民法択一 債権各論 契約各論 贈与


・売買も贈与も諾成契約である!
+(売買)
第555条
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

+(贈与)
第549条
贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

・負担付贈与であっても、当事者の合意によって効力が生じるから、受贈者が負担を履行しなくても効力が生じる!

・書面によらない既登記不動産の贈与契約において、移転登記がされていれば、引渡しがなくとも、履行が終わったものとして、贈与者は贈与を撤回することができない!!!
+判例(S40.3.26)
上告代理人田中義之助、同湯浅実、同渡辺真一の上告理由第一点について。
不動産の贈与契約において、該不動産の所有権移転登記が経由されたときは、該不動産の引渡の有無を問わず、贈与の履行を終つたものと解すべきであり、この場合、当事者間の合意により、右移転登記の原因を形式上売買契約としたとしても、右登記は実体上の権利関係に符合し無効ということはできないから、前記履行完了の効果を生ずるについての妨げとなるものではない
本件において原判決が確定した事実によると、上告人は本件建物を被上告人に贈与することを約するとともに、その登記は当事者間の合意で売買の形式をとることを定め、これに基づいて右登記手続を経由したというのであるから、これにより、本件贈与契約はその履行を終つたものというべきであり、その趣旨の原判示判断は正当である。これと異なる見解に立脚する論旨は、採るを得ない。

+(書面によらない贈与の撤回)
第550条
書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない

書面によらない贈与契約の撤回権は時効によって消滅しない!!!!!
←書面によらない贈与の撤回権は、履行請求履行請求を拒絶する趣旨のものであるから、時効によって消滅しない!!!

・書面の作成が、贈与契約の成立と同時でなくても書面による贈与に該当する!
=贈与契約成立当時書面を作成しなくても、その後に書面を作成したときは、書面による贈与があったものと認められる!

・贈与において、受贈者にあてた書面がなくとも(=書面が贈与の当事者間で作成されたことを要しない)贈与者は書面によらない贈与としてこれを撤回することはできない!!!
+判例(S60.11.29)
上告代理人原山恵子の上告理由第一について
民法五五〇条が書面によらない贈与を取り消しうるものとした趣旨は、贈与者が軽率に贈与することを予防し、かつ、贈与の意思を明確にすることを期するためであるから、贈与が書面によつてされたといえるためには、贈与の意思表示自体が書面によつていることを必要としないことはもちろん、書面が贈与の当事者間で作成されたこと、又は書面に無償の趣旨の文言が記載されていることも必要とせず、書面に贈与がされたことを確実に看取しうる程度の記載があれば足りる!!!!!!ものと解すべきである。これを本件についてみるに、原審の適法に確定した事実によれば、上告人らの被相続人である亡Aは、昭和四二年四月三日被上告人に岡崎市a町b番c宅地一六五・六〇平方メートルを贈与したが、前主であるBからまだ所有権移転登記を経由していなかつたことから、被上告人に対し贈与に基づく所有権移転登記をすることができなかつたため、同日のうちに、司法書士Cに依頼して、右土地を被上告人に譲渡したからBから被上告人に対し直接所有権移転登記をするよう求めたB宛ての内容証明郵便による書面を作成し、これを差し出した、というのであり、右の書面は、単なる第三者に宛てた書面ではなく、贈与の履行を目的として、亡Aに所有権移転登記義務を負うBに対し、中間者である亡Aを省略して直接被上告人に所有権移転登記をすることについて、同意し、かつ、指図した書面であつて、その作成の動機・経緯、方式及び記載文言に照らして考えるならば、贈与者である亡Aの慎重な意思決定に基づいて作成され、かつ、贈与の意思を確実に看取しうる書面というのに欠けるところはなく、民法五五〇条にいう書面に当たるものと解するのが相当である。論旨は、右と異なる見解に基づき原判決の違法をいうか、又は原審の認定にそわない事実を前提として原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

・書面によらない贈与の受贈者も、贈与者に対して贈与の履行を求めることができる!!!
←贈与契約は諾成契約である。したがって、贈与契約は書面によらなくても有効に成立するから、書面によらない贈与の受贈者も贈与者に対して贈与の履行を求めることができる!!

