違反するものでないこと(昭和三七年(ク)第六四号同四一年一二月二七日大法廷決定・民集二〇巻一〇号二二七九頁)、また同条の法意に関連するものとして、憲法三五条一項の規定は、本来、主として刑事責任追及の手続における強制について、それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあるとするのは相当でないこと(昭和四四年(あ)第七三四号同四七年一一月二二日大法廷判決・刑集二六巻九号五五四頁)は、いずれも当裁判所の判例とするところである。
二 憲法三一条による適正手続の保障は、ひとり刑事手続に限らず、行政手続にも及ぶと解されるのであるが、行政手続がそれぞれの行政目的に応じて多種多様である実情に照らせば、同条の保障が行政処分全般につき一律に妥当し、当該処分につき告知・聴聞を含む事前手続を欠くことが直ちに違憲・無効の結論を招来する、と解するのは相当でない。多種多様な行政処分のいかなる範囲につき同条の保障を肯定すべきかは、それ自体解決困難な熟慮を要する課題であって、いわゆる行政手続法の制定が検討されていることも周知のところであるが、論点をより具体的に限定して、私人の所有権に対する重大な制限が行政処分によって課せられた事案を想定すれば、かかる場合に憲法三一条の保障が及ぶと解すべきことは、むしろ当然の事理に属し、かかる処分が一切の事前手続を経ずして課せられることは、原則として憲法の許容せざるところというべく、これが同条違反の評価を免れ得るのは、限られた例外の場合であるとしなければならない。例外の最たるものは、消防法二九条に規定する場合のごときであるが、これを極限状況にあるものとして、本件が例外の場合に当たるか否かを考察すべきであろう。
三 本法の制定をめぐる問題状況については、上告理由第一点の(二)について法廷意見の述べるとおりであるが、本件において注目されるのは、本件工作物の設置の時期、場所、特に当該工作物自体の構造である。すなわち、原判決(その引用する第一審判決を含む)の認定するところによれば、
「本件工作物は鉄骨鉄筋コンクリート地上三階、地下一階建の建物であり、東西11.47メートル、南北11.5メートル、地上部分の高さ約一〇メートルの立法体に類似した形状をしていて、七か所の小さな換気口及び明り取りのほかには窓及び出入口は存在せず、四方がコンクリートづくめの異様な外観であり、また、内部への出入りは地上から梯子をかけて屋上に昇りその開口部分から行う等の特異な構造を有し、その内部構造も、一階から二階へ、地下部分から直接二階へ、三階から屋上への各昇降口には鉄パイプ梯子がかけられており、二階から三階への昇降口には木製の踏み台が置かれているほかは各階相互間に階段等の昇降手段がない特異な構造となっていること、そして地下部分から緊急時の出入り用のトンネルが左右に掘られている」
というのであって、その構造は、右の判示にみられるように異様の一語に尽き、通常の居住用又は農作物等の格納用の建物とは著しく異なり、何びともその使用目的の何たるかを疑問とせざるを得ないであろう。
次に、本件工作物に対する行政処分の具体的内容をみるのに、そこにおいて禁止される財産権行使の態様としては、「多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用に供すること」及び「暴力主義的破壊活動等に使用され、又は使用されるおそれがあると認められる爆発物、火炎びん等の物の製造又は保管の場所の用に供すること」という二態様に尽きるのである。
四 対象となる所有権の内容が、具体的には右にみるようなものであり、また、これを制限する行政処分の内容が右にみるとおりであるとすれば、本件の具体的案件を、行政処分による所有権に対する重大な制限として一般化した上で、本件処分を目して、事前の告知・聴聞を経ない限り、憲法三一条に違反するものとするのは相当でない。
すなわち、本件工作物の構造の異様さから考えられるその使用目的とこれに対する本件処分の内容とを総合勘案すれば、前記にみるような態様の財産権行使の禁止が憲法二九条によって保障される財産権に対する重大な制限に当たるか否か、疑問とせざるを得ないのみならず、これを強いて「重大な制限」に当たると観念するとしても、当該処分につき告知・聴聞を含む事前手続を経ない限り、三一条を含む憲法の法条に反するものとはたやすく断じ難いところである。
五 これを要するに、一般に、行政処分をもってする所有権の重大な制限には憲法三一条の保障が及ぶと解されるのであり、また、かく解することが当裁判所の累次の先例の趣旨に副う所以であると考えられるが、本件工作物につき前記態様の使用の禁止を命じた本件処分につき、事前手続を欠く限り憲法三一条に違反するものとすることはできない。
論旨は理由がなく、原判決は結論において是認すべきものと考える。
(裁判長裁判官草場良八 裁判官藤島昭 裁判官坂上壽夫 裁判官貞家克己 裁判官大堀誠一 裁判官園部逸夫 裁判官橋元四郎平 裁判官中島敏次郎 裁判官佐藤庄市郎 裁判官可部恒雄 裁判官木崎良平 裁判官味村治 裁判官大西勝也 裁判官小野幹雄 裁判官三好達)

