1.事実
監査役Xは、A株式会社との間で会社法427条所定の責任限定契約を締結している。
A社の破産手続き開始決定がなされる。破産管財人YがXらを相手方として、役員責任査定を申し立てた。大阪地方裁判所は、XがYに対して負担すべき損害賠償債務の額を648万円とする損害賠償査定決定をした。
Xは、損害賠償査定決定の取消しを求めて訴えを提起。一方、YもXの善管注意義務違反に基づく損害賠償請求権の額を8000万円とするよう求めて訴えを提起。
2.判旨
(1)監査役の義務違反について・・・
監査役の職務として、本件監査役監査規定に基づき、内部統制システムを構築するよう助言勧告すべき義務があった。上記助言勧告をしなかった義務違反。
取締役会に対して、Bを代表取締役から解職すべきである旨を助言勧告すべきであった。!!
(2)因果関係
義務を履行していれば・・・本件金員交付を防止することも可能だった。
解職勧告の義務を履行していれば、Bは解職されてたorBは金員交付を思いとどまっただろう。
(3)重過失
監査役としての任務懈怠に当たるべきことを知るべきであったのに、著しく注意を欠いていたためにそれを知らなかった場合に重過失あり。
→
Bの任務懈怠について疑義の表明、事実関係の報告を求めることはしていた。
内部統制システムの整備が全くされていなかったわけでもない。
重過失なし。