民事訴訟法 基礎演習 訴訟承継


1.当然承継

・+(訴訟手続の中断及び受継
第124条
1項 次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一 当事者の死亡
相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
二 当事者である法人の合併による消滅
合併によって設立された法人又は合併後存続する法人
三 当事者の訴訟能力の喪失又は法定代理人の死亡若しくは代理権の消滅
法定代理人又は訴訟能力を有するに至った当事者
四 次のイからハまでに掲げる者の信託に関する任務の終了 当該イからハまでに定める者
イ 当事者である受託者 新たな受託者又は信託財産管理者若しくは信託財産法人管理人
ロ 当事者である信託財産管理者又は信託財産法人管理人 新たな受託者又は新たな信託財産管理者若しくは新たな信託財産法人管理人
ハ 当事者である信託管理人 受益者又は新たな信託管理人
五 一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡その他の事由による資格の喪失
同一の資格を有する者
六 選定当事者の全員の死亡その他の事由による資格の喪失
選定者の全員又は新たな選定当事者
2項 前項の規定は、訴訟代理人がある間は、適用しない
3項 第1項第一号に掲げる事由がある場合においても、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができない
4項 第1項第二号の規定は、合併をもって相手方に対抗することができない場合には、適用しない。
5項 第1項第三号の法定代理人が保佐人又は補助人である場合にあっては、同号の規定は、次に掲げるときには、適用しない。
一 被保佐人又は被補助人が訴訟行為をすることについて保佐人又は補助人の同意を得ることを要しないとき。
二 被保佐人又は被補助人が前号に規定する同意を得ることを要する場合において、その同意を得ているとき。

・判決前に承継の事実及び誰が承継人かが判明すれば、受継の手続を経ることなく承継人を当事者として判決に表示できる!
+判例(S33.9.19)
理由
上告代理人滝逞の上告理由第一点、第二点の一、第五点の(イ)について。
Aは、本件が原審に係属していた昭和三〇年一月一二日死亡し、その父B及び母Cがその権利義務を承継したが、登も同年六月九日死亡したので、同人の権利義務をその妻である控訴人Cとその直系卑属である他の控訴人ら(上告人を含む)が相続したことは、原審において当事者間に争のなかつたところである。当事者が死亡するときは、死亡の事実の発生とともに、当然に訴訟関係の承継を生ずるが、Aには訴訟代理人滝逞があつたのであるから、本件は、訴訟関係の承継が生じたにかかわらず、手続の中断を生じなかつた場合であつて、訴訟手続を受継すべき余地はなかつたのである。かかる場合には、被相続人の訴訟代理人であつた者は、訴訟承継の結果、新たに当事者となつた相続人らの訴訟代理人として訴訟行為をなすことができるものと解さなければならない。されば、原審が手続の受継のために必要な手続をとらず、また、原判決が訴訟承継人らを当事者として表示し、亡Aの訴訟代理人滝逞を訴訟承継人らの訴訟代理人として表示したことは正当であつて、論旨は採るをえない。その余の論旨は、憲法違反を主張する点もあるが、その実質は、いずれも原審が適法になした事実の認定を非難し又は証拠の取捨選択を争うに帰し、適法な上告理由と認め難い
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

・従前の当事者が判決に表示された場合には、承継人のために、またはこれに対して強制執行するには承継執行文(民事執行法27条2項)が必要。しかし、当事者名の更正で対応できるかについては争いがある!