・書面によらない不動産の贈与において、建物の贈与者が贈与と同時に受贈者との間で贈与の目的物である建物を1年間贈与者に無償で使用させる旨合意して、その建物を占有使用した場合、贈与の履行を終わったものであるといえるから、贈与を撤回することはできない!!
=履行が終わったとするためには、176条の意思表示による所有権の移転があっただけでは足りず、目的物の占有の移転も必要!!=占有改定がなされた場合にも履行が終わったものと認められる。
+判例(S31.1.27)
同第二点について。
原判決は本件建物の所有権は、その出来上りと同時に被上告人に移転せられたものであるから、所論の贈与は、既にその履行を終つたものである。よつて、右贈与は上告人Aにおいて、これを取消すことはできないと判示するけれども不動産の贈与は、その所有権を移転したのみをもつて、民法五五〇条にいわゆる「履行ノ終ハリタル」ものとすることはできないのであつて、右「履行ノ終ハリタル」ものとするには、これが占有の移転を要するものと解すべきことは、論旨所説のとおりである。しかし、原判決は右贈与契約については上告人Aは出来上りと同時にこれを被上告人に贈与すると共に、「その後一年間は、控訴人(上告人)Aにおいて右建物を無償で使用し、ビンゴゲーム場を経営して利益をあげ、その一年の期間満了とともに右建物を被上告人に明渡すことと定めた」こと、並びに上告人Aが右契約の趣旨に従つて右建物建築后これを占有使用していることを認定しているのであつて、この事実関係の下においては、右建物は、出来上りと共にその所有権が被上告人に移転すると同時に、爾後上告人Aは被上告人の為めに右建物を占有する旨の意思を暗黙に表示したものと解すべきであるから、これによつて、右建物の占有もまた、被上告人に移転したものというべく、従つて、本件贈与は、既にその履行を終つたものと解するを相当とする。されば上告人の右贈与取消の抗弁を排斥した原判決は結局正当であつて、論旨は理由がない。

・書面によらない負担付贈与では、Aの贈与もBの負担も履行されていないときは契約の撤回ができる!

・贈与者は、贈与も目的物である物又は権利の瑕疵又は不存在を知りながら、これを受贈者に告げなかった場合、瑕疵担保責任を負う!!
+(贈与者の担保責任)
第551条
1項 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない
2項 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。

・AはBに対し高価な骨董品の花瓶を贈与した。しかし、その後、贈与契約が締結される前から花瓶の模様の部分にひびが入っていたため価値が半減していたことがわかった。Aは花瓶にひびが入って価値が半減していたことにつき善意の場合はBに対して担保責任を負わない!!
+過失についてはどう考えるんだろう・・・・。←たぶん含まれないよ!

・AはBに対して自己所有の家屋を無償で譲り渡す約束をした。その後、Aの過失によりBへの引渡し前に家屋が焼失してしまった。BはAに対して損害賠償を請求することができる!!!
←贈与者は目的物について善管注意義務を負う(400条)。したがって、過失により目的物が減失した場合には、善管注意義務違反の債務不履行基づく損害賠償責任が生じることになる(415条)。
+(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第400条
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

+(債務不履行による損害賠償)
第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

+++
善良な管理者の注意(善管注意)とは、債務者の職業、その属する社会的・経済的な地位などにおいて一般に要求されるだけの注意をいう。ヘーー

・定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によってその効力を失う。←当事者の信頼関係に重きを置いているから!!!
+(定期贈与)
第552条
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。

・負担付贈与契約は無償契約かつ片務契約であるが、双務契約に関する危険負担の規定が準用される!!!!
+(負担付贈与)
第553条
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

+(債権者の危険負担)
第534条
1項 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2項 不特定物に関する契約については、第401条第二項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。

・Aが義理の息子Bに対し、Aを養うことを条件として家屋を無償で譲り渡す旨を書面により約し、家屋の所有権をBに移転したが、BはAを養わなかった。この場合、Aは、贈与契約を解除することができる!!!!←541条、542条を準用