+上告理由とかもあった。

++解説
《解  説》
一 本件は、いわゆる成田闘争に絡む行政事件として、初めて最高裁の憲法判断が求められた事件である。
昭和五三年五月一三日、新東京国際空港の安全を確保するため、過激派集団の出撃の拠点となっていたいわゆる団結小屋の使用禁止を命ずることができること等を内容とする成田新法が公布、施行された。運輸大臣(Y)は、昭和五四年以降毎年二月に、Xに対し、成田新法三条一項に基づき、空港の規制区域(同法二条三項参照)内に所在するX所有の通称「横堀要塞」を、一年の期間、三条一項の一号の用(多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用)又は二号の用(暴力主義的破壊活動等に使用され、又は使用されるおそれがあると認められる爆発物、火炎びん等の物の製造又は保管の場所の用)に供することを禁止する旨の処分(以下「本件使用禁止命令」という。)を行った。
本件は、Xが、Yに対し、昭和五四年ないし五八年及び昭和六〇年に出された本件使用禁止命令の取消しを請求する(昭和六〇年に出された分については二審で追加請求)とともに、国に対し、慰謝料等として五〇〇万円等の支払を求めたものである。
1 Xは、本件使用禁止命令を違憲無効であると主張するが、その主たる論拠は、成田新法三条一項一、二号、三項が、憲法二一条一項、二二条一項、二九条一、二項、三一条、三五条に違反し、違憲無効であるというものである。
2 一、二審の判決は、昭和五四年以降の使用禁止命令のうち一年の使用禁止の期間が経過したものについては、その取消しを求める訴えの利益はなくなったとして、その部分の訴えを却下するとともに、その余については、成田新法三条一項一、二号、三項はいずれも憲法二一条等に違反していない等として、Xの請求を排斥した。
二 本判決の法廷意見は、昭和六〇年二月六日から一年間の期間に係る本件使用禁止命令の取消しの訴えにつき、右処分の効力は原審の口頭弁論終結時以後に期間の経過により消滅したので、その取消しを求める法律上の利益もなくなったとして、この部分につき本案の判断をした原判決を破棄し、右訴えを却下したほか、上告人の上告理由に逐一答える形で、次のとおり成田新法三条一項一、二号、三項の合憲性についての判断を示し、同条項は違憲とはいえないとして、その余の上告を棄却している。
1 憲法二一条一項違反の主張について
(一) 本件工作物使用禁止命令は、当該工作物における集会の禁止を含むことになり、憲法二一条一項に違反しないかが問題になる。
本判決は、この点の合憲性の審査基準として、「よど号乗取り事件」新聞記事抹消事件の大法廷判決(最高裁昭和五二年(オ)第九二七号同五八年六月二二日大法廷判決・民集三七巻五号七九三頁、本誌五〇〇号八九頁)を引用し、いわゆる利益較量論を採用し、成田新法三条一項一号に基づく工作物使用禁止命令により保護される利益は、新空港若しくはその航空保安施設等の設置、管理の安全の確保並びに新空港及びその周辺における航空機の航行の安全の確保であり、それに伴い新空港を利用する乗客等の生命、身体の安全の確保も図られるのであって、これらの安全の確保は、国家的、社会経済的、公益的、人道的見地から極めて強く要請されるものであるところ、右工作物使用禁止命令により制限される利益は、多数の暴力主義的破壊活動者が当該工作物を集合の用に供する利益にすぎず、しかも、本法制定の経緯に照らせば、暴力主義的破壊活動等を防止し、右新空港の設置、管理等の安全を確保することには高度かつ緊急の必要性があるから、規制区域内において暴力主義的破壊活動者による工作物の使用を禁止する措置を採り得るとすることは、公共の福祉による必要かつ合理的なものであるというべきであるとした。次いで、同法三条一項一号が過度に広範な規制を行うものとはいえず、その規定する要件も不明確なものであるとはいえないとし、結局、本法三条一項一号は、憲法二一条一項に違反するものではないとした。
(二) 基本的人権の中でも精神的自由とりわけ表現の自由には「優越的地位」が認められ、その制限に対する合憲性の審査基準は、従前の最高裁判例においても、それを明示するかどうかは別にして、いわゆる利益較量論を採り、その際の判断指標として、事案に応じて、「明白かつ現在の危険」の原則、「不明確のゆえに無効」の原則、「必要最小限」の原則、「LRA(Less Restrictive Alternative)」の原則等その他の厳格な基準ないしその精神を併せ考慮したものが多い(例えば、前記「よど号乗取り事件」新聞記事抹消事件大法廷判決、札幌税関検査違憲訴訟判決(最大判昭59・12・12民集三八巻一二号一三〇八頁、本誌五四五号六九頁)、北方ジャーナル事件判決(最大判昭61・6・11民集四〇巻四号八七二頁、本誌六〇五号四二頁)ほか。なお、これらの厳格な基準の内容を要領良く説明するものとして、佐藤幸治・憲法(新版)三三六頁以下及び樋口陽一ほか・注釈日本国憲法上巻四二三頁以下参照)。
