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既判力の主体的範囲
1.相対的解決の原則
既判力
=その拘束を受ける者にとっては、既判力の生じた確定判決の内容をもはや訴訟上で争うことはできない
←前訴の判断内容を争う機会を十分に保障されていた
→前訴の当事者は、既判力による拘束を受けるが、それ以外の者はそうした地位を保障されなかった以上、既判力による拘束を受けないのが原則!
+(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。
・判決の相対効・相対的解決の原則
確定判決の既判力は、前訴の両当事者の間でのみ拘束力を有するのが原則である
もっとも、第三者に既判力が及ぶ場合も。
115条2~4号、反射効
+法人格否認の法理による既判力の拡張
法人格否認の法理が適用される場合であっても、手続の明確、安定を重んずる訴訟手続においては、その手続の性格上判決の既判力の拡張を認めることはできない・・・(批判はあるが)
2.被担当者に対する拡張
+(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。
←当事者が紛争の蒸し返しを防止するために既判力拡張の必要がある
担当者は、被担当者に代わって訴訟追行をする権能を認められているのだから、担当者に手続保障を与えておけば、被担当者との関係でも既判力による拘束を正当化できる
→後訴において前訴当事者が当事者適格を有していたことが認められない場合は既判力は拡張されない
=債権者代表訴訟の場合で債権者の債務者に対する債権が認められないとされた場合等。
(としても、債権者代位訴訟において告知を要求する立場において債権者の当事者適格を争わなかった債務者は信義則上争いえない可能性もある)
3.承継人に対する拡張
+(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。
一般承継人には既判力は当然及ぶ
特定承継人には問題がある
(1)既判力拡張の根拠
・権利の保護ないし紛争解決という確定判決の機能をはたすためには既判力の拡張が必要
・承継人は、自らは前訴において当事者として手続保障を与えられた者ではないが、実体法上、元来前主のした処分の結果を承継すべき地位にあるから、不利益を甘受しても已むをえない
・承継が口頭弁論終結後にされている以上、相手方当事者としては、承継人に対する手続保障を講じるための手段は前訴当時存在しなかったので、承継人に対する手続保障を求めるのは相当でない
要するに
前訴の勝訴当事者の地位の安定という要請
VS
承継人に対する手続保障
(2)承継の対象
・訴訟物である権利義務関係そのものを承継した者がこの承継人に当たる点は争いがない。
⇔しかし、結果を潜脱される可能性
(所有権確認請求訴訟の口頭弁論終結後に係争物を譲り受けた者、
建物収去土地明渡請求訴訟の口頭弁論終結後に家屋を譲り受けたり賃借した者)
そこで、拡張を試みる説
①当事者適格を承継する説
②紛争の主体たる地位の承継とする
③訴訟物に関連する実体法上の地位の承継
その訴訟物について原告または被告となることを適切なものとするような実体法上の地位
(3)承継の時期
事実審の口頭弁論終結後の承継人に限られる。
口頭弁論終結前の承継人については、訴訟承継の手段によって、承継以後はその者を訴訟当事者として手続保障を講じる必要がある(訴訟承継主義)
(4)承継人の範囲
承継に際して、前訴判決について善意悪意を問わない
(5)承継人に対する既判力拡張の内容
・既判力は、原則として訴訟物たる権利義務関係の存否についての判断についてのみ生じる
→前訴と後訴の訴訟物が同一であるか、先決関係か矛盾関係にある場合に限って作用する
・訴訟物たる権利義務関係が承継される場合
前訴の訴訟物は、承継人を当事者とする後訴の訴訟物の先決問題となるから、前訴の既判力の拡張が有効に機能する。
・承継の対象を拡張する場合
いろいろ問題が生じる
4.所有者に対する拡張
+(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。
当事者等のために所持するとは、
目的物の所持について自己固有の利益が認められないことを意味する
所持を開始した時期を問わない
所持者による請求意義の主張を封じる。
所持者が目的物について固有の利益を有していない以上、当事者等とは別に独立の手続保障を与える必要はない
5.対世効
(1)意義
115条の規定に加えて第三者に判決効が及ぶ明文の規定がある場合がある
対世効が認められるのは、多数の関係人の間で法律関係を画一的に確定する必要があり
かつ、既判力の拡張を受けるべき第三者の範囲を一律に画定することが難しい場合
人事訴訟法24条1項
会社法383条
(2)対世効を受ける第三者の利益保護
6.反射効
(1)意義
判決が、当事者に実体法上依存または従属する地位にある第三者との関係で、反射的に有利または不利な効果を及ぼすもの
(主債務者と保証人)
反射効は実体法上関連する紛争について、解決がまちまちに分かれる事態を防ぎ、関係人間において実体法上整合性のある処理を図る
(2)見解
①反射効肯定説
②既判力拡張説
③否定説
訴訟物ごとに十全な手続保障が必要
第三者の有利にのみ既判力を拡張することは、敗訴当事者の敗訴の負担を一方的に増大させ公平に反する
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