憲法択一 統治 憲法保障 総説


・憲法の主たる名宛人は国家権力である。

・憲法保障制度の事後的手段として、違憲審査制度(81条)がある。

・憲法保障制度の事前的な手段として、憲法の最高法規性の宣言(98条1項)、公務員の憲法尊重擁護義務(99条)、権力分立制(41条、65条、76条1項)、硬性憲法(96条)などがある。

・近代立憲主義の進展とともに、憲法保障制度は整備され、抵抗権は成文から姿を消した。←抵抗権の本質が非合法的なところにあり、組織化・制度化になじまない性格を持っているためであり、抵抗権の思想が不要になったわけではない。

・革命権は、既存の法秩序を倒し新たな法秩序を創設する行為である。(⇔抵抗権とはちがう)

・抵抗権:侵害された既存の法秩序を回復する行為

・中世ヨーロッパにおいて、法の支配を最終的に担保するものとして主張され、フランス人権宣言などで自然権として保障されたのは抵抗権である(×革命権)

・国家緊急権に関する規定は、明治憲法にはおかれていたが、当該権利が濫用されたことや、戦争の放棄の規定(9条)が置かれたことを考慮して、日本国憲法では除外されている。

・緊急の事態を法律で定めることが一切許されないわけではなく、憲法解釈として許される範囲内で、いくつかの法律が緊急事態への対応を定めている。

・国家緊急権は、国家存亡の際に憲法の保持を図るもので、憲法保障のひとつの形態であるといえる。

・他方、立憲的な憲法秩序を一時的にせよ停止し、執行権への権力の集中とその強化を図って危機を乗り切ろうとするものであるから、立憲主義を破壊する危険性をはらんでいる。→自然権思想を推進力として発展してきた人権や、その根底にあってこれを支えてきた抵抗権とは性質が異なる。

・条約:外国との間における国際法上の権利・義務関係の創設・変更にかかわる文書による法的合意をいう。

・日本国が外国との間で純然たる私人としての立場で結んだ合意は「条約」にあたらない。

・憲法99条にいう「義務」については、道徳的要請を規定したものと解されているが、憲法の侵犯・破壊を行わないという消極的不作為義務違反は法律による制裁の対象となることがあり得る。→憲法の非合法的変革を企てたり主張したりすることは消極的不作為義務違反に当たり、憲法村長擁護義務に違反すると解される。

・99条は、憲法尊重擁護義務の主体として国民を挙げていない。

・73条1号の「誠実に執行」に関連して、内閣は法律が憲法に違反していると判断した場合、法律の執行を拒否できるか?→法律が違憲かどうかの判断は国会が優先し、内閣はその判断に拘束されるため、拒否できない。

・国務大臣にも憲法尊重擁護義務がある。