本判決は、利益較量論を採用して判断が行われているが、本件は、利益較量が容易な事案であり、表現の自由・集会の自由に対する規制についての合憲性の審査基準としてよく登場する「必要最小限度」の原則、「LRA」の原則等は採用されていない。
2 憲法二二条一項違反の主張について
居住の自由を制限する規定の合憲性について正面から判断した初めての最高裁判決である。本判決は、ここでも利益較量論を採用し、憲法二二条一項に違反するものではないとした。
3 憲法二九条一、二項違反の主張について
成田新法三条一項に基づく工作物使用禁止命令による当該工作物の使用の禁止は、財産権に対する公共の福祉による必要かつ合理的な制限であり、また、同項一、二号の規定する要件が不明確なものであるとはいえないとし、同法三条一項一、二号は、憲法二九条一、二項に違反するものではないとした。
4 憲法三一条違反の主張について
(一) 憲法三一条の定める法定手続の保障としては、人権制約の手続・実体の両者を法律で定めるだけでなく、その両者の内容が適正であることをも要するとするのが一般的見解である。本件で問題になった事前手続の要否に触れた最高裁判例としては、次の三つがある。
関税法による第三者の所有物の没収につき、最大判昭37・11・28刑集一六巻一一号一五九三頁、本誌一三九号一四四頁は、この見地から、関税法一一八条一項による第三者所有物の没収は憲法三一条等に違反するとし、また、最大判昭40・4・28刑集一九巻三号二〇三頁、本誌一七六号一六〇頁は、右と同趣旨の見地から、刑法(昭和二三年法律第一〇七号による改正前のもの)一九七条の四により第三者に対し追徴を命ずることにつき、適正な法律手続によらないもので憲法三一条等に違反すると判示している。さらに、最大決昭41・12・27民集二〇巻一〇号二二七九頁、本誌二〇〇号一九九頁は、同様の見地から、非訟事件手続法による過料の裁判につき、法律の定める適正な手続によるものであり、憲法三一条に違反しないと判示している。
(二) 本件では、憲法三一条が典型的な行政手続にも及ぶかが問題とされたが、学説は、適用説、類推適用説、準用説、不適用説等多岐に分かれている。憲法三一条との関係を判示した前記の三つの最高裁判例は、いずれも刑事手続における附加刑や秩序罰としての過料(その法的性質は行政処分である。)についてのものであるので、本件は、典型的な行政処分についてこれを正面から問題にする初めての最高裁判例ということになろう。
本判決は、まず、憲法三一条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではないとした上で、しかしながら、同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても、一般に、行政手続は、刑事手続とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと判示した。これは、行政手続について憲法三一条の適用があるか否か、どのような行政手続に憲法三一条の適用があるのかについての一般的な見解を明示するのを避け、行政手続に同条が仮に適用ないし準用される場合であってもという仮定の下に、その場合でも常に事前手続が必要とされるものでないことを示したものである。
本判決は、これに続けて、成田新法三条一項に基づく工作物使用禁止命令により制限される権利利益の内容、性質と、右命令により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を利益較量し、その結果、右命令をするに当たり、その相手方に対し事前に告知、弁解、防御の機会を与える旨の規定がなくても、同条項が憲法三一条の法意に反するものということはできず、また、本法三条一項一、二号の規定する要件が不明確なものであるとはいえないと判示した。
(三) この点につき、園部裁判官と可部裁判官の個別意見が付されている。園部裁判官の意見は、行政処分のうち不利益処分については、原則として何らかの適正な事前手続の規定を置く必要があり、その内容は、合理的な立法政策上の判断にゆだねられているが、成田新法は高度かつ緊急の必要性という特別の事情があるので、事前手続の規定を置かないことが直ちに、憲法三一条、法治主義の原理等の原則に反しないというものであり、可部裁判官の意見は、憲法三一条による適正手続の保障は行政手続にも及ぶとした上、行政手続が多種多様である実情に照らせば、当該処分につき告知・聴聞等の事前手続を欠くことが直ちに違憲となるものではなく、本件工作物の構造は異様であり、これに対する使用禁止命令は憲法二九条によって保障される財産権に対する重大な制約に当たるか疑問であるから、事前手続を経ないでも憲法三一条に反するとは断じ難いとしている。
5 憲法三五条違反の主張について
成田新法三条三項所定の職員の当該工作物への立入り又は関係者に対する質問についは、その必要性は高く、その目的、強制の程度、態様等を総合判断すれば、同条一、三項は、憲法三五条の法意に反するものとはいえないとした。

