刑法 刑法各論 取引等の安全に対する罪 ~通貨偽造


第1節 総説
証明・決算手段に対する公衆の信用を保護しようとする。

第2節 通貨偽造罪

+   第十六章 通貨偽造の罪

(通貨偽造及び行使等)
第百四十八条  行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2  偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

(外国通貨偽造及び行使等)
第百四十九条  行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2  偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

(偽造通貨等収得)
第百五十条  行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。

未遂罪
第百五十一条  前三条の罪の未遂は、罰する。

(収得後知情行使等)
第百五十二条  貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。

(通貨偽造等準備)
第百五十三条  貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

1.総説
保護法益=通貨の真正に対する公衆の信用、国の通貨発行権

2.通貨偽造罪・同行使等罪
(1)総説
偽造通貨行使罪=侵害犯
通貨偽造罪=危険犯

(2)通貨偽造罪

・実行行為=行使目的による偽造変造
←行使目的の存在により偽造通貨が流通におかれる優位な危険が発生するから

・行使=真正な通貨として流通におくこ

・他人に行使させる目的でもよい

・偽造=権限のない者が通貨に似た外観のものを作成することをいい
作成された物が一般人をして真正の通貨と誤認させる程度に至っていることが必要!
程度が至らなければ未遂になる。

・変造=権限にない者が真正な通貨に加工して通貨に似た外観のものを作成すること
真正な通貨と同一性を失わない範囲での加工。

(3)偽造通貨等行使

・行使の目的をもって偽造変造されたことを必要とせず、また、誰により偽造変造されたかを問わない!

・行使=偽貨を真正な通貨として流通におくこと。
自動販売機での使用も含む。
ただし、一見にして偽貨であることが明白で単に自動販売機を作動させるだけのものは含まない!!!

交付=偽貨であることを告げ、又は偽貨であることを知る者に偽貨の占有を移転すること。
有償無償を問わない。

罪数
・通貨偽造罪と偽造通貨行使罪は牽連犯
・詐欺罪は行使罪に吸収される!
←収得後知情行使罪を軽く処罰する趣旨が没却されるから!

3.外国通貨偽造罪・同行使

4.偽造通貨等収得罪

5.収得後知情行使等罪

6.通貨偽造等準備罪
・自己予備のみならず他人予備を含む。
・機器又は原料の購入代金の提供は通貨偽造準備罪の幇助となる
+判例(S4.2.19)