+判例(S53.2.17)の原審
【理由】 〈証拠〉によれば、次の事実が認められる。
1 やよいは、大正八年一郎の許に嫁して以来、乙野家の長男の嫁として、病弱で目の不自由な姑春子に代わつて、同家の家事及び控訴人を含む一郎の弟妹の養育等に尽し、控訴人ら兄弟及び近隣の人々に敬愛されていたところ、夫一郎との間に子が生れなかつたことから、性格が素直で優しく思われた控訴人を慈しみ、ゆくゆくは養子として乙野家の跡を継がせようと考えていた。
そのため、一郎とやよいは、控訴人を跡継ぎに相応するように教育すべく、家業に精励し、他の弟妹には小学校教育しか受けさせなかつたのに独り控訴人のみを大学に進学させ、医師として生業できるに至るまで教育し、その間実親にも優る世話をし、控訴人が昭和一二年に夏子と結婚し、戦時中東京都品川区○○に医院を開業するまで控訴人夫婦に月額二〇円程度の援助を続け、その後も食糧等の援助を続けた。
2 当時控訴人夫婦においてもやよいに対する感謝の念を忘れず、一郎死亡(昭和二四年)後は同人に対し生活費の一助として月に二、〇〇〇円ないし三、〇〇〇円を仕送りするなどしてその世話をしていた。そして、控訴人は、昭和三九年にはやよいに相談することなく、東京都練馬区役所へ控訴人夫婦がやよいの養子となる縁組届をした(養子縁組の事実については当事者間に争いがない。)。やよいは、控訴人を一〇才の時から前記のように養育し、医師となつた同人を誇りとし、その人格に全幅の信頼を寄せ、同人夫婦からも親愛の情を示されていたので、右養子縁組にもとより異存はなかつた。
3 そして、やよいは、昭和四二年頃、控訴人との関係が右のように円満であり控訴人より生活費として一万七、〇〇〇円位の仕送りを続けてもらつていること、控訴人が正式に養子となつて乙野家の跡継ぎになつていたことから、自分の老後を控訴人に託し、その家族の一員として控訴人夫婦や孫に囲まれて安らかに暮すことを予定して、乙野家の家産、先祖の祭祀等を引き継がせるために、本件土地を主体とする亡夫一郎の遺産を控訴人に取得させたいと考えるようになり、控訴人らにその意とするところを語つていた。
4 昭和四三年頃やよいは控訴人以外の者で一郎の父太郎(一郎の死後昭和二五年に死亡)及び同母春子(昭和三一年死亡)の相続人である控訴人の兄弟及びその代襲相続人らにその心情を訴えて説明したところ、これらの者はやよいの考えに同調し、各人の相続分につきやよいの要望するところに従い控訴人に贈与することに同意した。
5 そこで、当時いまだ一郎の遺産につき分割の手続が未了であつたところから、やよいは、控訴人以外の太郎及び春子の全相続人(太郎に関しては、昭和二六年に相続放棄をしなかつた者)から「被相続人からすでに相当の財産の贈与を受けており被相続人の死亡による相続分については相続する相続分の存しないことを証明します」との文言を記載した証明書をとりまとめ、亡夫一郎の遺産につき自分名義の同旨証明書を添えて控訴人に交付した。これによつて控訴人が冒頭掲記の各所有権移転登記手続を了した。
〈中略〉
以上認定の事実によれば、本件土地については、控訴人固有の相続分以外の所有持分権の控訴人に対する移転(そのうちやよいからの分は、原判決別紙物件目録(一)の土地については持分四分の一、同(二)ないし(一〇)の土地については持分二分の一)は、一郎の遺産の分割に当り、控訴人以外の相続分を有する者から控訴人に対し、右各相続分を贈与することによつてなされたものというべきである。就中やよいからの贈与分は、やよいの財産のほとんど全部を占めるもので、やよいの生活の場所及び経済的基盤を成すものであつたから、その贈与は、やよいと控訴人との特別の情宜関係及び養親子の身分関係に基き、やよいの爾後の生活に困難を生ぜしめないことを条件とするものであつて、控訴人も右の趣旨は十分承知していたところであり、控訴人において老令に達したやよいを扶養し、円満な養親子関係を維持し、同人から受けた恩愛に背かないことを右贈与に伴う控訴人の義務とする、いわゆる負担付贈与契約であると認めるのが相当である。 ホーーー
控訴人は、本件土地はやよいらの相続放棄により単独相続したものであつて贈与によつて取得したものでないと主張するが、少くともやよいの相続分に相応する持分については、前記認定のとおり登記手続の便宜上やよいにおいて具体的相続分の存在しないことを承認する形式がとられたにすぎないものと認められるから、右主張並びにそれらを前提とする禁反言の主張は容認することができない。