(2)行手法によるスタンダードの設定

2.行手法の適用除外

(適用除外)
行政手続法第3条
1項 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
一  国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二  裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三  国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四  検査官会議で決すべきものとされている処分及び会計検査の際にされる行政指導
五  刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導
六  国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、収税官吏、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び行政指導並びに金融商品取引の犯則事件に関する法令に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分及び行政指導
七  学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導
八  刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
九  公務員(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項 に規定する国家公務員及び地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第一項 に規定する地方公務員をいう。以下同じ。)又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導
十  外国人の出入国、難民の認定又は帰化に関する処分及び行政指導
十一  専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二  相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(その双方を名宛人とするものに限る。)及び行政指導
十三  公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官若しくは海上保安官又はこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員によってされる処分及び行政指導
十四  報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
十五  審査請求、異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分
十六  前号に規定する処分の手続又は第三章に規定する聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導
2  次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない。
一  法律の施行期日について定める政令
二  恩赦に関する命令
三  命令又は規則を定める行為が処分に該当する場合における当該命令又は規則
四  法律の規定に基づき施設、区間、地域その他これらに類するものを指定する命令又は規則
五  公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件について定める命令等
六  審査基準、処分基準又は行政指導指針であって、法令の規定により若しくは慣行として、又は命令等を定める機関の判断により公にされるもの以外のもの
3  第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。

(1)行政分野の特殊性等に基づくもの(3条1項)

1~6号=国会、裁判所、刑事司法トカ
7~9号=以前の特別権力関係、一般国民とはやや異なる
12号=三面関係における裁定
13号=警察官等が現場で行う処分
14号=行政調査
15号=行政上の不服申し立て
16号=手続きの過程において行われる処分

(2)地方公共団体の機関がする処分(根拠が条例または規則におかれているもの)(3条3項)
地方自治の尊重。
ただし、
+(地方公共団体の措置)
第四十六条
地方公共団体は、第三条第三項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

地方公共団体の機関がする処分であっても、根拠が法律におかれているものについては、行手法が適用される!!

