・土地が二重譲渡された場合に、未登記の第1譲受人がその土地上に立木を植栽した後、第2譲受人が土地の移転登記を具備した場合は、第1譲受人は立木所有権を公示する対抗要件を具備しなければ、自己が植栽した立木の所有権を第2譲受人に対抗することはできない。←242条ただし書きの類推適用により、譲渡人以外の地盤所有者に対する関係では立木の地盤への付合は遡って否定されるとしながらも、立木が地盤に付合したまま移転する本来の物権変動の効果を立木について制限することとなるから、その物権的効果を第三者に対抗するためには、少なくとも立木所有権を公示する対抗要件を必要とする!!!
++立木は独立した物権の客体になるのか?
立木は土地の定着物(86条1項)であり、しかも、取引通念上建物のような土地とは別個の不動産というよりも、土地の土砂や岩石のように土地の完全な構成部分に近いものと考えられる。そこで、立木は原則として土地に「付合」し、独立した物権の客体とはならないと解する。もっとも立木のみを取引の対象とする慣行が存在するのであり、その場合などには立木を独立の経済的価値を有する物権の客体として取り扱う必要がある。そこで、「権原」によって植栽した場合等には、立木は例外的に土地とは独立した物権の客体になる!
+なぜ242条の類推か?→「権原」とは他人の土地を利用する権利をいうところ、登記の対抗力は遡及しないので(=対抗力はあくまでも登記がなされた時点で発生し、物権変動の時まで遡及するものではない)、立木を植栽した時点で土地所有権者であったAには直接適用することはできないから。
+しかし、Cが出現するまでは、Aは土地の利用権以上の権利である所有権を有していたのに、Aが保護されないのは不都合。また、Cが登記を備えればそれ以後はAは対抗力を失うところ(177条)、これは他人の土地を利用していたのと同じ状況にあるといえる。そこで、Aは242条を類推適用により立木所有権を留保できる。
・当事者間の合意で立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするか又はその留保を公示するに足る明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもってその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗しえない。!!!
・明認方法は、登記に代わるものとして第三者が容易に所有権を認識することができる手段で、しかも、第三者が利害関係を取得する当時にもそれだけの効果をもって存在するものでなければならない!!!