三 ところで、負担付贈与において、受贈者が、その負担である義務の履行を怠るときは、民法五四一条、五四二条の規定を準用し、贈与者は贈与契約の解除をなしうるものと解すべきである。そして贈与者が受贈者に対し負担の履行を催告したとしても、受贈者がこれに応じないことが明らかな事情がある場合には、贈与者は、事前の催告をすることなく、直ちに贈与契約を解除することができる!!!ものと解すべきである。
本件において、やよいが、本件負担付贈与契約上の扶養義務及び孝養を尽す義務の負担不履行を理由に、控訴人に対し、昭和四八年一二月二八日送達された本件訴状によつて、右贈与契約を解除する旨の意思表示をしたことは、記録上明らかである。
そこで、右負担付贈与契約の解除の適否について判断する。
〈証拠〉を総合すると、やよいと控訴人とは昭和四二、三年頃までは養親子として通常の関係にあつたが、昭和四三年一〇月一五日に本件土地について前記のとおり控訴人の単独相続による所有権移転登記手続が経由されて以後、次のような経緯で、控訴人はやよいに対し親愛の情を欠くようになり、その態度、行動は苛酷なものとなり、両者の養親子としての関係を破綻させるに至つたことが認められる。 フム
1 控訴人は、やよいから同人の一郎の遺産に対する相続分を前記のように贈与を受けるに先だち、昭和四三年九月一六日やよいの頼みで被控訴人に対し右遺産中の原野四畝二五歩、山林四畝二三歩を贈与することにしたが、内心右贈与を快く思つていなかつたこともあつてその履行を直ちにしなかつたところ、やよいから被控訴人への所有権移転登記手続を早くするよう度々催促されるので、やよいを疎ましく思うようになつた。
2 一郎は昭和二二年頃乙野家の手伝いとして長年尽した訴外丁野秋子に年季奉公の謝礼として農地を贈与したことがあつたところ、丁野から右土地を買受けていた訴外山田次郎が、昭和四五年頃になつて同土地の所有名義人となつた控訴人に対し所有権移転登記手続を請求したのに対し、控訴人が右贈与を否定して紛争になつたが、やよいが、農地委員会から事情聴取された際、丁野への贈与があつたことをありのままに認める陳述をした。そのため、控訴人は自己に不利な供述をされたことを根に持ち、やよいに対しさらに不快な感情を抱くに至つた。
3 やよいは、昭和四五年頃、太郎の代から乙野家に仕えていた訴外乙野司郎が貧しく、住家の屋根の修繕材料に窮していることを聞いて不憫となり、控訴人においても当然異存はないものと考えて控訴人所有の山林の立木四本ばかりの伐採を許したところ、控訴人から苦情を呈されて謝つたことがあつた。やよいは、右事件について右の謝罪により落着したものと思つていたところ、その後約一年位過ぎて、控訴人からやよいと司郎が共謀のうえ控訴人所有の立木を窃取したとして、富士吉田警察署に告訴され、同警察及び検察庁から呼び出され取調べを受けるに至つた。
4 控訴人は前記1のように被控訴人に贈与した土地について、昭和四六年一一月一日被控訴人から所有権移転登記等を請求する訴訟(後に右土地を控訴人が第三者に売却したため損害賠償請求に変更された。)を提起されたところ、右訴訟において、控訴人は、被控訴人に右土地を贈与するに至つたことに関して、やよいが「同意しなければ控訴人の経営する医院や田舎の家に放火して、首つり自殺をしてやる」などと申し向けて控訴人を脅迫したとか、やよいが、異常性格であるとか、控訴人の立木を勝手に売却したり、控訴人の土地を担保に供すると称して多額な借金をなし浪費生活を続けているとか、虚偽の事実を法廷で供述し、やよいの名誉を著しく傷つけた。
5 控訴人夫婦は、昭和四七年一二月一一日甲府家庭裁判所都留支部に、やよいについて右4の虚偽の供述と同旨の事由があるとして、離縁及びやよいの居宅(同人が嫁に来て以来住んでいる乙野家の家屋)等の明渡を求める調停の申立をするに至つたが、右調停は、昭和四八年七月一〇日不調に終つた。
6 控訴人は、やよいが前記贈与によつて身の廻り品や、前記の僅かばかりの株券のほかほとんど無一物となり、一郎の恩給(月額九、〇〇〇円)と控訴人からの仕送り(当時は月額一万七、〇〇〇円位)で生活していることを了知しておりながら、昭和四七年末頃から右仕送りを中止し、やよいをして困窮の身に陥れ、同人を昭和四八年二月八日以降月額一万円にも満たない生活保護と隣人の同情に老の身を託さざるを得なくし、さらには、隣人に対し手紙でやよいに金員を貸与しないよう申し入れた。同地方の有数の資産家の未亡人で、近隣から敬愛されていたやよいのこの窮状は、周囲の人々の同情と控訴人に対する非難を呼ぶことになつた。
7 控訴人は、昭和四七年一二月頃、やよいの居住する家屋に昔から付設されていた電話を、使用者であるやよいが留守中に無断で取り外してしまつた。
8 なお、控訴人は、昭和五〇年二月頃、やよいが病気で入院している間にやよいの右居宅に侵入し、以後のやよいの出入りを断つべく、道路と家との間に有刺鉄線を張りめぐらし、更に出入口の鍵まで付け替えてしまつた。 スゲエ・・・
9 やよいは、控訴人の仕打ちが昂ずるに及んで遂に昭和四八年一〇月一九日甲府地方裁判所に控訴人夫婦を相手とし離縁の訴を提起し、昭和五〇年一月二二日協議離縁することで和諧するに至り、同年三月一七日離縁の届出をして、控訴人夫婦との養親子関係を解消した。
〈中略〉
以上認定事実によれば、控訴人は、やよい側に格別の責もないのに、本訴が提起された当時において、養子として養親に対しなすべき最低限のやよいの扶養を放擲し、また子供の時より恩顧を受けたやよいに対し、情宜を尽すどころか、これを敵対視し、困窮に陥れるに至つたものであり、従つて、やよいの控訴人に対する前記贈与に付されていた負担すなわちやよいを扶養して、平穏な老後を保障し、円満な養親子関係を維持して、同人から受けた恩愛に背かない義務の履行を怠つている状態にあり、その原因が控訴人の側の責に帰すべきものであることが認められ、控訴人とやよいとの間の養親子としての関係も本訴提起当時回復できないほど破綻し、その後の経過からみても、やよいが控訴人に対し右義務の履行を催告したとしても、控訴人においてこれを履行する意思のないことは容易に推認される。結局、本件負担付贈与は、控訴人の責に帰すべき義務不履行のため、やよいの本件訴状をもつてなした解除の意思表示により、失効したものといわなければならない。〈後略〉