地方公共団体の機関がする行政指導については、根拠がどこにおかれているかを問わず、すべて行手法の適用が除外されている!!!
←行政指導は、もともと法律・条令の根拠がなくても行うことが可能なので、根拠がどこにおかれているかを厳密に確定することが困難な場合があるため。

(3)国・地方公共団体の機関(4条1項)、独立行政法人、特殊法人、認可法人(4条2項)、指定法人等(4条3項)

++(国の機関等に対する処分等の適用除外)
行政手続法第4条
1項 国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。
2  次の各号のいずれかに該当する法人に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの(当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又は当該法人の役員若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)については、次章及び第三章の規定は、適用しない。
一  法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人
二  特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、その行う業務が国又は地方公共団体の行政運営と密接な関連を有するものとして政令で定める法人
3  行政庁が法律の規定に基づく試験、検査、検定、登録その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において、その指定を受けた者(その者が法人である場合にあっては、その役員)又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるときは、その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分(当該指定を取り消す処分、その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)については、次章及び第三章の規定は、適用しない。
4  次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない。
一  国又は地方公共団体の機関の設置、所掌事務の範囲その他の組織について定める命令等
二  皇室典範 (昭和二十二年法律第三号)第二十六条 の皇統譜について定める命令等
三  公務員の礼式、服制、研修、教育訓練、表彰及び報償並びに公務員の間における競争試験について定める命令等
四  国又は地方公共団体の予算、決算及び会計について定める命令等(入札の参加者の資格、入札保証金その他の国又は地方公共団体の契約の相手方又は相手方になろうとする者に係る事項を定める命令等を除く。)並びに国又は地方公共団体の財産及び物品の管理について定める命令等(国又は地方公共団体が財産及び物品を貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、信託し、若しくは出資の目的とし、又はこれらに私権を設定することについて定める命令等であって、これらの行為の相手方又は相手方になろうとする者に係る事項を定めるものを除く。)
五  会計検査について定める命令等
六  国の機関相互間の関係について定める命令等並びに地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二編第十一章 に規定する国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係その他の国と地方公共団体との関係及び地方公共団体相互間の関係について定める命令等(第一項の規定によりこの法律の規定を適用しないこととされる処分に係る命令等を含む。)
七  第二項各号に規定する法人の役員及び職員、業務の範囲、財務及び会計その他の組織、運営及び管理について定める命令等(これらの法人に対する処分であって、これらの法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又はこれらの法人の役員若しくはこれらの法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分に係る命令等を除く。)

・これらの法人等は、行政法の基本的な枠組みである「国家と市民社会の二元論」のうちの「国家」の側に属すると考えられており、国家と国民との関係を規律する行手法は適用されない。

・地方公共団体が「固有の資格」において処分の名宛人となる者に限り、行手法の適用が除外される。
「固有の資格」=一般私人が立ちえないような立場

(4)聴聞・弁明機会付与の適用除外(13条2項)

+(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条
1項 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一  次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二  前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
2  次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
一  公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき
二  法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三  施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四  納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五  当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。

・1号=緊急性
2号3号=要件充足が客観的に明らか
4号=金銭にかかわる問題なので事後的な回復が可能なこと
5号=不利益が著しく軽微であること
を理由とする。

3.申請に対する処分と不利益処分

+   第二章 申請に対する処分

(審査基準)
第五条  行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2  行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3  行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。

(標準処理期間)
第六条
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない

・定められた期間を過ぎたからと言って直ちに違法になるわけではない!
しかし、不作為の違法確認訴訟における「相当の期間」(行訴法3条5項)を判断する際の考慮要素になる!!!

(申請に対する審査、応答)
第七条  行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

(理由の提示)
第八条  行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2  前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

(情報の提供)
第九条  行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。
2  行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。

(公聴会の開催等)
第十条  行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。

(複数の行政庁が関与する処分)
第十一条  行政庁は、申請の処理をするに当たり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させるようなことをしてはならない。
2  一の申請又は同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対する処分について複数の行政庁が関与する場合においては、当該複数の行政庁は、必要に応じ、相互に連絡をとり、当該申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査の促進に努めるものとする。

・申請拒否処分は申請に対する処分であり、不利益処分ではない!
+(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。
二  処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。
三  申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
四  不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く
イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの
五  行政機関 次に掲げる機関をいう。
イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 若しくは第二項 に規定する機関、国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関、会計検査院若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員
ロ 地方公共団体の機関(議会を除く。)
六  行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。
七  届出 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。
八  命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。
イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則
ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
ニ 行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。)

