・国家試験における合格、不合格の判定は、学問又は技術上の知識能力、意見等の優劣、当否の判断を内容とする行為であるから、その試験実施機関の最終判断にゆだねられるべきであって、その判断の当否を審査し具体的に法令を適用して、その争を解決調整できる者とはいえず、「法律上の争訟」に当たらないとして、裁判所の審査の対象にならない。(×濫用に当たらない限り)
・裁判所の支部を廃止する最高裁判所規則が違憲であるとして、その支部の管轄区域内の居住者が取り消しを求める訴えは法律上の争訟に当たらない。
・教義、信仰の内容に立ち入ることなくしてその効力の有無を判断することができず、しかも、その判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠のものである場合は、この訴訟は、その実質において法令の適用による終局的解決に適さない。
・国または地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たらない。(宝塚パチンコ事件)
・議員資格争訟は、ある議員が44条の議員としての資格を有しているかの問題であり、懲罰としてその議員の資格を失わせるものではない。!!
・両院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自律性を尊重すべく、警察法制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきではない。
・統治行為論を採用した判例はその論拠として、司法権に対する制約は、結局、三権分立の原理に由来し、当該国家行為の高度の政治性、裁判所の司法機関としての性格、裁判に必然的に随伴する手続上の制約等にかんがみ、特定の明文により規定はないが、司法権の憲法上の本質に内在する制約と理解すべきものであるとして、内在的制約をあげている。(司法審査による混乱を回避するために自制すべきであることを論拠としているわけではない)
・衆議院の解散に対する有効無効の判断は、たとえ法律上可能であっても裁判所の審査権の外にあり、主権者たる国民に対して政治的責任を負う政府、国会等の政治部門に任され、最終的には国民の政治判断にゆだねられている。(苫米地事件)
・自衛隊機の離着陸の差止訴訟は不適法。(統治行為論をを理由とはしていない!)(厚木基地公害訴訟)
・日米安全保障条約は、高度の政治性を有するもので、司法裁判所の審査には原則としてなじまない性質のものであり、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである。(司法審査する余地は認めている!!!)(砂川事件)
・単位授与行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断にゆだねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象とならない。(富山大学単位不認定事件)
・政党には高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならないから、政党が党員に対して行った処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、当該処分の当否は、政党が定めた規範又は条理に基づいて、適正な手続に則ってなされたかを判断すべきであり、裁判所の審理もその点に限られる。(共産党袴田事件)
・日米安全保障上条約及び日米地位協定が違憲無効であることが一見極めて明白でない以上、裁判所は、これらの条約に基づき義務を履行するために制定されたいわゆる駐留軍用地特別措置法の憲法適合性を審査すべきである。
・当選訴訟において「裁判所がその他の事由を原因として当選を無効とすることは、実定法上の根拠がないのに裁判所が独自の当選無効事由を設定することにほかならず、法の予定するところではない」。したがって、「名簿届出政党等による名簿登録者の除名が不存在又は無効であることは、除名届が適法にされている限り、当選訴訟における当選無効の原因とはならない」。
・実質的証拠法則:ある行政機関が認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘束するというようなルール
・認定事実を立証する実質的な証拠があり、実質的な証拠の有無は裁判所が判断するならば、実質的証拠法則は違憲ではない。
・明治憲法は、明文で、裁判の対審及び判決の公開原則を定めていた。
・裁判公開の趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては、裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。
・82条1項にいう対審とは、民事訴訟では口頭弁論、刑事訴訟では公判であり、裁判官の前での訴訟当事者の口頭による弁論をさす。(準備手続きなどは対象に含まれない)
・「裁判所が裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合、対審は(×判決)公開しないでこれを行うことができる」(82条2項)。
・裁判官全員一致の賛成があったとしても、政治犯罪、出版に関する犯罪又は憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件については、対審を公開しないことは許されない。
・性質上純然たる訴訟事件につき、当事者の意思いかんに拘わらず終局的に事実を確定し当事者の主張する権利義務の存否を確定するような裁判が公開の法廷における対審及び判決によってなされていないとするならば憲法82条に違反するとともの、同32条が裁判請求権を認めた趣旨も没却するものといわねばならない。
・審判手続きにおける前提事実の判断には既判力は生じず、別に民事訴訟を提起することができるから、遺産分割に関する処分の審判を公開の法廷において行わなくとも82条1項に反しない。
・82条1項は、各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものではないことはもとより、傍聴人に対して法廷においてメモを取ることを権利として保証しているものではない。(レペタ事件)
・刑事事件の公判廷における写真撮影は、審判の秩序を乱し、被告人その他訴訟関係者の正当な権利を害する結果を生ずる恐れがあるため、最高裁判所規則により、裁判長の許可を得なければすることができないと規定することは、憲法21条に違反しない。(北海タイムス事件)