+(履行遅滞等による解除権)
第541条
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

+(定期行為の履行遅滞による解除権)
第542条
契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、前条の催告をすることなく、直ちにその契約の解除をすることができる。

・死因贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用されるが、死因贈与の方式については遺贈に関する規定の準用はない!!!!
+判例(S32.5.21)
同第二点について。
論旨は死因贈与も遺言の方式に関する規定に従うべきものと主張するが、民法五五四条の規定は、贈与者の死亡によつて効力を生ずべき贈与契約(いわゆる死因贈与契約)の効力については遺贈(単独行為)に関する規定に従うべきことを規定しただけで、その契約の方式についても遺言の方式に関する規定に従うべきことを定めたものではないと解すべきである。(同趣旨、大正一五年(オ)一〇三六号、同年一二月九日、大審院判決、集五巻八二九頁)論旨は理由がない。

・死因贈与にも遺贈にも負担を付することはできる!!!
+(負担付贈与)
第553条
負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

+(負担付遺贈)
第1002条
1項 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2項 受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

・遺贈はいつでも撤回することができる!
+(遺言の撤回)
第1022条
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

+(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第1023条
1項 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2項 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

・死因贈与も書面によるか否かにかかわらず、いつでも撤回することができる!!!
+判例(S47.5.25)
同第三点について。
所論は、原判決には、死因贈与について遺言の取消に関する民法一〇二二条の準用を認めた法令の解釈適用の誤りがあり、かつ、本件死因贈与は夫婦間の契約取消権によつて取消しえないものであると解しながら、右民法一〇二二条の準用によつてその取消を認めた理由そごの違法がある、というものである。
おもうに、死因贈与については、遺言の取消に関する民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。けだし、死因贈与は贈与者の死亡によつて贈与の効力が生ずるものであるが、かかる贈与者の死後の財産に関する処分については、遺贈と同様、贈与者の最終意思を尊重し、これによつて決するのを相当とするからである。そして、贈与者のかかる死因贈与の取消権と贈与が配偶者に対してなされた場合における贈与者の有する夫婦間の契約取消権とは、別個独立の権利であるから、これらのうち一つの取消権行使の効力が否定される場合であつても、他の取消権行使の効力を認めうることはいうまでもない。それゆえ、原判決に所論の違法は存しないというべきである。論旨は、独自の見解に立脚して、原判決を非難するものであつて、採用することができない。

・死因贈与は代理によってすることができるが、遺贈は代理によってすることができない!!
=死因贈与は契約であるから、代理によることができる。これに対して遺贈は遺言による意思表示であり、代理によってすることができない!!!

・死因贈与、遺贈ともに贈与者、遺贈者の死亡によって、財産権移転の効果が生じる!!!
+(死因贈与)
第554条
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

+(遺言の効力の発生時期)
第985条
1項 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2項 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

・死因贈与、遺贈共に財産が受贈者、受遺者に移転した後でも、相続人は遺留分減殺請求をすることができる!
+(死因贈与)
第554条
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

+(遺贈又は贈与の減殺請求)
第1031条
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

・死因贈与は贈与者の単独行為によってすることはできない!=あくまで契約!


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