(2)申請に対する処分の手続と不利益処分手続きの共通点相違点

+ 第三章 不利益処分

第一節 通則

(処分の基準)
第十二条  行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
2  行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条  行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一  次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二  前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
2  次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
一  公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
二  法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三  施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四  納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五  当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。
(不利益処分の理由の提示)
第十四条  行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2  行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3  不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。
第二節 聴聞

(聴聞の通知の方式)
第十五条  行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一  予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二  不利益処分の原因となる事実
三  聴聞の期日及び場所
四  聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
2  前項の書面においては、次に掲げる事項を教示しなければならない。
一  聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。
二  聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。
3  行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。
(代理人)
第十六条  前条第一項の通知を受けた者(同条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は、代理人を選任することができる。
2  代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。
3  代理人の資格は、書面で証明しなければならない。
4  代理人がその資格を失ったときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。
(参加人)
第十七条  第十九条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第二項第六号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。
2  前項の規定により当該聴聞に関する手続に参加する者(以下「参加人」という。)は、代理人を選任することができる。
3  前条第二項から第四項までの規定は、前項の代理人について準用する。この場合において、同条第二項及び第四項中「当事者」とあるのは、「参加人」と読み替えるものとする。
(文書等の閲覧)
第十八条  当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下この条及び第二十四条第三項において「当事者等」という。)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
2  前項の規定は、当事者等が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることを妨げない。
3  行政庁は、前二項の閲覧について日時及び場所を指定することができる。
(聴聞の主宰)
第十九条  聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。
2  次の各号のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができない。
一  当該聴聞の当事者又は参加人
二  前号に規定する者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
三  第一号に規定する者の代理人又は次条第三項に規定する補佐人
四  前三号に規定する者であったことのある者
五  第一号に規定する者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
六  参加人以外の関係人
(聴聞の期日における審理の方式)
第二十条  主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。
2  当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
3  前項の場合において、当事者又は参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4  主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、当事者若しくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促し、又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。
5  主宰者は、当事者又は参加人の一部が出頭しないときであっても、聴聞の期日における審理を行うことができる。
6  聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。
(陳述書等の提出)
第二十一条  当事者又は参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。
2  主宰者は、聴聞の期日に出頭した者に対し、その求めに応じて、前項の陳述書及び証拠書類等を示すことができる。
(続行期日の指定)
第二十二条  主宰者は、聴聞の期日における審理の結果、なお聴聞を続行する必要があると認めるときは、さらに新たな期日を定めることができる。
2  前項の場合においては、当事者及び参加人に対し、あらかじめ、次回の聴聞の期日及び場所を書面により通知しなければならない。ただし、聴聞の期日に出頭した当事者及び参加人に対しては、当該聴聞の期日においてこれを告知すれば足りる。
3  第十五条第三項の規定は、前項本文の場合において、当事者又は参加人の所在が判明しないときにおける通知の方法について準用する。この場合において、同条第三項中「不利益処分の名あて人となるべき者」とあるのは「当事者又は参加人」と、「掲示を始めた日から二週間を経過したとき」とあるのは「掲示を始めた日から二週間を経過したとき(同一の当事者又は参加人に対する二回目以降の通知にあっては、掲示を始めた日の翌日)」と読み替えるものとする。
(当事者の不出頭等の場合における聴聞の終結)
第二十三条  主宰者は、当事者の全部若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、第二十一条第一項に規定する陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができる。
2  主宰者は、前項に規定する場合のほか、当事者の全部又は一部が聴聞の期日に出頭せず、かつ、第二十一条第一項に規定する陳述書又は証拠書類等を提出しない場合において、これらの者の聴聞の期日への出頭が相当期間引き続き見込めないときは、これらの者に対し、期限を定めて陳述書及び証拠書類等の提出を求め、当該期限が到来したときに聴聞を終結することとすることができる。
(聴聞調書及び報告書)
第二十四条  主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
2  前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに、当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
3  主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。
4  当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。
(聴聞の再開)
第二十五条  行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、前条第三項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる。第二十二条第二項本文及び第三項の規定は、この場合について準用する。
(聴聞を経てされる不利益処分の決定)
第二十六条  行政庁は、不利益処分の決定をするときは、第二十四条第一項の調書の内容及び同条第三項の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。
(不服申立ての制限)
第二十七条  行政庁又は主宰者がこの節の規定に基づいてした処分については、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
2  聴聞を経てされた不利益処分については、当事者及び参加人は、行政不服審査法 による異議申立てをすることができない。ただし、第十五条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる結果当事者の地位を取得した者であって同項に規定する同条第一項第三号(第二十二条第三項において準用する場合を含む。)に掲げる聴聞の期日のいずれにも出頭しなかった者については、この限りでない。
(役員等の解任等を命ずる不利益処分をしようとする場合の聴聞等の特例)
第二十八条  第十三条第一項第一号ハに該当する不利益処分に係る聴聞において第十五条第一項の通知があった場合におけるこの節の規定の適用については、名あて人である法人の役員、名あて人の業務に従事する者又は名あて人の会員である者(当該処分において解任し又は除名すべきこととされている者に限る。)は、同項の通知を受けた者とみなす。
2  前項の不利益処分のうち名あて人である法人の役員又は名あて人の業務に従事する者(以下この項において「役員等」という。)の解任を命ずるものに係る聴聞が行われた場合においては、当該処分にその名あて人が従わないことを理由として法令の規定によりされる当該役員等を解任する不利益処分については、第十三条第一項の規定にかかわらず、行政庁は、当該役員等について聴聞を行うことを要しない。
第三節 弁明の機会の付与

