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第1 はじめに
第2 訴訟物
(1)終了原因との関係
終了原因のいかんにかかわらず、訴訟物はつねに1個であり、個々の終了原因は攻撃防御方法に過ぎない
訴訟物
賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての不動産明渡請求権
(2)収去義務との関係
訴訟物
賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権 1個
←附属物の収去義務は包摂される
2.附帯請求の訴訟物
賃貸借契約終了後明渡までの間の賃料相当額の金員支払い請求
→目的物返還債務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権
第3 典型的攻撃防御の構造
賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟
①XがYとの間で、土地賃貸借契約を締結したこと
②XがYに対し、①の契約に基づいて土地を引き渡したこと
③①の契約の終了原因事実
④②の引渡し後、③の契約終了までの間に、土地上に建物が付属させられ、③の契約終了時にその建物が土地に付属していたこと
2.終了原因として期間満了が主張された場合の攻撃防御の構造
(1)期間満了
+(賃貸借の存続期間)
第六百四条 賃貸借の存続期間は、二十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、二十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から二十年を超えることができない。
・存在期間の伸長
借地借家法
+(借地権の存続期間)
第三条 借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
・Xが請求原因として門峰上の存続期間の満了を主張し、これに対してYが建物所有目的の抗弁を主張したのに対して、Xがこれを否認しつつ、別個の終了原因として
借著借家法等による存続期間の経過
を主張
←これは民法上の存続期間満了の請求原因と選択的な請求原因!
(2)建物所有目的の抗弁とこれに関連する攻撃防御方法
ア 建物所有目的
イ 一時使用
借地借家法
+(一時使用目的の借地権)
第二十五条 第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。
建物所有目的の抗弁に対し
再抗弁として
①XがYとの間で、賃貸借契約を短期間に限って存続させるとの合意をしたこと
②賃貸借契約が借地借家法等にいう一時使用のためのものであるとの評価を根拠づける事実
ウ 一時使用の評価障害事実
一時使用の再抗弁に対して、再々抗弁として
賃貸借契約が借地借家法等にいう一時使用のためのものであるとの評価を傷害する事実
(3)黙示の更新の抗弁
ア 黙示の更新
+(賃貸借の更新の推定等)
第六百十九条 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。
2 従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。
これは法律上の推定!
黙示の更新の抗弁
①Yが期間満了以後土地の使用を継続したこと
②Xが①の事実を知ったこと
③②から起算して相当期間が経過したこと
④Xが③の期間内に異議を述べなかったこと
黙示の更新の抗弁に対し
再抗弁として
更新の合意が成立しなかったこと
(4)土地使用継続による法定更新の抗弁とこれに関する攻撃防御方法
ア 土地使用継続による法定更新
借地借家法
+(借地契約の更新請求等)
第五条 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3 転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
法定更新の抗弁
存続期間満了後の土地使用の継続及び建物の存在
イ 遅滞なき異議
借地借家法
+(借地契約の更新拒絶の要件)
第六条 前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
借地借家法の規定に基づく土地使用継続による法定更新の抗弁に対し、
再抗弁として
①XがYの土地使用の継続に対し、遅滞なく異議を述べたこと
②更新を拒絶するにつき正当の事由があることの評価根拠事実
3.終了原因として解約の申入れが主張された場合の攻撃防御の構造
(1)解約の申入れ
+(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第六百十七条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 一日
2 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。
①XがYに対し、賃貸借契約の解約申入れの意思表示をしたこと
②①の後、1年が経過したこと
(2)建物所有目的
4.終了原因として解除が主張された場合の攻撃防御の構造
(1)賃料不払による解除とこれに関連する攻撃防御方法
ア 賃料不払による解除
+(賃料の支払時期)
第六百十四条 賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。
賃借人の一定期間分の賃料支払債務の履行遅滞を理由として賃貸借契約の解除
賃貸借契約の終了原因
①その一定期間が経過したこと
②614条所定の支払時期が経過
③XがYに対し、その一定期間分の賃料の支払を催告したこと
④催告後相当期間の経過
⑤XがYに対し、④の経過後賃貸借契約を解除するとの意思表示をした
・614条の定めは任意規定
イ 弁済の提供
(2)増改築禁止特約違反による解除とこれに関連する攻撃防御方法
ア増改築禁止特約違反による解除
①XがYとの間でYが建物の増改築をしないこと及びその特約に違反したときはXが賃貸借契約を催告なしに解除できることを合意したこと
②Yが建物の増改築をした
③XがYに対し、賃貸借契約を解除することの意思表示をした
抗弁として
増改築行為によっても賃貸人に対する信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りない事情に該当する具体的事実
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