+民事執行法第二十七条
1項 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
2  債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる
3  執行文は、債務名義について次に掲げる事由のいずれかがあり、かつ、当該債務名義に基づく不動産の引渡し又は明渡しの強制執行をする前に当該不動産を占有する者を特定することを困難とする特別の事情がある場合において、債権者がこれらを証する文書を提出したときに限り、債務者を特定しないで、付与することができる。
一  債務名義が不動産の引渡し又は明渡しの請求権を表示したものであり、これを本案とする占有移転禁止の仮処分命令(民事保全法 (平成元年法律第九十一号)第二十五条の二第一項 に規定する占有移転禁止の仮処分命令をいう。)が執行され、かつ、同法第六十二条第一項 の規定により当該不動産を占有する者に対して当該債務名義に基づく引渡し又は明渡しの強制執行をすることができるものであること。
二  債務名義が強制競売の手続(担保権の実行としての競売の手続を含む。以下この号において同じ。)における第八十三条第一項本文(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による命令(以下「引渡命令」という。)であり、当該強制競売の手続において当該引渡命令の引渡義務者に対し次のイからハまでのいずれかの保全処分及び公示保全処分(第五十五条第一項に規定する公示保全処分をいう。以下この項において同じ。)が執行され、かつ、第八十三条の二第一項(第百八十七条第五項又は第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により当該不動産を占有する者に対して当該引渡命令に基づく引渡しの強制執行をすることができるものであること。
イ 第五十五条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
ロ 第七十七条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
ハ 第百八十七条第一項に規定する保全処分又は公示保全処分(第五十五条第一項第三号に掲げるものに限る。)
4  前項の執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行は、当該執行文の付与の日から四週間を経過する前であつて、当該強制執行において不動産の占有を解く際にその占有者を特定することができる場合に限り、することができる。
5  第三項の規定により付与された執行文については、前項の規定により当該執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行がされたときは、当該強制執行によつて当該不動産の占有を解かれた者が、債務者となる。

+(更正決定)
第257条
1項 判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
2項 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。ただし、判決に対し適法な控訴があったときは、この限りでない。

+判例(S42.8.25)
理   由
上告代理人石川惇三の上告理由第一点について。
被上告人は、本件家屋を明治二五年家督相続により先代から取得したものであり、大正七年当時これを木村信に贈与したことがない旨の原審のなした事実認定は、原判決挙示の証拠および証拠説明により、首肯できないものではなく、原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

同第二点について。
昭和七年当時から、あるいは同一八年四月から木村信が本件家屋を自主占有したものでない旨の原審のなした事実認定は、原判決挙示の証拠および証拠説明に照らして首肯できないものではない。所論は、原判決の認定事実と異なつた事実に基づく独自の見解であり、原判決には所論の違法はない。論旨は採用の限りでない。

同第三点について。
被上告人は信に対し、本件家屋を昭和一八年四月、期限を定めず、信が将来他に転居し得るに至るまでの間、その居住の用に供することを目的として、黙示に使用貸借したものである旨の原審のなした事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できないものではない。原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

同第四点について。
民訴法八五条は訴訟代理権は本人の死亡によつて消滅しないと規定しているが、これは新しい正当な当事者の代理人として任務を続行させる趣旨と解すべきである。したがつて、もとの当事者が上訴の特別授権をしているときは、その授権事項の完了するまでは、代理人ある間ということになつて、たとえ、委任した当事者にき死亡の事由が生じても、訴訟追行者なきに帰するということにならないから、手続を中断する必要はない(同法二一三条)。この場合には当事者の変動はあるが、中継受継の手続を省略しただけであるから、判決には当事者として新当事者を表示すべきであり、旧当事者を表示しているときには、判決を更正すべきである(同法一九四条)。
これを本件についてみるに、被控訴人であつた木村正は昭和三九年六月二四日死亡したが、同人が控訴審で提出した本件の委任状においては、控訴上告の権限をその代理人信正義雄に与えておること(上告の代理権を与えているから、相手方からなされた上告に対して応訴する権限を当然含むと解せられる。)、木村正の死亡により、その妻木村勝が相続して本件家屋の所有権を取得したこと、そして、本件の原審口頭弁論は昭和四〇年八月二五日終結されたものであることは、いずれも本件記録上明らかである。そうすれば、前記説示に照し、本件については、木村正の死亡にも拘らず訴訟手続の中断受継は生ぜず、ただ当事者として、「木村正」に代えて相続人の「木村勝」を掲げれば足りる場合と解すべきである。したがつて、木村正は死亡し、その訴訟代理人もなくなつているのに、木村正を被控訴人としてなされた原判決は効力を生じないとの所論の理由ないことは明らかである。論旨は採用できない。ただ原判決は、右のとおり、新当事者を表示すべきであるのに、誤まつて旧当事者を表示しているから、民訴法一九四条により、職権で同判決の当事者の表示中「被控訴人木村正」とあるを「被控訴人木村正相続人木村勝」と更正する。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外 色川幸太郎)

2.参加承継・引受承継

+(権利承継人訴訟参加の場合における時効の中断等)
第四十九条  訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる。