(弁明の機会の付与の方式)
第二十九条  弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。
2  弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。
(弁明の機会の付与の通知の方式)
第三十条  行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一  予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二  不利益処分の原因となる事実
三  弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)
(聴聞に関する手続の準用)
第三十一条  第十五条第三項及び第十六条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。この場合において、第十五条第三項中「第一項」とあるのは「第三十条」と、「同項第三号及び第四号」とあるのは「同条第三号」と、第十六条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十条」と、「同条第三項後段」とあるのは「第三十一条において準用する第十五条第三項後段」と読み替えるものとする。

・処分基準の設定・公表が努力義務なのは
不利益処分については個別の判断が必要で画一的な基準を定めることが合理的でない場合があること
処分基準を公表することにより、基準ぎりぎりまでは違反しても処分されないと受け取られて、違反を助長するおそれがありうる

・申請に対する処分については、申請者の意見陳述の手続は保障されていない!

・昔の判例、個別法に意見聴取の規定があった場合
(S46.10.28)個人タクシー事件
理由
上告人指定代理人鰍沢健三(名義)、同上野国天、同藤井康夫、同田中志満夫、同高橋勝義、同足立高八郎の上告理由について。
所論は、要するに、原判決は、道路運送法に基づく自動車運送事業および聴聞の各性質について、同法の解釈、適用を誤り、また、本件において実施された聴聞手続を不公正とした判断および右不公正が本件処分の違法事由となるとした判断において、それぞれ理由そごの違法を犯している、というのである。
原審の適法に確定した事実は、おおむね、つぎのとおりである。
(1) 上告人は道路運送法三条二項三号に定める一般乗用旅客自動車運送事業(一人一車制の個人タクシー事業)の免許に関する権限を有するところ、昭和三四年八月一一日、当面の輸送需要をみたすため一般乗用自動車の増車を決定、そのうち、個人タクシーのための増車数を九八三輛と定め、これに対応するものとして、同年九月一〇日までに六六三〇件の個人タクシー事業の免許申請を受理し、被上告人は同年八月六日免許を申請して受理された。
(2) 上告人は、聴聞による調査結果に基づき免許の許否を決するため、担当課長はじめ約一〇名の係長の協議により、道路運送法六条一項各号の趣旨を具体化した審査基準として、第一審判決別表のとおり、一七の項目および内容につき、審査基準欄記載のような基準事項(第一次と第二次の審査基準があり、前者をみたした者について後者を適用する)を設定し、一方、右基準事項に基づいて聴聞概要書調査書と題する書面(以下聴聞書という。)を作成し、その項目および聴聞内容の各欄には、右第一審判決別表の調査事項の項目および内容の各欄に掲げた事項とほぼ同一のもの(ただし、右別表6の内容欄に記載してある他業関係は掲げられていない)を記載して、聴聞担当官約二〇名が各申請人について右聴聞書の各項目ごとに聴聞を行つてその結果を記入することとし、昭和三四年九月中旬から同三五年三月までの間聴聞を実施し、被上告人に対しては、昭和三五年二月一一日に聴聞を行つた
(3) 上告人は、右聴聞手続と並行して、差し迫つた年末の輸送事情緩和のため、昭和三四年一二月二日、前記基準中、優マーク、経験年数一〇年以上、年令四〇才以上の基準に該当する者のうち、免許することに全く問題がないと思われるもの一七三名を第一次分として免許し、ついで、前記聴聞の結果につき基準を適用して審査した末、昭和三五年七月二日第二次分として六一一名を免許したが、被上告人については、前記第一審判決別表の第一次審査基準のうち、6の「本人が他業を自営している場合には転業が困難なものでないこと」および7の「運転歴七年以上のもの」に該当しないとして、そのことから道路運送法六条一項三号ないし五号の要件をみたさないものと認め、右七月二日付で申請を却下した。
(4) 聴聞担当官のうち前記基準の協議に関与した七、八名の係長以外のものは、被上告人の担当官をも含め、前記第一審判決別表の基準事項の存在すら知らず、聴聞開始前に上司から聴聞書の項目および聴聞内容について説明をうけただけで、右基準事項については何らこれを知らされることなく、被上告人の聴聞担当官にあつても、被上告人の申請の却下事由となつた他業関係(転業の難易)および運転歴(軍隊における運転経験をも含む)に関しても格別の指示はなされず、したがつて、右担当官は、被上告人が洋品店を廃業してタクシー事業に専念する意思があるかどうか、軍隊における運転経験があるかどうか等の点について思いいたらず、これらの点を判断するについて必要な事実については何ら聴聞が行われなかつた、というのである。
おもうに、道路運送法においては、個人タクシー事業の免許申請の許否を決する手続について、同法一二二条の二の聴聞の規定のほか、とくに、審査、判定の手続、方法等に関する明文規定は存しないしかし、同法による個人タクシー事業の免許の許否は個人の職業選択の自由にかかわりを有するものであり、このことと同法六条および前記一二二条の二の規定等とを併せ考えれば、本件におけるように、多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする行政庁としては、事実の認定につき行政庁の独断を疑うことが客観的にもつともと認められるような不公正な手続をとつてはならないものと解せられる。すなわち、右六条は抽象的な免許基準を定めているにすぎないのであるから、内部的にせよ、さらに、その趣旨を具体化した審査基準を設定し、これを公正かつ合理的に適用すべく、とくに、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するようなものである等の場合には、右基準を適用するうえで必要とされる事項について、申請人に対し、その主張と証拠の提出の機会を与えなければならないというべきである。免許の申請人はこのような公正な手続によつて免許の許否につき判定を受くべき法的利益を有するものと解すべく、これに反する審査手続によつて免許の申請の却下処分がされたときは、右利益を侵害するものとして、右処分の違法事由となるものというべきである。
原審の確定した事実に徴すれば、被上告人の免許申請の却下事由となつた他業関係および運転歴に関する具体的審査基準は、免許の許否を決するにつき重要であるか、または微妙な認定を要するものであるのみならず、申請人である被上告人自身について存する事情、その財産等に直接関係のあるものであるから、とくに申請の却下処分をする場合には、右基準の適用上必要とされる事項については、聴聞その他適切な方法によつて、申請人に対しその主張と証拠の提出の機会を与えなければならないものと認むべきところ、被上告人に対する聴聞担当官は、被上告人の転業の意思その他転業を困難ならしめるような事情および運転歴中に含まるべき軍隊における運転経歴に関しては被上告人に聴聞しなかつたというのであり、これらの点に関する事実を聴聞し、被上告人にこれに対する主張と証拠の提出の機会を与えその結果をしんしやくしたとすれば、上告人がさきにした判断と異なる判断に到達する可能性がなかつたとはいえないであろうから、右のような審査手続は、前記説示に照らせば、かしあるものというべく、したがつて、この手続によつてされた本件却下処分は違法たるを免れない
以上説示するところによれば、本件処分を取り消すべきものとした原判決の判断は正当として首肯することができ、所論は、ひつきよう、以上の判示と異つた見解に立脚して原判決を攻撃するものというべきである。所論はすべて理由がなく、採用することができない。
よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岩田誠 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸盛一)

(3)申請に対する処分に関するその他の規定


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