義務承継人訴訟引受け
第五十条  訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2  裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3  第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第五十一条  第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

・一般には口頭弁論終結後の承継人の範囲と、訴訟承継の承継人の範囲は同じ。
←生成中の既判力が及ぼされる者だから。

・派生的権利関係の設定もここでいう特定承継に当たる。
賃借権の設定について
+判例(S41.3.22)
理由
上告代理人辻丸勇次の上告理由について。
本件宅地の賃貸借契約は、本件土地が都市計画の実施により道路敷とされるとき、または、被上告人がこれを他に売却処分する必要が生ずるという事態の発生したときでない限り、一カ年毎に契約を更新する約旨であつたとの点、従前の更新はまさに右約旨に従つてなされたものであるとの点および期間を一カ年と定めたのが所論のような趣旨に出たものであるとの点は、いずれも原審の認定しないところである。所論は、原審の認定しない事実に立脚して、原判決の理由不備をいうものであつて、その前提を欠き、採用できない。

上告代理人田中実の上告理由について。
賃貸人が、土地賃貸借契約の終了を理由に、賃借人に対して地上建物の収去、土地の明渡を求める訴訟が係属中に、土地賃借人からその所有の前記建物の一部を賃借し、これに基づき、当該建物部分および建物敷地の占有を承継した者は、民訴法七四条にいう「其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタル」者に該当すると解するのが相当である。けだし、土地賃借人が契約の終了に基づいて土地賃貸人に対して負担する地上建物の収去義務は、右建物から立ち退く義務を包含するものであり、当該建物収去義務の存否に関する紛争のうち建物からの退去にかかる部分は、第三者が土地賃借人から係争建物の一部および建物敷地の占有を承継することによつて、第三者の土地賃貸人に対する退去義務の存否に関する紛争という型態をとつて、右両者間に移行し、第三者は当該紛争の主体たる地位を土地賃借人から承継したものと解されるからである。これを実質的に考察しても、第三者の占有の適否ないし土地賃貸人に対する退去義務の存否は、帰するところ、土地賃貸借契約が終了していないとする土地賃借人の主張とこれを支える証拠関係(訴訟資料)に依存するとともに、他面において、土地賃貸人側の反対の訴訟資料によつて否定されうる関係にあるのが通常であるから、かかる場合、土地賃貸人が、第三者を相手どつて新たに訴訟を提起する代わりに、土地賃借人との間の既存の訴訟を第三者に承継させて、従前の訴訟資料を利用し、争いの実効的な解決を計ろうとする要請は、民訴法七四条の法意に鑑み、正当なものとしてこれを是認すべきであるし、これにより第三者の利益を損うものとは考えられないのである。そして、たとえ、土地賃貸人の第三者に対する請求が土地所有権に基づく物上請求であり、土地賃借人に対する請求が債権的請求であつて、前者と後者とが権利としての性質を異にするからといつて、叙上の理は左右されないというべきである。されば、本件土地賃貸借契約の終了を理由とする建物収去土地明渡請求訴訟の係属中、土地賃借人であつた第一審被告亡小能見唯次からその所有の地上建物中の判示部分を賃借使用するにいたつた上告人富永キクエに対して被上告人がした訴訟引受の申立を許容すべきものとした原審の判断は正当であり、所論は採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 横田正俊 裁判官 柏原語六 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎)

・脱退がなければ、従前の当事者の当事者適格と承継人の当事者適格は並存し、承継によって従前の当事者が権利者または義務者足りえなくなれば、訴え却下ではなく請求棄却の本案判決が下される!

・民事保全法に当事者恒定を目的とする仮処分の手続きがある。

(2)参加承継
・参加承継は独立当事者参加の方法による

+(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の中断等)
第四十九条  訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断又は法律上の期間の遵守の効力を生ずる。

+(独立当事者参加)
第四十七条  訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2  前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3  前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4  第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

+(必要的共同訴訟
第四十条  訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2  前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3  第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4  第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

(3)引受承継

+(義務承継人の訴訟引受け)
第五十条  訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2  裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3  第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第五十一条  第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

+(同時審判の申出がある共同訴訟
第四十一条  共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
2  前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3  第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

・前主が承継人に対して引受申立てをすることができるか。

肯定説
+判例(S52.3.18)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です